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表参道のOMOTESANDO HILLS POCKETにて、新進気鋭のイラストレーター・瓜生太郎の初個展「QUIET CARNIVAL」が開催されている。7月20日(月祝)まで。

瓜生太郎は、ファッションをテーマに女性を描くことを得意とし、シンボルマークのような図形的描写とシンプルな色使いで作品を制作する。表参道ヒルズのフリーペーパー「OMOTESANDO HILLS JOURNAL No.7」(6月28日発行)の表紙デザインでもお馴染みだ。近年、「HBファイルコンペVol.25」や「ペーターズギャラリーコンぺ 2014」への入賞、「第186回 ザ・チョイス」入選など、その独特な作品世界に注目が集まっている。
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本展のテーマは‟奇妙なファッションショー”。会場には‟角材シャツ”や‟人工芝ドレス”を纏った、ポップな女性たち10体の、約2メートルのパネルが立ち並ぶ。‟浮世絵風デザイン”の特大ポスターなども、多数展示されている。

会期中の土、日、祝日は作家本人が在廊予定で、来場者を出迎えるそうだ。
瓜生太郎個展「QUIET CARNIVAL」
会期:2015年7月1日(水) – 20日(月祝)
時間:11:00 – 21:00
※日曜と最終日は20:00まで
入場料:無料
会場:OMOTESANDO HILLS POCKET
東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ 本館B3F

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浅草橋のTODAYS GALLERY STUDIOで、オープン1周年を記念し「曖昧☆ふともも写真館」が開催されている。7月12日(日)まで。

2015年4月に開催された「曖昧☆美少女アート展」で、フェティシズムとアートの可能性に注目し話題を集めたふともも写真。作者のゆりあ氏は知人女性の撮影をきっかけに、2011年頃から本格的にふとももを撮りはじめ、2014年11月開催のデザインフェスタ Vol.40で、「ふともも写真館」を初公開した。
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本展ではさらに一歩踏み込んで、ふともも写真の“曖昧”さを追求。顔は一切写すさず、ふとももだけをアップで追う。‟ふとももが語る彼女たちの物語”を、鑑賞者は想像する。それは、観る側に解釈を委ねた、究極の芸術形態だ。

2015年7月に発売される2冊の新作写真集「ふともも写真館―夏の日―」、「ふともも写真館 制服写真部 ~夏~」に収録されたショットに加え、ふともも特大パネル、過去5年のアーカイブ作品、さらには本展のためだけに撮り下ろした新作ふともも写真など、約200点以上の作品が展示されている。
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今回、ゆりあ氏自ら来場者本人が希望すれば、そのふとももを撮影!ただし、女性に限る!本人がOKなら、ふともも写真は会場のパネルに展示されるそうだ。

‟ふともも”を提供してくれた方には、撮影した写真とオリジナルカードをその場でプレゼント。また、毎日違うデザインのオリジナルポストカードを、先着100名にプレゼント。こちらは男性もOKだ!夏の暑さを一層アツくする(!?)フェティッシュでアートな「曖昧☆ふともも写真館」展に急げ!
曖昧☆ふともも写真館
会期:2015年7月3日(金) – 12日(日)
時間:11:00 – 19:00
入場料:500円
会場:TODAYS GALLERY STUDIO
東京都台東区浅草橋5-27-6 5F

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川村真司|PARTY NYPARTY NY エグゼクティブ・ディレクター。180 Amsterdam、BBH NewYork、ワイデン+ケネディNYを経て、2011年クリエイティブラボPARTYを共同設立。2014年に、グローバルマーケットをターゲットとしたコンテンツ・プロダクト開発に特化したラボとして、PARTY NYを設立。トヨタ自動車やグーグルのグローバルキャンペーンを手がけつつ、SOUR、androp、安室奈美恵などのMV制作、プロダクト制作など、活動の範囲は多岐に渡る。2011年にアメリカのCreativity誌「世界のクリエーター50人」、2012年にFast Company誌「100 most creative people in business」に選ばれた。
エグゼクティブ・ディレクター川村真司氏率いるPARTY NYと、ニューヨークとロサンゼルスを拠点とする映像プロダクションLOGANによる安室奈美恵のミュージックビデオ(MV)「Golden Touch」。“Touch”をコンセプトに、ビデオ画面をタッチしながら、色んなタッチを疑似体験することが出来るキュートな疑似インタラクティブMVは世界中で共感を呼び、現在800万再生を超える。この実験的な意欲作のアイデアとクリエイティブディレクションを担当したPARTY NY、川村真司氏に「Golden Touch」が出来るまでをインタビューした!

安室奈美恵「Golden Touch」(from New Album「_genic」)
dir: 川村真司(PARTY NY)、Kenji Yamashita(LOGAN)|a: PARTY NY|prod co: Logan|pr: Jamie Kim(PARTY NY)、Catherine Yi(LOGAN)|ad/ed: Matt Anderson(LOGAN)|lead 2D ani: Adam Stockett、Lu Liu、Mike Costabile(LOGAN)|2D ani: Rick Kuan、Nate Mullkien、Jingky Gilbert、David Lee(LOGAN)|cell ani: Simon Ampel(LOGAN)|3D artist: Livio Huang、Warren Heimall(LOGAN)|de: Jamie Carreiro、清水幹太、Tom Galle、室市栄二(PARTY NY)、Rick Kuan(LOGAN)|colorist: Adrian Seery(LOGAN)|lead compositor: Eric Concepcion、Lu Liu(LOGAN)|vfx supervisor: Eric Dehaven(LOGAN)|cast: Lolli (disco dog)|pm: EPOCH
――このテクノロジーを風流に使ったクリエイティブが主流の中、すごくアナログなアプローチで、キュートなアイデアが印象的です。
オファーをいただいた時、安室奈美恵さんと聞くと、やはり彼女が歌って、踊って、パフォーマンスしている姿を、ファンはまず観たいと思うんです。僕らしいアイデア先行のMVは、「余計なことするなよ〜」ってなっちゃうと、勝手に思ったんです(笑)。しかしレーベルの方から「必ずしもアーティストの出演は考えなくてもいい」「より映像ギミックに寄った作品にしたい」と伝えていただき、それだったらニューヨークでも制作出来るだろうし、同じアルバムから他にもいくつかMVを制作予定だと聞いて、「じゃあ1本はクリエイティブに振り切ったアイデアで挑戦できる。それならぜひやってみたいな」と思ったんです。

楽曲は、アルバム「_genic 」の収録曲から選ぶことが出来ました。ダンス・ビートでキャッチーなR&Bのこの楽曲にピンと来て、すぐに決まりました。レーベル側も僕らのこれまでのSOURのMVやNHK「テクネ―映像の教室」での活動を知ってくれていたので、映像的にギミックなものを期待してくださっているだろうと。それなら、せっかくなのでちょっと変わったことを、“touch”というタイトルにまつわることで何かやりたいな、と。このMVはDVDに収録して販売すると聞いていたので、ネットを介して‟タッチ”するようなインタラクティブな仕掛けも面白いけれど、それだと向かないな・・・と。しかし無理だと思うと、何かしたくなるのが性分で。

――天邪鬼から生まれたアイデアなんですね(笑)。
それなら、インタラクティブな“感じ”の体験って出来ないかな?画面を“touch”して見る仕掛けのMVは面白いんじゃないかなって。手法的には、昔から、だまし絵のように触れる映像はあって、いくつか実験されています。

僕が知っている中で1番古いのは、ZeFrank(ゼフランク)っていう、今はBuzzfeed(バズフィード)にいる映像ディレクターの作品。7年くらい前の作品ですが、指を置くとそれに向かってゼフランクが腰を振って指とセックスするという、とてもくだらない(笑)、けれどすごい実験的な映像です。

“だまし絵で、触れるビデオ”というのをテーマに、それを発展させてやり尽くすような映像体験を考えました。本当に触ってるような体験を、指で画面をタッチしているだけで味わえるもの。カメラがぎゅんってズームするとボタンをぽちって押してる感じになるとか、カメラがシュって動いたらドミノが倒れるとか。FPSゲーム的に、カメラは動いてないけど世界が動くようなことが出来れば、‟触れないけど触れる”といった、新しくて実験的なビデオになるんじゃないか思ったんです。

――再生回数を見ると、これまでのファンだけでなく、より広い層にリーチした結果が伺えます。子供も楽しめそうなコンテンツですよね。
アーティストのプロモーションビデオって二面性があると思っています。ひとつは、これまでのファンの人たちに刺さるもの。それは、期待されているものに応えて、実現する。もう1つは、アーティストの新しい側面を見せて、新しいファンを獲得する。2本以上MVを制作出来る規模のアーティストであれば、映像っていう‟音楽の乗り物”の部分を入れ替える実験をした方が、面白い反応が起きると思っています。特に今の時代は、アメリカでも保守的というか・・・。こちら(アメリカ)のアーティストのMV制作でもよくお声がけいただくのですが、ビッグなアーティストほど冒険しない。そういう状況下、「Golden Touch」では、それを戦略的に実現できて、結果もついてきたのは素直に嬉しいです。

この短期間で800万再生という数字は、楽曲の良さと映像とのマッチングがあったからこそ達成出来た数だと思います。そうした音楽とアイデアの掛け算による力を、再確認出来たのはクリエイターとして励みになります。

■アイデアを本当に面白く作り上げるために

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――シンプルなだけに、面白そうなアイデアを実際に面白いビデオにするのが難しそうだと感じる作品でもありました。
それはすごく気をつけていて。へたをするとコンセプトだけで中身がスカスカなものになる可能性もありました。だから、実験から企画、撮影、編集までを完璧にコントロールすることに1番気を使っています。

制作のプロセスは、本当に科学実験のようでしたね。前例の少ないクリエイティブなので、“一体何をタッチできたら面白いのか”を探るところからはじめました。スタッフみんなが思いつく限りの“触ったら面白そうなモノ”を出し合って、床に200点程のスケッチや物をブワーっと並べて実際に触ったり揺らしたりと、フィジカルに吟味していったんです。それを、“突っつく系、横スライド系、連打系、魔法系(不思議だったり、面白すぎるモノ)”という種類別に振り分けていきました。実際にこうやって試していくと、共感覚というか、みんなが気持ちいいと感じる物がわかってきました。

――記憶の感覚を再現する研究のようですね。例えばゼリーだと、本物のゼリーを置いて触って、“突っつく系に採用”となる、と。実際に撮影してMVを作っているんですか?
そこが大事で、本物をカメラで撮った方が面白いということが段々分かってきたんです。CGだとどうしても‟触った感じ”が出ない。実写だと触ってないのに触ってる感じがするんです。最終的にはCGも使っていますが、CGだと触った質感の記憶が無いから、触った感じが薄くなってしまい、ただ画面を触っている感じになっちゃうんです。ゼリーだったら、カメラが指の視点で、ゼリーにズームされて、ぷるるんってなると記憶が呼び覚まされるから、触っている感じがする。ドミノも、実写でリアルな物質だからこそ、指が触れたときに実際に触ったかのように錯覚するんです。

僕たちもこういうことを自分たちで繰り返し試して、学習しながら作っていったんです。編集のタイミングでも試行錯誤は続くんですが、“どのくらいのズームにする?どのくらいのスクロールスピードだと反応が合うか?フルスクリーンとタブレットで視聴する前提でのサイズ感は?”といった風に。だいたい14インチから16インチくらいのスクリーンで見ると、実寸の指サイズで体感出来るように作っています。特に“手”が出てくるシーンは、なるべく実物大を意識しました。

――実際に指を置いて視聴していくと、自分の体験の感覚が変化していくのが面白かったです。どんどんはまっていくような感じと言いますか。
シンプルに分かりやすいものからはじまって、だんだん気持ちが登っていくという感情のカーブを描けるように、順番を考えています。それも実際やってみての、僕らの感覚値がベースになっているんです。パチンコから宇宙までは一連の流れで繋げようとか。似たようなものが続かないようにしようといったことも意識して、面白そうなシークエンスが出来たら、さらにそれらを並び替えるというのを、撮影前と後にやっています。

オープニングはわかりやすく、“風船が割れる体験”にして、瞬時にこのビデオの趣旨を理解してもらい、徐々に徐々に(体験を)複雑にしながら、後半ではユニコーンや魔法系で世界観を出す。ブラインドネタとか、僕らの中で‟星3つネタ”というのがあって、それらを適度に散らして、気持ちがダレるのを防いだりしてます。

■LOGANとの共作で目指すのはグラフィカルでポップな世界

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——今回はLOGANとの共同ディレクション&制作というカタチをとっています。アートディレクションにもアメリカンなセンスが光る良いコラボレーションだったのではないでしょうか?
“ポップな世界観”でアメリカっぽいところを狙いました。ニューヨークで撮影しているし、R&Bだからこれまでよりもアメリカ感を意識しています。曲のポップなイメージにも合っていましたよね。色のコントラストをはっきりさせると、触るものが明確になって、疑似体験も一層効果的になるんじゃないかという想像のもと、こうしている部分もあります。色味は、ポップだけど流行の80年代っぽいニュアンスを取り入れた世界観で、LOGANに所属するアートディレクター兼ディレクターのKenji Yamashita(ケンジ・ヤマシタ)さんとディスカッションしながら決めていきました。

「肌を緑に塗っちゃおう」といったアイデアを出してくれたり、MVの世界観に合うラジカセ等の小道具を揃えてくれたり。ケンジさんのアートディレクターとしての感性が、本作の世界観を作るのにすごく貢献してくれました。そもそもケンジさんは日本人だし、安室奈美恵というアーティストをよく知っていたのも大きかった。LOGANも、海外の映像プロダクションにもかかわらず、日本のプロダクション並みに頑張ってくれる、アメリカでは珍しく素晴らしいチームでした。

LOGANのオフィスで、3日徹夜してチクチク撮影していったんですが・・・LOGANの受付の方が出演してくれたり、PARTY NYメンバーも総動員で取り組みました。DIYでスタッフ一同わいわいやりながら作っていった楽しさが、出来上がった作品からもにじみ出ている気がします。

■1年を迎えたPARTY NYのこれからのビジョン

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PARTY NYのオフィスには、それぞれがアーティストとしても1本立ちできる優秀なメンバーが集う!
――PARTY NYは設立から1年を迎えますね。クリエイターとして、また経営者としても上手くやっていく秘訣ってなんでしょう?
正直、経営は未だによくわからないですし、僕のような作る方が好きな人間には、経営者としての仕事を完璧にこなすのは無理だと思ってます(笑)。とはいえ、やらなくてはいけないので。それを前提に言うとすれば、“焦らない”ってことじゃないでしょうか。幸せのバランスをどこに置くかを考えて、それを共有出来るチームを作り、みんなで成長していく。

幸いPARTY NYは1人1人がそれぞれアーティストとしてもやっていけるような優秀なメンバーの集まりだから、そういう意識共有が出来ています。その価値観の共有が思った以上に重要で、それをかぎつけて集まったメンツなんです。本当に手を動かしてモノを作りたいという人種は、すごく才能があっても大企業(特に代理店など実際にはモノを作らない企業)では、居場所が無いと感じたりするものなんです。そういう人にはこちらから声をかけることもあるけど、だいたいは集まってきてくれるんです。中には手紙をくれた人もいました。メールではなくて手紙(笑)。素晴らしいですよね。そういう人が自然と引き寄せられる場になってきているのがとても嬉しいです。

目標としては、スタッフみんなが、クリエイターとして‟粒だつ”ように成長していきたいと思っています。今はスタートアップした張本人の僕と(清水)幹太さんが仕事を持ってきているけれど、残りの5名それぞれが同じように動いていけるようになれば、最強じゃないですか。あとは、今まさにPARTY NYのプロダクト開発にも力を入れています。例えばキックスターターでファンドを募集して「Disco Dog」という犬用のLEDベストを作っています。

――「Golden Touch」にも登場している犬用のベストですね!
そうそう。あれはまだプロトタイプなんです。受託仕事では、話の分かるクリエイターやクライアントと協業しない限り、良いものを作ることが出来る可能性は最初からすごく少ない。それよりも、自分たちの作りたいものを作っちゃって、後から資金を探してスケールした方が、面白い作品を作るために効率が良いはず。まぁ、まだ1年目です。試行錯誤は続きますし、ここを乗り越えることが出来れば、本当に新しいチームの形になれると思います。

そもそも僕らは、海外で仕事をしているし広告業にも携わっているけど、‟グローバルネットワークエージェンシー”をはじめから目標にはしていません。何百人の大企業になって数億稼ぐようなことではなく、10名程度のスタッフがちゃんと幸せになれればいいんです。PARTY NYでは、その辺の意識共有に重きを置いてます。“従来の考え方”とか“間違った安定志向”とかは、腐ったミカンみたいなもので、すぐに伝染していくから気をつけなくちゃいけません。

“PARTY NYは広告代理店だね”って思われたら終わりだと、僕は思っています。僕らはそうじゃない、得体のしれない“PARTY NY”という存在でありたい。そういう考え方の延長では、ビジネス的に大きくはならないかもしれないけれど、実験的な試みをし続けて、常に特定の需要のある、謎な存在でいたいと思っています。

■ 5つの質問 一問一答
1: 一番影響を受けたものを教えて下さい
佐藤雅彦
2: この職に就いたきっかけは?
モノを作って食べていきたいと思ったから
3: 一番好きな映画は何ですか?
MAD MAX: FURY ROAD
4: オススメのレストラン or バーを教えて下さい
たて森
5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
ゲーム・オブ・スローンズ

The Shoes「Feed The Ghost」
dir: Dent De Cuir|prod co: CAVIAR
動画と併せて、手元のスマホで音楽を‟観て楽しむ”時代となった。先日ご紹介したBURNOUT SYNDROMES のMV(ミュージックビデオ)「文學少女」や、ノルウェーのエレクトロ・デュオ、Röyksopp(ロイクソップ)の「Running To The Sea」をはじめ、昨今、リリックビデオに注目が集まっている。リリックビデオは従来のMVと異なり、全編にわたって曲と連動した歌詞がメインビジュアルとなっている。今回は、ロックの高揚感とダンスミュージックの陶酔感を兼ね備えたフレンチエレクトロ・デュオ The Shoes(ザ・シューズ)の、シンプルなアイデアに捻りの効いたリリックビデオをご紹介!

本作「Feed The Ghost」は、パソコンのディスプレイ、テキストエディット上で、ザ・シューズの軽快なラップに合わせて歌詞が次々と表示される。黒文字の歌詞を選択すると反転し、背景に白文字の歌詞が浮かび上がるという仕掛けが施される。歌唱パートに分けられた「Verse3」「CHORUS2 Voice2」など、曲のパートごとにタイトル付けされたテキストエディットのファイルが立ち上がり、さまざまなメッセージを伝えていく。

本作を手掛けたのは、Jean-Philippe Chartrand(ジャン=フィリップ・シャルトラン)とBenjamin Mege(ベンジャミン・メージュ)の2人からなるディレクターズ・デュオDent De Cuir(ドン・ドゥ・キュイール)。パリとモントリオールを拠点に、MVやインタラクティブプロジェクトに取り組む。2014年、情事に耽る男女の肢体に野生動物をクロマキー合成して作ったMV「She’s Bad」で、UK Music Video Awards 2014など数々の広告賞に受賞・ノミネート!世界で注目される気鋭のディレクターコンビだ。

パソコンのディスプレイをデザインに取り入れて表現した本作は、ドン・ドゥ・キュイールが手がけたModeselektor(モードセレクター)のMV「Evil Twin」との共通点も多々見受けられる。 サルのお面と全身タイツを装着した2人組の、コミカルなやりとりを収めた複数の動画をQuickTimeで再生、ウィンドウのレイアウトによって成立させるアイデアが光る、マルチスクリーンMVだ。いずれにもドン・ドゥ・キュイールならではの、ストーリーの面白さや高度な合成技術が詰め込まれている。

■ゲームの戦場で弾き語り!?

Darwin Deez「Kill Your Attitude」
dir/de: Dent De Cuir|pr: Ore Okonedo|CG ani/VFX/ed: Ruffian Post
こちらはドン・ドゥ・キュイールが監督を務める最新作。ニューヨークを拠点に活動するシンガー・ソングライターDarwin Deez(ダーウィン・ディーズ)のMV「Kill Your Attitude」だ。テンポ良く映し出される舞台は、CGで作られたゲームの中の戦場。戦車の脇、ジャングルの中、空爆の下など所構わず歌うディーズを特殊部隊が急襲!FPS(ファースト・パーソン・シューティングゲーム)視点で映し出されるクールな本作もあわせて、‟ドン・ドゥ・キュイール的世界”を堪能してほしい!
MIKA「Good Guys」
dir: KT Auleta|cho: I COULD NEVER BE A DANCER|prod co: Sally Llewellyn, Caviar London
LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の活動シンボルとして知られているレインボーアイコン。国連邦最高裁判所で同性婚を憲法上認めるとの判決が下ったのをきっかけに、Facebookのプロフィール写真をレインボーに変える人が多くみられるようになった。本日ご紹介するMV(ミュージックビデオ)も、そんな時流を感じさせる一作だ。

ハイトーンボイスと華やかなポップチューンが魅力のシンガーソングライター、MIKA(ミーカ)こと、Michael Hlbrook Penniman, Jr.(マイケル・ホルブルック・ペンニマン・ジュニア)は、自身をバイセクシャルとカミングアウトしており、最新作「Good Guys」でも同性愛者について赤裸々に語っている。本作は、6月17日に日本発売したばかりの最新アルバム「No Place in Heaven」からの楽曲で、実に2年半ぶりの作品となる。

数人のダンサーとともに踊りながら歌う、舞台のような演出の本作は、シンプルでありながらもメッセージ性の強い内容。中でも、James Dean(ジェームズ・ディーン)や詩人のWalt Whitman(ウォルト・ホイットマン)といった、同性愛者のアイコンとも言える有名人の名前を挙げ、自分をインスパイアしてくれたことへの敬意を示した箇所が印象的だ。出演しているダンサーたちは同性愛者を表しているようで、ミーカが彼らにインスパイアされたことを象徴するように、彼を一歩一歩前進させてゆく。

本作の振付を担当したのは、Olivier Casamayou(オリビエ・カサマヨウ)とCarine Charaire(カリン・シャレール)によるパリのコレオグラファーデュオ、I COULD NEVER BE A DANCER。ダンスをキーエレメントとして、ファッションや音楽、広告といった様々な分野で活動し、演出も手がける比類なき2人組。Willy Moon「Yeah Yeah」といったMVの他、化粧品ブランドL’Oréal「Studio Line Hot – Barbara Palvin」から、Google Android watch「Wear what you want」や航空会社Air France「Safety Demonstration」など多様なジャンルを手がけていて、彼らの世界観はブランドを選ばない。

Will Young「Thank You」
dir: Nick Bartleet|cho: I COULD NEVER BE A DANCER|prod co: Phoebe Lloyd, Kode Media, London
I COULD NEVER BE A DANCERの最新作。
「Good Guys」の監督は、ニューヨークを拠点に活動しているKT Auleta(ケイティ・アウレタ)。主にファッションフォトグラファーとして活躍しており、VogueやDazed & Confusedといったファッション雑誌を中心に撮影。2010年より、かねてより挑戦しようとしていた映像の世界に踏み出し、ショートフィルム「RUNAROUND」で、フィルムディレクターとしてのキャリアを積みはじめた。今では写真の世界で培った経験と映像を融合し、Louis Vuitton「Men’s and Women’s 2013 Sunglasses Film」などのハイブランドから、SEPHORA「Lipstick」やユニクロ「Dress」といった日本ブランドのCMも制作するなど、グローバルに活躍する。

MIKA「Talk About You」
dir: KT Auleta
本作も最新アルバム「No Place In Heaven」に収録されており、アウレタ氏が監督してる。
レバノン出身のミーカ。幼少期に内乱が再燃し、国外退去せざるを得なく、パリへ移住。その後、父親がクウェートのアメリカ大使館に人質として監禁される事態に見舞われると、今度はイギリスの助けを得るため、ロンドンへ移住。学校ではイジメにも遭い、読み書きに不自由さを抱えてしまう難読症にも苦しんだ。そんな激動の子ども時代を過ごしたミーカだが、オペラ声楽に出会ってから音楽に目覚め、救われたそうだ。

「Good Guys」の歌詞の中には、「ドリアン・グレイの肖像」や「サロメ」といった作品で有名なアイルランド人劇作家Osar Wild(オスカー・ワイルド)の一文がそのまま引用されている。“We are all in the gutter but some of us are looking at the stars(僕たちはみんなどん底にいる。でも、星を見上げているヤツだっているんだ)”

自身の過去やアイデンティティーを等身大で表現した歌詞と、ダンスのみの表現。小細工なしのMVはミーカの真骨頂なのかもしれない。