Node
5月26日(日)から28日(火)までの3日間、横浜の神奈川芸術劇場にて、藤本隆行×白井剛が作りあげるマルチメディアパフォーマンス「Node/砂漠の老人」が開催される。

世界を行き交う人々の中継点、「Node」。そこにあつまる脈絡のない情報から、老人は世界のすべてを知っている。振動する地面、プログラムで描かれる異形の植物たち。そこは破局の後の砂漠なのかもしれない。

本作は、ダムタイプの藤本隆行と振付家の白井剛が、舞踏家、コンテンポラリーダンサー、そしてインディペンデントで活躍するプログラマーとともに作り上げるマルチメディアパフォーマンス。2011年と2012年に大野一雄フェスティバル、2013年3月にLIG ART HALL(ソウル)にてクリエーションと発表を行なっている。2013年8月、「あいちトリエンナーレ2013」にて、劇場版世界初演を行うことが決定している。
藤本隆行×白井剛「Node/砂漠の老人」
2013年5月26日(日)15:00
5月27日(月)19:30
5月28日(火)19:30
入場料:一般前売3,500円、当日4,000円|学生前売2,500円、当日3,000円
会場:神奈川芸術劇場(KAAT)中スタジオ
神奈川県横浜市中区山下町281

intelnightandday
ベルサール秋葉原にて、インテルの最新プロセッサーを紹介するイベント「Intel Technology Day in AKIBA 2013」が6月2日(日)に開催される。

本イベントは、インテル最新プロセッサーの優れた性能を体感出来る、比較デモコーナーをはじめ、各メーカーやショップPC、最新マザーボード、ODMメーカー製品などがずらりと並ぶ展示コーナーが見どころだ。
また前夜祭として、6月1日(土)に同会場にて、インテルのテクノロジーを体感出来る新しい3Dプロジェクションマッピングが錚々たるクリエイターによって実施される。

インテルの「The Museum of Me」で国内外の広告賞を多数獲得した、ライゾマティクスの真鍋大度氏がロボットアームのプログラミングを手掛けるほか、六本木ヒルズ10周年「TOKYO CITY SYMPHONY」の映像ディレクターTAKCOMが映像コンテンツを制作、東京駅での「TOKYO STATION VISION」をはじめとするプロジェクションマッピングの数々を手がける映像プロダクションのピクスらが参加する。さらに、SETSUYA KUROTAKIがマッピングコラボDJとして登場することが決定。

ぜひ、前夜祭(Night)と展示イベント(Day)、どちらも参加しよう!
Intel Technology Night & Day in AKIBA 2013

・Intel Technology Night in AKIBA 2013(前夜祭)
日時:2013年6月1日(土) 20:00 – 21:30(予定)

・Intel Technology Day in AKIBA 2013
日時:2013年6月2日(日) 10:00 – 18:00(予定)

入場料:無料
会場:ベルサール秋葉原
東京都千代田区外神田3-12-8 住友不動産秋葉原ビル1F

shinkaimakoto
映画「言の葉の庭」より ©Makoto Shinkai/CoMix Wave Films
渋谷のタワーレコードにて、新海誠の新作映画「言の葉の庭」の公開を記念して、「新海誠展」が開催されている。6月9日(日)まで。

「言の葉の庭」は、新緑の季節の雨の日に庭園で出会った、靴職人を目指す高校生タカオと、謎めいた年上の女性ユキノを主人公に、2人の揺れ動く気持ちと心の機微を繊細に綴っていくラブストーリー。“デジタル時代の映像文学”で世界を魅了する新海誠ならではの感性と言葉選びは、まるで小説のような繊細なドラマを、アニメーション体験として感じることが出来る。

本展は、5月31日(金)に公開される新海監督の最新作「言の葉の庭」をメインに、これまで監督が発表した「星を追う子ども」「秒速5センチメートル」「雲のむこう、約束の場所」「ほしのこえ」などのスチールや原画、コンテ、イメージボードを展示するほか、新海作品に関連した映像を上映。繊細で叙情的な“新海ワールド”をたっぷりと楽しむことができる。

また、5月26日(日)19時からは、新海誠×KASHIWA Daisuke(音楽担当)×天門(作曲家)によるスペシャル“音楽”トークショーも開催! 当日10時より、渋谷店にて優先観覧券を配布する。詳しくはこちらまで!

新海誠展
会期:2013年5月22日(水) – 6月9日(日)
時間:11:00 – 21:00
入場料:500円
会場:タワーレコード渋谷店8F〈SpaceHACHIKAI〉
東京都渋谷区神南1-22-14

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(左)環ROY(たまきロイ):MC / ラッパー。宮城県仙台市出身。2006年に1stアルバム「少年モンスター」を発表。以降、これまでにフルアルバム「BREAKBOY」「あっちとこっち」を発表する。第15回文化庁メディア芸術祭大賞受賞作品「スペースバルーンプロジェクト」へ参加、楽曲提供を行う。FUJI ROCK FESTIVALをはじめとする様々な大型音楽イベントへ出演。2013年4月3日、4枚目のアルバム「ラッキー」を発表。
(右)古屋蔵人(ふるやくらんど):編集者・ディレクター。1981年東京生まれ。編著書に「映像作家100人」「2027」など多数。書籍のほかにウェブサイトや映像ディレクションも手がける。ディレクターとしての近作は森翔太と共に監督した「ILC脊振ハイスクール!」、環ROYの「YES」「ワンダフル」など。
2013年4月3日にリリースされた環ROYの最新アルバム「ラッキー」の収録曲「ワンダフル」のミュージック・ビデオ(MV)。三浦康嗣氏(□□□)がトラックを手掛けるこのMVには、なんと総勢43名の映像作家が参加する。5秒間の個性が衝突するMV「ワンダフル」、そして「YES」や「KAKATO」プロジェクトについて、環ROY、監督を務める古屋蔵人氏にインタビューした。

環ROY「ワンダフル」
dir/pr: 古屋蔵人|ca: 後藤武浩|ed: 稲本伸司|supporter: 石澤秀次郎
――古屋さんと言えば書籍「映像作家100人」を上梓され、編集者としての印象が強いのですが、最近はデザイナー、映像ディレクターとしても活動されていますね。
環ROY:古屋君ってたしかに色々やってるよね。でも、今“編集”って全てのことでしょ。極論だけど、ファインアート以外全部編集じゃないかなって思うよ。前作「あっちとこっち」で手伝ってもらってから本格的に仕事するようになってて、年齢が同じってのも手伝って結構な勢いでお任せしてるよね。ネットでポンって見て分かりやすいのはKAKATOのプロジェクトかな。

KAKATO「KARA OK」
programming: 林洋介|ca: ただ(ゆかい)
環ROYと鎮座DOPENESSのユニットKAKATOによるアルバム「KARA OK」プロモーションWebサイト。KAKATOの2人がカラオケボックスからフリースタイル、フリーダウンロードでお送りする。楽曲をDLすると、パッケージが組み立てられる仕組み。フリーダウンロードはこちら
古屋蔵人(以下、古屋):「KARA OK」は、カラオケみたいに、大ネタをサンプリングしているアルバムで、聴いて思いついたビジュアルが、カラオケボックスでROY君と鎮座DOPENESSさんがフリースタイルしている姿でした。それならカラオケボックスで、カラオケのトラックの上にフリースタイルしているままをプロモーションに使えば、撮影も簡単だし、面白いんじゃないかって。アルバムの音源はFirestorageのリンクからダウンロード出来る仕組みになっています。このアルバム「KARA OK」も、今回のニューアルバムの「ラッキー」の一連の制作物に関しても、ROY君の要望は常に「普通っぽくしてくれ」ってことだったよね。

環ROY:そう? 古屋君がソレ言ってる気がする。オレが格好つけようとすると、「もっと素でいいんじゃない」って言うでしょ?

古屋:そう(笑)? ちょっと~、意見の相違が(笑)。

環ROY:でも、オレは、人が言うならそれでいいやって、なるべくしたいから。

古屋:でも、ギラギラしたのはROY君に似合わない。映像もモーショングラフィックばりばりじゃないよなって。アルバムのジャケ写も、カメラマンの細倉真弓さんに日常っぽいのを撮ってもらいました。「ちょっとコンビニ行ってくるわ」みたいな写真がいいなって。実際にコンビニで撮影したんですけど。MVは「YES」と「ワンダフル」の2つを作ったのですが、「YES」においては割と日常っぽい、いい具合に力が抜けているものにしたいと思っていて、24時間を24アングルになぞらえてROY君が15度ずつ回転している画を都内各所で撮っているんです。

――“回転”というのはアルバム「ラッキー」の一環したテーマでもあるとのことですが。
環ROY:そうなんです。自分のファインアート的な側面でもあるんですが、「日常が永遠と繰り返されているような世界観に生きている」っていうことを表しているんです。日本独特の世界観というか。

――無常観のようなものでしょうか?
環ROY:四季の方が端的かなぁ。たとえばキリスト教圏の世界観だと、A地点が始まりでB地点で完全に終わる。今、自分はその間にいるから、どんな現象にも意味を見出すっていう世界観ですよね。終末論ってあるでしょ? 日本ではあんまりイメージないですよね。四季がずっと回ってる。直線じゃないっていう。回るっていうのはある種の永遠なんですね。

環ROY「YES」
dir: 古屋蔵人|ca: 後藤武浩|ed: 稲本伸司
――「YES」に続く2曲目となるMV「ワンダフル」ですが、まったく雰囲気が変わりましたね。
古屋:「Yes」の制作中からビデオもう1本作れないかなってROY君が言っていて。でも、お金もないですし、1本作るのが限界だと思っていたら、ROY君が自腹で追加で払うからってなって。で、ぶっちゃけると総予算は5万円だったんですよ。

――5万円でMVを作るのは厳しい条件ですね。動画自体は作れる時代ですけど、環ROYさんのプロモーションに適した映像を責任持って出来るのか? 5万円で!? とならなかったのは?
古屋:ある意味、責任放棄していて、あのビデオは(笑)。もちろん「映像作家100人」って本をやっているのが、まずズルいんですけど(笑)。とにかく、5万円の使い道はグリーンバックの素材撮りの場所代とカメラマンへの謝礼に充てて、みなさんには無償で参加していただくという企画でした。

グリーンバックでROY君の素材を撮って、それを編集して分割する。そして、仲のいい映像作家をリストアップしたんです。5秒間だったらみんな1ネタだし、ノーギャラでも許してくれるに違いないと思って。

――許してくれる尺が5秒だった理由は?
古屋:曲の長いフレーズで5秒、短いのであれば3秒だったという理由からです。一度だけの企画だし、参加してくれたみんなのプロモーションにはなるだろうし、それで許してくれないかなぁって。

――「ワンダフル」は、映像と言うよりも実験的なプロジェクトとして興味を惹かれました。実際にはどういう作り方をしているんですか? どこまで意識的に作っているんでしょうか?
環ROY:グリーンバックの素材を撮影して、古屋君が振り分けるところまで決めていったんだよね。それを各クリエイターに投げているんだよね。

古屋:その人が得意と思われる表現、手法を考えて、同じようなものが連続しないように事前に並びを考えたんだけど、最終的にはどうなるか分かんなかった。デスクトップネタが並んだり、アニメーションが連続したりとか。でも、そこはしょうがない。

プロセスとしては、ROY君が歌っているグリーンバックの映像を稲本伸司君が編集したものを、5秒の細切れにして、ドロップボックスの1から43のフォルダにアップしておいて、同時にTIFF連番の素材もアップして制作者がアクセス出来るようにしておきます。その後、“やさしい友達のリスト”の30名にオファーして、残りを「REPUBLIC」というイベントをオーガナイズしている石澤秀次郎君にお願いして、10名程度に声掛けてもらいました。広がりを持たせるためなんですね。僕の周りの映像作家さんだけだと偏ってしまう。例えばCMをやっているような方がいなくて。そのあたりを石澤君にお願いしました。でも、案の定、一部の人にはわりと断られて(笑)。でも、幸い僕が声をかけた30数人には、1人しか断られなかったんです。

――ROYさんはこういうプロセスにどこまで参加されているんですか?
環ROY:全くないよね。古屋君にお任せ。委ねるって行為を頑張りたいと思ってました。

――その時は何が起こるかっていうのは把握していましたか?
環ROY:そうですね。イメージはつかめていたつもりでした。

古屋:今回は5秒の映像に対して映像作家に自由にやってもらうということだったので、ROY君に「結構いじられるよ」って話はしていたんですが、案の定いくつかは「ん?」ってなったものが出てきて。

環ROY:単純にそれぞれ脈絡がないわけだからキョどるよね。

古屋:事故になるっていうのは最初から分かっていて。綺麗にはなんないよって。

環ROY:オレは分かってなかった。カオス過ぎてびっくりした(笑)。

――5秒だけでも、滲み出る個性や、テンションの差が面白いですね。例えばラスト2コマでいうと、ファンタジスタ歌磨呂さんの気合いの入ったアニメーションとショウダユキヒロさんのカットアウトのみといった具合に。
環ROY:歌磨呂さんの、あれ凄いよね。

古屋:ショウダさんのは、頭に持ってきたらもっと面白かった。伊藤ガビンさんとかぶってますが(笑)。想像以上にみんな頑張って5秒に取り組んでくれたと思います。正直、A4Aみたいな画像一枚の人がもっといるかなって思っていて。細金(卓矢)くんのように、「無償でお願いされた仕事には面白い球を打ち返したいんだけど、手数が多かったらかっこ悪い」っていう考えも面白い。UCNVはオファーして2時間で納品されました(笑)。やり取りのスタイルのかっこよさというのもあって、もちろん完成品見ても伝わらない部分だとは思いますが。

環ROY:鎮座DOPENESSに5秒あげてもよかったよね。

古屋:そうそう。それこそ、いしいこうたなんて、映像作家でも何でもないですからね。単なる友達ですから。でも彼の5秒が実は一番評判いいんですよ。

環ROY:ホームパーティーみたいなやつ、切り口のセンスが好き。感じるものがあったよ。

古屋:あれは、思い出横丁情報科学芸術アカデミーさん。メディアアーティストですね。そういう面白さ。予期しなかった結果というか、いろんなテンションの歪みが面白い。公開された途端、参加者がどういう気持ちでこれらを作っていたのかっていう分析がTwitter上であったり、「これ誰がやったのか?」クイズや、「デスクトップネタかぶったやつはざまーみろ」とか(笑)、そういうやりとりがTwitterで起こったりして。
本当は完成したらすぐに公開する予定だったんだけど、ROY君がこれを何の説明もなしに公開するのは怖いってことになって、今回とは別のインタビューのタイミングで、エクスキューズの元に公開したんです。

――“自由”の振れ幅のイメージは環ROYさんの予想を超えていたと。
環ROY:経験則がないから。こんなカオスになるとは・・・って感じでした。でも評価の基準がないものが出来たっていうのは凄くいいことだと思っていますよ、オレは。

古屋:前の人の素材を受けて次の人にパスっていうのも考えたんですけど、そういうルールを設けて綺麗になったら、この企画の意味がなくなっちゃう気がして。「ワンダフル」は何が来ても受け入れますよっていうのが条件だったんです。

環ROY:自分としては、そこが一番頑張るところだなって思ってましたね。受け入れを頑張るっていう(笑)。

古屋:正直「YES」は綺麗にまとまった映像で、アルバムのアートワークとで積み上げたイメージが汚くなるの、ちょっと嫌だな~と躊躇していた部分もあって。僕は特にゴチャゴチャしたものが好きっていうわけじゃないんですね。でも、このネタやったら絶対事故になるだろうなっていう興味に負けちゃったのと、参加してくれた人がプロモーションしてくれるだろうから、拡散はするだろうと。その面では「YES」のビデオより強いだろうとは思ったんです。

環ROY:人の手が介在するグリッチだね、ある種。人為的にグリッチを生成する試みになったんじゃない?

――3分間の映像を作るのはスキルが必要ですが、5秒だったらMVをやってっみたいと思っていた人が参加できる嬉しさや、この実験的な試みに乗る楽しさはありますね。このビデオは何をもって成功としているんですか?
古屋:事故った方が面白いと思ってやってました。これをやっていて思い出したんですが、10年くらい前に、グラフィックデザイナーがいっぱい集まってさほどコンセプトもないグループ展が盛り上がっていたじゃないですか。統一感もないし、ぐっちゃぐちゃなんですが、結構楽しくて、オープニングとかで色んな人にも会える感覚が、今ならTwitterでみんなでお互い作品についてやり取りしている、そういうお祭り感を思い出しました。

――そういう実体験が根幹にあったのですね。あるインタビューでは、無償で映像作家に依頼することに対して「申し訳ない」とコメントされていましたが、本当に思っていたのかな~って(笑)。
古屋:(笑)、オファーする時は無償だし申し訳ないなって思いましたが、もし自分だったら絶対参加するだろうなって。事故るとは思っていたんですが、ネガティブな事故りと、ポジティブな事故りっていうのがあって、もしかしたらネガティブな方にいく可能性もなくはなかった。その辺も含めての申し訳ないという気持ちだったんです。

環ROY:事故りをみんながポジティブに受け入れて、ポジティブに解釈してくれてたら成功って言えるよね。

――それを自分の楽曲という場でやるのはどうなんですか?
環ROY:意図から外れたところに置いてイジってもらうわけでしょ、それを許容するっていうのをしようって頑張りました。例えば、別の人の別の曲だったら誰も参加してくれていないかもしれない。古屋君が言ったように、1人にしか断られていないっていうのが、自分のアウトプットで起きたことは凄く嬉しいし、誇りに思いたいですね。

もう1本MVを撮ったところなんですが、綺麗に撮影されたライブもので、この3本合わせてちょうどいいなって。作りこんだ「YES」、カオスな「ワンダフル」、普通のライブもの「そうそうきょく」(制作中)があって、結果的に凄くいいところに着地したなって。

古屋:そうだね。それはあるね。ROY君の、媒体としての愛され方っていうのがこれで強まって、今後もっとみんなイジってくれるようになると思う、良くも悪くも(笑)。

環ROY:実はこのYouTubeの詳細のところで、グリーンバックの素材だけDL出来るようになっているんです。で、それを使って作ってくれたものがあって。ブラウザで見るタイプのものなんですが、インタラクティブになっているんですよ。

北千住デザインによるファン・メイドのインタラクティブMV。
北千住デザインは、バスキュールの渡邊敬之氏を代表に、北千住に関わりのあるデザイナー、プログラマーからなるグループ。
「いろいろな映像作家の人が参加していて羨ましく思って制作しました。ただ、自分はインタラクティブ畑の人間なので、映像で勝負してもつまらないと思い、プログラムを書いてインタラクティブなものに仕上げました。“グリーンバックの映像素材をどのようにインタラクティブで扱ったら面白いか”という点と、“すぐ出来るシンプルなもの”という発想で考えました。制作時間は1時間程です」(渡邊氏)
※画像クリックでサイトへアクセスします(音量注意)。
古屋:凄いじゃん、これ。もっとROY君がアップとかになると面白いよね。TIFFの静止画使っていて、カーソルを止めると動画が再生されるんだ。

――これまでのお話しで古屋さんの編集者ならで発想の妙が面白いですね。どのようなカルチャー的バックグラウンドが強く影響しているんですか?
古屋:「YES」も「ワンダフル」も両方とも構造というものを考えて作っているんです。その背景には、ゲームが好きっていうのがあって。ゲームって「気持ちいい装置」じゃないですか。で、面白いゲームは必ず構造がしっかりしているんですよね。それにガワがくっついてて、良く言われている話だと、例えば「スーパーマリオ」とか、単純に横スクロールでずっと進んでいくだけなんだけど、上手く操作出来なくて、ツルツル滑ったりするし、ジャンプもふわ~んって現実とは違う動き、あれが快楽なんですよね。ゲームをやっているといつも内臓ばっかり見るんですよ、そのゲームのグラフィックをファミコンレベルまでどんどん落としていくと、あ、これくらい超シンプルなんだって発見が絶対あって、その部分に興味あるんですよ。

環ROY:オレ、タル・ベーラ(ハンガリーの映画監督)を観て、映像が凄く好きになったんですよ。船が港についてそこから人が降りるまでのワンシーンに10分とか使っちゃう。わけ分かんない。長回しなんです、とにかく。長回しするための集中力っていうのが凄くて。人が歩いている背景に、いい感じの波がぱーーんってくるんです。それがいい感じになるために、何十回もしくは何日も掛けてこの一瞬を作っているじゃないかなっていう映像なんですよ。それまで、物語として映画とかを見ていたから、映像にまであんまり関心が向いてなかった気がしますね。

――楽曲の構造にはどのように取り組んでいるんでしょうか?
環ROY:今回は凄く意識しています。例えば16小節で1番、2番とあって、合計32小節で構成されている曲があるとしますよね。その時に16小節を4小節で分割して起承転結を2つ作る。で、今度は、その2つを足して32小節を8小節で4分割でして起承転結を1つ作る。小さい単位でも、大きな単位でも起承転結になっているような構造っていうのを考えたりしてました。
それを守るだけですごい楽になるんですよね、出力する方も、入力する方も。この前トム・フォードの映画「シングルマン」を観たんですよ。映像的にはむせ返るような美意識で埋め尽くされてるんですね、チャンネルが合わないと人によってはむせる、と思う。でも、最後まで観れる。それは圧倒的に映画の構造を守っていたからなんですね。映画史の中で培われた物語に対するロジックが凄く綿密に、あざといほどに含まれているのが観ていて分かったんです。構造を順守した上で、思いっきり好きなことをしている。逆に言うと、思いっきり好きなことをしているのに最後まで観れたのは構造的だったからだと思うんです。

――その映画の構造、楽曲の構造も、長い歴史の上で作られてきた一つの完成形。椅子が4本足であるようなものですよね。
環ROY:それが基本なんでしょうね。その上で何をしたら面白いのだろうって考えなきゃですね。だからスタート地点にやっと立ったくらいのことでしかないと思うんです。

古屋:ラッパーはそういうやり方しないからってことでしょ。

環ROY:ラップにはそういうのなかったかもね。最も初期衝動的なジャンルの1つなんじゃないかな。ヒップホップはとにかくエモーションしか残ってなかった時に生まれている音楽だから。てか、ポップミュージック自体がそうっぽいんですけど・・・。この話するとめちゃくちゃ長くなるし、音楽専門メディア向けの話ですね。

――でも、とても興味あるので、さわりだけでも教えてください。
環ROY:じゃ、なるべく簡単に言えるよう頑張ります。
まず西洋音楽って地球環境が作りだす真理とか理(ことわり)を研究してきた音の学問だと思ってるんです。例えば、物は上から下に落下するとか、太陽は東から西に移動するとか、川は上流から下流に流れるとか、環境が生み出す理ってあるじゃないですか。それに依存する形で、音にも理があって、一定の周波数が同時になると和音になったり、不協になったりすると。
で、その、和音か不協かをジャッジする人間の耳も環境に依存していますよっていう考え方だと思うんですね。凄く端的にいうと、人類史の中での暫定的な真理の創出だと思うんです。で、それを突き詰めてたら、一旦「ここ数千年くらいはこんな感じなんじゃない?」って結論になってクラシックが衰退しますね。そこには複合的な理由も勿論あって、科学の隆盛で神様の力が弱くなっていったり、音楽を複製するテクノロジーが発展したりとか、まぁ色々あると思うんですけど。

で、ジャズが出現してきて、音楽がポップカルチャーに向かい出しますよね。例えば、ドラムセットってあるでしょ、あれってジャズが作ったんですね。元々はバラバラで、それぞれに奏者がいたんです。コンパクトにするって、まさに大衆化だと思うんですけど、そういうことが起きてくる。
さらに大衆化を進めていったら、「だいたいコードでまとめちゃっていいね」ってなってくる。で、コードの進行を操作していく行為が大体出来てくると、モードジャズっていうのが出現してきて、コードを解体、分解、再構築をしてみようよって動きが起こる。それが1960年頃の出来事なんですけど、そこからジャズってフリージャズっていう即興演奏に向かって行くんです。それは音楽を大衆化するってミッションが遂行されちゃったから「次は何?」ってことだと思うんですね。そして、「じゃあ次はエモーションしかなくない?」となったと思うんです。即興なんて、とても初期衝動的でしょ?

そして、同じく1960年頃からビートルズが世界中に広まっていく。ということは、それ以降のポップミュージックっていうのは初期衝動っていうもの主体にして、ずっとクリエイトが行われていると考えられる。ロックスターって衝動的に沢山死んでいったりしましたよね。そこから60年くらい経っているのが今ですね。

(携帯を取り出して)今、アプリでKORGの「iKaossilator」っていうのがあるんですけど、これとか使うと5秒で曲が出来ちゃうんですよね。専門的な知識がなくても。指を動かすだけで出来ちゃう。だから理に即して綺麗に作るってことが簡単になってしまった。そして、エモーションっていうのはその綺麗に作るという理へのカウンターだったと思うので、エモーションも存在理由を失い始めてると思ってるんです。って感じで、エモショーン/初期衝動の存在理由が変化してきているのかもしれないですねって話です。

古屋:昔からあるジャンルはみんなそうだよね。デザインとかもそう。

環ROY:だからグリッチとかするんでしょ? OSの挙動を狂わせて偶発性を狙うヤツとか。

古屋:ノイズだよね。

環ROY:音楽で言うとノイズミュージックが辿ってきた場所に映像は立っているのかもしれないね。

――そういう見方をすると、今の感覚を表層化した「ワンダフル」ということになりますね。これをみて「誰でも映像の作れる時代」になったことを改めて実感した一つのことでした。
環ROY:そうだよね。そこで「次、何なんだろうね?」っていうのが今の自分のテーマなんです。

古屋:なんかこの時代がもうちょいで終わりそうな気はしてる。

環ROY:今は、学問と初期衝動が完結した地平での大衆化って感じはあるよね。次ってなんだろって考えるのが楽しい。新しい理を見い出すみたいなことなんだと思うんだけどさ。学問と初期衝動を融合させるっていうか・・・、初期衝動の解釈を変えてみるとか・・・。色々道はあると思うのだけど、技術はあったほうが絶対いいよね。

古屋:ニコニコ動画とかもそうじゃん、誰でも一瞬スターになれるっていう状態で、自分が参加が出来るからこそ一生懸命見る。今、スーパー細分化している状態からまた収束していくような気がするんだよね。本当に上手じゃないと見てもらえない、聴いてもらえないっていうような。

環ROY:近過去とかさ、技術なくてもエモがあればいいみたいな時あったよね。セックスピストルズを見てると思う。シド・ヴィシャスとか弾けないんだもん、ベース。エモ100%でしょ。

古屋:シド・ヴィシャスは、ライブではベース音はさほど聞こえないからっていう理由で採用されているからね。

環ROY:でも今、シド・ヴィシャスがいたら、弾けなくても弾けるからね、機械がやるから。ま、構造もエモも理解して出力することがデフォルトな時にきてるのかもね。難しいね(笑)。

古屋:クラシックの人はやっぱり「こうきたら絶対こう」っていう型があるよね。すごいな~って思う反面ちょっとがっかりもする。「あ、そこは絶対それなんだ、決まっちゃってんだ」って。

環ROY:それは音楽の理論が時間に縛られているからそう見えるんじゃない? あと周波数にも縛られてるからね。こういった物語のない映像は空間芸術寄りなんじゃないかな。

――MV的な文脈ではないところで作られた「ワンダフル」ということですね。
古屋:MVっぽい文脈が「映像作家100人」を8年間やってきて、結構嫌いになっちゃったんですよ、正直。

環ROY:理由は?

古屋:一部の人は8年前と同じことやっているというか。MVにも様式化があって、編集の仕方とか。僕的に、一番興味ないところ。そういう映像の人には、この作品を受け入れてもらえない可能性はあると思います。それも分かるんですけど、だったら僕はプログラマーの若手とかと一緒にいる方が楽しいんですね。
ここに参加してくれている人たちはいくつもの道を持っている。だから参加するにしても、その一部を披露するだけで、文句言わないわけですよね。

環ROY:いくつもの道っていうのは?

古屋:世代的に、MVには既に期待してないから、商業的なことも、自分の作品作りもしている。映像は好きですが、日本のMVはフォーマット化されすぎている気もする。もちろん僕にはそういうビデオは作れないだろうし「YES」は、そういう様式を入れたくなかったので、構造っぽい映像表現でやっているんですよね。もし自分が今後ガチで、アーティストのMVをやることがあれば、その様式に従うやり方っていうのは避けて通りたいです。なぜなら先人より上手にやれる自信もないし。でも、もしかしたらあの世界はそれをやらなくちゃいけない世界なのかもしれないですけど。

環ROY:ダークナイト」みたいに、ジョーカーがいるからバットマンが活躍出来るっていうかね。オレら自身も「これってMVなのかな」っていうくらい、分からないモノが出来てよかったと思ってる。人為的にグリッチが発生する空間を作った。そのフレーム感が現代美術に繋がるかもしれないね。

ラッキー vol.0 ~環ROY「ラッキー」リリース記念ワンマンライブ~
日程:2013年6月2日(日)
会場:渋谷WWW
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
出演:環ROY
ゲスト:戸高賢史(ART-SCHOOL) / 三浦康嗣(□□□) / 蓮沼執太 / 山本晃紀(LITE) / VJ:三嶋章義(MECABIOtH)
料金:前売¥2,000 / 当日¥2,500(ドリンク代別)
前売:ローソンチケット[L:79975]、e+、WWW店頭にて発売中。
お問合せ:WWW 03-5458-7685
詳細はこちらまで!
■ 5つの質問 一問一答
1: 一番影響を受けたものを教えてください
環ROY:HIPHOP
古屋:スーパー銭湯
2: この職に就いたきっかけは?
環ROY:流れ
古屋:なりゆき
3: 一番好きな映画は何ですか?
環ROY:ビッグ・リボウスキ」(最近の中で)
古屋:ウォッチメン
4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
環ROY:PC、ペン、スピーカー
古屋:マック、紅茶、ステッカー
5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
環ROY:男女関係
古屋:command

音とは、物の響きや人の声などが振動(音波)として伝わって聞くことが出来るもの。今回は、その音波自体をモチーフにした非常に美しい作品をご覧いただきたい。

「Oscillate」
dir: Daniel Sierra
この「Oscillate」と名付けられた作品は、ニューヨークの映像作家Daniel Sierra(ダニエル・シエラ)によるもの。本作は、インタラクティブ・アーティストJoshua Davis(ジョシュア・デイヴィス)の元で、インターンとしてFlash用ライブラリHYPEをProcessingに移植するなどのスキルを磨いた彼が、School of Visual ArtsのMFA (Master of Fine Arts:芸術修士) Computer Art programで生み出した作品だ。

「Oscillate」は、波形に音が追加されると同時に複数の波形へと分かれていく様子を描く。波形のアニメーションはHoudiniのCHOPS機能を使い、オーディオやMIDIファイルから生成している。海のうねりのように、あらゆる音が音波を組み合わせて成り立っていることを視覚化する試みだ。映像作品として形にするために、まずProcessingを使って波形を視覚化するプロトタイプが作られ、Houdiniを使用し制作されている。コンポジットはNukeとAEを用いている。 また、この作品の最大の特徴といえるダイナミックで美しい波形や波形の分解は、Houdiniの拡張言語であるVEXで書かれ、HoudiniのモデリングモジュールのSOPsで複雑な波のフォームを創っている。

音波の特徴である周期的な動きが映像に取り入れられ、波形が分裂と統合を繰り返す様子は、しなやかに動く弦のようであり神秘的なオーラを纏う。

文:野澤智