柴田剛監督&主演の石井モタコ登場!狂った世界に立ち向かうバカを描く 映画「堀川中立売」

2010.11.16 Tue

 

 

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映画「堀川中立売」より (C)2010 SHIMA FILMS
陰陽師・安倍晴明を祀った神社を近くにのぞむ京都の街の交差点、通称"堀川中立売"。映画「堀川中立売」でここは、現世にうずまく人の悪意と、その悪意をしずめるべく現れた陰陽師、式神たちが交錯する場所となる。そこでは"メシ食って屁こいてクソして寝てろっつうだけのバカ"が、狂った世界に立ち向かうパラレル・ワールドのヒーローだ。そして荒唐無稽なこの映画は、neco眠るをはじめ10組に及ぶ気鋭ミュージシャンたちの音楽を道連れに、幕切れへと向かって爆走を始める・・・世界各地の映画祭にも出品された「おそいひと」に続き、シマフィルム企画・製作のもと本作を監督したのは、柴田剛氏。ここでは、壮絶なパフォーマンスとともに'00年代大阪の音楽シーンで異彩を放ってきたオシリペンペンズ(新作アルバム「NEW ME」が12月に予定されている)のヴォーカリストで、主役となる信介役をつとめた石井モタコ氏をまじえて話を聞いた。

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左:石井モタコ(オリシペンペンズ)|右:柴田剛監督
柴田剛プロフィール:映画監督。1975年生まれ。99年、大阪芸大卒業制作で「NN- 891102」を制作。世界の映画人を刮目させ、一躍異端的映画作家の系譜の最右翼に躍り出る事となった。続く「おそいひと」は、実際の重度身体障害者・住田雅清が自身の役柄を演じ、連続殺人事件を起こしてゆくという日常に潜むタブーに斬り込み多くの観客の共感を生んだ一方国内外で賛否両論を巻き起こす。09年新たな表現活動のため京都へ移住。
――柴田さんがモタコさんを知ったきっかけは?
柴田剛(以下S):ライヴハウスのスタッフをしていた友人から「オモロいバンドが出てきよったで」って聞いたのがオシリペンペンズ。ステージング見たら、天井にゲロ吐いてるわ、マイクでアタマをずっとドツいてるわ、すげえなと。

――初対面は大阪ミナミのバーだったそうですが。
S:その時は京都でこの映画を撮るってこと自体がまだ決まってなかった頃で。仲良かったバーの店長からモタコが働いてるって聞いて。初対面で酔いにまかせて話をしていくうちに「映画に出て欲しい」っていう。モタコは本気にしてくれてなかったみたいですけど。

石井モタコ(以下I):(バーに)フラッと来て「映画出てくれ」って言われても、いろんなウソやら変態が交錯する場所やから、その一つとして。そっから一年ぐらい会わなかったから、そういう人やなと(笑)。

――柴田さんはその間どんな活動を? やっぱり資金集めとか?
S:もちろんそうですね。あとは上映活動。映画を自分の手で公開をしていくので、全国の映画館に連絡をしたりしてました。

――それがモタコさんに正式な出演のオファーに至ったのはいつですか?
S:脚本でその人をあて書きする場合と、キャラクターを造形してやっていくパターンがあって、今回は前者に近いんですけど、頼んだのはクランクインの一ヶ月ちょい前、しかも脚本もできてなかった。

I:それも梅田のライヴハウスで、友達のライヴ観に行ったときに便所の前で言われたから、また虚言ではないだろうかと(笑)。でも目が真剣だったから、一も二もよくわからないままに。俺ハッタリばっかで生きてきたんですよ、今まで。だからなんとかなるやろと。

S:「ジャッキー・チェンが好きだって言ってたよね? カンフーできるかもしれない」って誘って……あ、違う、「カンフーないんすか?」って言われたんだ(笑)。

I:あっ、「アクションやったら出ますよ」ってことを言ったんですね…でもね、カンフーたしかに映画でもやってるんすけど、まるで大したことないんですよ(一同笑)。ま、けどそこは監督がうまいこと撮ってくれてましたね。

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映画「堀川中立売」より (C)2010 SHIMA FILMS
――ははは。撮影はどのように進めていきましたか?
S:今回は何しちゃダメっていう制約もなかったし、全くノープランで始めました。京都に初めて来たドキドキが、そこに住むようになって薄れるか薄れないかの瞬間に、感情とか珍しげに映ってる堀川中立売をすくいとろうっていう。そうすると、ホームレスとかヒモとか、僕の住んでた大阪や東京で見てきたものが自然と入ってきた。それを間引きしないで全部受け入れたのが今回のプロジェクトかな。

――京都という街を舞台にする上で念頭に置いたことは?
S:京都はロケーションに恵まれてるけど、ザ・京都みたいなのは撮りたくなかった。照明担いで堀川中立売を昼間ぶらっと散歩しながら、外側からじゃ全くわかんないような町並みや路地を発見しながら、その場で撮っていくっていう。

――冒頭のシークエンスからもその一端はうかがえますよね。陰陽道を題材の一つとしたのには理由が?
S:荒俣宏さん原作の映画「帝都物語」が大好きで、そこに出てくる主人公の加藤に影響受けすぎて中2のときは手に星のマークつけてたぐらい。だから日本映画といえば「帝都物語」の加藤っていうのが自分の中にあって。

I:でも全然違いますよね(笑)。

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映画「堀川中立売」より (C)2010 SHIMA FILMS
――陰陽道はともかく、狂った世界に相対していくという点において、「おそいひと」といわばコインの表裏にある話だと思いました。この表現がいいのかわかりませんが、社会的な弱者が主人公という点でも相通じてるし。
S:僕は正直そういう話は嫌なんですけど、かたや世の中でイケてる奴らが演じる芝居も嫌い。「セックス&ザ・シティ」とかも見ちゃうんだけど、腹立たしく思いながら観ているし。それに僕もプロデューサーも脚本の相方も、カッコよく言うと虐げられた人種で、普通にいったらチョケた奴らだから、やっぱ今いる自分の等身大のところでモノ見ていくのが習性で身についちゃってるのかも。それに、使い古された言い方ではありますけど、映画って弱者とかマイノリティ、ダメな人間がフレームの中で光りますよね。デヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド」とかもそうですし。

――モタコさんの役柄も、ちっとも働かないヒモっていうまさにダメな人っていう。監督から見て役者のモタコさんはどうだったんですか?
S:クランクインに一抹の不安はあったんですけど、モタコが雨上がりの夜の街を歩いて星を見るシーンのちょっとした秒数で撮影監督が「うわ、降りてきた」って。本人は立って星見てるだけですよね。でも、僕ら側からするとこの映画がそれでわかった。「あ、信介いる」って。 設定どうこうじゃなく、そこにその人が立ってるだけで成立することが大事なんです。

――モタコさんも特に役作りは・・・。
I:ないですね。実はこの撮影中、実生活でテンパりまくってて、心はだいぶ穏やかじゃなかったっていうのが思い出。撮影の時は家もなくて、まさにこの映画のヒモをやらせてもらったっていうか。撮影終わった後の俺の未来はホント暗黒やったから、ここで一つ夢を見てたのかもしれないです。

――劇中の穏やかなモタコさんからは想像もつかないですね。
I:スタッフと一緒に寝泊りして、撮影中に途中何回か抜け出してライヴして、またフラフラでもうろうとしながら帰ってくるとか、毎日いろんなことありすぎました。

――映画そのものに話を戻せば、本作と音楽は切り離せない関係にありますよね。
S:音楽については、一回編集マンにも投げて、彼も彼で(曲を)セレクトしてもらった。ミュージシャンもそれぞれいろんなことやってくるから、まさにそれも、読めない地名の場所に初めて着いて、これから数ヶ月住むとなったときのドキドキ感で映像をつなげていく作業に近い。撮影してきた素材を編集して、そこに音楽を乗せるときにまた変化も生まれるんですよね。

――話が一気に動き出すクライマックスのカタルシスも音楽と一つになって生まれてるもので。
S:そこは10代、20代で自分が酒を浴びるように飲んで音楽を聴くような感覚で映画を観てた経験が反映してる。だからこういう作り方になってるし、今までの作品振り返ってもずっと同じですね。

――この映画にもグルーヴがあると思います。乱暴な言い方だけど、大詰めへと至る中でこの作品が見せる、ある意味どこへも回収されないモヤモヤとしたエピソードの連なりも、全てはクライマックスのためにあって、それがあるからこそ最後の飛躍が大きいわけで。
S:ホントはもっといろんなシーンがあって、もっとグダグダやりたかったんですけどね(笑)。

――改めてこの「堀川中立売」について、あるいは今後についてなどそれぞれ一言いただけますか?
S:たとえ映画館でなくても自分でプロジェクター持って、いろんな地方で上映していけるようにしたいっていう態度はバンドと一緒。映画は記録媒体だけど、生モノにしていきたいっていう思いもあります。

I:これからはAV男優として頑張っていきます。

一同:爆笑

■特製前売りチケットプレゼント!!
white-screen.jp読者に「堀川中立売」のスタッフによる手作りの前売券「おふだチケット」を5組10名様にプレゼントします。ご希望の方は、コンタクトフォームより希望商品名と名前・住所・電話番号を明記してどしどしご応募下さい ※プレゼントの応募は終了いたしました。ご応募ありがとうございました。

・取材/文:一ノ木 裕之

堀川中立売
2010年11月20日(土)よりポレポレ東中野、吉祥寺バウスシアター他各地劇場にて公開
2010年|HD|カラー|123分45秒
製作総指揮:志摩敏樹
監督・脚本:柴田剛
脚本:松永後彦
撮影:高木風太
キャスト:石井モタコ(オリシペンペンズ)、山本剛史、野口雄介
音楽:森雄大、neco眠る、あらかじめ決められた恋人たちへ、SUPERDUMB、DEADPHONE他
製作:シマフィルム
5つの質問 一問一答
Question 1: 影響を受けたものを教えてください
柴田:イヤラシイ身体
石井:映画
Question 2: この職に就いたきっかけは?
柴田:電気屋のTVから
石井:キャプテン・センシブル(ダムド)がウェイトレスの格好をしている写真
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
柴田:ホーリー・マウンテン
石井:ドン松五郎の大冒険
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
柴田:Pen、台本、たばこ
石井:Lipクリーム、お酒
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
柴田:昔の友人と久々に東京で話すこと(東京散歩)
石井:Labelの作業
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