世間のド肝を抜いた日清カレーメシCMシリーズのナゾが遂に明らかに?!HAKUHODO THE DAYの瀧澤慎一インタビュー!

2015.12.18 Fri

 

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瀧澤慎一:クリエイティブディレクター / CMプランナー。初任配属は人事局。3年半、新卒採用などを担当したのち、クリエイティブへ。現在は、HAKUHODO THE DAYに所属。主な仕事に、日清カレーメシ「カレーメシ登場」篇、カレーメシ2「ペコチンダンス」篇、メルセデス・ベンツ×スーパーマリオ「GO! GLA」、メルセデス・ベンツ×Perfume「Next Stage with YOU」、水曜日のカンパネラ「ラー」のMVなど。
西麻布の丸山珈琲のひとつ上の階にオフィスをかまえるHAKUHODO THE DAYに所属する瀧澤慎一氏。日清カレーメシのCMで商品のリブランドを成功に導いた中心人物だ。2014年にリリースされた第1弾CM「カレーメシ登場」篇以降、Twitterのタイムラインでカレーメシネタは常連となり当然売り上げにも大きく貢献した。振り切った企画・演出で世間のド肝を抜いたカレーメシCMシリーズの舞台裏を瀧澤氏にインタビュー!

日清カレーメシ「カレーメシ登場」篇
dir: 佐藤渉(TYOモンスター)| ecd: 佐藤可士和(SAMURAI)|cd/pl/c: 瀧澤慎一(HAKUHODO THE DAY)|pl/c: 田中裕二(博報堂)、駿河亮(博報堂)|ad: 笠原智敦(SAMURAI)、倉田潤一(博報堂)、児嶋啓多(博報堂)| pr: 福田昌史(博報堂プロダクツ)|ca: 翁長周平 |l: 小山田智(光工房)|art: 福澤裕二(Fis)|ed: 本田吉孝、坂詰正記(REDHILL)|mixer: 大平雅之(REDHILL)|na: 荒川良々(大人計画)|sound de: 平川翔太(サウンドロイド)|st: 関悠太(博報堂プロダクツ)|hm: 池上豪(NICOLASHKA)|casting: 堀内みずき(ゴールドキャスト)、伊藤渉太(イースピリット)|ani: AC部|pm: 近松祐一(博報堂プロダクツ)、道免雅章(博報堂プロダクツ)、針生拓真(博報堂プロダクツ)
――2014年にリリースされた衝撃的なCMで話題のカレーメシのCMシリーズですが、日清食品は大企業ですし、かなり思い切った企画ですが、その根底にはどんな思いがあったんでしょう?
カレーメシは、カップカレーライスという商品のリブランド商品なんです。日清食品としては、カップ型のカレーライスで、若者の新たな食文化を創造していくという大きなテーマを持っていました。次の世代の人たちを顧客にしていくためには、商品もコミュニケーションも振り切るべきだという思いから、佐藤可士和さんプロデュースのもと、名称を“カレーメシ”に変更し、パッケージデザインも新たに再出発した商品なんですね。

そのCMを考えたとき、ルーでもなく、レトルトでもないカレーメシを「これが新しいカレーです」って普通に言ったところで響かない。新しい感覚を感じてもらう必要があり、そのためには、誰もが理解できる範疇での施策ではダメだろうということで、広告コミュニケーションにおけるコンセプトを“理解不能な新しさ”に決めました。その結果として、こういうちょっとぶっ飛んだものへと仕上がっていったんです。

――“理解不能な新しいもの”を映像化するためにはどういうプロセスを踏んでいったのでしょう?
とは言え、伝えるべきことは伝えなきゃいけないのが広告です。そこに立ち返るとやっぱり“ごはんも入っていて、水を入れてレンジでチンするだけでカレーが食べられる”ということなんです。それがカレーメシの“新しさ”。そこをきっちり伝えることにしました。そのコマーシャルメッセージを、七五調のリズムで耳に残るように設計して、ミニマムに作り上げるところから着手したんです。

――それがそのままスクリプトになっていますね。大元はとてもロジカルな生まれだったんですね。
そうなんです。次に取りかかったのがブランドとしての世界観づくりです。可士和さんが手がけたアイコニックなカレーメシのパッケージデザインと、ロゴマークを、そのままCMの世界観に活かすことになりました。背景を黄色にして、ロゴに手足をつけてキャラクター化した“カレーメシくん”を主人公にすることで、“型”を作ったんです。次のステップで、そこからどうやって型を破壊していくかっていうことをディスカッションしていきました。

――型なしではなく型破りだったんですね。そこから演出家の佐藤渉さんも参加してカタチにしていったのですか?
はい、カレーメシのCMは去年も今年も佐藤渉君が演出をしてくれています。何度もブレストを重ねて、本当にいろんな方向を模索しましたね。例えば、“象の鼻から水が出てきてカレーメシに・・・”みたいな(笑)。表現としてギリギリを攻めるために、あえてめちゃくちゃなことを話しながら、やっぱり食品だし象の鼻水はまずいよねっていうような取捨選択を繰り返して。でも最終形は、ぐるっと回って当初イメージしていたものに近いところに落ち着いた感じです。

とにかくテンポが速くて、いきなり壁からでてきて子供を踏んづけてっていうように、どんどん場面転換する映像にまとまりました。打ち合わせ自体、カレーの具材のごとく、色んなアイデアをまぜていくように進んでいきましたね。

――決め台詞、「ジャスティス!」の生い立ちを教えてください。
ナレーションを作ってるときに、普通に喋っているだけだと印象に残るものがないし、最後に決め台詞的な、世の中の人の記憶に確実に残るものが欲しいなと思っていました。昔のCMで言うと、「バモラァ!」ってカズ(三浦知良)さんが言っているデカビタCのCMとか、意味がわからないけど記憶に残る言葉を作りたかったんです。

「ジャスティス!」は、打ち合わせの中で生まれた言葉です。音も強いし、男子にとってカレーって抗えないヒーローのような食べ物だから、ヒーローの決め台詞的な「ジャスティス(正義)」とカレーメシはすごく合う。今の世の中、何が正しいのかわからない時代じゃないですか。そういう時代に、ああいうわけのわからないヤツがぬけぬけと「ジャスティス!」って言うのは格好いいなぁって(笑)。「お前がジャスティスって言うのか・・・」って。商品ともマッチしてるし、時代にもマッチしてる。その言葉が会議室で生まれたときは、みんなですごく盛り上がりましたね。じゃ、ポーズもいるよねって、その場でやりながら、正義の女神が手に持つ“天秤”をイメージした“ジャスティス!”ポーズが誕生しました。

日清カレーメシ「カレーメシくんがひたすら水に打たれるだけの動画」篇
dir: 佐藤渉(TYOモンスター)| ecd: 佐藤可士和(SAMURAI)|cd/pl/c: 瀧澤慎一(HAKUHODO THE DAY)|pl: 田中裕二(博報堂)、駿河亮(博報堂)|c: 田中裕二(博報堂)、駿河亮(博報堂)|ad: 笠原智敦(SAMURAI)、倉田潤一(博報堂)、児嶋啓多(博報堂)| pr: 福田昌史(博報堂プロダクツ)|pm: 針生拓真(博報堂プロダクツ)、道免雅章(博報堂プロダクツ)、近松祐一|ca: 翁長周平 |l: 小山田智(光工房)|art: 福澤裕二(Fis)|ed: 本田吉孝、坂詰正記(REDHILL)|mixer: 大平雅之(REDHILL)|na: 荒川良々(大人計画)|sound de: 平川翔太(サウンドロイド)|st: 関悠太(博報堂プロダクツ)|hm: 池上豪(NICOLASHKA)|casting: 堀内みずき(ゴールドキャスト)、伊藤渉太(イースピリット)
――第2弾が登場するまでに一般も巻き込んだMAD映像も作られました。
「カレーメシ登場」篇を世に出したあとに、ありがたいことにものすごい反応がありました。でも、この先どうする?みたいな話も当然あって。続編を作りたいけど予算があるわけでもないところからの案なんです。僕からのひとつの提案として、ありモノの映像を、Google翻訳に出てくる全ての言語に翻訳して吹き替えて、それを出したら面白いじゃないかと、ビデオコンテを作ってプレゼンしました。日本でしか発売していないので翻訳する必要はないんですが(笑)。日清食品の安藤徳隆社長も可士和さんも面白がってくれて、その中からフランス語版MADを地上波で流すことになりました。これで企業の公式がMADをやるんだって思ってもらって、たくさんの人に遊んでもらう呼び水になるといいかなって。想定通りネット上にMAD動画も増えてきたので、今度はこのMAD動画をCMにしちゃったほうが面白いよね、ということで、権利関係をクリアに出来るものの中から、制作者に連絡をとってOKになった“水に打たれるだけ”のMADをそのまま流すことにしました。

――それがTwitterにもあがっていた「CMの企画考えるのめんどくさいから、Webに転がってるMAD動画適当に流すことにした」というコメントの真相だったんですね。
はい。
はい。もうひとつのMADは、博報堂の新人研修で作らせたものなんです。クリエイティブに配属になった新人にカレーメシのCMを自分で企画して、30秒の映像にして提出してもらいました。面白いのが沢山あったんですけど、その中で一番力が抜けていて、音と映像のシンクロが気持ちいい、「花火」篇を採用しました。世の中の力と新人の力を借りた施策でした。

通常だと企業のマーケティング活動ってすごく計画的に長期スパンで進行していくものなんですが、それを裏切るごとく、ノリでその場で起きたことをどんどん取り入れながらコミュニケーション展開していくのは、新しいし、面白い試みでした。しかも、やっていくうちに、カレーメシらしさ、カレーメシグルーヴと言ってるんですが、それをメンバーが共有できる状態になっていく。カレーメシらしいグルーヴがどうやったら出せるのかっていうことを常にメンバーと共有しながら作って行くのがひとつのテーマでもありました。

――こういう作り方は瀧澤さんにとっても新しい取り組みなのでしょうか?
CMの作り方はとしてはすごく新しかったです。一方で、ありモノの素材を活かすというのは、実はずっとやってきたことでもあるんです。僕は、メルセデス・ベンツのクリエイティブも担当しているんですが、本国のCM素材を日本用に音楽や編集を変えてアダプテーションする仕事をやり続けてきました。ありモノ素材を新鮮に見せたり、インパクトを出したりする仕事を繰り返しやってきたので、素材さえあればCMは作れるっていう確信がありました。

――よりよいグルーヴを会議で生むために意識していることはありますか?
僕は、企画コンテをあんまり描かないんです。コンテにした時点で閉じちゃうというか、いきなりまとめに入っちゃう気がして。ピンとくる映像をわ~っと集めて、マッシュアップしたり、音を当てたりしながら、混沌のうちに秩序を見つけて、そこから一気に整理していく、そういう作業の仕方が好きなんです。企画より、新しい感覚を見つけることが自分の仕事だって思っています。見つけた感覚をメンバーと共有して、面白がってくれたり、新しいと思ってくれて、いいグルーヴが生まれるっていうのがベストですね。僕がコンテを描いて、その通りにやるよりは、「これ新しくない?」からはじめるほうが面白い話も出来て、みんながノリやすいんじゃないかと思ってます。特にカレーメシの案件はその要素が強いですね。

――その場合、クライアントへはどういう説明をされるのでしょうか?
ビデオコンテを作っちゃいます。その感覚を感じてもらうためには見てもらった方が早いので、そうやって感覚を共有していくようにしています。

――アイデアとクリエイティブを武器に旗揚げされたHAKUHODO THE DAYらしさでもあるのでしょうか?
HAKUHODO THE DAYの仕事は、クライアントの経営者、CMOと向き合うことが多いのですが、僕も単純にコミュニケーションとして面白いのはもちろんのこと、それがいかに企業のマーケティング、ブランディングを前進させるものなのかを意識して説明します。

これまでは、安心、安定、信頼のようなものがブランドに求められていましたが、今はもっとドキドキする、ワクワクする感覚を世の中は求めているんですね。それを実現することは、クライアントにとっても、僕らにとっても難しい挑戦ですが、ブランドの成長という視点で提案を日々しています。

■カレーメシ新バージョン「ペコチンダンス」はカレーメシそのものだった!

日清カレーメシ2「ペコチンダンス」篇
dir: 佐藤渉(TYOモンスター)| ecd: 佐藤可士和(SAMURAI)|cd/pl/c: 瀧澤慎一(HAKUHODO THE DAY)|pl: 田中裕二(博報堂)、駿河亮(博報堂)|ad: 笠原智敦(SAMURAI)、倉田潤一(博報堂)、児嶋啓多(博報堂)| pr: 福田昌史(博報堂プロダクツ)|ca: 翁長周平 |l: 小山田智(光工房)|art: 福澤裕二(Fis)|ed: 本田吉孝、坂詰正記(REDHILL)|mixer: 大平雅之(REDHILL)|cast: 大澄賢也(ゴットフェニックス)|na: 荒川良々(大人計画)|sound de: 平川翔太(サウンドロイド)|lyric: 瀧澤慎一(HAKUHODO THE DAY)、田中裕二(博報堂)、駿河亮(博報堂)|m: 河副洋之(メロディー・パンチ)|st: 関悠太(博報堂プロダクツ)|hm: 池上豪(NICOLASHKA)|casting: 堀内みずき(ゴールドキャスト)、伊藤渉太(イースピリット)|ani: AC部|cooking: 永作真穂|cho: 香照音|pm: 針生拓真(博報堂プロダクツ)、道免雅章(博報堂プロダクツ)
――日清カレーメシ2「ペコチンダンス」篇の新CMがリリースされました。“ペコチン!”って何なんでしょう?それと話題になったカレーメシの続編ということでどう取り組んでいったんでしょう?
「ジャスティス!」がすごく話題になって、ブランドに勢いがついたので、今年はさらに勢いづいて行きたいなって。“去年あいつら成功したんだな”って思われたほうが得ですし。“調子にのってる感”というのを、キーワードにしてました。分かりやすく言うと、“今売れてます!”ってCMがよくありますが、その変形みたいなものですね。

年明け最初の打ち合わせで可士和さんが「紅白歌合戦で見た(妖怪ウォッチの)ようかい第一体操がすごくよかった。出場者みんなが歌って踊って。やっぱり歌と踊りっていいよね」って話をしたことから、「調子にのっている感=歌と踊り」ってその場でバーンと決まったんです。そこからは昨年と同じように、まず言葉でカレーメシグルーヴを作るところからはじめていきました。

歌詞は、“意味があるようでない、ないようである”言葉がいいと思ったんです。メッセージとかじゃなくて、まずは単純に気持ちがいい語感。僕は、佐藤雅彦さんのCMが昔から好きなんです。聴いていて気持ちいいし、テンションが上がる。そういう感覚を求めて、歌詞や言葉をみんなで議論しながら探っていきました。“ペコチン”っていうのは“腹が減ったらカレーメシ”を最小限で言い表した言葉なんです。お腹が減った=ペコ(ペコ)、チン=レンジでチンしたら食べられる。去年のCMのすべての内容を4文字で表すとペコチンになるんです。この“ペコチン”をベースに、楽曲のデモを作曲家さんも入れてまず20曲くらい作って、言葉を繰り返したときに気持ちよく耳残りするものを選んでいきました。

ビジュアル面では背景の黄色、カレーメシくん、兄さん、少年やいか八朗さん、なるみちゃんっていうカレーメシファミリーの存在は活かしながら、もっといろんなキャラクターを登場させて、大人数を大きくなったセットで踊らせようと。ペコチン広場を作って、人だったり、人じゃなかったり、若者もお年寄りも踊っている設定が出来上がりました。オーディションでは、踊りがうまいってことよりも、踊ることでその人の個性が溢れ出てくる人を選んでいったら、ああいう風になったんです。

日清カレーメシ2「米の場合」篇
カレーメシの着ぐるみアクターは数名いるそうだ。中身が映ってしまっているスピンオフ動画はこちら。
――ちなみに、カレーメシファミリーの相関図みたいなものってあるんですか?
なんとなくなんです、カレーメシファミリーって。最初のCMで「にーさん!」って、ムキムキの人が登場するんですけど、それも仮編集の段階で思いつきで入れた台詞。あの2人が兄弟だって設定が元々あったわけじゃない。覆面をしたムキムキの人が画面を横切る時、「にーさん!」って叫んだら結果的に面白かったっていうノリで作っているんです。ファミリーって僕ら勝手に言ってますけど、サンジャポファミリーと一緒で、なんとなく仲間っていうくくりなんです(笑)。

――大澄賢也さんのキャスティングは?
やっぱり踊るといえばダンサーですよね。渉君から大澄さんの名前があがって「超いいね!一流のダンサーだし内側から溢れ出る明るさがぴったりだよね」と即決しました。丸1日長丁場の撮影(全体の撮影は2日間)だったんですけど、ご本人もノリノリでやってくれました。カットがかかった後も踊っていましたね(笑)。

――そういう人々がペコチン広場に集まって踊っている。どういう裏設定なんでしょうか?
具体的に言葉にしてはないですが、“人知れず深い悩みを抱える人たち”が集まっているイメージです。ペコチン広場にくると、日頃のイヤなことを忘れて自分自身を解放し踊る。そういう人間の根源的な欲求に応える表現に感じてもらえるといいなって。そもそも食べるっていう行為はそういうことだと思うんです。その中でも“食欲”にまっすぐなのがカレーだと思うんですよ。しかも、カレーっていろんなスパイスや具材が入っている。カレーメシは、ごはんも入っているんですよ。そういう種類の違うものがぐじゃぐじゃに混ざっているのに、一体感がある感じを目指しています。カレーメシのシズルを、ダンスで表現しているんです。

――カレーメシそのものを表現していたんですね。
もうひとつ大事にしたのが、温度感です。カレーメシってレンジで加熱して、アツアツの状態のカレーが出来上がるんですが、熱の上がっていく感じというか、高揚感みたいなものを表現しようと思っていました。その熱量の加減を最後の最後まで追求していました。仮編集で試写したとき、ちょっと熱量が足らなかったんです。これじゃ、ぬるいカレーメシになってしまうよねって話がありました。どうすれば熱量が合うかっていう検証で気がついたのが、音楽のBPMが遅いってことでした。108%にスピードアップさせて、映像もほんの少しあげて、編集し直してみるとアツアツに出来たんですね。

■スピンオフ版アニメーションCM 日清ホワイトカレーメシ「哀しみの荒野」篇!

日清ホワイトカレーメシ「哀しみの荒野」篇
dir: 佐藤渉(TYOモンスター)| ecd: 佐藤可士和(SAMURAI)|cd/pl/c: 瀧澤慎一(HAKUHODO THE DAY)|pl: 田中裕二(博報堂)、駿河亮(博報堂)|ad: 笠原智敦(SAMURAI)、倉田潤一(博報堂)、児嶋啓多(博報堂)|ae: 鈴木智之(博報堂)、中川翔子(博報堂)| pr: 福田昌史(博報堂プロダクツ)|ca: 翁長周平 |l: 小山田智(光工房)|dit: 瀧祐介(レスパスビジョン)|art de: 福澤裕二(Fis)|st: 関悠太(博報堂プロダクツ)|hm: 池上豪(NICOLASHKA)|casting: 伊藤渉太(博報堂キャスティング)|ani: AC部|m: 河副洋之(メロディー・パンチ)|onlin ed: 高城明紀(サウンドシティ)|mixer: 高木雄三(サウンドシティ)|pm: 針生拓真(博報堂プロダクツ)
――「悲しみの荒野」篇では、ペコチン広場であんなに楽しそうにしていた大澄氏といか八朗氏が決闘をしています。しかもアニメーションで描いています。
期間限定商品なのでスピンオフとしてアニメーションで描きたいと思いました。昨年からAC部さんにかかわって頂いてて、もっと一緒にがっつりやってみたいなって思いもあって。MADに自分も飽きてきたし、新しいものを作って世の中の人に楽しんでもらいたいっていう気持ちもありました。 ちょうどその頃、日清食品さんがカップヌードルベジータという商品でドラゴンボールとコラボしていて、そんな話から“戦ってるのっていいよね”って盛り上がって。大澄さんといか八朗さんが、“よくわからないけど荒野で戦う”って設定をつくることにしました。

――水曜日のカンパネラのコムアイを争っているという内容になっていますね。
ええ。別ラインで児玉裕一監督と水曜日のカンパネラのミュージックビデオ(MV)「ラー」を作っていたんです。それで、コムアイをめぐって争っているアイデアが出てきました。2人はコムアイを巡って争っているけど、コムアイは部活のマネージャーみたいな存在で、どっちに肩入れすることもなく応援している人という設定です。

“ホワイトカレーメシ”っていう商品なので、クライマックスに2人の技が拮抗して、画面がホワイトアウトして、ホワイトカレーメシがでてくる流れになっています(笑)。

――その必殺技の誕生秘話を教えてください。
“ゴットフェニックス”は大澄さんの事務所の名前なんです(笑)。いか八朗さんは大澄さんに「最近人気らしいな?」と言われて「いいじゃない」って言ってますが、いかさんの事務所がEja9(イージャナイン)って言うんですよ。ダジャレですよね。誰も気がつかないかもしれないけど、そういう無駄も必要かなって。

――アニメーションの世界でカレーメシグルーヴを出す際の苦労はありましたか?
カレーメシのノリはAC部さんもこの1年半で共有しているので、その辺は信頼してお任せしています。僕らでつくったストーリーをAC部さんにお話して、その場でラフを描いてもらったりしながらさらにイメージを膨らませていきました。アニメーションにして結果良かったなってところは、見え方を大きく変えられたことです。ホワイトカレーメシって、カレーなのに白いというギャップがある、これまでと違う存在なので。だから、このCMに関してはカレーメシくんが登場しません。

心がけているのは「これを作ってる人たちって何も考えてないでしょ?ノリだけでやってるんじゃない?」って思われることです。わかりやすい意味やロジックも大事ですが、「何かいい感じ」という曖昧な感覚を僕はすごく大事にしてCMをつくっています。今、メッセージが世の中に溢れてるじゃないですか。メッセージが多すぎて疲れちゃう。言葉ってすごく強いけど、簡単に嘘もつける。だから直線的なメッセージよりも、ぼんやりと感覚で受け取れるものを投げかけていきたい。そのほうが逆に見た人が自分で意味を発見したり、メッセージを見出したり出来ると思うし、深く届くと思うんです。

■今時の広告コミュニケーションとは?

水曜日のカンパネラ「ラー」
dir: 児玉裕一(vivision)| cd: 瀧澤慎一(HAKUHODO THE DAY)
カレーメシとのコラボレーションで生まれた「ラー」。瀧澤氏がTVCMとは別のカタチで次作を模索中、運転中に流れてきた水曜日のカンパネラの「モノポリー」を聴いた瞬間ピンときたそうだ。黄金色=カレー色の世界以外にも、よく目を凝らすとコムアイの座る台座や手のひらに浮かぶナゾの物体がカレーメシのパッケージのカタチだったり、米粒型の台座が登場する。楽曲のテーマは“カレー”というひとつの小宇宙。映像のテーマは“太陽になれなかった女”。太陽神の力を使って国を治める女帝(コムアイ)だが、実は皆が信仰してるのは太陽だった。嫉妬した女帝は太陽に向かっていくが、太陽(=ペコチン大魔王)にあっけなく敗北を期する。カレーメシの公式サイトではマッシュアップ版を観ることができる。
――瀧澤さんの考える、今の広告コミュニケーションとは何でしょう?
広告にとって、モノを売る、認知を上げるってことはひとつの大事な役割ですが、それだけじゃつまらないし、場として盛り下がってしまう。クリエイティブディレクターとして、プランナーとして、僕は、時代や文化をひっぱるようなものを作りたいなって思うんです。いろんな才能を持った人たちと一緒に、生態系みたいなものを作って、それを企業のマーケティングや広告の表現にどんどん持ち込みたい。その昔、広告が時代やカルチャーを作っていたようなことがもう一度出来ないかなって。そういう仲間をどんどん見つけていきたいと思っています。みんながハッピーになれるモノづくりの場や仕事を、僕が作ればいいじゃないかって。

今って、時代の空気が、緊張しているっていうか、凝り固まっていて不健康な状態だと思うんです。だからもっと肩の力が抜ける、そんな気分をつくりたい。僕のアウトプットとしてはCMが中心となるでしょうが、いろいろ好き勝手をやってるように見られたい。現実は大変なことや、切ないことってもちろんあるんですけど、楽しそうだなって思われていると自然と人も集まってきてくれると思うんです。

――ちょっとした細部に気づいたり、スイートスポットを見つける観察眼がすごいなと思うんですが、日頃から気をつけていることってありますか?
カレーメシのCMを作っているとき、自分の原体験をすごく思い出していたんです。中学生のとき、ギターを弾いたり、目覚まし時計を鳴らしたり、家の中にある音を多重録音して延々と遊んでたんですよね。今そういう作り方をしてるんだなって。あれとこれを混ぜ合わせたら面白いんじゃないかと、試行錯誤しながら求めているモノに近づけていく。そういう感覚を無意識のうちに、育ててきたんだなって気づきました。今はそれを音だけじゃなく映像づくりやチームづくりにも範囲を広げてやっているんですよね。

それと、子供から日々学んでいます。積み木で遊ぶとしたら、僕はお城とか何かを作る。子供はそれを破壊して喜ぶ。大人は目的にむかって進み、作ったことに喜びを感じるけど、子供にとっては通過点でしかない。壊すことが楽しいって気づいてから、仕事でクライアントからどんなオーダーが入っても何とも思わなくなったというか、むしろ面白くなったんです。何か生みだせるキッカケと思うようになったし、それを繰り返して行く先に、求めているモノに近づく感覚があるんです。そういう繰り返しでのみ、自分の想像を超えたものへたどり着ける。カレーメシの仕事はその感覚をさらに開いてくれた案件でした。

――カレーメシ、今後の構想があれば教えてください。
春までに何か出来ないか模索してるところです。商品のマーケティングスケジュールによると思いますが、やるときは新しいことをゲリラ的にやるつもりです。そして、カレーメシが、単純に食品っていう枠を超えて、音楽やファッションといった別のカルチャーにも広がると面白いんじゃないかと思っています。

■ 5つの質問 一問一答
1: 一番影響を受けたものを教えて下さい
父と子供
2: この職に就いたきっかけは?
佐藤雅彦さんの存在を知って
3: 一番好きな映画は何ですか?
キングスマン
4: オススメのレストラン or バーを教えて下さい
西麻布みかづき
5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
人と会うこと 話すこと
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