CHANEL N°5「The One That I Want」
dir/c/pr: Baz Luhrmann|prod co: Bazmark Inc, Revolver|ex pr: Paul Watters, Catherine Knapman, Michael Ritchie|prod de: Catherine Martin|principal dop: Mandy Walker|dop: Simon Duggan|ed: Jonathan Redmond|post prod co: The Mill|vfx sv/2d lead: Corey Brown|cast: Gisele Bündchen, Michiel Huisman, Lo-Fang|song: “You’re the One That I Want” by Lo-Fang
映画「ムーラン・ルージュ」「華麗なるギャツビー」など、独特の美的感覚によるビジュアルを生み出す映画監督Baz Luhrmann(バズ・ラーマン)が手掛けた、CHANEL(シャネル)の香水N°5のためのファッションフィルム「The One That I Want」をご紹介しよう。

1921年5月5日にシャネルにとって初めての香水として発表されてから100年近い歳月が経つ現在でも、N°5は世界中の女性にとって特別な香水だ。ラーマン監督がそんなアイコニックな香水N°5のためにファッションフィルムを制作するのは、Nicole Kidman(ニコール・キッドマン)を主演に迎えた2004年の作品に続いて2度目となる。ラーマン監督の公私に渡るパートナーで、2度のオスカー受賞経験を持つプロダクションデザイナーのCatherine Martin(キャサリン・マーティン)も前回に続いて参加している。そして、現代のミューズとしてN°5のCMに登場するのは、ブラジル人スーパーモデルのGisele Bündchen(ジゼル・ブンチェン)。相手役には、アメリカのTVドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ 」に出演中のオランダ人俳優Michiel Huisman(マイケル・ユイスマン)が起用されている。

CHANEL N°5「The One That I Want」メイキング映像
かつて、窮屈なコルセットのドレスから女性を解き放ったCoco Chanel(ココ・シャネル)のスピリットを感じさせるかのように、「The One That I Want」でジゼルが演じるのは、母親としても社会人としても自立した、現代に生きる女性だ。

「ジゼルが秘めているのは新しい時代の感性。この感性は極めてフレッシュで、ココ・シャネルとの共通点でもある。ココは、世の中に新しい価値をもたらしました。慣習を破壊し、前衛的なアーティストと交流を深めました。彼女は100%新しいものを支持し、その可能性を100%サポートして、100%揺るぎない自立心を持っていた。

10年前に我々が描いた“N°5のミューズ”と、今回描いた“ミューズ”は違います。キャリアだけでは満たされない時代に、我々は生きています。現代の“ミューズ”は海辺で一人で過ごしたり、自分自身の時間を大切にしながら、愛する子供に囲まれて、憧れの仕事に就いてこそ満たされるのです。そして、誠実な恋愛関係を築きながら、ロマンスが起こる可能性も秘めている。今回の“ミューズ”は、最終的に愛を選びます」(ラーマン監督)

CHANEL N°5「The One That I Want」メイキング映像“The Director”篇
クールなウェットスーツ姿のジゼルが登場する「The One That I Want」のインスピレーションは、10年前、ビアリッツ(フランス南西部のリゾート地)にある、シャネルのデザイナーKarl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)の家で過ごした時に遡る。外の海辺でサーフィンに興じる人々を見て、カールが“スーツ姿でサーフボードを持ち歩く女性”というアイデアを思い付いたことがきっかけだ。

「偉大なシャネルの“パラドックス(両極端)”」とラーマン監督が語るココ・シャネルのDNAは、伝統的でオーセンティックなイメージのN°5と、現代的なスポーツであるサーフィンという組み合わせからも感じられる。このサーフィンシーンでは、シャネルのロゴのCCマークを彷彿とさせるような美しい弧を描く“完璧な波”を追い求め、フィジーで撮影を敢行。さらに、ドローンを使った空中撮影も行って、雄大なフィジーの波を捉えている。

CHANEL N°5「The One That I Want」メイキング映像“The Locations”篇
「The One That I Want」のもう一つの舞台は、摩天楼がそびえ立つニューヨーク。ラーマン監督が映画化した「華麗なるギャツビー」の一節にも登場するクイーンズボロ橋を、オープンカーに乗ったジゼルが駆け抜けて行く夕暮れ時のシーンは特に印象に残る。ラーマン監督は前回のN°5フィルムでもこの橋を舞台に選んでおり、さらに「華麗なるギャツビー」では全体をCGで再現、今回はヘリコプターで空撮するなど、人生で3度撮影したというこだわりのシーンも堪能してほしい。

ラーマン監督によるニコール・キッドマン主演の2004年版では4,200万ドル(約42億円)、Brad Pitt(ブラッド・ピット)が男性として初めて起用された2012年版「There You Are」は30秒の尺で700万ドル(約7億円)と、世界のトップブランドであるシャネルの特別な香水には、潤沢な予算が掛けられた豪華な広告が求められるもの。本作「The One That I Want」の予算は現在のところ明らかにされていないが、相当額を投資していると予想される。

Lo-Fang(ロー・ファング)がミュージカル映画「グリース」主題歌をカバーしたテーマ曲「You’re the One That I Want」を紹介する「The Song」篇など、「The One That I Want」を様々な角度から解説するメイキング映像が合計7本公開されている。YouTubeの機能で日本語字幕を選ぶことも出来るので、ラーマン監督本人が紐解く舞台裏をぜひチェックしてみよう。

■ CHANEL N°5「The One That I Want」メイキング映像
・CHANEL N°5 – Set: The Film Behind the Film
・CHANEL N°5 – Set: The Cast
・CHANEL N°5 – Set: The Costume Design
・CHANEL N°5 – Set: The Director
・CHANEL N°5 – Set: The Locations
・CHANEL N°5 – Set: The Fragrance
・CHANEL N°5 – Set: The Song

Ed Sheeran「Thinking Out Loud」
dir: Emil Nava|prod co: London Alley Entertainment|ex pr: Luga Podesta, Brandon Bonfiglio, Lanette Phillips|pr: Danyi Deats|dop: Daniel Pearl|prod de: Brandon Mendez|ed: Anna Gerstenfeld|colorist: Beau Leon
2014年6月にリリースされた2ndアルバム「x」がイギリスでアルバムチャート8週連続1位を記録し、目下のところ今年最大のヒットアルバムとなっているイギリス人シンガーソングライターEd Sheeran(エド・シーラン)。エドそっくりのパペットが乱痴気騒ぎを起こす「Sing」、軟体動物のように変幻自在のダンサーをフィーチャーした「Don’t」に続く、アルバム「x」からの3rdシングル「Thinking Out Loud」のミュージックビデオ(MV)をご紹介! 毎回、楽曲同様にハイクオリティなMVを届けてくれるエドだが、今回はなんと、エレガントな社交ダンスを自ら披露する!

高く伸びる澄んだ歌声に、ライブではバックバンドなしのワンマンで演奏するギターの腕前、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)やTaylor Swift(テイラー・スウィフト)とも共作するソングライティング技術と、23歳にして音楽的な才能を見事に開花させているエドだが、この「Thinking Out Loud」では、意外なダンスの才能も披露! 8月のアメリカツアーの合間を縫って打ち込んだ、連日5時間にも及ぶ練習の成果をとくとご覧あれ!

Ed Sheeran「Thinking Out Loud」メイキング映像
MVラストで二人が寝転ぶシーンは、2本のライトが重なってハートの形になるロマンチックな演出。このバラードに合わせて、結婚式でファーストダンスをするカップルも増えるかも!?
「Thinking Out Loud」は、エド自身が「アルバムの中でも特にお気に入りの楽曲の一つ」と語る美しいバラード。MVをこれまでとは少し違うものにしたいと考えたエドは「社交ダンスを使った演出のMVは、近年誰もやってなかった」と、ダンス経験がないにも関わらず、自ら全編を通して踊ろうと決めた。

監督を務めたのは、「You Need Me, I Don’t Need You」「Lego House」「Give Me Love」「Sing」「Don’t」など、エドのMVを多く手掛け、「僕のビジョンをクールに表現してくれる」と信頼を置く盟友ディレクターEmil Nava(エミル・ナヴァ)。本作では、16mmフィルムを使い、ワンテイクずつ通しで撮影している。

優雅なコレオグラフィは、「Don’t」のクネクネダンスも担当したTabitha D’umo(タビサ・デュモ)とNapoleon D’umo(ナポレオン・デュモ)による夫婦コレオグラファーデュオNappytabsによるもの。エドから「自分で全編踊りたい」と持ちかけられた時は、信じられずに何度も聞き直したという。その後、これまでにNappytabsが一緒に仕事をしたダンサーたちに、ロサンゼルスで振付のワークショップを行って、エドのツアーへと送り出した。

本作のもう一人の主役としてエドのダンスパートナーを務めたのは、アメリカのダンス番組「So You Think You Can Dance」シーズン10の女性部門でベスト20に残った20歳のダンサーBrittany Cherry(ブリタニー・チェリー)。エドのツアーに同行して、リハーサルに励んだ。また、レッスンのパートナーとして、同番組の男性部門ベスト6人となった23歳のPaul Karmiryan(ポール・カーミリヤン)も同行して、連日連夜の練習に汗を流している。

レッスン終盤には、情緒豊かで演技的な踊りへとステップアップ。ギターや歌と同様、感情の込められていないダンスはオーディエンスに伝わらないためだ。ダンス初挑戦のエドにとっては5分間の振付を覚えるだけでも至難の業のはずだが、パートナーを持ち上げたり、回転させたり、様々な技を習得した上、表情の演技も情感たっぷりに表現するなど、Nappytabsが驚くほどの上達っぷり! エドも「これまでの中で、そしてたぶん今後のも含めて、最高のMVになった」とMVの出来に大満足しているだけに、もしかすると、再びダンサンブルなMVを見せてくれるかも!?
O-I「Celebración」
a: Doremus, DDB Colombia
環境に配慮したエコパックに、持ち歩きやすい紙パックと、無駄を省いて地球に優しい生活は現代人が担うべき使命だといえる。しかし、ここぞという時は、気分を盛り上げてくれる名脇役であるガラスを登場させて、豊かな時間を演出したいもの。今回は、クスっと笑えるコメディテイストでガラス容器の素晴らしさに改めて気付かされるCMシリーズ「Glass Is Life」を5連発でお届けしよう!! 素敵なガラスのある生活へようこそ!

世界最大のガラス容器メーカー、アメリカのOwens-Illinois(O-I)が展開しているキャンペーン「Glass Is Life」から、ラテンアメリカ向けに作られたこのCMシリーズ。ハッシュタグ“#EscogeVidrio”(スペイン語で「ガラスを選べ」)を使ったTwitterキャンペーンや、公式Tumblrも開設している。

現在、公開されている5つのエピソードはどれも笑えるCMばかり!
まず「Celebración(祝勝会)」では、サッカー観戦真っ最中のパブにて、店内が祝勝ムードに沸き立つ。瓶ビールの景気のいい乾杯の音が店内に響く中、缶ビール組の乾杯はアルミ缶同士がぶつかり合う虚しい音が鳴るだけ・・・。イマイチ乗り切れない彼らの様子が笑いを誘う。

O-I「Playa」
a: Doremus, DDB Colombia
続く「Playa(ビーチ)」では、赤いビキニの美女と男性との一目惚れの恋の予感で幕が開く! 彼女から飲み物をリクエストされ、「チャンス!」とばかりに男がクーラーボックスから取り出したのは、なんとビニール入りの水・・・。全く色気のない展開に、夏の恋は瞬殺されたのだった。

O-I「Náufrago」
a: Doremus, DDB Colombia
こちらは、ガラスの原材料でもある“砂”浜からのエピソード。「Náufrago(漂流者)」は、無人島で遭難中の男性。外界へと助けを求めて、ペットボトルにSOSのメッセージを入れて海に投げ込むのだが、彼の希望は波打ち際の泡へと消えてしまうのだった。

O-I「Seducción」
a: Doremus, DDB Colombia
お次の「Seducción(ナンパ)」は、ボサノヴァが流れるパーティー会場にて、背中が大胆に開いた赤いドレスの美女を口説こうとする男性が登場。互いに見つめ合ったままカウンターの席に座り、どうやらいいムード。しかしながら、彼女ために注文したウイスキーは、ロマンチックさのカケラもない紙パックに入ってやってきた。全く場の雰囲気にそぐわない、ホームパーティーのようなノリに、美女だけでなく会場全体がシラけてしまうのだった。

O-I「Náufrago」
a: Doremus, DDB Colombia
最後は、森の中で白雪姫のように動物と戯れる、可憐な少女が主人公の「Bosque(森)」。森のピクニック中に彼女が取り出した飲み物が、ペットボトルだったことに拒絶反応を示した動物たちは、悲鳴を上げながらあっという間に彼女から去ってしまう・・・。

この「Glass Is Life」キャンペーンは、広告代理店2社による共同キャンペーン。過去にCorning社のゴリラガラスを訴求するキャンペーン「Brokeface」などを手掛けた、ニューヨークのDoremusが、3年前からBtoBで仕掛けていたキャンペーンを、兄弟会社であるコロンビアのDDB Colombiaがラテンアメリカでの一般消費者向けにも拡大したもの。「私たちは人生の選択肢から、最善を選択する力を持っている。そして、紙やプラスティックはガラスの代替ではない」というメッセージを展開しているのだ。もちろん、ガラス容器の使用後は資源ゴミへ!
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《荒(部分図)》 2014年(全体図200×116cm) アクリル絵具ほか
©2014 Tenmyouya Hisashi
市ヶ谷のミヅマアートギャラリーにて、天明屋尚の個展「韻 Ⅱ」が10月22日(水)より開催される。

2年前の個展「韻」展(ミヅマアートギャラリー)では、西洋や日本の騎馬図、合戦図に着想を得て描いた絵画と、真紅に染まった枯山水のインスタレーションで、見る者に鮮烈な衝撃を与えた天明屋。本展は、前回の個展と根底で世界観を共有し、続編とも言える内容となる。

平面作品「荒」のほか、岸和田地車(だんじり)祭り専門の地車彫刻家に依頼し、天明屋の下図をもとに制作された木彫立体の塔も展示。視覚的・造形的にも傾(かぶ)いた内容で、会場に華美で破格な空間を立ち上げる。また別室では2014年の新年早々、巷で物議を醸した問題作「ネオ地獄極楽図」も展示されるという。

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《証の塔(部分図)制作途中》 2014年(全体図H172×W114×D58cm)ケヤキ、墨、アルミ
©2014 Tenmyouya Hisashi
また、渋谷のパルコミュージアムでは、1997年~2014年までの日本にある主な代表作を展示し、天明屋の画業を振り返る「一筆入魂展」(10月31日 – 11月10日)もまもなくスタート。

そのほか、六本木ヒルズ内のアート& デザインストア内 A/D ギャラリーでは画稿(絵の下描き)を展示する「原画に至る道程 -画稿-」展(10月3日 – 26日)、作品集「Masterpiece」の出版、シンガポールでは自身がキュレーションするグループ展、アメリカのジャパン・ソサエティでのグループ展「異形の楽園:池田学・天明屋尚&チームラボ」、川崎岡本太郎美術館では「TARO賞の作家 Ⅱ」展(10月18日 – 2015年1月12日)にも参加。

過去の代表作、画稿、版画、最新作、作品集、コラボレーション、キュレーション、グループ展と、この秋、多角的に天明屋尚を検証してみよう。

個展 天明屋尚「韻 Ⅱ」展
会期:2014年10月22日(水) – 11月22日(土) 日月祝休
時間:11:00 – 19:00
入場料:無料
会場:ミヅマアートギャラリー
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F

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《榎忠展 美術館を野生化する》展示風景 兵庫県立美術館 2011年
撮影:豊永政史(SANDWITCH GRAPHIC)
白金高輪の山本現代にて、榎忠の個展「LSDF-014」が開催されている。11月22日(土)まで。

1944年生まれの美術家、榎忠(通称エノチュウ)は、20代から独学で油画を描き始め、「グループZERO」で非日常的ハプニングを中心とした表現活動を展開した後に、自らの制作活動に没頭していく。1977年には右半身の全ての体毛を剃ってハンガリーへ行くパフォーマンス「ハンガリー国にハンガリ(半刈り)で行く」を発表した。

驚くべきことに、榎忠はその後も半刈りの状態で4年もの間、会社員生活を続けたという。その後は旋盤工として定年まで勤め上げた。1979年、「アート・ナウ‘79」にて全長8メートルの大砲を展示し、作品とともに掲げられた「わが家の防衛対策は“一家に一台大砲を”」というメッセージは、権力や体制に真っ向から対立することではなく、自らを取り巻く多様な問題に向けるべき強いまなざしを表し、当時の美術界を圧倒。大砲に刷り込ま れた「LSDF(Life Self Defense Force=自分の生活は自分でまもる)」という文字を初めて記した作品となった。

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《榎忠アトリエにて制作風景》 2014年 撮影:池内美絵
それ以降、原子力爆弾、ダイオキシンといった、目には見えぬ脅威を題材に、鋼鉄製の銃のようなオブジェが無数に増殖していく作品群などを制作してきた榎忠。本展では、過去最大サイズの大砲と、彼の原点となる初期の大砲が一堂に展示される。

今年で古希を迎えたとは到底感じさせない迫力ある大作を、ぜひこの機会に観ておきたい。

山本現代10周年記念 榎忠「LSDF-014」
会期:2014年10月4日(土) – 11月22日(土) 日月祝休
時間:11:00 – 19:00
入場料:無料
会場:山本現代
東京都港区白金3-1-15-3F