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坂本真綾 コーネリアス「あなたを保つもの」
concept/dir: 辻川幸一郎|pro: 浅野早苗(GLASSLOFT), 矢野健一(Spoon.)|prod co: Spoon.|cg: MARK INC.|cg dir: 斉藤壮平(MARK), 犬童宗恒(MARK)|cg pro: 貞原能文(MARK)|post prod: 藤井久子(jitto)|prod manager: 長島卓(spoon)
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「攻殻機動隊ARISE」コーネリアスによるサウンドプロジェクトの最終章であるミュージックビデオ(MV)「あなたを保つもの」がリリースされた。監督を務めるのは前4作同様辻川幸一郎だ。白いフルCGの世界で夢心地の世界に誘う辻川氏らしい本作の制作過程を、アイデアの作り込みからプレビズといったメイキング資料を交えて辻川氏に語ってもらった!

■入れ子で広がる“あなたを保つもの”の世界
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――“入れ子”になった世界が展開していくMVですが、アイデアはどう生まれたのですか?
入れ子は、昔から僕の作る映像に度々登場する大好きなモチーフなんですが、今回は“目が覚めたら元の場所”といった歌詞のファーストフレーズからループのイメージがあったのと、“保つもの”という精神的な奥行き感を表現するのに入れ子構造が合っていると思ったんです。

「攻殻機動隊」の世界では義体と呼ばれる機械の身体を持った人々の中に、“ゴースト”という霊的なものがあって、それが“自我”だったり“心”だったりします。歌詞でありタイトルの“あなたを保つもの”は、そんな「攻殻機動隊」の世界観を表しているんですね。だから“保つもの”っていう概念をどう描こうかなと考えていきました。

曲の1番はじめ“腕、指、足、爪…”というフレーズに合わせて“保つもの”が形作られていきます。こうして生成された“自転する正12面体の周りを耳や口や鼻がグルグルと公転している状態”が“保つもの”です。このような“保つもの”が中心にあるのが“あなた”です。そして“保つもの”が中心にある“あなた”もまた相似形の世界をグルグルと回ってる。引いてみるとその状態もまた“保つもの”になっています。そんなふうに、入れ子構造で“保つもの”を持つ“あなた”もまた“保つもの”の一部になっていて・・・延々とこの“保つもの”を描いているMVです。

また“あなた”は歩きながら次々と義体=殻を乗り換えていきます。“保つもの”が“あなた”を“あなた”たらしめてるから、色んな姿の“あなた”がいるというのも「攻殻機動隊」の世界観を僕なりに解釈した表現です。こんな感じで攻殻機動隊のMVのシリーズは、アニメーションが持っているテーマと、それぞれの楽曲の曲調や雰囲気、そして歌詞の3つの要素を咀嚼して作っています。例えば“落ちていく”という歌詞で“あなた”が落ちていったり、歌詞にも寄り添っています。

■フルCGで描く白い世界
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「BORDER4: ED “Split Spirit” / 高橋幸宏&METAFIVE」
concept/dir/off line: 辻川幸一郎|pro: 矢野健一(Spoon.), 浅野早苗(GLASSLOFT)|prod co: Spoon.|ca cheaf: 丸山秀人|ca: 重森豊太郎|light cheaf: 李家俊理|light: 中須岳士|art: 柳町建夫, 河野梓(TATEO)|sty: 井口さおり|post prod: 藤井久子(jitto)定岡雅人(jitto)|colour correction: 長谷川将広|off line: 渡辺直|cast: LEO今井
「Split Spirit」も、霊性をテーマにしているが、こちらは霊性を分解する話。身体から霊性がSplit(離脱)するという歌詞が、アニメーションと楽曲の世界観と混じり合い描かれたMV。
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――「あなたを保つもの」はフルCG作品となりましたね。
このプロジェクトで5本MVを作っているんですね。「じぶんがいない」からはじまっているんですが、全部意図的に作り方を変えてます。1つも同じ手法にしていないんです。前作の「BORDER4: ED “Split Spirit” / 高橋幸宏&METAFIVE」は、人物コマ撮りで、その前の「BORDER:3 ED “Heart Grenade” / ショーン レノン コーネリアス」は、合成をテーマにした作り方をしています。まだ、フルCGをやってなかったから今回はそれでいこうと。

――白いCG世界の理由は?
これは僕の好みです(笑)。もともと白一色の世界はCMや他の映像作品でもよく描きます。以前にもコーネリアスのMVで白一色のフルCGで作っていました。

――「Omstart」ですね。
白い粘土アニメを模したCGアニメーションなんですが、この頃から白いCG好きなのです(笑)。

シンプルな白の世界に設定すると、色のばらつきがないので統一感がでて、その分質感に目がいくようになります。今回は“保つもの”のザラメをメインの質感にして、その他に毛や煙の色んな質感を追っています。実はこのザラメが、白い世界で入れ子構造を表現する際に、スケール感を伝えてくれて便利なんです。ザラメの粒のおかげで寄り引きが強調されるので。もちろん、レンダリングはそこそこ重くて、作る側の痛いところを地味に突いてくる(笑)。

――コーネリアスの「Fit Song」でも、角砂糖が登場していましたね。“白”同様辻川作品の常連モチーフですね。
ザラメのキラキラ感は、やっぱりCGで描いてても、チープに見えない、気持ち良い質感なんですよ。フルCGだとツルっとしていかにもCGっぽい質感になりがちのところを、ザラメの質感が雰囲気を作ってくれる。加えて、ザラメにすることで、フォーカスの来てるところと来てないところが描きやすい。このMVは、半分夢みたいな世界なので、フォーカスが来ている鮮明な箇所とフォーカスの来てないボケている箇所の差をつけながら、夢心地な画面を作っていけるんです。

■シミュレーションで進む制作の現場
「あなたを保つもの」のコンテ。カットリストのように綴られたこのコンテをベースに、CGチームとのディスカッションやシミュレーションでアイデアを進化させていく。MVで眼や耳が登場するシーンも、コンテ段階では幾何学的なモチーフだった。
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――CGチームについて教えて下さい。
MARK incのプロデューサー貞原能文さんと、コーネリアスの「Fit Song」もやってくれた犬童宗恒くんと、salyu x salyu「Sailing Days」でも一緒に作った斉藤壮平くんとやっています。

みんなで議論しながら作るんです。例えば、走ってるキャラクターを全部違う質感でやってみようか?シミュレーション大会みたいな作り方しようか?って、可能性を色々と話しながら進めていくんです。

キャラクターの質感に関しては、色々試してみた結果、毛と煙以外は質感を揃えることになりましたが、途中段階でテストを作りながら、判断していく作り方をしています。
「キャラクターテスト02」
――絵コンテでは“あなたを保つ”鼻や口のモチーフが原子のようなイメージで描かれていますね。
そうそう。概念的なことなんだけど、“保つもの”を考えるとやっぱり動いているだろう、心臓がドクドク動いてるみたいに、ってことで幾何学的なものがグルグル回っている感じを想像していたんだけど、いざテストしたらちょっと淡白でつまらなかったので、いっそ歌詞にあわせて“耳、鼻、口”を出しちゃった方がサイケっぽいよねって。「不気味かな~?」ってみんなに聞いたら、「いや大丈夫じゃない?」とか。そんなやりとりです。

――ステップ毎にシミュレーションして目指す世界を固めていった実験性を孕んだ過程だったんですね。
そう。絵コンテの次にビデオコンテをまず繋いでみる。そのビデオコンテを元にプレビズを作って、平行してキャラクターのテストをやるんですね。

――プレビズではどういったチェックをするんですか?
カメラワークがついた、粗いCGでプレビズを作るんですが、繋いだものを見ても最初はあんまり良くなかったりするんですね。全くコンテ通りのはずなのに、何か面白くなさそう。

キャラクターが変化していく感じ、背景の感じ、カメラワークを変えたり、さっき言った、幾何学的過ぎて淡白すぎるから耳や口でクセをつけようか、というのを、CGスタッフとプロデューサーとみんなで話します。大体、僕が改善点をまとめてきて説明をする、それに対してCG部の見解を言ってもらう。その会議は僕、すごく楽しくて好きなんです。みんな長年やってるプロだからやりとりが楽しいんですね。

例えば、「キャラクターが変化していく感じを強調したい」って僕が言うと「キャラクターのサイズが近すぎるから、もっと変化をつけるべき」って話が出て「でも“保つもの”の位置は同ポジで守っていた方がいいのでは?」みたいに、ポンポンと意見を言い合って、すぐにテストしてみる。そういう話を長年一緒にやってきたチームだから、前提の説明をはしょって、1つの結論に辿り着くまでのやり取りが、最短距離というか2、3個のやりとりを飛ばした会話がテンポ良く出来て楽しいんです。

――過程で1番骨の折れたところは?
キャラクターですね。初めにキャラクターを8体ぐらい設定したんだけど、それを作っていくに当たってなかなかキャラクターが良い感じにならなくて1番時間がかかりました。円盤みたいなキャラクターがいて、どうにも気にいらない。なんで気に入らないんだろう?ってディスカッションして、アウトラインが直線的だからフォルムが出過ぎるのが原因じゃないかって話になって、「じゃあ、こいつで見せたいのは隙間感で、丸のキャラが既にその役目を追ってる訳だから、これ追っててもしょうがない」ってボツになったりとか。

ちなみに、いつまでも気に入らなくて、手こずったのが四角いキャラクターでした。そういう調整に時間がかかりました。

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■無意識を意識化する!Tumblrを使ったアイデアの絞り込みとは?
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「あなたを保つもの」のプレビジュアリゼーション(プレビズ)動画。プレビズとは、絵コンテに相当するラフなCG映像のことで、映像の長さやカメラワークなどのイメージをスタッフ間で共有し、アイデアの検証を行う工程だ。
――試行錯誤の過程という反面、目指すビジョンがとても明確にあるとも感じました。世界観を作る上でどういうアプローチをとっているんでしょうか?影響を受けたり参考にされたものがあれば教えて下さい。
僕は普段から毎日ちょっと時間があるとTumblrで画像を集めているんです。なるだけ無意識に近い状態でどんどんリブログして自分に引っかかるイメージを貯めていく。それをTUMBLR MOSAIC VIEWERというビューワーで一覧すると、PC画面一杯にモザイク状態で自分がこれまで気になった画像や動画がうごめいているんです。企画する時には、曲を聴きながら、そのTumblrイメージの集積を眺めつつ、机の上の白い紙に思いつくイメージを落書きします。

まずはTumblrの中で、今回の曲にリンクするものをセレクトして、フォルダにまとめる。これは後にスタッフとイメージや世界観を共有するのにも役立ちます。イメージがそのまま流用されることは無いのですが、脳みその同じ感覚の部分を刺激するのに、適したイメージ喚起力の強いものを選びます。脳が働いたら、白い紙にそこからさらに発展して思いつくイメージを落書きします。それから一旦Tumblrは忘れて、今度は非常に具体的に、歌詞や手法まで含めた企画を作り始めます。

そうしてやりたいことが決まってからはまたTumblrや本棚の資料から、抽象人間って、アントニー・ゴームリーの彫刻みたいなイメージかな・・・とか、ああ、僕は、このgifアニメみたいなヘンテコな動きをしたいんだろうな・・・。みたいに、さらに具体的なイメージを補強します。

Tumblrって趣味だから、見る時もあんま深く考えずにどんどん気になったものを溜めているんですが、意識の滓みたいなものが溜まっていて、一気に見直すと面白いんです。映像制作において、Tumblrは起爆剤として活用して、今度コンテを描く時は、逆に思いっきり楽曲の世界で作るんです。

――ちなみに制作期間はどれくらいあったのですか?
1ヶ月強ですね。

――6月に映像がまとまったBlu-rayが出ますが、このプロジェクトは、辻川さんにとってどういうものでしたか?
小山田(圭吾・コーネリアス)くんに頼まれることって、大体僕の好きなことだから、本当に楽しいです。そうやって始まったプロジェクトでした。MVって何回も聴かなきゃいけないから、楽曲が好きじゃないと難しいですよね。人によってケースバイケースだと思うんだけど、僕の場合、曲ありきで、楽曲の世界観やアイデアに、映像を混ぜ合わせるように使いたい。そういう意味で、素直に映像を作れたプロジェクトでした。

■辻川幸一郎の今後挑戦したいこととは?
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――CMを中心に活躍されていますが、長編映画への挑戦はないのでしょうか?
すごくやりたいんですけど、やるなら自分の世界観を生かせるものにしたいですね。

――でも、短編もこれまで手掛けられてますし、長編の合う企画があれば監督をする準備は出来ている?
やってみたいですね。なによりも好奇心(笑)。

――どういう映画監督が好きですか?
同世代でいいなと思ったのは、デヴィッド・ボウイの息子のダンカン・ジョーンズ監督。「月に囚われた男」や「ミッション:8ミニッツ」が好きで、SF系の監督さんなんです。

――それはSFをやりたいっていうことでもあるんですか!?
SFやりたいんです。と言ってもハリウッド的なものではなくて。藤子・F・不二雄が好きだったから、ああいう日常SFな映画をやりたいなって。最近だと「複製された男」(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督|2013年)も好きでした。それもある種SFです。日常の感覚が微妙に揺らぐような、そんな映画が撮ってみたいですね。

――脚本と映像表現のリンクが面白いことになりそうだなという感じでSFなんでしょうか?
やっぱりどっちかって言うと映像作家だし、MVのディレクターからこの道に入ったので、コンセプチュアルだったり、閉じられた世界の中で作られたものが好きなんです。

何でも出来るタイプでは無いので“やれることをやりたい”んです。だから、映画というよりも、ある種1つの世界観を映画の尺でやったらどうなるかっていう感じに割と近いのかもしれません。

――最後に、今後リリース予定の作品を教えて下さい。
相変わらず、ポツポツと色んな映像を作っています。1つMVの企画が動いていますがまだ情報は出せなくてすみません。

――楽しみにしています!ありがとうございました。
■ 5つの質問 一問一答
1: 一番影響を受けたものを教えて下さい
最近産まれた子供
2: この職に就いたきっかけは?
コーネリアスに頼まれて
3: 一番好きな映画は何ですか?
不思議惑星キン・ザ・ザ
4: オススメのレストラン or バーを教えて下さい
八雲
5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
赤子

Snakehips「Forever (Pt. II) ft. Kaleem Taylor」
dir: Sashinski|pro: Charlotte Jones|prod co: FAMILIAFAMILIA|ad: Louis Ruscombe King, Tim Gibson|ed: Stephen Paul Dunne|DoP: Adam Scarthe|hm: Eve Coles|sty: Florence Jones|post prod co: Raised By Wolves|colourist: Jon Leese Pomfret|cast: AyaBambi
腕と手を中心とした独特な振り付け、ヴォーギングダンスともどこか異なる不思議なデジタルさを感じさせる動き、そしてシンクロ率抜群のユニゾン・・・そんなユニークな魅力を持った、振付師兼ダンサーAya Sato(アヤ・サトウ)とアシスタントのBambi(バンビ)の2人からなるダンスユニット、AyaBambi(アヤバンビ)が人気を集めている。

全ての振り付けを行っているのはAya Sato。アメリカで活動後、2012年に帰国。以降は日本を中心に活動している。アシスタントのBambiは、ダンスパートナーだけでなくマネージャーも兼ねており、2人でユニットAyaBambiとして活動している。

非常に良く似た雰囲気を持つ2人だが、姉妹ではない。正式に結婚しているわけではないが、互いをパートナーと認め合う仲。Instagram(AyaBambi)にアップされた写真では、仲睦まじい2人の日常を見ることが出来る。

「Aya sato workshop 2014 5 4」
AyaBambiは、2014年に行われたダンスワークショップでの映像がSNSで話題になり、それ以降、様々な作品で国内外に旋風を巻き起こしている。

■MVからCMまで!国内外で多彩なお仕事紹介!

Zinc「Show Me」
dir: Price James|cast: AyaBambi
イギリスのDJ ZincのMV「Show Me」は、AyaBambiにしか出来ない衝撃的な内容となっている。ダンススタジオに入ったAyaは、鏡に向かって踊りはじめる。しかし突然、鏡の向こうの像が、全く別の動きをしはじめる。そう、それは実際には鏡像ではなく、同じ動きをしているBambiだったのだ・・・!互いの鏡像を踊りながら演じるという困難な振り付けを、その外見と動きのシンクロを生かして見事に実現している。

「LUMINE×Ayabambi コラボ動画」
またBoAや椎名林檎など、日本で著名なアーティストとのコラボレーションも多数。キリンメッツのCMにも出演し話題になった。また今春にはルミネのプロモーションで大々的にフィーチャーされている。「LUMINE×Ayabambi コラボ動画」は、2人のダンスが嵐を巻き起こし、“Fashion”と書かれた壁を粉々に破壊し、鮮やかなピンクに色づいた桜の花びらが舞う世界をもたらす、というもの。“ルミネ、カワル 自分を打ち破れ”というコピーが、ダンス史に新たなスタイルを打ち立てたAyaBambiの存在とオーバーラップする。

■東洋の血筋を引いた新しいスタイル

キリン メッツ「AyaBambi」篇
AyaBambiは海外でも日本でも高い評価を得ている。その高い技術によって実現される独自のスタイル“Aya Style”がその理由であることは間違いない。

AyaBambiのダンスの最大の特徴の1つは、多種多様な手の動きによって繰り出される高速なフレーズだ。西洋のダンスは、足の動きや形に注目したものが多い。例えばクラシックバレエなどはその典型で、立ち方だけでも左右の足の位置関係によって1番から5番まで分類され厳密に区別されている。

対して手の動きが重要な意味を持っているのが東洋的なダンスだ。インドネシアのバリ島で行われるケチャダンスは、座ったままで、大胆な手の動きによって神への祈りを表現するし、ポリネシア文化圏であるハワイのフラダンスは、足は主に左右に揺れるだけなのに対して、手は実に多様な物語を語っている。日本舞踊の手を中心とした優雅な振り付けもその一端であるし、最近なら90年代に日本で流行したいわゆる“パラパラ”ダンスを思い浮かべればさらに分かりやすいかもしれない。

AyaBambiのダンスは、こうした東洋的な伝統を、テンポの速い音楽にシンクロさせることで、独自のスタイルへと昇華したものだと言うことが出来るだろう。そのユニークさが注目されがちな“Aya Style”だが、現代版にアップデートされた東洋的伝統舞踊の要素が、国内外での人気を獲得する上で重要な役割を果たしているのではないだろうか。

ダンサーとしても、ファッションモデルとしても、AyaBambiの躍進は留まるところを知らない。


「Red Bull Air Race Chiba / レッドブル・エアレース2015 TVCM」
©Red Bull Media House
本日ご紹介するのは“映像”ではなく、全く新しいモータースポーツ。“レッドブル・エアレース”と呼ばれる“空のF1”は、レース専用の小型飛行機を、空中で3次元に操り、25mの高さのインフレートパイロン(エアゲート)で作られたコースを低空飛行して、タイムを競うエクストリームなスポーツだ。とにかくその迫力と、Gを受けながらも完全飛行をコントロールするパイロットの凄技は、刺激的で芸術のごとく美しく、ぜひ読者にもお伝えしたいと思う。

■初の日本開催に湧いた12万人の観戦者!日本人パイロット室屋義秀

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千葉大会のハイライト映像!
©Predrag Vuckovic / Red Bull Content Pool 
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2015年のワールドチャンピオンシップでは、選ばれた14名のパイロットたちが1年を掛けて世界の8コースを巡り、勝負に挑む。第2戦は5月16日(土)17日(日)の2日間。日本初開催となったレッドブル・エアレース千葉大会の会場は、成田空港と羽田空港の間に位置する幕張海浜公園。各日6万人、延べ12万人の観戦客で賑わうビーチの様子も圧巻だ。エアゲートがそびえるレーストラックの向こう側には、メディアをはじめとする数々の船影。否応無しに、レース前からテンションのあがる景色が広がる。

“空のF1”と称するだけあって、決勝の観戦チケットは、自由席の7,000円からナントVIPな30万円まで!ROUNDの合間には、水圧を利用した空中スケートボード(!?)のような“フライボード”のパフォーマンスが行われたり、DJがプレイするフロアも登場し、レッドブルらしいイベントが楽しめた。

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室屋義秀選手
©Predrag Vuckovic / Red Bull Content Pool
そして、この千葉大会の大きなトピックと言えば、マスタークラス唯一の日本人選手、室屋義秀パイロット。室屋氏の飛行時にはひときわ大きな声援が送られた。そんな期待に応えるように、ROUND14で千葉大会のレコードタイム50秒779をたたき出した。新型機で挑んだ室屋選手のエアバトルの最終結果は、8位(全14チーム出場)となった。

■ルールについて

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レッドブル・エアレース千葉2015のレーストラック。スモークオン(白煙を噴出)させながら旋回や緻密なコース取りで展開するレースは純粋にかっこいい!
©Predrag Vuckovic / Red Bull Content Pool
このエアレースのルールを簡単に説明しよう。世界最速のモータースポーツF1と並び称される通り、その最高時速は370kmにも達する。パイロットはレース専用機を駆使し、スピードや正確さを問う操縦技術、そしてタフな精神力で、エアゲートで構成されたレーストラックを低空飛行してタイムを競う。

今年のチャンピオンシップの決勝はヒート方式という1対1の対戦方式が採用され、予選の順位に応じて1位vs14位、2位vs13位という対戦カードが決定する。予選で好タイムをはじき出せば、決勝で有利なレース展開が期待出来るのだ。決勝ではROUND14で勝ち上がった勝者がROUND8に進み、そこでさらに1対1のバトルを制したものがファイナルステージのROUND4で激突する。

エアゲートへの接触はもちろんのこと、10Gを超える飛行など小さなミスはタイムに加算されてしまうため、いかにミスのない飛行=完璧な飛行をするかが重要となる。

各チームはパイロットを中心に2、3名で構成される。F1のごとく、コース戦略立案やメカニック担当のクルーが一丸となって、1秒以内のタイム差を競うのだ。詳細なルール解説は公式サイトで見る事が出来る。

■とにかくカッコイイ!いぶし銀のエアバトルのパイロットたち。

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©Predrag Vuckovic / Red Bull Content Pool
レッドブル・エアレース2015千葉大会を制したのは、第1戦のクロアチア大会から連勝するパイロット、ポール・ボノム氏(イギリス)。イギリス仕込みのジョークをクールな表情でとばす、“イギリス紳士”と評判のボノム氏も、今大会の結果には笑顔を隠せない様子だった。

エアレースに出場するパイロットの多くは40代、ボノム氏同様2014年の王者ナイジェル・ラム氏(イギリス)にいたっては50代。パイロットの平均年齢の高さに驚く。10Gといえば、脳に血液が巡らなくなるギリギリの重力加速度。身体トレーニングもさることながら、まるで奥義をもつ老師のような熟練の精神力がものをいうことを思い知らされる。

どんなきっかけでエアレースのパイロットを目指したのか気になるところだが、プロフィールを見ると、そのキャリアは空軍への入隊にはじまり、エアロバティック・チャンピオンシップでエアバトルを重ねて来たパイロットも多い。それゆえか、秒速のエアバトルにもロマンと美が宿る!

レッドブル・エアレースの公式サイトでは、各選手の詳細なプロフィール、優美な機体、迫力の動画が公開されているので、興味をもった方はぜひチェックしてみよう!

なお、レッドブル・エアレースチャンピオンシップの第3戦は、5月30、31日にクロアチア・ロヴィニにて開催!


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アジア人によるアジア広告祭「ADFEST 2015」が、今年も3月19日から21日の3日間、タイのパタヤで開催!アジア諸国53都市から約1,100人の来場者を迎え、全18部門の授賞式が行われた。応募総数3,295の広告作品から選ばれた受賞作から、white-screen.jpオススメの作品をご紹介!

■“Unforgettable”な作品に

今年のテーマは“BE BAD(悪くなれ)”。ADFESTのプレジデントであるJimmy Lam(ジミー・ラム)氏が2015年の広告祭で掲げているのは、“現状の破壊”だ。普通、平均、平凡といったモノへの挑戦は、移り変わりが激しい現代においてとても重要なことだと語っている。

しかし、それ以上に今年のイロを決めたのが、審査員長を務めたAKQAのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるレイ・イナモト氏が発している“Unforgettable(忘れられない)”作品であるということ。昨年の「ADFEST 2014」で授賞式の司会を務め、今年も会場の様子を直に見てきた株式会社AOI Pro.の山本愛氏のコメントを交えながら、各国が表現するUnforgettableな作品を紐解いてみよう!

■言葉はいらない。映像勝負のフィルム部門
Buick「Human Traffic Sign」
dir: Eun Taek Cha|DoP: Jung Ho Leem|a: Lowe China|prod co: Locus/A New Life Films|cd: Qiang Zeng|ed: Sang Hoon Jung, Dae Sun Kim
フィルム部門でゴールドを受賞したのは、アメリカの自動車メーカーBuickの上海のCM「Human Traffic Sign」。交通事故に遭った実際の被害者や遺族が通りに立ち、道路標識を持って歩行者と運転手に注意を促す、非常にメッセージ性の高い作品だ。セリフは一言もないのだが、同じ事故を繰り返さないためにと訴えかけている作品の真意がしっかりと伝わる内容となっている。

続いて同部門でシルバーを受賞したのは、日本のフンドーキン醤油株式会社の「Fun」。”失敗しよう”をテーマに、楽しみながら料理にチャレンジしていく様子を映像で表した。また、ブロンズに選ばれたのは、小栗旬が出演していることでも話題となったペブシNEX ZEROの「桃太郎“Episode.ZERO”」。日本の童話を現代版にアレンジした、スタイリッシュな演出が光る作品だ。

■テクノロジーの進歩がめざましい!インタラクティブ部門
NIKE「HOUSE OF MANBA」
a: AKQA|prod co: Rhizomatiks
インタラクティブ部門でグランデを受賞したのは、NIKEの「HOUSE OF MANBA」。中国で毎年行われるNIKE主催のバスケツアーで、スター選手を伴い各地の子どもたちを応援するプロジェクト“RISE”は、ドキュメンタリードラマとして制作されている。本作では、NBAのスター選手、Kobe Bryant(コービー・ブライアント)をフィーチャーしたストーリーで、世界で初めてトレーニング用のLEDコートを開発した内容となっている。ブライアントのデータを元に、コート内の選手の動きをトラッキングしたり、走った速度や点数を即座にグラフィックでビジュアル化したりといった開発を行ったのは、Rhizomatiks。子どもたちのスキルを上げるための、近未来のバスケットボールコートが誕生した!

また、ゴールドには同じくNIKEの「Make Every Yard Count」も受賞している。クリケットをしている様子を、22万枚の写真をつないで制作した圧巻の作品だ。また、2014年に氷の3D彫刻が話題となったサントリーの「3D on the Rock」も同賞を獲得した。

シルバーでは、NTTドコモの「3秒クッキング 爆速エビフライ篇」が受賞!3分間クッキングならぬ、3秒間クッキングでできるのは、なんとエビフライ!スーパースローで解説される料理(?)は前代未聞。ちなみに「3秒クッキング 爆速餃子篇」もあるので、こちらもチェックしてみよう!

そして、SNSに必ず載せたくなるアイデアを生み出したのが、Doleの「BANANA TROPHY」。東京マラソンで完走した参加者には、自分の名前と順位とタイムが記載された記念バナナが送られるというもので、参加意欲を湧かせてくれる。

■スタイリッシュな作品が目白押し!フィルムクラフト部門
Airbnb「Welcome to Airbnb」
dir: Christian Greet, Norman Yeend|a: TBWA\Singapore|prod co: Cirkus
フィルムクラフト部門でゴールドを受賞したのは、世界展開をしている宿泊仲介会社Airbnbの「Welcome to Airbnb」。ハンドメイドのミニチュアの世界がキュートな作品だ。近年、ロゴも一新し、更にコンシューマーに沿った事業展開をしているAirbnb。本作のメイキング映像はこちらから。

また、「カンヌライオンズ2014」のFilm Lionsゴールドも受賞したNew Zealand Transportation Agencyの「Mistakes」もゴールドを受賞!交通事故が起こる寸前に交わされたであろう心の叫びを描いたショッキングな内容だ。また、関根光才氏と多田琢氏のコンビが贈るトヨタの「ハリアー H.H.篇第二章 sideA」も同賞を収めた。「ハリアー H.H.篇第一章 sideA」同様、クルマは登場せず映画タッチのミステリアスな演出が印象的だ。

■ノンフィクションの底力。グランデフォーヒューマニティー部門
Breast Cancer「I Touch Myself Project」
dir: Daniel Askill, Lorin Askill, Joel Pront|DoP: Russel Boyd|a: JWT, Sydney|prod co: Collider
グランデフォーヒューマニティー部門、唯一のグランデ受賞作は、乳がんで苦しむ女性を支援する団体、Breast Cancerの「I Touch Myself Project」。募金のキャンペーンが多い中、乳がん検診の促進にフォーカスをおいた作品となっており、早期発見がいかに大事かを訴える。

ミュージックビデオ(MV)のような本作は、2013年に乳がんでこの世を去ってしまったオーストラリアのバンドDivinyls(ディヴァイナルズ)のボーカル、Chrissy Amphlett(クリスシー・アンフレット)が歌う、1990年にリリースの「I Touch Myself」のリメイクだ。曲調はそのままに、歌詞の内容を本作のテーマに沿うように作り直し、ポップ、ソウル、オペラなどといった多様なジャンルから、オーストラリアを代表する女性ボーカリスト10名によってパート毎に歌い上げられている。ほぼアカペラで繋がれていく歌の最後には、乳がんを克服した女性がトップレスで現れるといった力強い作品となっている。

また、本プロジェクトは、国内だけではなく海外でも広く取り上げられ、リリース後1週間で、iTunesのダウンロード数が17カ国から3,000以上もあった。本作はインタラクティブ、フィルムクラフト部門でもゴールドを獲得しており、複数部門の受賞となった。

■小さな一歩が大きな道へと続く。ダイレクト部門
The Salvation Army/Crown Relocations「Gift Box」
a: Leo Burnett
ダイレクト部門でゴールドを受賞したのは、The Salvation ArmyがCrown Relationsと組んだ「Gift Box」。香港でのリサイクル運動を促す試みで、引越しの際に使用する箱には、“KEEP(とっておく)”か“GIFT(寄付)”と書かれたフタがある。そのどちらかを選んでフタを閉めるだけで、即座にリサイクルが図れるというアイデアだ。

既に本プロジェクトの成功が見られており、リサイクル率は40%も上昇。寄付された箱を受け取れる低所得者の家庭は、今までより30%も増えたという。ギフトボックスのデザインはオンラインでダウンロードすることができ、どの運搬会社も使用できるようになっているのも特筆すべきポイントだ。小さなアイデアが大きな社会貢献となる、地域密着型のプロジェクトとなった。

■全てはアイデア次第!デザイン部門
Colgate「EDUCATION IN A BOX」
a: Red Fuse Communications Hong Kong (Y&R), Young & Rebicam Malayshia|ex cd: Gigi Lee|cd: Patrick Daly, Joshua Tay, Kelvin Kwan, Sly Song, Craig Love
デザイン部門でゴールドを受賞したのは、コルゲートの「EDUCATION IN A BOX」。コルゲート製品を運ぶ箱の裏に、口や歯に関する知識が記載されており、箱を開くとそのまま教材として使用できるようになっている。また、箱に書かれた番号に電話をかけると、更に詳しい内容を無料で説明してくれるという仕組み。ミャンマーの中でも、特に貧困エリアにある学校をターゲットにしており、既に2,000もの学校で使用されているという。

この他、部門別の受賞以外にも目を引いたのは、若手ディレクターを発掘するセミナー、FABULOUS FOUR!今年は4名中2名が日本人ディレクター、久家友哉氏と小田桐浩希氏で、久家氏が今年のグランプリに選ばれた。

「“BE BAD”という今年のテーマが最も効果的に現れていたのは、FABULOUS FOURだったと思います。同賞は過去に関根光才氏、舟越響子氏、塚越規氏などが受賞してきました。選ばれた4名のディレクターは全てとても魅力的で、それぞれ“BE BAD”のテーマをうまく取り入れた素晴らしい作品でした」(山本氏)

また、山本氏によると、今年はスリランカからの応募が多くあったようだ。これから広告産業が、予算の増加と共に発展しようと勢いを感じる国からの参加者と出会えるのも、ADFESTならではの醍醐味。ADFESTの歴史を振り返ると、5年前はインドネシアやインドの作品が増え、今ではそういった国々が受賞の常連国と成長した過程も見ることができる。そして、山本氏が今後に注目するのがモバイル部門だという。  

「アジアでのモバイル普及率の高さに比べると、モバイルをクレバーに活用した広告表現が今年はまだ目立っていなかったので、今後期待できる部門だと思います」(山本氏)

日本勢もさることながら、東南アジアの国々もグングンと勢いを増しているADFEST。カンヌやスパイクスでは見られない、アジアローカルの底力が楽しみな広告祭だ。受賞されたみなさま、本当におめでとうございました!

協力:山本 愛(AOI Pro.)