「A Farewell To Arms」
dir: Eduardo Cintron|a: Ogilvy & Mather|prod co: Deboka Films|cco: Joe Sciarrotta|group cd: Chris Turner, Dave Metcalf|cd: Bowen Mendelson, Andrew Gall|c: Michael Franklin|pr: Lisa Hinrichs|set/puppet: Kate Stransky|post prod: Noah Schloss|dop: Jake Zalutsky|ed co: Clockwork
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1954年にノーベル文学賞を受賞するなど、アメリカを代表する小説家の1人として知られるErnest Hemingway(アーネスト・ヘミングウェイ)。彼が残した数々の小説は当時の文壇や人々に多大な影響を与え、いくつかは映画化もされるなど、広く世界中で親しまれている。今回は、彼の生家があるイリノイ州オークパークに建つ博物館などを運営するThe Ernest Hemingway Foundation of Oak Parkが、ヘミングウェイの代表作3作をそれぞれ15秒の異なるスタイルのアニメーションに凝縮し、Instagramムービーとして公開するプロジェクト「Hemingway in 15 Seconds」をご紹介! ただし、ストーリーのネタバレもあるのでご注意を!

まずは、従軍記者として第一次世界大戦のイタリア北部戦線に参加した経験を元に書かれた、1929年の小説「武器よさらば(原題:A Farewell to Arms)」の15秒アニメーション。戦火のイタリアを舞台に、アメリカ人中尉フレデリック・ヘンリーとイギリス人女性看護師キャサリン・バークレイの純愛を描き、戦争の虚しさと人生の悲劇性を訴える長編小説だ。1932年1957年の2度映画化されており、代表的な“戦争文学”としても知られている。

このアニメーションでは、フレデリックとキャサリンが出会い、恋に落ち、キャサリンが新しい命を身ごもるも死産し、2人も死別してしまうという悲劇の物語が、とてつもなくテンポのいいアニメーションで描かれる。

「The Old Man and The Sea」
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続いては、1952年に出版された「老人と海(原題:The Old Man and The Sea)」。1961年に自殺してしまったヘミングウェイの晩年の名作としてノーベル文学賞受賞の大きなきっかけであり、世界的なベストセラーとなって、1958年には映画化もされている。

年老いたキューバ人猟師が、不漁の続く中で漁に出て大きなカジキを命懸けで仕留めるも、舟に縛り付けた獲物をサメに食われてしまうという、悲劇的なストーリーが描かれる。厭世的で躁鬱気味だった晩年のヘミングウェイの心境が大きく反映された作品とも言われている。

15秒ムービーでは、最低限の台詞と描写によるストップモーションアニメーションで、老漁師に起きた悲劇的ドラマをコミカルともいえる15秒に凝縮。骨だけになってしまったカジキを見つめる老漁師の表情の奥の感情や背景を知るには、ぜひ小説を読んでみてほしい。

「For Whom The Bell Tolls」
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そして、1940年に発表された「誰がために鐘は鳴る(原題:For Whom the Bell Tolls)」は、ファシストと戦う人民戦線を追ったドキュメンタリー映画「スペインの大地」を制作すべく、スペイン内戦の戦場に飛び込んだヘミングウェイの戦争体験をベースにした小説。反ファシスト軍として、ゲリラ組織と共同して戦う主人公ロバート・ジョーダンを描き、1943年にゲイリー・クーパーとイングリッド・バーグマン主演で映画化された。

アニメーションの最後でウサギが泣いているが、これは命を燃やすようにロバートと激しく愛し合うゲリラ組織の若い娘マリアを、ロバートが「可愛いうさぎさん」と呼ぶことから。アニメーションでも「I love you」と語りかけるなど、愛し合ったマリア=ウサギが泣いているということは、2人に訪れる悲しい別れを表している。

紙の書籍が売れなくなり、特に若者の読書離れが叫ばれて久しいが、「Hemingway in 15 Seconds」も、若者がヘミングウェイ作品を読まなくなっていることにThe Ernest Hemingway Foundation of Oak Parkが頭を悩ませていたことから始まったプロジェクト。彼らがヘミングウェイに興味を持ってもらえるように、若者が最も活用しているSNSであるInstagramをプラットフォームに選んだという。

そして、アニメーション3作品を手掛けたのは、オークパークと同じイリノイ州シカゴ在住のディレクターで、Eduardo Cintron(エドゥアルド・シントロン)。たった15秒間で結末を含むあらすじを、ユーモアとテンポの良さを加えて巧みに凝縮しているが、悲劇的でシリアスな小説の世界観を損なわずに魅力を伝えてくれる。

小説が、特に海外小説が読まれてなくなってきている昨今だが、「武器よさらば」「老人と海」「誰がために鐘は鳴る」はどれも文学史に残る名作。まだ読んだことのないという方は、ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか?
「Market Hours」
dir: Jon Goldman
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トヨタの高級自動車ブランドLEXUSが、映画「愛を読むひと」「ザ・マスター」「ジャンゴ 繋がれざる者」などを手掛けるインディペンデント系映画会社The Weinstein Companyと協同し、将来有望な若手映画監督を支援するプロジェクト「LEXUS SHORT FILMS」の第2弾が公開された。初回の2013年に続く今年は2人の若手監督が起用され、映画監督のPhillip Noyce(フィリップ・ノイス)やAntoine Fuqua(アントワーヌ・フークア)、女優Katie Holmes(ケイティ・ホームズ)といったハリウッドで活躍する映画製作者がメンター(監修)として後押しした。2014年10月末にオンラインで公開された「LEXUS SHORT FILMS 2014」の2作品をご紹介! 2人の若手監督の瑞々しい才能に触れてみよう!

まずは、アメリカ、コロラド州ボルダー出身のJon Goldman(ジョン・ゴールドマン)監督による「Market Hours」。マーケットの警備員として勤めるランダル。寡黙で想像力豊かな性格ゆえに、しばし空想の世界に入り込んで職務を忘れてしまうこともしばしば。そんな彼は、同じマーケット内で働くアンジェラが気になっているが、なかなか話しかけられないでいる。ある日、マーケットで事件が発生! しかも、偶然カフェに居合わせた女優の犬が逃げ出してしまう。平凡な日々に突然起こる、素敵なハプニングとは・・・。

「Market Hours」メイキング映像
少し内気で空想癖がある、心優しいランダルを通して、思わずマーケットに行ってみたくなるような親近感を覚えさせてくれる「Market Hours」は、ゴールドマン監督曰く「多国籍な文化が渦巻く都会の夜を舞台に、人々の夢や希望を探っていく物語」。フランス語を流暢に話し、韓国語とイタリア語も操るゴールドマン監督は、2009年に通訳を題材にしたショートフィルム「Diplomacy」を発表し、アメリカ、ヨーロッパ、中東など世界20以上の映画祭で上映されている。幼い頃から異文化に触れてきたため、様々な“文化”や“言語”が絡み合うストーリーに興味があるという。

「Market Hours」は、ロサンゼルスのダウンタウンにあるグランド・セントラル・マーケットから着想を得ており、撮影も同所で行われた。カメラはハイスピード撮影が出来るPhantom Flexを使用し、ランダルの鮮明な空想とマーケットの視覚的な印象の両方を収めている。

■ 恋心を秘めたまま、相手の幸せを見届ける。センチメンタルな短編「Operation Barn Owl」
「Operation Barn Owl」
dir/writer: 大川五月|writer: 落合賢
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こちらは、監督&脚本の大川五月と共同脚本の落合賢、2人の日本人が手掛けた、プロポーズを題材に切ない片思いを描くラブストーリー「Operation Barn Owl」。親友のジョナが恋人にプロポーズするのを成功させようと、友人たちと協力するエレン。しかし、彼女はジョナに秘かに想いを寄せているため、複雑な心境を抱えていた・・・。

友人たちを巻き込んだアメリカンスタイルの情熱的なプロポーズと、日本的な奥ゆかしい感性を見事に織り交ぜた「Operation Barn Owl」。想いを打ち明けられず、胸に秘めたままにしてしまった恋を経験したことがあれば、きっとエレンの涙と笑顔の美しさに心から共感してしまうことだろう。

「Operation Barn Owl」メイキング映像
大川監督は、東京生まれ東京育ち。日本大学芸術学部映画学科を卒業した後、ニューヨークのコロンビア大学で美術学修士号を取得。“愛”や“絆”といった世界共通のテーマが好きだといい、過去の作品は兄妹や母子関係など、家族をテーマにしたストーリーが多い。本作では、複雑な恋心を抱くエレンの心の機微を丁寧に切り取られているが、大川監督がラブストーリーを撮るのは、実は今回が初めてだという。

「いつかはラブストーリーを撮ってみたいと思っていました。この作品の原点は、日本の少女漫画です。私の好きな少女漫画の主人公は、いつも好きな人にうまく気持ちを伝えられずに引き下がってしまうのです」(大川監督)

また、大川監督と同じく東京生まれ東京育ちで、共に脚本を手掛けた落合氏は、12歳の時から映画を撮り始めて以来、ずっと映画作りが大好きだという。高校卒業後には、映画製作を学ぶために渡米し、12年間アメリカに住んでいる。これまでに30本以上のショートフィルム、CM、ミュージックビデオのほか、3本の長編映画を制作。日本とアメリカを行ったり来たりする生活の中、日本に“行く”のか“帰る”のか分からなくなっているそうだ。

「僕の作品の原点は“故郷を探すこと”。自分の居場所を探すことです。誰にでも居場所があり、かけがえのないものがあると思います」(落合氏)

現在、東京、南青山のINTERSECT BY LEXUS -Tokyo 1Fガレージにて、「LEXUS SHORT FILMS」の作品に加えて国内外のショートフィルム全12作品を上映する、期間限定のショートフィルムシアター「SHORT FILM THEATER」が、12月1日(月)までの期間限定で開催中だ。短い尺に込められた映像作家たちのクリエイティビティを感じてみよう!
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《ヘイダル・アリエフ・センター》(バクー)2007-2012年 竣工 photo: Iwan Baan
©Zaha Hadid Architects
初台の東京オペラシティ アートギャラリーにて、新国立競技場を手がける前衛的建築家ザハ・ハディドの個展が開催されている。12月23日(火祝)まで。

現代の建築界を牽引する巨匠であり、世界的に注目を集めるザハ・ハディド。「新国立競技場」国際デザインコンクールで最優秀賞に選出され、その建築計画をめぐってさまざまな議論が沸き起こりつつも、設計者であるザハについてはあまり知られていない。

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ザハ・ハディド photo: Brigitte Lacombe ©Zaha Hadid Architects
日本初の大規模個展となる本展は、ザハのこれまでの作品から現在の仕事までを紹介するもの。前衛的すぎる設計によってことごとく計画が途中で中止となり、なかなか実作に恵まれなかった“アンビルトの女王”と呼ばれた時代に精力的に描かれたペインティングやドローイング、世界各地で建てられた実作の設計、スケールを横断するプロダクトデザインなどを、展示空間全体を使ったダイナミックなインスタレーションとして展開されている。

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《ムーンスーン・レストラン(内装)》(札幌)1989-1990年 完成 photo: Paul Warchol
©Zaha Hadid Architects
2020年東京オリンピックの会場となる「新国立競技場」国際デザイン・コンクールは募集段階から注目を集めていたが、ザハ案が採択されてからは景観や費用などの問題を巡って様々な形で議論が行われ、メディアにも取り上げられている。果たして、ひとつの建築がこれほどの議論を呼び、一般的にも注目を集めることが近年あっただろうか。

本展では、コンクール応募から最新の計画までを展示することで、鑑賞者の目で新しい建築を、そして東京の都市を考える場を作り出している。

それぞれの視点でザハの建築を体験し、その思想に触れてみたい。

ザハ・ハディド Zaha Hadid
会期:2014年10月18日(土) – 12月23日(火祝)
時間:11:00 – 19:00(金土は20:00まで)
※12月22日を除く月曜は休館(ただし、祝日の場合は翌火休)
入場料:一般1,200円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F

IMA
六本木のIMA CONCEPT STOREにて、連続トークセッション「インターネット時代の風景論」が開催されている。12月17日(水)まで。

19世紀末、リュミエール兄弟がシネマトグラフを発表して映像の世紀が幕を開けたように、20世紀末、PCの普及とともにインターネットの時代が幕を開けた。それから現在にいたるまで、インターネットは確実に人々の生活に深く浸透し、“画面”は日常の多くの時間、我々の視覚を支配するようになった。もはや、それは生活と切り離すことの出来ない風景の一部と言えるだろう。

人々がこの20年の間に手にしたその新しいメディア環境は、我々の生活に多くの恩恵を与えてきたことは間違いない。だがその一方でその環境は、私たちの身体感覚や概念といった目に見えない何かに大きな変化を与えているのかもしれない。

現代の変化の中で、写真は、映像は、表現は、アートは、どのような役割を担っていくのだろうか? そうした果てのない議論に向けて、今回の連続トークセッションが行われている。

残念ながら、新津保建秀(写真家)と田中良治(Semitransparent Design)による第1回は既に終了してしまったが、今後もNerhol&星野太&横田大輔(11月26日、テーマ「デジタル時代の身体性」)、exonemo&谷口暁彦&畠中実(12月3日、テーマ「インターネット・リアリティその後」 )、田村友一郎&ホンマタカシ(12月9日、テーマ「インターネット時代における写真と画像について」 )、江渡浩一郎&ドミニク・チェン(12月17日、テーマ「複製技術時代のコミュニティ」 )といった錚々たるゲストたちが控えている。

なお、2006年から2008年まで文化庁メディア芸術祭事務局員、現在は東京都写真美術館 学芸員/明治学院大学非常勤講師の山峰潤也がモデレーターを務めている。

IMA連続講座「インターネット時代の風景論」
開催期間:2014年11月19日(水)、11月26日(水)、12月3日(水)、12月9日(火)、12月17日(水) 20:00 – 22:00(全5回)
受講料:各回一般2,200円、雑誌「IMA」定期購読会員2,000円
※Webサイトから要申し込み。各回、IMA CAFE「OBSCURA COFFEE ROASTERS」コーヒー1杯つき
定員:80名
会場:IMA CONCEPT STORE
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3F

nakaharamasaya
11月21日(金)より、渋谷の新しいギャラリー「秘密画廊」にて、オープン記念として「中原昌也コラージュ展」が開催されている。同ギャラリーは、長年このエリアでカフェやライブハウス、音楽レーベルを営んできた「LD&K」がオープンするものだ。

1988年頃より音楽活動を始め、1990年にノイズユニット「暴力温泉芸者」を立ち上げ、海外公演などを通じて日本国外で活動している、中原昌也。音楽活動と平行して映画評論も手がけ、1998年には小説家としてデビュー。2001年に「あらゆる場所に花束が・・・」で三島由紀夫賞、2006年に「名もなき孤児たちの墓」で野間文芸新人賞を受賞している。

また、2009年以降は「Hair Stylistics」名義での音楽活動や、画家/イラストレーターとしての美術活動が中心になっており、今回の個展はコラージュに絞って展開している。

11月23日(日)には、初の長編小説「知的生き方教室」が刊行される中原。今回の個展とともに、今後の活動にますます注目だ。

オープン記念展示「中原昌也コラージュ展」
会期:2014年11月21日(金) – 12月5日(金)
時間:12:00 – 20:30
入場料:無料
会場:秘密画廊
東京都渋谷区宇田川町36-22 ノア渋谷PartⅡ 1F(cafe BOHEMIA店内)