「Out of Control」
dir: Henri Simons|prod co: Visual System|td: Johan Vandenperre|m: Thomas Vaquié
タイ、バンコクのオーパスビルでKraftwerk(クラフトワーク)の楽曲「Metropolis」に乗せて行った「The Opus」、パリにあるシトロエンのショールームC42で実施した「1056×18」、パリのファッションビルSo Ouestで開催されたYuksek(ユクセック)のライブパフォーマンス「Integral Pixel Show So Ouest」など、LEDの光と音をドライブさせるインスタレーションやパフォーマンスを展開する、パリのプロダクションVisual System。このたび、彼らが新たに手掛けた、空間を光と音で支配する、SFなインスタレーション「Out of Control」をご紹介しよう!

ドーム状の大きな部屋の中、中央の柱から放射状に伸びる骨組みと、柱の下にあるボックス上のオブジェクトが、LEDに彩られ、音楽に合わせて明滅する。赤く光るボックスからエネルギーが分散されてゆくかのように、無機質な光と音にも関わらず、生命体を感じさせる圧倒的な空間を作り出している。

「Intro-OOC」
「Out of Control」の部屋へと至るエスカレーターを使ったイントロムービー。
「Out of Control」は、ベルギーの首都ブリュッセルにある、高さ103mの巨大建造物「アトミウム」で2014年6月25日から8月31日まで開催されていた「Atomium Expo 2014」内のインスタレーション。アトミウムは、1958年に開催されたブリュッセル万国博覧会のために建設された巨大な鉄の結晶で、博覧会後もそのままの形で残り、ブリュッセルのシンボルとして親しまれている。

Visual Systemは、フランスのSF小説家Stéphane Beauverger(ステファン・ボーヴェルジェ)の短編小説「Hors Contrôle」を元に、近未来には必ず存在している“スーパーマシン”の存在を模索するというコンセプトで、このインスタレーションを制作。コンピュータウイルスによって“Out of Control(制御不能)”となった人工知能の物語で、心とウイルスの戦いが展開される。人工物であるが故のバグによって生じる矛盾を、人間側ではなくマシンからの視点で描いているのだ。

「Out of Control」メイキング映像
「アトミウムは、未来の進化が約束された、好奇心溢れる時代に誕生した建造物です。そこではSFの黄金時代が具現化され、人間と知能を持ったマシンとの関係性が模索されています。「Out of Control」の暴走するマシンは、人類の本質について考えることを、私たちに思い出させてくれるのです。」(Visual System)

Visual Systemが「これまで最も革新的で、複雑なインスタレーションの1つ」と語る「Out of Control」。音楽&サウンドデザインを手掛けたのは、ブリュッセルで活動するミュージシャン / サウンドクリエイターThomas Vaquié(トーマス・ヴァキエ)。AntiVJの精美なプロジェクションマッピング「Cityscape 2095」「O (Omicron)」など、デジタルインスタレーション作品をメインに音楽を担当している。ちなみに、Visual Systemとヴァキエは、2013年にもアトミウムで行ったインスタレーション「Deep Tube」でコラボレートしている。
Roy Kafri「Mayokero」
dir/dop/ed/vfx: Vania Heymann|prod co: Prettybird|”Revolver” ani: Yoav Shtibelman|cast: Patrick Griffith, Martin Pfefferkorn|face: Ben Bocker, Maya Ish Shalom, Gal Muggia, Anaelle Heymann, Yael Friedlander, Daniel Koren, Tom Metcalfe, Anisia Affek, Mark Coates, Yoav L. Wazana, Dan Farkas, Yinka Parris, Si Koroma, Alma Beck, Lazar Farkas the cat
CD売上の低迷が叫ばれて久しいが、実はそれと反比例するようにアナログレコードが全世界的に人気を取り戻していることをご存知だろうか。イギリスでは9月末の時点で既に昨年の総売上を上回り、アメリカでも1~7月期に前年比40.4%も成長するなど、デジタルがスタンダードとなった音楽の世界で、レコードの広い音域やジャケットのアートワークを含めたカルチャーとしての豊かさへリバイバルする傾向が強まっている。

今回ご紹介するのは、そんな人気再燃中のレコードのアートワークを全編フィーチャーしたミュージックビデオ(MV)! 往年の名盤が次々に登場し、しかもジャケ写を飾るレジェンド級のアーティストたちの口元が動いて歌い出すというもの。ビートボックスの楽曲に乗せて、全く違和感のない自然なアニメーションで作られた、音楽好きなら盛り上がること間違いなしのサプライズが楽しめる。

イスラエル人ヒューマンビートボクサーRoy Kafri(ロイ・カフリ)の楽曲「Mayokero」のMVとなる本作に登場するのは、有名なジャケ写のレコードだち! The Smith(ザ・スミス)「Meat Is Murder」(1985年)、David Bowie(デヴィッド・ボウイ)「Aladdin Sane」(1973年)、Prince(プリンス)「Prince」(1979年)、Bob Dylan(ボブ・ディラン)「Highway 61 Revisited」(1965年)、Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)「Thriller」(1982年)、The Beatles(ビートルズ)「Revolver」(1966年)、Lou Reed(ルー・リード)「Transformer」(1972年)など、ジャケ写のアーティスト本人がヒューマンビートボックスを繰り出す!

監督を務めたのは、2013年にボブ・ディランの歴史的名曲「Like A Rolling Stone」のインタラクティブMVを手掛けた、イスラエル、エルサレム出身のディレクターVania Heymann(ヴァニア・エイマン)。演出だけでなく、スクラッチに合わせたカメラワークの撮影、編集、ジャケ写のアーティストに合わせて撮ったモデルの口元の合成まで、エイマン監督が全てをこなした。ジャケ写の大ファンで、そこに“音楽からイメージを作り上げる”というMV制作と似た感覚を覚えてきたという。アルバムのジャケ写とMVを掛け合わせることで、とても有意義な作品が出来ると考えていたそうだ。

「友人(MVにも登場)がレコードを2,000枚集めていて、彼はレコードをかける時はいつもそのジャケ写を飾るんです。時々、そうやってアーティストのポートレートが載ったジャケ写を見つめながら聴いていると、そこに写った顔が歌っているかのように感じる時があります。今回のMVのアイデアは、そうやって生まれたものです。

MVには、僕の2つの思い出を入れています。1つは、僕が十代半ばの頃、両親が素晴らしいレコードのコレクションを捨ててしまったこと。彼らにとっては、廃棄すべき古いテクノロジーの産物だったんです。2つ目は、バル・ミツワー(ユダヤ教徒の成人式。男子は13歳になると行われる)のお祝いとして、当時の全財産をはたいてMDプレイヤーを買ったこと。その時は、MDが何としてでも欲しかった。最先端のガジェット、未来の音楽プレイヤーだと思っていたんです。でも、どうやらMDはあっという間に姿を消してしまいました。まるで、映像におけるレーザーディスクと同じようにね」(エイマン監督)

エイマン監督が体験した”バル・ミツワーの決断”エピソードに呼応するラストシーンが描かれる「Mayokero」。エイマン監督が少年時代に喉から手が出るほど欲しがったMDが登場し、音楽がアナログからデジタルへと決定的に移行した時代だ。そこから十数年を経て、MDからMP3、そしてストリーミングが主体となりつつある中で、レコードが再評価されている現在。ライトなメディアと、カルチャーとしてリッチなメディアを上手く使い分ける現代のライフスタイルが、レコードの復権に象徴されているのではないだろうか。

「Mayokero」に登場したレコードをほとんど知っているという音楽好きの方、またはジャケ写マニアの方は、同じようにレコードのジャケ写が動き出す作品「Battle of The Album Covers」も併せてどうぞ!
Leica「100」
dir: Jones+Tino|a: F/Nazca Saatchi & Saatchi|prod co: Stink|ex cd: Fabio Fernandes, Eduardo Lima|head of art: João Linneu|creative: Bruno Oppido, Romero Cavalcanti, Thiago Carvalho, João Linneu|dop: Bjorn Charpentier|ed: Jones+Tino, Danilo Abraham|sty: Alejandra Rosasco|post prod co: Casablanca Effects|voice over: Nick Brimble
1914年3月、ドイツ人技師オスカー・バルナックがプロトタイプの35mmカメラLilput(24×36mm判)を試作し、この世にLeica(ライカ)が誕生してから今年で100年。写真家を重装備から解放する小型精密カメラとして、スタジオから外へ飛び出し、日常を記録出来るようにしたライカは、その後の写真文化、とりわけ報道写真に多大なる影響を与えた。今回は、この100週年というアニバーサリーイヤーに、ライカが公開したCM「100」をご紹介しよう。100年間に撮られた歴史的瞬間の数々を新たに映像として撮り直し、再現している。新聞で、雑誌で、インターネットで、記憶に刻まれた“瞬間”が、きっと一つは見つかるはずだ。

偉大な写真家たちが歴史の一瞬をフィルムの中に閉じ込めた、フリーズした瞬間の前後の時間を疑似体験出来る「100」。2つの世界大戦をはじめとする戦争や紛争、市民革命、人類初の月への到達、偉人の死・・・。100年の間に世界で起こった数え切れない大きなトピックスの影で、歴史を紡いできた人々の姿が臨場感たっぷりに映像として蘇る。

「100」で再現されている写真は全部で35枚。「崩れ落ちる兵士」(1936年|Robert Capa)、「移民の母」(1936年|Dorothea Lange)、「硫黄島の星条旗」(1945年|Joe Rosenthal)、「勝利のキス」(1945年|Alfred Eisenstaedt)、「ジャン・ローズ」(1967年|Marc Riboud)、「ジョン・レノンとオノ・ヨーコ」(1980年|Annie Leibovitz)など、不朽の名作が並ぶ。

エピックな瞬間を映像で再現するといえば、ディレクターズデュオUsが手掛けたThe Sunday TimesのCM「Icons」も記憶に新しい。本作で、100年という歳月の長さと重みを、丁寧な演出と映像で彩ったのは、Airton Carmignan(エアルトン・カルミニャーノ)とRicardo Jones(リカルド・ジョーンズ)によるディレクターズ・デュオJones+Tino。本作の広告代理店でもあるブラジルのF/Nazca Saatchi&Saatchiのクリエイティブチームとして結成され、ロンドンの映像プロダクションStinkに所属する。2011年のナイキのCM「Before & After Ronaldo」と「Addiction」でD&AD 2012のYellow Pencilを受賞している。

なお、ライカ100周年を記念して、日本のライカ公式サイトでも特設コンテンツが公開されており、「ライカM 100 years」などの記念モデルが限定発売されている。また、11月にはラテンアメリカで初となるライカギャラリーが、サンパウロにオープン。日本国内では東京と京都にある。

ビジュアルとして記録され、アーカイブされることで引き継がれてゆく歴史の感動。お気に入りの写真を眺めながら、想い巡らす夜を過ごしてみるのもいいかもしれない。
The Lonely Island「Hugs」
dir: Akiva Schaffer, Jorma Taccone
※日本語字幕はコメントをONにしてご覧下さい。
※日本語字幕なしのオフィシャルMVはこちら
これまでにもwhite-screen.jpで度々ご紹介してきた、アメリカのコメディ・トリオThe Lonely Island(ザ・ロンリー・アイランド)。大御所シンガーソングライターのMichael Bolton(マイケル・ボルトン)や、俳優としても大活躍のJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)、Maroon5(マルーン5)のフロントマンAdam Levine(アダム・レヴィーン)など、数々の大物をゲストアーティストに招いて、爆笑ミュージックビデオ(MV)を公開してきた彼らの新作MVを2本立てでお届けしよう!

ザ・ロンリー・アイランドは、Andy Samberg(アンディ・サムバーグ)、Akiva Schaffer(アキバ・シェイファー)、Jorma Taccone(ヨーマ・タッコン)による3人組。アメリカNBCの長寿バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」で人気となり、トリオによる音楽&MVに留まらず、コントやトーク、映画、TVドラマなどでソロとしても活躍中だ。既に3人とも「SNL」を卒業しているが、今でも彼らのMVは番組内の音楽コント「SNL Digital Short」としてオンエアされてから、オンラインで公開されている。

まずは、彼らが2013年6月にリリースした3rdアルバム「The Wack Album」収録曲の「Hugs」。Ed Sheeran(エド・シーラン)やlivetuneとのコラボや、BBCのスペシャルMV「God Only Knows」など、益々人気高まるPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)がゲストアーティストとしてMVに出演する。ノンバーバルコミュニケーションとして挨拶代わりに交わされる“ハグ”だが、そこには様々な意味や勘違いが込められていることもあり、そんな水面下の感情をひっくるめて“ハグ”について歌われる。「ハグしただけで勘違いしちゃった?」なんて事態に陥らないように、世の女性諸賢はくれぐれもご注意を!

アンディ・サムバーグは、「深読みなんかしないで、愛してるわけじゃないから / 俺たちはハグの王様なのさ」と思わせぶりなハグによって女性を翻弄する、男の軽薄さをラップ。すると、50 Cent(50セント)の楽曲「In Da Club」の“come give me a hug”というフレーズをパロディし、屋台にてハグを1回50セント(!)で売っているファレルは「スバルのハッチバックで君のママとハグしたい / 俺はハグするジゴロ」と甘い声で歌い上げる。もし“ハグ”にピンと来ないという方は、“一夜限りの関係”に置き換えて考えてみると、このMVの意味深なニュアンスがもっと伝わるかも!?

■ “EDMあるある”を強烈に皮肉るパロディMV「When Will the Bass Drop?」
The Lonely Island「When Will the Bass Drop?」
dir: Akiva Schaffer, Jorma Taccone
こちらは、若者を中心に世界中のクラブで大人気のEDM(Electronic Dance Music)を痛烈にパロディした「When Will the Bass Drop?」。EDM系の人気DJ Davvincii(ダヴィンチー)に扮したアンディが、フロアを煽るだけ煽りながら、BASS(サビ)に突入するスイッチをなかなか押さず、オーディエンスを焦らしに焦らし、その間に様々な小芝居を打ちまくる! DJプレイをしていると思いきやゲームをしたり、目玉焼きを焼いたり、自画像を描いたり、心臓発作のフリをしたりとやりたい放題! そして、ついにダヴィンチーがBASSスイッチを押すと、フロアの熱狂は最高潮になって・・・!

BASSスイッチを押す直前には、本物のEDM系ラッパーLil Jon(リル・ジョン)が登場して“Get Turn Up To The Death!”と叫ぶなど、無駄にリアリテイにこだわった「When Will the Bass Drop?」。ダヴィンチーという名前はは、EDMのトップランカーDJであるAvicii(アヴィーチー)をパロディしたもので、彼が一晩のDJプレイで大金を稼いだり、オーディエンスが熱狂的で安直に盛り上がる様子など、ひたすらにアゲアゲなEDMという音楽を皮肉る内容となっている。

なお、アンディはRashida Jones(ラシダ・ジョーンズ)と共演したロマンティック・コメディ映画「セレステ&ジェシー」や、ゴールデングローブ賞のコメディ/ミュージカル部門作品賞と主演男優賞を受賞したTVドラマシリーズ「Brooklyn Nine-Nine」などで、俳優としても高い評価を得ている。
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《ブルーガールとワイン》 1997年頃 71.1×55.9cm 油彩、キャンバス @2014 Tim Burton
This exhibition is organized by Jenny He, Independent Curator, in collaboration with Tim Burton Productions.
独創的なセンスで美しくもユニークな映像作品を撮り続ける、映画監督ティム・バートン。最新作となる「ビッグ・アイズ」の日本公開を2015年1月に控え、大規模な展覧会「ティム・バートンの世界」が開催される。六本木の森アーツセンターギャラリーにて、11月1日(土)より。

2009年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)にて展覧会「The World of Tim Burton」を開催し、幼少期に描かれたスケッチから作品制作のためのデッサンや模型など、これまで一般公開されてこなかった作品を紹介した。約80万人が来場し、MoMA史上3番目の入場者数という大記録を樹立し、その後はオーストラリア、トロント、ロスアンゼルス、パリ、ソウルを巡回している。

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《無題(「ロミオとジュリエット」)》 1981 – 84年頃 30.5×40.6cm ペン、インク、マーカー、色鉛筆、紙 @2014 Tim Burton
This exhibition is organized by Jenny He, Independent Curator, in collaboration with Tim Burton Productions.
本展「ティム・バートンの世界」は、作品の一部やテーマなどを入れ替え、2014年3月、チェコ、プラハを皮切りに新たにスタート。仕事で世界中を旅する際に描かれたイラスト、映画のキャラクターの原点となる構想画、実現しなかったプロジェクトのために描かれたスケッチなど、テーマやモチーフごとのセクションに分け、彼の芸術活動をより深く掘り下げている。日本が世界を巡回する本展の2ヶ国目の開催国となる。

また本展のために製作されたアイテムや映画関連グッズなど、ここでしか手に入らないオリジナルグッズも多数用意されている。

バートンの創作の秘密、奔放なイマジネーションの源泉について知ることのできる貴重な機会。新作を観る前にぜひ彼の世界に思い切り浸りたい。

ティム・バートンの世界
会期:2014年11月1日(土) – 2015年1月4日(日) 会期中無休
※2015年2月27日(金)より大阪に巡回予定
時間:11:00 – 22:00(土日祝は23:00まで)
※11月5日(水)20:00 – 22:00は貸切のためクローズ
入場料:当日一般1,800円、高校・大学生1,300円、子ども(4歳 – 中学生)800円
会場:森アーツセンターギャラリー
東京都港区六本木6−10−1 六本木ヒルズ 森タワー52F