「Malfunction」
dir: Cyriak
コピー&ペーストを駆使してループのシュールでビザールな映像世界を生み出す、イギリス、ブライトンの映像作家CyriakことCyriak Harris(シリアック・ハリス)。彼が手掛けたミュージックビデオ(MV)として初めて演奏シーンを登場させたBloc Party(ブロック・パーティー)「Ratchet」などを経て、このたび新たに発表されたショートフィルム「Malfunction」をご紹介しよう。

“機能不全”を意味する「Malfunction」と名付けられた本作の主人公は、人体の様々な部位が合体した奇妙なクリーチャー。1950年代アメリカ郊外の何の変哲もない街を女性をストーキングするかのように歩き、スーパーから道路の排水溝、そして再びキッチンのシンクへとループが展開される。しかし、もちろんシリアック作品である以上、ただループするのではなく、すれ違う人や建物、自動車などが少しずつ歪み、映像が壊れてゆく。やがて、クリーチャーは次々に増殖し、街や人々は原型を留めないほどに変化してしまう。


シリアックでしかありえない映像世界が炸裂する「Malfunction」は、彼が2013年1月に手掛けたBonobo(ボノボ)のMV「Cirrus」と同様に、古いパブリックドメインの映像素材を徹底的にいじり倒した作品だ。シリアック自身が「この作品が何なのか分からない」とコメントしているように不可思議な本作だが、彼は「腐った古いフッテージを食べたバーチャルの蛆虫たちが進化して、僕のコンピューターの隅っこの暗がりから這い出てきたもの」と解説している。

一見すると不気味で気持ち悪い本作だが、仕事に煮詰まったり、ストレスを感じている時に見るのをオススメしたい。不条理パワーに圧倒されて、あともう一息頑張れてしまう(こともある)! なお、本作で使われている音楽もシリアックが制作したもの。こちらで無料配布されている。

■ Cyriakによるチンパンジーのビフォーアフター!
「Chimpnology」
dir: Cyriak
こちらは、シリアックが2014年2月に公開したショートフィルム「Chimpnology」。チンパンジーに撮影や編集の演技をさせる1964年のショートフィルム「BflOggGX = STwWcfl x 2s4」を素材として、不気味で魅力的なシリアック・ワールドが展開してゆく。元となったショートフィルムは、シリアック曰く「チンパンジーが「僕に衣装を着せたり、色んな事をやらせるのを辞めてくれ!」と主張している作品」とのことで、「Chimpnology」はそんなチンパンジーの心の叫びを反映した作品だ。

シリアックによる本作の音楽は、こちらからダウンロード可能だ。
Tensnake, Jacques Lu Cont ft. Jamie Lidell「Feel Of Love」
dir: Rémy Cayuela|prod co: Able & Baker|pr: Joe Walker|dop: Ben Fordesman|ad: Sets Appeal|costume de: Charmaine Parram|make-up: Sian Duke|post prod co: Burning ReelBurning Reel|colorist: Joshua Callis-Smith
毎日5,000万から1億ほどが作られながら、精巣の中で最大およそ10億まで貯蔵され、来たるべき“本番”に備えている精子。でも、もしもその一つ一つに人格があったら・・・? 今回ご紹介する、ドイツ人DJ / プロデューサーTensnake(テンスネイク)の「Feel Of Love」は、精巣の中で精進する精子たちと、彼らのマスターである男性たちが変態プレイに耽る様子が交差する、コメディなミュージックビデオ(MV)! “本番”に備えた精子たちのブートキャンプは、果たして実を結ぶのか!?

Woody Allen(ウディ・アレン)監督のオムニバスコメディ映画「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」(1972年)の中の一篇「ミクロの精子圏」と同じく、射精に備えて過ごす精子たちの姿を描く「Feel Of Love」。精子がハーモニカを吹いたり、一人だけ黒人がいたりと、細かなオマージュも見受けられる。また、Stanley Kubrick(スタンリー・キューブリック)監督の映画「フルメタル・ジャケット」(1987年)のハートマン軍曹のパロディも登場するなど、映画ファンにも楽しい作品だ。

フェティシズムへのブラックな笑いも感じる本作の監督を務めたのは、パリ在住のフランス人ディレクターRémy Cayuela(レミー・カユエラ)。恋人同士の思い出を様々な数字で振り返るWilkinson(ウィルキンソン)「Afterglow」、奇想天外な妨害合戦が展開される競歩レースNaive New Beaters(ネイヴ・ニュー・ビーターズ)「Jersey」や、カニバリズムな美人ヒッチハイカーが登場するWAT「Kill Kill」といったMVを手掛けており、ユニークな設定と演出で笑わせてくれるディレクターだ。

「Feel Of Love」の撮影監督であるイギリス人シネマトグラファーBen Fordesman(ベン・フォーデスマン)とは、カユエラ監督の前作で、ヘッドマウントディスプレイでバーチャルなバカンスを満喫する男性を描き、YouTubeで5,380万ビュー以上を記録しているDuke Dumont(デューク・デュモント)「I Got U」に続くタッグ。なお、カユエラ監督のFacebookでは、Behind The ScenesならぬBehind The Sperm Scenesと題してメイキング写真が公開されており、スマホ片手に休憩する精子役の役者たちや、女性器の図解の前でレクチャーするカユエラ監督など、シュールな舞台裏を垣間見れる。

ちなみに、MVのエンドクレジットで流れる歌とハーモニカは、精子を演じた役者の一人Russel Dean (ラッセル・ディーン)が撮影中に即興で作ったもの。精子の立場から「いつか女性のお腹に行きたい」と歌われるブルージーな哀愁のメロディが、MVの余韻を引き立ててくれる。
Toyota Asia Pacific「Jungle Wakudoki」
dir: 神谷佳成|a: Dentsu Aegis Network|ecd: Ted Lim、足達則史|cd/pl/c: 阿部洋一郎|ad: 小柳佑介|ag pr: 兼清剛|pr: 加治屋篤|pm: 有友賢治、清水泰富|cam: KIYO|l/art: Matching Studio Plus|sty: 村下里沙|hm: 市瀬ひとみ、根本佳枝|ani/cg: 二瀬具洋|off ed: 岡本博一|on ed: 小野秀一|mixer: 太斉唯夫
典型的な日本人サラリーマンの格好で、巧みなロボットダンスを披露する、須藤元気氏を中心としたダンスパフォーマンスグループWORLD ORDER。彼らが出演する、Toyota Asia PacificのCM「Jungle Wakudoki」をご紹介しよう! ミュージックビデオ(MV)で世界の名所に出没しているWORLD ORDERのメンバーが、今回お馴染みのスーツ姿でメカトロニック・スタイルのダンスを披露するのは、東南アジアのジャングル! ゴリラ、さらには原住民と遭遇してしまう彼らの運命や如何に!?

この「Jungle Wakudoki」は、インド、インドネシア、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの8ヶ国の若者をターゲットにした、Toyota Asia PacificキャンペーンのCM。YouTubeで公開されてから約1ヶ月で141万ビューを記録するほどの人気となっている。

Toyota Asia Pacific「Jungle Wakudoki」メイキング映像
撮影が行われたのは、タイのジャングル。ゴリラの着ぐるみの制作など準備に数週間、撮影に7日間が費やされ、約60時間ものフッテージが撮られた。夏のジャングルにも関わらず、WORLD ORDERのメンバーはお決まりのスーツ姿だ。猛暑の中でも白いシャツをパリっと着るため、汗対策のTシャツを下着として着用している。東京、金沢、京都といった日本の都市のみならず、アメリカのワシントン、ニューヨーク、韓国のソウルなど、世界中の都市を舞台にMVを発表してきたWORLD ORDERだが、コミカルな演出もさることながら、ジャングルという大自然とスーツ姿のミスマッチで新鮮な楽しさと笑いを届けてくれる。WORLD ORDERに負けず劣らずキレキレなダンスを披露するゴリラ&原住民にも注目だ!

なお、普段のMVでは自らディレクションも担当している須藤元気氏は、今回のCM撮影について「いつものWORLD ORDERの撮影と違って、たくさんのキャストやスタッフの皆さんと撮影ができて楽しかったです」とコメントを寄せてくれた。

■ 第2弾も公開! お次はビーチで“Wakudoki”!!
Toyota Asia Pacific「Beach Wakudoki」
dir: 神谷佳成|a: Dentsu Aegis Network|ecd: Ted Lim、足達則史|cd/pl/c: 阿部洋一郎|ad: 小柳佑介|ag pr: 兼清剛|pr: 加治屋篤|pm: 有友賢治、清水泰富|cam: KIYO|l/art: Matching Studio Plus|sty: 村下里沙|hm: 市瀬ひとみ、根本佳枝|ani/cg: 二瀬具洋|off ed: 岡本博一|on ed: 小野秀一|mixer: 太斉唯夫
こちらは、8月24日に公開されたばかりの第2弾CM「Beach Wakudoki」! ジャングルに続いて舞台となるのは、美しいビーチサイド! 溺れてしまった水着美女を助けるべく、WORLD ORDERが奮闘する!

なお、今回のキャンペーンでは一般参加のダンスコンテスト「Wakudoki Dance Contest」も実施中! お手本動画を参考に“ワクドキ”なダンスを踊ってYouTubeに投稿するもので、既に終了した第1弾「Jungle Wakudoki」のコンテストに続く第2弾として、10月6日まで行われる。対象8ヶ国から各1名の最優秀者計16名が第1弾&第2弾で選定され、4泊5日の東京旅行がペアでプレゼントされる。

キャンペーンを手掛けた電通イージス・ネットワークでCCO(Chief Creative Officer)を務めるTed Lim(テッド・リム)は、ターゲットとなるミレニアル世代(1980~90年代に生まれた世代)が、過去のどの世代よりもインターネットに精通し、時間を費やしていることに注目。彼らを引き込み、彼らが自分を表現するプラットフォームを作ることを目指したという。
Royal Blood「Figure It Out」
dir: Ninian Doff|prod co: Pulse Films|pr: Sarah Park|ex pr: Laura Tunstall|dop: Pat Scola|prod de: Ashley Fenton|art cooedinator: Megan Fenton|costume de: Ric Renae Hughes|hm: Tine Cohen|ed co: Homespun|ed: Leo King|grading co: Finish|cast: Stella Mauve
試験勉強などでお世話になった赤と緑の暗記シート。赤いシートを被せることで、赤ペンの色が消えて緑ペンの箇所が黒く潰れる、緑のシートはその逆だ。もし、日常の風景に同じように2色のフィルターを掛けられるとしたら?色を切り替えた瞬間に知らなかった事実を突き付けられる・・・そんな具合に目の前で2つの現実が交錯しながら展開する、Royal Blood(ロイヤル・ブラッド)のミュージックビデオ(MV)「Figure It Out」をお届けしよう。

MVでは赤いフィルターの世界の中、ショッピングモールのフードコートにふらりと若い女性が現れる。その姿を見た人々は、何か恐ろしいものを目撃したかのように慌ててその場から立ち去ろうとする。心ここにあらずな表情とはいえ、何故人々が彼女をそんなにも恐れるのか。それは、フィルターが赤から青へ変わった瞬間に明らかとなる・・・!

赤と青の切り替えにサスペンスフルな物語が絡み合う「Figure It Out」を手掛けたのは、ロンドンの映像プロダクション Pulse Filmsに所属するディレクターのNinian Doff(ニニアン・ドフ)。ファンから動画素材を募ってツギハギ人間を作り上げたGraham Coxon(グレアム・コクソン)のMV「What’ll It Take」、グロッサリーでの無限ループから脱出を目指すDarwin Deez(ダーウィン・ディーズ)のMV「Free (The Editorial Me)」など、視覚効果を巧みに取り入れたアイデアと奇抜なストーリーテリングが光るディレクターだ。


この赤と青のトリッキーな世界は、ポストプロダクションで加えたのではなく、全てカメラで撮影されたもの! 赤と青のフィルターを切り替えられるリグをレンズの前に装着して撮られている。この赤と青の世界は、ドフ監督が古くからある赤青3Dメガネからインスピレーションを受けたものだそうだ。

■ Ninian Doff監督の最新MVは、カンペの通りにしか動けないメンバーの悲喜劇
Peace「Lost on Me」
dir: Ninian Doff|prod co: Pulse Films
こちらは、「Figure It Out」の約1ヶ月後、2014年8月10日に公開されたドフ監督の最新作となる、Peace(ピース)のMV「Lost on Me」。スタジオにて、バンドメンバーがカンペを見ながらダンスを踊り、MVを撮影していると、スタッフの1人が突然倒れてきた棚の下敷きになってしまう。混乱する現場をよそに、最後にカンペで指示された通り、メンバーは踊りながらひたすらに前進。やがて、スタジオを飛び出し、街を混乱に巻き込んでいく。カンペ担当スタッフが慌てて探しに行くも、ただ粛々と指示に従って踊り続けるメンバー。ハッピーエンドとは言い難い結末ながらも、全体的にマヌケな空気感がもたらす、思わず笑ってしまうMVとなっている。
ellie
大宮エリー 撮影:KENTA AMINAKA
渋谷のパルコミュージアムにて、「夏の終わりの大宮エリーSHOW」が開催される。8月29日(金)からの3日間で、夏らしく個性的なイベントを5ステージ展開。

まず、8月29日(金)18時30分からは世界を旅する音楽家、芳垣安洋をゲストに迎えて、言葉と音楽による「思いを伝えるふたりのセッション」。2012年、同ミュージアムで1万5千人を動員し、札幌・京都・仙台を巡回した大宮エリーの個展「思いを伝えるということ展」に引き続き、心の中の何かに届く、時間と場所を届けてくれる。

8月30日(土)14時30分にスタートするのは、大宮エリーが初めて挑戦する「怪談話」。でも、怖い話が大嫌いな彼女がくりひろげるのは、ちょっと笑えたり、泣けたりする「じーんとくる怪談話」となる。

同日の18時30分開演のステージは、「生きてるぜ!」「生きているなぁ」という実感を共有して楽しめるライブ「生きているふたりのセッション」。音楽家であり、ミジンコ研究家としても知られている坂田明がゲストとして参加する。

そして最終日の8月31日(日)には、昼(13時30分開演)/夜(18時開演)の二部構成で、「公開スナックエリー」が開店。「夏の大反省会!」をテーマに、昼の部には吉村由美、夜の部は森山直太朗が登場する。気心知れた愉快なゲストに、豪快にぐだぐだクダをまいていくエリーママと一緒にこの夏の反省を、そして締めくくりをしよう!
夏の終わりの大宮エリーSHOW
会期:2014年8月29日(金) – 31日(日)
入場料:各回3,000円(税込、1ドリンク付き)
※メールにて要事前予約(先着順)
会場:パルコミュージアム
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ パート1 3F