2014ADC
Design: Katsuhiko Shibuya
銀座の2つのギャラリー(クリエイションギャラリーG8、ギンザ・グラフィック・ギャラリー)にて、日本の広告・グラフィック作品の最高峰を紹介する「2014 ADC展」が開催中だ。7月28日(月)まで。

2013年5月から2014年4月までの1年間に発表された、ポスターや新聞・雑誌広告、エディトリアルデザイン、パッケージ、CI&ロゴ、ディスプレイ、テレビコマーシャルなど多様なジャンルから応募された約8,500点もの作品の中から、80名の東京アートディレクターズクラブ(ADC)会員によって厳正な審査が行なわれ、広告、グラフィック作品の最高峰ともいえる「ADC賞」が決定。本展では、その審査会で選出された受賞作品、優秀作品を、11月に刊行される「ADC年鑑」(美術出版社)に先駆けて、2つの会場で紹介している。

なお、最終日の7月28日(月)にはクリエイションギャラリーG8にて、東日本旅客鉄道「行くぜ、東北。」を手がけた八木義博氏(アートディレクター)と阪野貴也(フォトグラファー)氏、大塚製薬「カロリーメイト」のクリエイティブスタッフである榎本卓朗氏(アートディレクター)、福部明浩氏(クリエイティブディレクター)、瀧本幹也氏(フォトグラファー)によるクリエイティブサロンが開催される(開催時間19:10 – 20:40、電話にて要予約 03-6835-2260、入場無料)。

会期はあとわずか。お見逃しなく。
2014 ADC展
会期:2014年7月4日(金) – 7月28日(月) 日祝休
時間:11:00 – 19:00
※ギンザ・グラフィック・ギャラリーは土曜は18:00まで
入場料:無料
会場:【一般作品】クリエイションギャラリーG8
東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
【会員作品】ギンザ・グラフィック・ギャラリー
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F

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上野の東京都美術館にて、夜の展覧会を舞台にした謎解きイベント「ナイトミュージアム 〜女王と女神の麗しの秘宝〜」が開催される。

全国各地で数々の宝探しイベントを開催してきた「タカラッシュ!」が、「メトロポリタン美術館 古代エジプト展」開催に合わせて仕掛けるもので、制限時間内に美術館内の謎を解いて、隠された秘宝を探し出す本格的な謎解きイベントだ。

同展は、アメリカを代表する美の殿堂、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する約3万点のエジプト・コレクションから、”女性”をテーマに選りすぐった約200点を日本で初めて公開している。

アナタが迷い込んだのは、古代エジプトが生んだラビリンス。 不思議な古代文字が刻まれた石板、怪しげに光る宝飾、物言わぬ石像・・・ どうやらこの展示物の中に、“麗しの秘宝”と呼ばれる宝が紛れ込んでいるらしい。 夜の美術館に仕掛けられた謎の数々。 アナタは知恵と勇気で全ての謎を解き明かし、 無事に“麗しの秘宝”を見つけることができるだろうか。

夜の美術館で、古代エジプトに隠された秘密の物語を堪能したい!
ナイトミュージアム 〜女王と女神の麗しの秘宝〜
会期:2014年8月11日(月)、23日(土)、24日(日)、25日(月)
※ファミリーデー(11日)と追加公演分のみ(8月2日、3日、9日、10日はSOLD OUT)
時間:
11日(月)9:30受付、10:00開演|13:00受付、13:30開演
23日(土)、24日(日)18:00受付、18:30開演
25日(月)16:00受付、16:30開演
※所要時間は約2時間半
参加費:高校生以上3,900円、中学生以下2,500円
※11日は6,300円(※高校生以上、中学生以下各1名のペア券のみ)
会場:東京都美術館
東京都台東区上野公園8-36

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(左)泉田岳(太陽企画 / PARABOLA):ディレクター。新橋で働く傍ら、フェリさんという人形を操り、RISING SUN ROCK FESTIVALの舞台に立つ。KIRIN 快速東京×鎮座ドープネス×キリン本搾り「ライムのうた」、JACリマーカブルディレクターオブザイヤー2012受賞「有島君は今、屋上にいる」、ADFEST 2013 Fabulous Four受賞「LOVE」、ADFEST 2014 FILM Silver受賞 信濃毎日新聞「家族のはなし」などを手掛ける。
(中央)一ノ瀬雄太(CEKAI):グラフィックデザイナー / ギタリスト。フリーランスのグラフィックデザイナーとして活動しており、クリエイティブチームCEKAIにも所属。快速東京のジャケットアートワークなどを手掛けつつ、クライアントワークもこなしている。最近では雑誌「GINZA」のデザインにも携わっている。Twitter:@ichinoseyutaTumblr
(右)福田哲丸(CEKAI):ディレクター / イラストレーター / ミュージシャン。快速東京というバンドをやりながら個人でフリーランスのディレクターとして活動。世界株式会社所属。これまでに、KIRIN 快速東京×鎮座ドープネス×キリン本搾り「ライムのうた」(CreativeDirector&Music&Performance)、KIRIN 本搾り 果実ラボ第5弾「冬柑~ふゆかん~×ROCK」(Director&Music&Performance)、白泉社「野生アニマル 創刊号」(Director)などを手掛ける。
Photo:荻原楽太郎
快速東京と鎮座DOPENESSがダジャレで韻を踏みまくり、狂熱の宴会ライブを繰り広げる、キリン本搾りチューハイライムの発売記念WebCM「ライムのうた」。お気付きの通り、果物の“LIME”と韻の“RHYME”を掛けるところから着想されたものだ。うだつの上がらない社員役の鎮座DOPENESSが快速東京のライブにラップで乱入する様子は、Aerosmith(エアロスミス)とRun-DMC(ランDMC)の「Walk This Way」の宴会版さながら!

「ライムのうた」を手掛けた快速東京のボーカル / クリエイティブディレクターの福田哲丸氏、ギター / デザイナーの一ノ瀬雄太氏、CMの監督を務めた太陽企画の泉田岳氏にインタビュー! これからのモノづくりのヒントも詰まった、「CEKAI(世界)」という謎のチームについても語っていただいた!

快速東京×鎮座ドープネス×キリン本搾り「ライムのうた」
dir: 泉田岳|prod co: CEKAI|cd: 福田哲丸|cpr: 加藤晃央、木部喬|pr: 三上太朗|pl: 菊池創造|ad: 快速東京|pm: 堤敦子、市川遥|ed: 窪田慎|m/perfomer: 快速東京(福田哲丸、一ノ瀬雄太、藤原一真、柳田将司)、鎮座DOPENESS|cam: 松本剛
とある企業の宴会の席にて、余興で呼ばれた快速東京。ダジャレ連発の歌に、宴席がぽかーんとしている中、普段はうだつが上がらないが実はラップを知る社員(鎮座DOPENESS)が立ち上がり、快速東京のライブに乱入する! ちなみに、快速東京のWebサイトでは「ライムのうた」が無料ダウンロード出来る。
――前作「ふゆかんの歌」に続き、本搾とのコラボレーションとなった「ライムのうた」。宴会の席が舞台となりダジャレの応酬のライムが効いた、爽快で弾けたCMです。
福田哲丸(以下、福田):昨年末に果実ラボシリーズをやっていたCEKAIの加藤(晃央)さんと井口(皓太)くんから話が来て、「ふゆかんの歌」を快速東京が音楽と映像を制作したんです。それの評判が良くて、キリンさんから「次もお願いします」と続投が決まりました。話をもらってから2ヶ月弱の納期というハードスケジュールだったんですけど、加藤さんと井口くんからは「絶対に滑るな」ってプレッシャーをかけられて(笑)。納期とその要求に驚愕しつつ、“ダジャレ”ってアイデアは最初の会議でポンッて出てきました。「LIME(ライム)だからRHYME(ライム)にしよう」って。

「本搾りチューハイ ライム」は夏に向けての商品だから“夏っぽさ”というキーワードに、一ノ瀬が「温泉で浴衣着てワイワイ宴会しているのを撮影出来たら楽しいね」って能天気なアイデアを出したら、「いいね!」ってことになりました。

一ノ瀬雄太(以下、一ノ瀬):哲丸が電通で打ち合わせしている姿も、普通にあり得なくて面白かったな。哲丸はアーティストとして行ってるから、すげー偉そうなんですよ。僕ら、上司にくっついていくと全然歯向かえないからね(※一ノ瀬氏はデザイナーとしても活躍中)。

福田:打ち合わせの帰り道、頭の中で“ダジャレ” “宴会場” “浴衣” “ラップの人を絡める” “快速東京は演奏していないといけない”ってまとめていると、俺は音楽作って、演出以外のディレクションして、本番で演奏もあるから演出は無理だし・・・「(泉田)岳を呼ぼう」って帰りの電車で決めてました。

泉田:それで、2人で自転車で家に帰ってる時に言われたのが「温泉行きたくない?」って(笑)。「ああ、新しい快速東京のMV撮るのか」と思って二つ返事で返したところ、実はこんな話だった(笑)。

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泉田氏も納得の福田氏の演技にも注目。いつか役者としての姿も見れるかも!?
――お二人は多摩美術大学の頃から快速東京のMVなどを一緒にやってきてますよね。
福田:岳はめっちゃ面白いんですよ。彼を呼べば間違いないって存在なんです。岳とは大学からずっとやってきた身内だけど、どっか頭の中で、「もっと広い世間に対してもダメージ与えられる力を、俺たちは十分持っているんじゃないか?」ってあって、それをこの作品で試したかった。世間に対して、俺らのパーツが揃ったカタチで立ち向かってみたいって気持ちがあったんです。

岳は今、太陽企画でディレクターとして仕事をしているけど、「泉田って奴、面白いぞ」って噂が聞こえてこないから、「お前何グズグズしてんだよ、お前もっとヤベーだろ」って気持ちもあって、それが社会の仕組みや組織のせいでそうなってんだったら尚更。で、正式に太陽企画に「御社の泉田岳を貸して下さい」って電話した(笑)。

泉田:それで、大学の時のようなノリで作っていったね。哲丸がクリエイティブディレクターで、僕が演出をやって。時間がないから全部同時並行で、5つのキーワードをもとに、意見を出し合って。

福田:やることを決めたら、素材を全部泉田っていうアプリケーションにぶちこんで「はい、面白い映像にして下さい」ってね(笑)。

漫画を描いていた泉田氏だけに、臨場感溢れる絵コンテ。
※画像クリックで拡大します。

■ こだわりは鎮座DOPENESS乱入のシーン!
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鎮座DOPENESS以外にも、実はHIFANAのJuicy、DJ Uppercut、天野ジョージ(撃鉄)もカメオ出演!
――とにかく、鎮座DOPENESSが登場する場面がカッコいい仕上がりになってますね!
一ノ瀬:快速東京のアルバムって、1曲必ずラッパーに参加してもらってるんだけど、「次は鎮さん(鎮座DOPENESS)とやりたいね~」って言ってたんです。

泉田:宴会って設定だから、酔狂な感じがハマりそうだし。

福田:もう、この作品は「鎮さんがカッコいい映像になればいい」って思ってました。OKになったのって1テイク目なんです。やっぱり一番フレッシュな状態だから、良くも悪くも荒い勢いが出ました。事前に、「鎮さんが出てくる時、ガッと前に出てくればカッコいいビデオが作れるはずだ」って話してて、ビデオの中でカメラがギュッて寄る動きをするのが初めてのカットなんです。モニタリングしているエキストラも「かっけー!」って盛り上がっていました。

泉田:最初のテイクは鎮さんが自分の間で入ってきてるから、そこが良かったんだね。編集でもこのシーンは画像を粗くして、哲丸と鎮さんがダブルで歌って、みんながワーッてなっている箇所は質感を変えてるんです。

福田:クリエイティブディレクターの立場で言うと、鎮さんは頼んで出てもらっているゲストアーティストで、下手な見せ方は出来ない。しかもヒップホップだから、セルアウトに見られるのもNGでしょ。鎮さんみたいな人がいきなりキリンのCM出るって、普通はセルアウトって言われてもおかしくない。でも、俺らの頭の中には鎮さんしかいなくて。
それだけ危ないことをしてもらってるから、鎮さんの見せ方には危機感持ってました。あくまでも「このふざけている空気に鎮さん乗っかっているだ」って分かるように。見た人が「鎮座DOPENESSって、ふざけてここまで出来るんだ」って思ってもらえるように。それが結果的に凄くうまくいったと思う。

――宴会を楽しむ他のキャストも友人を中心に集めたという、周りの友達をどんどん巻き込む快速東京ならではの作り方だったと伺いました。
泉田:40人くらいに協力してもらいました。美大っていうのもあって、スタイリストの友達や役者の友達とかが来てくれて、凄い助かった。冒頭で出てくる眉毛の濃い主人公は田中佑弥っていう僕の高校時代の友達で、いま「中野成樹+フランケンズ」って劇団で役者をやっているんです。演技を知っている人たちには演技をしてもらって、他は楽しんでもらえるといいなと。

一ノ瀬:高校時代の友達が仕事で一緒にやるっていい話だよね。

――あのマジシャン役の方は・・・?
泉田:あれ、僕です・・・(笑)。キャスティングしていた人がインフルエンザで来られなくなって、急遽僕が代役で・・・。もうみんなに「出たかったんでしょう」って言われるから嫌なんですよ。そんなことないんですよ!

■ 目指せメジャー感! 目黒雅叙園の撮影秘話
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撮影に使われたカメラは、キヤノンEOS 5D Mark IIIが1台。手持ちの他、クレーンの特機やドリーも導入している。撮影はGROUNDRIDDIMが担当。哲丸氏は「何でも出来て、ワイワイとノリも共有出来る」と信頼を寄せている。
――本作における泉田さんのテーマを教えて下さい。
泉田:“メジャー感”っていうテーマがありました。カット割りの考え方から編集に至るまで、今まで快速東京でやってたようなことではなく、マスに向けて分かりやすいものを心掛けました。つい玄人受けするような、細かいことをやってしまいたくなるんですけど、今回はそこをグッと抑えて。

その一つが雅叙園っていう場所でした。イメージぴったりの宴会場の候補もあったんですが、イメージさえしてなかった荘厳な雅叙園。一目見ただけで惹きつけられるオーラがありますよね。
それと、特機を使った撮影。途中、クレーンを入れるのはやっぱり無理だって話になったんですが、一番最初に頭に思い描いたイメージを貫くことにして、そこはわがままになって粘りました。あとは、鎮さんの登場を軸に逆算して、二部構成でのストーリーや構成的なところを凄く考えました。

難しかったのが、快速東京の立ち位置でした。特に鎮さんと絡むところ。その前段で哲丸が言うダシャレの伏線を回収していくシーンでもあるんですね。快速東京を、商品と宴会と鎮さんから、距離を離しておきたかった。快速東京が媚びた見せ方にはしたくなくて、傍若無人に歌って好き勝手にやっていて、そこに楽しく商品が絡んでくる。浴衣着た快速東京が商品を飲んで「うめー!」っていうのは、カッコ悪いじゃないですか。快速東京のライブを最初から見てきた人間としても、それはすげー嫌ですからね。

■ 友達の家で生まれるクリエイティブ。「CEKAI」って何?
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Photo:荻原楽太郎
――WebCM「ライムのうた」ですが、所属する会社などの垣根を越えてCEKAIというチームとして制作されています。この一軒家の事務所がCEKAIの基地だそうですが、一体どういったチームなんでしょうか?
福田:ここは事務所であって、友達の家的存在の場所でもあって、この場所が軸となって始まってる。みんな会社の帰りに友達の家に寄る感覚で事務所に来て、そこで面白い話があったら「やろうよ」ってなるのが、物事の生まれ方として一番いいじゃないですか。

あと、雰囲気だけじゃなくて、友達の家って実はルールがあるでしょ。俺らは毎日いるから、ここが自分の家って考えたら、変な奴は呼ばないんですよ。「ウチおいでよ」って言える相手って、自分と何かを共感出来るとか、分かり合えるんじゃねーかとか思う相手でしょ。家にある漫画をコイツに読ませたいとか、誰にも言ってなかった俺のあのフィギュアの良さを分かってくれるかもしれないみたいな。それくらいの感じで仕事をしたい。
代理店で働いていようが、コンビニでバイトしていようが、友達の家に行ったらみんな一緒に「マリオカート」やるわけで、その「マリオカート」をキリンのCMにしようってノリなんです。そういう場所なんです、CEKAIは。

鎮さんへのオファーも、“友達の家”で作っているからその延長で解決したくて、代理店を通して云々でなく、ライブで一緒になった時に、「今度キリンのCMやるんで出て下さいっ!」「えーー! 超恥ずかしいからなーどうしよう、それマジかー!」「そうっすよねー。鎮さん、恥ずかしいですよねー、CMっすもんね」「マジ超恥ずかしいな。でも、ちょっと相談してみる」という始まりでした。

泉田:僕は、その策略にまんまとハマってしまった1人です。ここはリハビリなんです。固まった頭をほぐして自分を取り戻す場所。例えば、哲丸やイッチー(一ノ瀬)に案を話したりするって、全然仕事として意識していないんです。大学の時と同じく、こいつらが「ヤバい」って言ったらそれが正解で、そこからもっと良くしようと思うし、「ダサいね」って言われたら、無しだなって。
もちろん、もっと広いチームでモノづくりするわけだから、説明責任や締切を守るとかはあります。でも、表現については、会社組織に入ったらなんで考え方を変えなくちゃいけないのか? 変わる必要なんてないんですよね。

福田:どうやったらストレスを取り除いてモノづくりが出来るか。ストレスなくお金を稼ぐにはどうしたらいいかって考えてるからね。

――しかし、快速東京は既に漫画を作ったり、Tシャツを作ったりと広がりのある活動はされていて、改めてCEKAIである必要性って何なんでしょう?
福田:快速東京の音楽は結局マスではないんです。キリンの広告の方が断然マスですよね。“快速東京+泉田岳vsマス”っていう明確な構図で挑むステージのための組織。快速東京が受けて、岳と一緒にやるよりも、CEKAIで受けて出来ましたの方が絶対面白い。絡む人が多いし、広がりが全然違う。手の数も頭の数も違う。みんなの脳味噌分プラスになる。交通量が多くて速い高速道路と一緒。

泉田:僕と哲丸でまとめることは出来るけど、色んな人の考え方が入ってきてくれる方が嬉しい。その方がより外に向く。

福田:あとは経験とかね。俺らはまだガキんちょだから。

泉田:それで、CEKAIはフラットな場所。この仕事をやって思ったのが、モノを作るってことに対して健康的。僕は会社員だから、不健康な部分とかいっぱい見てるんですよ。

福田:社畜ぅー社畜ぅー。

泉田:そう、僕は社畜3年生だから(笑)。必要のないことがたくさんある。代理店と打ち合わせしても、快速東京としての哲丸が凄い発言権持ってて、それって、作る人たちに発言権があるのは当たり前のこと。でも、なかなかそうもうまくいかない。
なんかおかしいことを「おかしい」って言っても無駄だと諦めてる自分がいたんですよ。でも、この業界に入って思った“狂ってる感”を忘れないようにしようと。そうしないと、この流れに飲まれてどんな返しにも文句一つ言わず頑張っているんだろうなって。「俺、凄い文句があるな」とCEKAIにいて、ふと思い返せたのが良かった。

■ 就職なのかフリーなのか?
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「キッチンから世界を変える」と鋭意制作中の快速東京の新作MVからの1枚。監督は泉田氏が務め、快速東京初のCG技術をふんだんに使用したリスペクトハリウッドなMVになるとのこと。
――面白いのが、快速東京のメンバーはみんな会社員をしながら活動されていますが、福田さんだけは卒業後フリーで快速東京をやっていますね。
福田:うん、俺だけ就職してない。ぷらーんってしてる。なんかもう、本当にマジでどうでもいいと思ってるから、就職とか。就職してる人のこと悪く言うつもりは全くなくて、すげーちゃんとしてると思うんだけど、自分のことになると、月曜日から金曜日まで会社に拘束されてて、やりたいことが出来るチャンスがある日突然降ってきた時、その話に乗れなかったら、俺はたぶん死ぬと思って。
そんな気持ちになるんだったら、時給800円だけど時間の自由がきくバイトして、行きたいところに行って、会いたい人に会って、やりたいことやってた方が、自分は健康でいられる。金はなくても、別にそれでもいいなって思っちゃうタイプ。

それに、快速東京は一ノ瀬もデザイナーだし、ベースの奴も働いてるし、俺がわああーって言ってないと、転がんないんですよ、絶対に。「なんかやりたいね」って言うだけで終わる。俺が常に「あの人たちと対バンしてー」「こういうことやったらおもしれー」って動かさないと転がんないんですよ。

泉田:哲丸が「就活する」って言い出したら、みんながどよめくね(笑)。

福田:だから、CEKAIの話が来た時は、「なんだよ、あんじゃん!」って思った。CEKAIは井口くんから声掛けてもらったんだけど、快速東京のやり方が井口くん的にはドツボだったらしくて。俺らは「アルバム出します」ってなった時に、「アルバム出すってことはMVが絶対に必要じゃん」「いや、Tシャツだろ」みたいに、すぐ何か作りたがる。
で、「ジャケットはじゃあ一ノ瀬がやる、Tシャツどうする? MVは岳!」ってずっとやってたんですよ、学生の時から。そしたら、学生の時にフジロックとか出て、なんかすげーことになってきた。で、「コピー」っていうMVを公開したら、全世界で220万ヒット。「えーーっ!?」みたいな。それを、井口くんが実はTYMOTEをやりつつ見てたらしいんですよ。

俺らが何かを作って、それに周りの人を関わらせていく。で、どんどんそれを知ってる人達が増えて、輪が広がっていく感じが凄くいいって言ってくれた。彼がCEKAIでやっていることと同じで、凄く共感してくれた。
俺らは深いことを考えてなくて、「やりたいことだけやってりゃいいじゃん、そういう存在でいいじゃん」って思ってたんだけど、井口くんのようにTYMOTEでマネタイズもしっかりやってきた経験を持っていて、頭の中身がフレキシブルな人に出会った途端に、俺の考えてることでお金が稼げる。「わぁ、ラッキー! よかった、就職しなくて!」みたいな(笑)。

――みなさんの世代は、美大といえども就職大前提の教育をされていますよね。
福田:電通、博報堂の流れに、俺たちは幻滅してる世代というか。世代的に、絶望前提なんですよ。バブル知らないし、希望みたいのを1回も体験してないから。

泉田:本当にそう。諦めはあって、それはネガティブでなく普通のこと。

福田:「大人になるのってこんなに楽しいんだぜ!」っていうのを知らない世代だから。しかも、この間の3.11でそれが決定的になったと思うんですよ。「あー、なんか生きててもこんな感じなんだろうなー」みたいな。「じゃあ、どうやって明日楽しもうかなー」ってことになるんです。
でも、それがおじさんから見ると、すげー不思議らしくて。「若い子が金使わない、酒飲まない。今の若い子は・・・」とか言ってるニュースとか見て、「いや、当たり前だって。あんたらとは生きてる時間軸が違うんだよ」って思う。

俺が、最も自暴自棄になってるというか。「なに? 就職すんの? 無いよ、この先」みたいなね。「代理店なんてなくなるっしょ」って本気で思ってるし、音楽の話だったら、メジャーレーベルの数字もバンドやってると大体分かっちゃうし。そうすると、何が起こるかっていうと、自分が思う「面白い、美しい、カッコいい」だけが残って、それを信じて生きていけばいいじゃんって話になる。

泉田:この先、自分に楽しいものや好きなものとかがないと、もう破綻しちゃうなっていうのが凄くある。3.11の時、僕は電通、博報堂に就職したくて受けてたんですよね。デザイン、一枚絵のグラフィックや広告を目指してた僕にとって衝撃だったのは、あれだけの大惨事が起きた時、「僕がこれからなろうと思ってる人達はどういう動きをするんだろう」って見てたら、節電ポスターがバーッて並んでた。僕がもし代理店でその位置にいたとしたら、これ作んのかって思って。「あ、そうなんだ、やばいやばいやばい、危ない危ない危ない」って流れの中から、こうやって岸に辿りついた感覚があった。

で、3.11と同じ頃に公開された、やっさん(安田昂弘)が作った快速東京の「コピー」のMVが220万再生された。ブラジルのサイトに「日本から良いニュースが届いたぜ。日本は今、大変な状況だけど、日本の映像作家、安田昂弘は頑張ってるぜ」みたいなのが載ってて、「あ、もうこれでいいじゃないか」って思った。「映像をやるぞ」ってなって、ギリギリまだ募集していた3社を受けて、今に至ってる。

福田:小さいコミュニティの方が力を持ってくる気がする。その力が集約したものが波紋のように影響しあっていく流れを感じてる。それに対応出来ない、でっかいところはどんどん潰れていくと思う。

■ CEKAIが目指すもの

――福田さんがおっしゃっているのは、究極の実力主義でもありますよね。
福田:そうそうそう。駅貼のポスターとかみても、今や誰でも出来る時代になっちゃってて、「それはもうこうなるわな」っていうものしかない。見る人もそれに慣れているから、たとえいいものであっても、それが変わったものだったら「これはルールから外れてるよね。分かりづらい」ってなっちゃう。慣れてないものを享受する能力がない。身体的にも脳味噌も、それを理解出来ないから、購買意欲に繋がらなくなってる。“見たことある安心感”を求めてるでしょ、みんな。そういうものの方が強いですよね。

泉田:イッチーは飲むと必ず言ってる、「世直しだ」って(笑)。

福田:みんな本当にそういう意識があるから面白い。戦うしね、ちゃんと。CEKAIは、本来もっとシンプルで、楽しいとか面白いとか美しいとか綺麗とか「それが結局最強だよね」っていう部分を共有している人がいる場所。

ここで仕事してると、別にそんな難しいことじゃないのにって思う。無理しなくていいんですよね、モノを作る時に。綺麗、楽しい、カッコいい、それだけあれば無敵だと。そういう人の集まりがCEKAI。だから「CEKAIとは何か?」となると、そこだけなんです。そういう変な必殺の感性がある奴だけがいる場所。これが多分、CEKAIの核心的なところ。

■ 5つの質問 一問一答
1: 一番影響を受けたものを教えてください
福田:ゴジラとガメラとSex PistolsとRage Against the Machineと・・・
泉田:とんねるず
一ノ瀬:Walt Disney
2: この職に就いたきっかけは?
福田:職はない
泉田:拾っていただけたので
一ノ瀬:横尾忠則に憧れて
3: 一番好きな映画は何ですか?
福田:ギャラクシー★クエスト
泉田:インディ・ジョーンズ 最後の聖戦
一ノ瀬:バック・トゥ・ザ・フューチャー
4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
福田:怪獣フィギュア、マンガ、DVD
泉田:あらゆる種類のペン
一ノ瀬:ギター、スピーカー、コーラ
5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
福田:カメ可愛いよ。中野ブロードウェイでフィギュア買いたい。
泉田:漫画を描くこと。フィギュアを作ること。
一ノ瀬:東京ディズニーリゾート
【快速東京出演!】ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014
日程:2014年8月2日(土)&3日(日)、8月9日(土)&10日(日)
※快速東京は初日の8月2日(土)11時5分からSOUND OF FORESTステージに出演!
チケット:1日券 1万2,000円(8月9日以外は売り切れ)
会場:国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

ゲームや音楽など日本の特徴的なカルチャーやコンテンツは、海外でも熱狂的なファンを生んでいる。特に海外で影響力が高いのが、アニメ&漫画。幼少時から日本産のアニメ&漫画で育った思い入れが、「好きなものは取り敢えず表現してみたい!」というフットワークの軽さと相まって、日本のアニメ&漫画を元にしたファンメイドの作品が数多く作られている。その中でも、特にクオリティの高い3作品をご覧いただきたい。

■ カナダ発のAKIRA愛溢れるファンメイドムービー「The Akira Project – Live Action Trailer」
「The Akira Project – Live Action Trailer」
dir/pr: Nguyen-Anh Nguyen|dop: Jan Belina-Brzozowski|vfx supervisor: Santiago Menghini|prod designer: Laura Nhem
日本のみならず世界中にファンを持つ大友克洋の漫画「AKIRA」。この「The Akira Project」は、映画「AKIRA」のファンで、カナダでCineGroundという映像プロダクションを経営するNguyen-Anh Nguyen(グエン=アン・グエン)とその友人の構想から始まったプロジェクト。アメリカのTVドラマシリーズ「SUPERNATURAL」のKevin Tran(ケビン・トラン)役や映画「2012」のチベット僧役でも知られるOsric Chau(オスリック・チョウ)が金田役を演じている。

Indiegogo」というクラウドファンディングを通じて資金と、12ヶ国から40人のクリエーターを協力を集め、ポストプロダクションに1年半を費やして制作された本作。オリジナルの冒頭シーンやクライマックスにおける鉄雄の暴走はもちろん、「AKIRA」を象徴する金田のバイクも丁寧に表現されており、実写版としての再現度は非常に高い。公開から2ヶ月半で約260万回の再生回数という注目の高さも、世界に広がるAKIRAファンの存在を感じることが出来る。

製作の話が10年以上続いているハリウッドでの実写映画化については、映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の草稿を担当した脚本家Dante Harper(ダンテ・ハーパー)が参加していると先日報じられたばかり。ファンメイドでもこれほどの作品が撮れることを証明した本作によって、オフィシャルの実写版を期待する声がさらに高まり、きっと実現へと背中を押す結果になることだろう。

■ カプコンからのお墨付きで公式となった「STREET FIGHTER: Assassin’s Fist」
「STREET FIGHTER: Assassin’s Fist」
dir: Joey Ansah, Owen Trevor|pr: Jacqueline Quella|cast: Jon Foo, Christian Howard
続いては、俳優Joey Ansah(ジョーイ・アンサー)が格闘ゲーム「ストリートファイター」を元に制作したファンメイドムービーが端緒となり、カプコンと正式に契約を結んで、全14話のシリーズとして公式に制作された「STREET FIGHTER: Assassin’s Fist」のトレーラーだ。「ストリートファイター」のメインキャラクターであるリュウとケンの修行を中心に、兄弟子である豪鬼との因縁や戦いが描かれている。

非常にタイトな予算と7週間の撮影期間で完成させた本作だが、特に「ストリートファイター」のコアとなるバトルシーンの動きや演出にはこだわっており、バトルの撮影だけでも5週間を費やした。また、ケン役のChristian Howard(クリスチャン・ハワード)は、共同脚本家でありながら絵コンテも描き、バトルのアシスタントコレオグラファーも務めるなど、まさに「ストリートファイター」への愛の下に集まったクリエイターが作り上げている。

「ストリートファイター」でお馴染みの波動拳や竜巻旋風脚といった必殺技の動きやビジュアルも忠実に再現され、プロットも公式設定に近いものとなっている。また、そのようなゲームの世界観を知らなくともカンフー映画として十分楽しめるクオリティだ。カンフー映画として十分楽しめるクオリティなので、公開されている全14話をぜひチェックしてみて欲しい。

■ マーシャルアーツ経験者が「ドラゴンボールZ」を再現する「DragonBall Z – Saiyan Saga」
「DragonBall Z – Saiyan Saga」
dir: Harry&George Kirby|prod co: K&K Films
※メイキング映像はこちら
こちらは、ロンドンにある映像プロダクションK&K FilmsのHarry&George Kirbyが制作した、「ドラゴンボールZ」の実写作品。サイヤ人のベジータとナッパが地球に襲来するところから始まり、ピッコロやヤムチャ、天津飯による死闘、さらにチャオズの自爆、悟空の帰還、そして界王拳など原作の要所を押さえた内容となっている。出演している俳優はマーシャルアーツの経験者ばかりで、俳優自身も漫画のドラゴンボールが好きなこともあり、再現度がより高いものとなった。また、本作もクラウドファンディングを利用して作られている。

ハリウッドで実写化された映画に幻滅したことから作られた本作は、原作を尊重しすぎたためか、日本人からするとややコミカルに見えるまでに作りこんだきらいはあるものの、ハリウッド版の何倍もドラゴンボール愛を感じさせる仕上がりだ。同スタッフが手掛けた「フリーザ編」もメイキングと共に公開されている。鳥山明が脚本とキャラクターデザインを担当する本家「ドラゴンボールZ」新作劇場版アニメーション(2015年公開予定)を待ちながら、ぜひともチェックしていただきたい。

文:野澤智