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六本木の東京ミッドタウンにて、「グッドデザインエキシビション2014(G展)」がまもなく開催される。10月31日(金)より。

同展は、最新のグッドデザイン賞受賞デザインを紹介するほか、デザインに力を入れる企業や学校などの取り組みや、発展著しい海外のデザインの紹介、注目のデザイナーを招いたステージイベントなどを行うアジア最大級のデザインイベント。

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カンファレンス(第2会場)と東京ミッドタウン・デザインハブ(第3会場)では、2014年度グッドデザイン賞を受賞した商品、建築、デザインプロジェクトなど全1,258点が展示されており、また、東京ミッドタウン・ホール(第1会場)では審査委員から特に高い評価を得た「グッドデザイン・ベスト100」を特別出展。ベスト100には、無印良品の「羽毛掛ふとん・トライアングルキルト」や、アンドーギャラリーのグラス「ANDO’S GLASS」といった日常品から、マツダの乗用車「デミオ」、新型の「ゆりかもめ7300系」などの大型プロダクト、そして、「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」のようなインスタレーションまで、幅広い“グッドデザイン”が選出されている。

さらに、2014年度「グッドデザイン大賞」を決定する来場者投票や、東京ミッドタウン内のショップや展示エリアをめぐるスタンプラリーなど、来場者が参加して楽しめるプログラムも多数予定されている。

公式サイトでは、受賞作品一つ一つを丁寧に紹介しているので、まずはWebでチェックしてから会場へ足を運ぼう!

グッドデザインエキシビション2014(G展)
会期:2014年10月31日(金) – 11月4日(火)
時間:11:00 – 20:00(11月4日のみ18:00まで)
入場料:1,000円(5日間共通)、中学生以下無料
※入場料が不要の展示エリアもあり
会場:東京ミッドタウン内各所
東京都港区赤坂9-7-1

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it’s all Rheydt, Kolkata 2011 ©Gregor Schneider
六本木のワコウ・ワークス・オブ・アートにて、ドイツ人作家グレゴール・シュナイダーがインド、西ベンガル州のコルカタで行ったプロジェクト「it’s all Rheydt」の映像作品を展示している。11月22日(土)まで。

本プロジェクトは、シュナイダーが2011年にインドに招かれた際、西ベンガル州で毎年開催される大規模な祭典「ドゥルガ・プージャ(女神ドゥルガの祭り)」に参加して実現したもの。「Rheydt(ライト)」とは、彼が今も暮らすドイツの故郷の地名であり、彼の多様な作品群を貫く重要なキーワードにもなっている。

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400 meter black dead end No. 6 2006 ©Gregor Schneider
「ドゥルガ・プージャ」に参加したシュナイダーは、現地の職人と協働し、現地の素材を使って、生まれ故郷Rheydtの町のごく普通の道路をそのまま再現した巨大な構造物を建造。それを、コルカタの道路の上に垂直に立て、女神像を祀るパンダル(pandal=祭典のための仮設の寺院)として設置した。このパンダル内に置かれた女神像は、最終的に全てコルカタの地を流れるフーグリ川に浸され、そのまま川へ流されることで祭典が完結する。シュナイダーは流された女神像を川の下流で引き上げ、翌年、立体作品としてドイツで発表している。

なお、11月3日(月祝)まで開催されている「ヨコハマトリエンナーレ2014」でも、新作となる大型インスタレーション「ジャーマン・アンクスト」を発表している(横浜美術館地下駐車場)。ぜひあわせて観に行きたい。

グレゴール・シュナイダー「it’s all Rheydt」
会期:2014年10月10日(土)-11月22日(土) 日月祝休
時間:11:00 – 19:00
入場料:無料
会場:ワコウ・ワークス・オブ・アート
東京都 港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F

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日下部 理:1985年東京都生まれ。ESMOD JAPON卒業後、2011年にロンドンのCentral Saint Martinsプロダクト・デザイン科卒業。RANDOM INTERNATIONALデザイナー。
RANDOM INTERNATIONALロンドンを拠点とするアートスタジオ。Stuart Wood、Florian Ortkrass、Hannes Kochによって2005年に設立。人間の身体性や自然現象、認知科学などをベースにしたインタラクティブ・アートやインスタレーションを多く制作する。
イギリス、ロンドンを拠点に活動するアートスタジオRANDOM INTERNATIONAL。2012年に彼らが発表した、雨が降りしきる部屋の中を濡れずに歩くことが出来るインタラクティブなインスタレーション「Rain Room」は、世界中で大きな注目を浴びた。

コマーシャルなどのクライアントワークを行わず、デジタルアートに根ざした活動を続けているRANDOM INTERNATIONALには、日本人デザイナーの日下部理氏が在籍している。彼がRANDOM INTERNATIONALの中で手掛けているインタラクティブなデジタルアート作品の舞台裏、ロンドンで就職した経緯、そして最新作について、帰国中の日下部氏に話を伺った。

「Rain Room」(2012年)
prod co: RANDOM INTERNATIONAL|music by Max Richter
コンテンポラリーダンサーWayne McGregor(ウェイン・マグレゴー)によるショーケースはこちら
――日下部さんはロンドンのセントマーチンを卒業され、RANDOM INTERNATIONALへ就職されています。「Rain Room」のようなインタラクティブな作品で有名ですが、どんな会社なんですか?
アートスタジオです。Royal College of Art(RCA)出身のイギリス人Stuart Wood(スチュアート・ウッド)と、ドイツ人のFlorian Ortkrass(フロリアン・オウトクラス)とHannes Koch(ハネス・コッホ)の3人が立ち上げたスタジオです。彼らが学生の時に一緒に手掛けた作品が人気になって、そこから出発しています。9年目の若い会社で、今は12人くらいの人が働いています。

設立当初はプロダクトなどもやっていたのですが、徐々にアートスタジオとして確立されてきて、今に至ります。僕が入ってからも会社組織としてかなり変わりました。やれ「有休を取れ」と言われるようになったりとか(笑)。とは言え、今もけっこうラフな雰囲気で、そこが気に入っています。

――アートスタジオというと、コマーシャルなどのクライアントワークは一切行ってないのですか?
作らないですね、相性があまり良くないようです。「アートで売っていく」ことにフォーカスしているので、よっぽどじゃないとやらないですね。

――デジタル・アートを売って、それで会社が回っているんですね。凄いですね。
そうなっていますね。凄いですよね(笑)。

――大型のインタラクティブなインスタレーションが多いイメージです。特に代表的な作品が「Rain Room」ですね。
ロンドンのバービカン・センターで展示したインスタレーションで、“雨の部屋”に人が入っていくと、その部分だけ雨が止んで濡れないというインタラクティブな作品です。
これは、とあるコレクターの方からのスポンサードで作った作品なのですが、その時に条件として、彼に作品を納品する前にパブリックに展示するというのがあって、快諾してくれたのがバービカン・センターでした。屋内で水を使うので、場所を探すのは大変でした。

――「Rain Room」の中で、ダンサーがパフォーマンスしているビデオもありました。ダンスのスピードで動いても濡れないんですね。
あれくらいだと濡れないですね。ただ、小走りくらいのスピードになると厳しいです。ちなみに、濡れるといえば逆も出来るんですよ。雨を降らすことも(笑)。バービカン・センターでのセッティング中に、一度“絶対濡れるバージョン”でテストしてみたんです。当時、一緒にインターンしていたフランス人が中に入っている時にボスがリバースモードで操作して、彼は走って逃げたんですが、結局転んでびしゃびしゃに濡れちゃいました。天候を管理出来るって怖いなと思いましたね。

――創造主の境地ですね。驚いたのは、アートのマーケットというのが日本と比べ物にならないくらい発展しているということです。「Rain Room」が個人所有とは驚きました。
正確に把握してませんが、最初のバービカンでやったやつを含めて2つか3つくらい売れたと思います。基本的にランダムでは1つの作品に対して8つまでエディションを作り、それに加えて、4つのアーティストプルーフで、合計12点制作するルールとしています。個人のコレクターさんが購入したり、地方自治体や美術館が購入しています。でも、RANDOM INTERNATIONALの作品を一番多く購入するのは個人のコレクターですね。「Rain Room」もエディションで売られていますが、規模が大きいので一つ一つがカスタムオーダーに近いです。

――日本にはインタラクティブ・デジタルアートに特化したアート集団があまりいないのですが、イギリスやヨーロッパでは他にもあるのですか?
映像系では、Universal Everythingが有名ですし、ライティングやキネティック系だとTroikaUnited Visual Artistsが有名です。ただ、フィジカルなインタラクティブ作品を作っているスタジオとなるとそれほどありません。

――アートフェスや自治体のイベントでコミッションワークは参加されるのですか?
たまにあります。僕が関わったものだと、スワロフスキーの「Digital Crystal」という展示会や、ドイツのルール地方のルール・トリエンナーレにコミッションで参加しました。

「Instant Structure for Schacht XII」(2013年)
prod co: RANDOM INTERNATIONAL
2013年10月にドイツ、ルールで開催されたルール・トリエンナーレにて展示した作品。
――コミッションということは、アートフェスティバルから予算が出るということですか?
フェスティバルから出ます。ルール・トリエンナーレでやった「Instant Structure for Schacht XII」は、僕がメインのデザイナーを務めた作品なのですが、毎分3トン程度の水が20m上から落とされる中に入って遊べるというインスタレーションでした。長方形に水が落ちるパイプラインが張り巡らされていて、その中に入ってびしょびしょになりながら体験出来るものです。

中は凄いですよ。体験するまで想像しなかった感覚に襲われます。水の量と勢いが圧倒的なので、空気が押されるんです。まるで嵐の中にいるような感じです。

――「Instant Structure for Schacht XII」の根底にあるコンセプトは何ですか?
建築的なアプローチからスタートした作品です。展示した場所が炭鉱跡地で、ユネスコに登録されている凄いカッコいい場所なんですよ。例えば、メインエントランスに続く道の両端に設置されている電灯が、奥に進むにつれて微妙に低く設置されていて、遠くから見ると強制的なパースペクティブになっていて一体感が演出されていたり。

ルール・トリエンナーレからは、炭鉱なので水が豊富にあるのと、「Rain Room」の事例があったので、水を使った作品制作の依頼でした。そこで、周りの建物をリスペクトした簡易的なストラクチャーを作ってみたら面白いと思ったんですね。
ただ、最終的に安全性の面からその炭鉱の水は使えなくて別途安全な水を用意することになりました。

――RANDOM INTERNATIONALでは、どのようなフローで作品制作が行われるのですか?
基本のコンセプトは3人のボスが決めて、コンセプトのディベロップメントはみんなでやります。みんなエンジニア気質なので、コンセプトや作品について考えている段階から、こういうデバイスを使うと面白いんじゃないかっていうのをベースに進んでいきます。

それを具現化してプロジェクトとして進めるのは、デザイナーの仕事です。プロジェクトの規模に関わらず、デザイナー1人が1つのプロジェクトを担当します。デザイナーはエレクトロニックの方はあまりやらないので、そこは電気系のプロフェッショナルとこまめに話して詰めていきます。コンセプト立案が0だとしたら、デザイナーのやることは1から10ですね。

――デザイナーの守備範囲が広いですね。日下部さんの担当されいているところですね。
何でもやりますよ、メカの設計から作品の予算管理、スケジュール管理、場合によってはクライアントとのコミュニケーションもやりますし、必要なことは全て。

――日下部さんとして、この「Instant Structure for Schacht XII」で一番フォーカスしたところはどこですか?
水で出来た綺麗なストラクチャーを作りたいというのがメインでした。その副産物として生まれたユーザー体験が、実際にやってみると想像を超えるものとなりました。

■ RANDOM INTERNATIONALで働くまで
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日下部氏がいつも持ち歩いているアイデア帳。
――セントマーチンズに入学する前は、服飾系を勉強されていたそうですが。
日本にいる時はファッションの専門学校に通っていました。そこを卒業した後に、セントマーチンズでプロダクトデザインをやりました。

――ファッションやグラフィックスで有名な学校ですが、刺激的な環境でしたか?
何かを教えてもらうのを期待してはダメですね。さらに言うと、有名な海外の美大だからもっと面白い人がいるって思ってたら、そうでもなかった(笑)。特に教員は、本当にコンサバな人が多かった。

卒業作品は、Googleのストリートビューに落書きをするというものでした。フィジカルなドローイングデバイスとプロジェクションデバイスがあって、プロジェクターで描いたタグやグラフィティを、ジオコードと一緒にストリートビューの上にオーバーラップさせるという、「デジタルな世界をフィジカルにバンダライズしようぜ!」という作品で・・・。

なんだか、学生の時の作品を語るのって恥ずかしいですね。僕はどちらかというと人間に興味があるんです。だからランダムと気が合うのかもしれないですね。学生の時からランダムが凄く好きで、ランダムで働けてなかったらロンドンに残ってなかったと思います。当初は、卒業後すぐに日本に帰ろうと思っていましたから。

――とはいえ、ファッションとプロダクトの基礎教養があって、メカニカルデザインやデバイス的なところはいきなり出来るものなんですか?
なんとか出来るようになりました(笑)。大学ではメカニカルなことは全然教えてくれなかったし、「CADが出来ます」ってハッタリでランダムに入ったし(笑)。言った後に使えるように頑張って覚えました。入社した頃は、作品についてのブリーフィングの時も、エンジニアが言っていることが全然分からない。後々、Googleで必死で調べたり。叩き上げです。

そもそも、イギリスで働いたこともなかったから、注文書の書き方も見よう見まねで覚えました。でも、面白かったです。今はもう3年目なんですけど、簡単なものだったら普通に作れるようになりましたし、「分からないことはGoogleに聞く」っていうワークフローも出来ました。もちろん、本当に重要なことはその道のプロの方々に直接聞きます。それが一番手っ取り早いですからね。

――大学卒業後にRANDOM INTERNATIONALでインターンしていたそうですが、卒業して就職となると現実的にビザの問題があります。その辺はどうしているのですか?
僕が学生の時は、イギリスの高等教育機関を卒業すると2年間分のワーキングビザを申請出来る仕組みでした。でも、そのビザはその年で最後だったので、ラッキーでしたね。ビザの期間中は、契約社員的なスタンスで雇ってもらいました。
もうすぐビザが切れるという時に、「もし僕に残って欲しければこういうプロセスを踏んでビザを取って欲しい」と話したところ、ボスが結構色々とありながらも取得してくれて、今に至っています。

■ RANDOM INTERNATIONALでの作品の生まれ方
「Audience」(2008年)
prod co: RANDOM INTERNATIONAL
イギリス人アーティストChris O’Shea(クリス・オーシャー)とのコラボレーションで作られた作品。空間に入ってきた人を感知すると、鏡のフェイスが一斉に向けられる。体験者は全ての鏡に自身のリフレクションが映っているのを確認出来る。
――RANDOM INTERNATIONALではアート作品のみにフォーカスしているということですが、どのようにプロジェクトが立ち上がるんですか?
大きく分けて2通りあって、予算がついている場合、例えば「個展をやらないか」って話だったり、「Rain Room」みたいに「面白そうだから僕がスポンサードしてあげるよ」というケースが一つ。
あとは、それぞれが、こんなことやりたいっていう小さいアイデアが常時いくつかあって、そこから絞って、自発的にプロットタイプを作るケースです。その場合、プロトタイプ制作に会社から多少の予算が付きます。

――RANDOM INTERNATIONALの作品でやはり凄いと思うのが、テクニカル、表現、トータルクオリティが圧倒的なところです。
僕の個人的な意見ですが、色々考えるとカッコ悪くなっちゃうんです。ウチなんか勢いですもん。コンセプトワークももちろんするけれど、あまり気にしないで初期衝動の勢いでやってしまっている部分が大きい。

ディレクション面でいうと、ディレクター陣(ボス)が明確なビジョンを持っていて全くブレないんです。例えば僕らは制作過程で物理的な制限にぶち当たったりして、当初の目的からブレちゃうこともあるんです。でも彼らはそこからブレずに解決策を思いつく。だから、アウトプットが一定のクオリティで出るんだと思います。
特に、イギリス人のスチュアートはアートディレクターの役割をしているのですが、天才肌だと思います。彼はまだだ30歳半ばくらいなんですが凄いなって思いますね。

■ スウェーデンで開催中の個展「Studies In Motion」に出展している新作について
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「What It Isn’t」
prod co: RANDOM INTERNATIONAL
スウェーデン、ルンドのギャラリーLunds konsthallで開催中の個展「Studies In Motion」に出展している新作「What It Isn’t」。
――新作についても教えて下さい。
現在、スウェーデンでランダムの個展「Studies In Motion」をやっています。その出展作品の一つが「What It Isn’t」といって、ランダムが初めて手掛ける音の作品なんです。

試験管にバイブレーションモーターが装着されていて、それが作動すると、試験管の中に入っている小さな金属体がぐるぐる回って音が出るんです。その試験官が天井から444個吊るされていて、人がその下を通ると音が後ろから追っかけてきたり、自分の周りを回って消えていったりする作品です。スピーカーを敢えて使わず、フィジカリティにこだわっています。もともと不快感を伴うノイズを意識していたこともあって、実際、耳障りな音がしますよ(笑)。

見た目も凄く綺麗なんです。試験管を真鍮のキャップでホールドしています。ランダムでは真鍮をよく使います。加工もしやすいし、伝導率も凄くいいし、構造物にもなりますからね。

――どのような仕組みで動いているのですか?
レーザーファインダーってご存知ですか? 今回使用している凄く便利な装置です。簡単に言うと、灯台のような感じでレーザーがぐるぐると回っていて、感知したいもの、例えば床なら地上1Mくらいに設置すれば、半径10Mの位置情報を取得できるんです。
データを取得するのはUSBかEthernetか、グレードが選べます。弱点は、その空間に人が沢山いたら無理という点。ですから高解像度向けではありません。この作品の場合は、解像度がほとんど要らないので問題ありません。

もちろん、代わりにカメラを使うこともできますが、インスタレーションの空間が長いので、いくつかカメラを設置する手間や、感知したい人は床を歩いているということもあり、レーザーファインダー1個で完結しちゃえるというのは、凄く便利ですね。

――そういったデバイスや機材の情報は、日々追い掛けているのですか?
会社のみんな、そういうのが好きだから、何か見つけてはシェアし合ってます。実はこの作品は、お城の地下道で展示するという話から始まっているんです。紆余曲折の結果、個展での発表となりましたが、そういったロケーションを想定して始まった作品でもあるんです。

――トンネルのような空間で、音が響き合い幽玄な世界が生まれそうですね! そういう古城だとか、自然からのインスピレーション、インタラクションであること、フィジカリティへのこだわりが随所に伺えます。
フィジカリティにこだわるのは、人間に興味あるからなんでしょうね。もっと物質的にインタラクティブにしたいという想いや、人間の身体性も凄く興味あるし、自然を人工的に作り直したものに対して人間がどう反応するのか、オーディエンスがどうやってインタラクションするのかを知りたいという欲求なんだと思います。

――日本ではインタラクティブ作品において、インタラクションの必然性というか必要性が明確でない作品も多く、特にフィジカルなインタラクションで言うと以前ほどの盛り上がりが感じられない傾向にもあると思います。
ランダムのインタラクションは本当にシンプルですからね。一つの関係だけ。センサーもシンプル。体験するのに難しいことなんてないし、インタラクトしないで素通りするならそれでもいいし、それでも成立するくらい綺麗に作ります。

そして、まどろっこしくない。ボスがまどろっこしいインタラクションが大嫌いなんです。体験するまでに説明を聞いたり読んだりしなくちゃいけないものとか、アクションがたくさんあるのが苦手なんです。
「Rain Room」も「What It Isn’t」も凄くシンプルで、作品に何の説明も要らないですし、置きません。興味を抱いて作品に人が寄ってくる、それだけで発動するようになっている。要は自然と同じですよね。凄くシンプルなものを綺麗に、というのがフォーカスポイントなんです。

――“綺麗”という言葉が何度が出てきましたが、日下部さんが考える“綺麗”とは?
例えば、先日、振り子を使った作品を見たのですが、振り子の動きをモーターで制御していて、振り子が頂点に来た時、アクセレーションが0になってギアの動きが見えるんですよ。そういうのを気持ち悪く感じます。それが本当に振り子で振られているなら美しいと思うんです。僕はメカのデザインが多いんで、そういうのは凄く意識しますね。

――今後RANDOM INTERNATIONALが挑戦してみようという方向性を教えて下さい。
もっと空間系や環境系の作品が増えそうな気がします。「Rain Room」がインタラクションする環境自体を作った作品だったので、それ以降に来る話も大型の作品が多くなってきました。空間自体が先にあって、その中に人を入れるというのが多くなるかもしれないですね。

――日下部さんとRANDOM INTERNATIONALの相性がいいことが伝わりますが、ご自身でアーティストとしてやってみようという気持ちもありますか?
若干ありますね、アーティストかデザイナーかは分からないですけど。ランダムは凄く居心地が良くて、面白いことしかやらないので、僕はランダム以外で働けないんじゃないかなって不安になります。
まずは、ランダムに居ながら自分の作品を作ろうと思っています。ランダムにいる間に有名にならないとですね(笑)。

――日本でもいつかRANDOM INTERNATIONALの作品を体験したいものですね。
アジアだと台湾、シンガポール、香港のWホテルにランダムの作品が置かれています。
ボスは、金沢21世紀美術館が凄く好きで、そこで出来るといいな、なんて思っています。

■ 5つの質問 一問一答
1: 一番影響を受けたものを教えてください
親父
2: この職に就いたきっかけは?
好きだったから
3: 一番好きな映画は何ですか?
紅の豚
4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
15cm定規、ノギス、マイペン(LAMY)
5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
ロングボード
取材協力:yang02

Mattel Games「Pictionary Mall Surprise」
dir: TJ Derry|a: TrojanOne|prod co: Studio M|cco: Graham Lee|ex cd/ad: Gary Watson|c: Gaby Makarewicz|ex pr: Mike Mills|cam: Dave Derry, Jon Staav, Bruce William Harper|ed: Jesse Manchester|grading: RedLab|m/sound design: Imprint Music
ターミナル駅など、都心のあちこちで見かけるようになったデジタルサイネージ。もしもサイネージの中の人が突然動き出して、しかもアナタに話しかけてきたら・・・? 今回は、そんなコミュニケーションしてくるサイネージを使った、ドッキリなプロモーションキャンペーンを2本立てでご紹介! ハッピーなサプライズを楽しむ様子をお楽しみ下さい!

まずは、バービー人形やカードゲームのUNOで知られる、アメリカの玩具メーカーMattel(マテル)による「Pictionary Mall Surprise」。カナダ、トロントのショッピングモールSherway Gardensに、爽やかな男性が絵当てゲームのPictionaryをPRするサイネージが設置されている。誰かがその前で立ち止まると、なんと彼は突然動き出して、絵当てゲームで遊ぼうと誘ってくるのだ! 見事に言い当てた正解者には、その場で、こちらも超サプライズ級の豪華景品がプレゼントされる!

静止画と思いきや、「えっ動くの!?」という驚きに留まらず、一緒にゲームも出来てしまうという楽しいサプライズを提供する「Pictionary Mall Surprise」。“Anytime Is Game Time(いつでもゲームの時間)”というテーマの下、買い物の途中でゲームに巻き込まれて、周りの買い物客も思わず一緒に盛り上がる様子は見ているだけでハッピーな気分になれるはずだ。Webで公開されると、24時間でYouTubeとFacebook合わせて10万ビューを超えるアクセスを稼いでいる。

サイネージの中の男性は近くに設置された部屋で撮影されており、映像をライブストリーミングして、買い物客とコミュニケーションする仕組みだ。このインタラクティブなサイネージは、トロントの広告代理店TrojanOneが手掛けたもの。サプライズの様子を記録したムービーは、カナダ人ディレクターTJ Derry(TJ・デリー)がディレクションしている。

■ あのW杯得点王ゲーリー・リネカーがポテチをくれるサイネージ!
Walkers Crisps「Twitter Vending Machine」
a: AMV BBDO
続いて、気の利いたサンプリングキャンペーンとしてご紹介するのが、イギリスのスナック菓子メーカーWalkers(ウォーカーズ)が仕掛けたサイネージ「Twitter Vending Machine」。かつてJリーグでもプレーした、イギリスの元サッカー選手Gary Lineker(ゲーリー・リネカー)を起用したデジタルサイネージが、ロンドン中心部オックスフォード・ストリートのバス停に設置されている。“Twitter自動販売機”というタイトル通り、Twitterを経由してリネカーとコミュニケーションが出来るのだ!

「Twitter Vending Machine」はとてもシンプル。リネカーが見せる「僕をツイートしてくれたら、サンプル品をプレゼントするよ」というメモに従って、「@Walkers_busstop」に宛てて秘密のハッシュタグをつけてツイートをすると、サイネージの下からウォーカーズのポテトチップスが出てくるという仕組みだ。

このサイネージは、6種の味のスナック菓子から人気ナンバーワンを決めるキャンペーン「Do Us A Flavour」の一環として、ロンドンの広告代理店AMV BBDOが実施したもの。合計で3つのTwitter自動販売機がロンドン市内に1日設置され、260袋のサンプル品が配られた。

The Bug「Function / Void」
dir: Factory Fifteen|prod co: Nexus|ex pr: The Creators Project|pr: Beccy McCray|dop: Luke Jacobs|vfx sv: Matt Townsend|ed co: Trim|ad: James Hatt|cast: Gary Grant, Ani Lang
イギリス、ロンドンのアニメーション / 映像スタジオFactory Fifteenによる、不穏な近未来で摩天楼が崩壊してゆく様子を描いたSFなミュージックビデオ(MV)「Function / Void」をご紹介! 全体主義体制の下、食事もせずにサプリだけを摂り、思想も感情もないまま人々が暮らしているディストピアな世界で、その異常性に気付いてしまった男性の運命は・・・?

イギリス人音楽プロデューサーKevin Martin(ケヴィン・マーティン)のソロプロジェクトThe Bug(ザ・バグ)のニューアルバム「Angels & Devils」から、収録曲「Function ft. Manga」「Void ft. Liz Harris (of Grouper)」をミックスさせた「Function / Void」。毎日のルーティンのシーンは「Function」に乗せて、ブレイクダウンは「Void」の幽玄なサウンドを使い、対比を描いている。MVを制作するにあたっては、ケヴィン・マーティンもレーベルのNinaja Tuneも、Factory Fifteenが自由に楽曲をアレンジ出来るようにと、オープンなコラボレーションとなった。

ジョージ・ルーカスが学生時代に制作した短編映画「THX-1138」や、オルダス・ハクスリーの小説「すばらしい新世界」、そしてジョージ・オーウェルの小説「1984年」と、ディストピアSFの名作からインスパイアされている。世界の終焉の物語が全体主義の崩壊と共に、アルバムのアートワークと連動してモノクロ映像で描かれる。

監督を務めたFactory Fifteenは、Kibwe Tavares(キブウェ・タヴァレス)、Jonathan Gales(ジョナサン・ゲールズ)、Paul Nicholls(ポール・ニコルズ)の3人が2011年に設立したアニメーション / 映像スタジオ。建築から3DCG、エンジニアリング、アニメーション、そして写真まで、幅広いバックグラウンドを活かした映像作品は、サンダンス映画祭、SXSW、ワンドットゼロ、アルス・エレクトロニカなどで上映されている。本作はFactory Fifteenと、彼らが所属するロンドンの映像プロダクションNexusとのコラボレーションによって作られた。

「今回のプロジェクトでは、ケヴィンと僕たちの間に興味のあるテーマがたくさんありました。全体主義の下でくすぶっている一人の人間の物語を表現する方法を模索した結果、現代の大量消費社会をテーマに使うことにしました。主人公と社会のシステムの崩壊をパラレルで描いていて、建物の崩壊は目に見えない、例えば経済危機のようなものをキャラクター的に表しています。また、企画初期では、アメリカ人建築家/芸術家Lebbeus Woods(レベウス・ウッズ)のドローイングに影響を受けました。彼の作品は脱構成主義に根差した曖昧な美を持ちながら、本質的でもあるからです」(Factory Fifteen)

実写パートの撮影はロンドンで行われた。主人公の男性が住むアパートは、彼が大きなシステムに帰属する人間だということを強調させるような部屋が選ばれている。Factory Fifteenの友人であるArmando Elias(アルマンド・イリアス)に協力を頼み、彼がファウンダーの建築設計事務所Craft Designが手掛けたユニークなアパートの一室を使用。コーヒーメーカー用に壁がくりぬかれていたりと特別な造りで、そこにサプリメントのマシンを設置したりと想像の膨らむロケーションだったそうだ。そのサプリメントマシンは、後のポストプロダクションでCGに置き換えられているが、撮影現場に実物があることによって役者が作品の世界へ入り込みやすくするためのひと手間だ。人々が機械のように歩くコンクリートの道は、目を引く建造物のあるノースロンドンのアレクサンドラ・ロード・エステートで撮られている。

また、主人公が働くオフィスは、コンテンポラリーな雰囲気を意識して作り上げた。ジャック・タチ監督の映画「プレイタイム」(1967年)に登場するオフィスや、「1984年」の主人公ウィンストンが勤務する真理省のような未来のコールセンターをマッシュアップしている。オフィスのシーンには、「Function」「Void」それぞれのフィーチャリングアーティストであるManga(マンガ)とLiz Harris(リズ・ハリス)がカメオ出演しているので、ご注目を!

「本作の世界は、実際の建物とCGをミックスしています。CGは、ストーリーを思い通りに語ることの出来る、とてもエキサイティングな存在です。今回では、実写の建物からロンドンの好きな要素だけを残して新しい要素を追加したりと、完全にコントロールしつつ、全く新しいものを作り出しました。現実と創造した空間とを納得のいく形にブレンドするのは、常にチャレンジングですが、どういった世界や建造物を築きたいのか決断するのはいいことだと思います」(Factory Fifteen)

ディストピアSFには、作者が社会に対して警鐘や風刺、皮肉を込めた作品が多い。単調な生活や生気のない人々など、現代社会とオーバーラップする「Function / Void」には、どのようなメッセージが込められているのだろうか。

「本作は、現代社会の声や意見の一部であり、そして僕らが愛する全体主義を題材にした作品群への同調でもあります。分析的になり過ぎない程度に、そういったSF作品の要素を少し取り入れようと思ったのです。僕らは、独裁主義に支配されるくらいならば、全体主義体制を選ぶというアイデアを気に入っていました。本作は、スマートフォン文化によって生活の全てがアナライズされ、トラッキングされて、必要なサプリメントが自動的にオススメされるような現代社会を誇張した作品なのです」(Factory Fifteen)