スキージャンプ・ペアの真島ワールドが競馬アニメでカムバック!「JAPAN WORLD CUP」

2010.08.30 Mon

 

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真島理一郎:映像作家、アニメーション監督。1972年10月22日生まれ。佐賀出身、東京都在住。IDIOTS代表。
スキージャンプ・ペア」や「東京オンリーピック」など、スポーツの熱狂をシュールに描くコメディ作品で日本国民の腹をよじらせる真島理一郎氏。2010年夏、世界が猛暑でうなだれる中、彼の新作 「CINEMA KEIBA / JAPAN WORLD CUP(以下シネマ競馬)」が登場した!今回のテーマはなんと競馬。東京競馬場を舞台に、1着の賞金が10億円という架空の競馬版ワールドカップ「JAPAN WORLD CUP」の白熱のレースを描く。抱腹絶倒のビッグマッチの裏側を真島監督が語る!

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「CINEMA KEIBA / JAPAN WORLD CUP」:2010年7月に一部の映画館にて本編前に上映された競馬のプロモーション映像。映画館では来場者に出走馬の詳細と単勝馬券が記載されているパ ンフレットを配布。馬券に記載された馬が勝利すると、全映像が収録されたDVDがもらえるというプロジェクト。同内容のWebサイトも公開中。次回劇場公開は10月末から再開される。
青空の美しい東京競馬場に集合するのは、ガーターベルト着用、キリン、牛など常識を遥かに越えた競走馬たち。真島氏の狙いは”普段競馬をやらない人に興味を持ってもらう”こと。

「競馬中継のフォーマットを使って、スキージャンプと同じノリでやらせてもらいました。かなり自由に発想したんですが、クライアントからアイデアにNGが出ることはそんなに多くはありませんでした。唯一”ナリタ、トウカイなど登録されている馬の名前は使わないこと”、”落馬はさせないこと”という条件があったくらいです。馬から落ちて倒れるところは見せずに、馬と騎手が画面の外に飛んでいくなどのギミックを使っています。競馬を好き勝手いじって遊びながらも、競馬ファンを不愉快にさせることは避けたいと思って制作しました」

真島監督自身は競馬の経験がほとんど無かったので、競馬場に取材に行ったり本を読むことで研究を重ね、8頭の個性あふれる競争馬を生み出した。これらの馬は騎手のプロフィールから親の名前まで細かい設定がなされている。

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個性あふれる競争馬たち
1.ギンシャリボーイ(日本)
本物のレース馬を創りたいという思いから生まれた馬だが、ゴールは二足歩行のスシウォーク(欽ちゃん走り)。最初に考えた”ハラキリボーイ”という名前はさすがに縁起が悪いということでNGになり、茂木氏のアイデアでギンシャリボーイに落ち着く。立ちあがってゴールするのは”お米が立つ”とかけたダブルミーニング。騎手には実在の騎手、松岡正海氏を起用した。

2.ピンクフェロモン(フランス)
フランスが生んだ、世界最強牝馬。騎手はモデルとしても活躍する美女。真島監督が女性に敬意を表したキャラクターだという。最初のアイデアは騎手が全裸になってのゴール(モザイク入り)だったが、さすがに映画館で子供の目にもとまるということでNGとなった。

3.「チョクセンバンチョー」(日本)
豊かなタテガミを昔ながらのリーゼントスタイルでキメた暴れ馬。暴走族あがりの異色ジョッキー反川キメジが、自ら考案したハンドル型手綱で蛇行走行をキメる。昔から独特の美的センスを持つヤンキー文化に深い関心を持つ真島監督がどうしても入れたかったキャラクター。ちなみに本物の競走馬の名前は9文字までという規則があり、チョクセンバンチョーは字余り。

4.「ハリウッドリムジン」(アメリカ)
アメリカからの最強刺客。サラブレッドは早く走ることを目的に交配された究極の馬。このような交配で、一歩間違えるとダックスフントのような馬ができてしまう世界もありえたかも?というアイデアから生まれた。父馬の名前”ギブメルソン”は、真島監督が敬愛するメル・ギブソンから。ちなみに真島監督はハリウッド資本で狂ったことをやっているスティーブン・スピルバーグ、ポール・バーホーベン、メル・ギブソン、の3監督がお気に入り。

5.「バーニングビーフ」(スペイン)
どうみても牛にしか見えないが、長く愛されているため突っ込む観客はいない。あくまでツノの生えた珍しいタイプ(ブルホーン種)の馬と言い張る。真島監督は「分かりやすいベタな笑いを入れたかった」と語る。走りながらの乳搾りもお気に入りシーン。

6.「サバンナストライプ」(ケニア)
21世紀枠として採用されたシマウマタイプのサラブレッド。騎手のムワイ・サンコンは追い上げ時にムチを打つかわりに馬上で様々なパフォーマンスを繰り出す。「この馬も、出オチの1つですが、馬よりも騎手の動きに焦点を当てるキャラクターを1つ作りたかった」とのこと。

7.「ジラフ」(イギリス)
一部では”身体をペンキで茶色く塗ったキリンではないか?”という疑問が出ているが、あくまで首の長いハイネック種。競馬が盛んなイギリスの代表ということで、世界最強馬という設定。「長い名前が多い競走馬の中で、たまにみかける短い名前にカッコ良さを感じていて、1つはどうしても短い名前をつけたかった」という理由で、あえてそのまま”ジラフ”=キリンという名に。

8.「ハリボテエレジー」(日本)
どうみても中に人が入っているハリボテにしか見えないが、あくまで普通の競走馬。いまだにレースで勝利したことがないが、なぜかGIに出馬した。シネマ競馬のファンの間では圧倒的人気を誇っており、ニコニコ動画でも一番人気となっている。

ちなみに、真島監督はハリウッドリムジンとピンクフェロモンが、茂木氏はチョクセンバンチョーがお気に入りだそう。

■目指すのは、違和感のない映像
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「向こう正面のコースを走る時は腰を高く、最後の直線は腰をかがめるなど、騎手の動きも違和感のないように研究しました」(真島監督)
制作期間は約二ヶ月。「東京オンリーピック」に引き続いてジーニーズアニメーションスタジオがCG制作を担当し、タイのCGプロダクションIMAGIMAXも制作に参加。笑いを巻き起こす映像を創るため、徹底してディテールにこだわる真島監督は、実作業を行うタイのスタッフに対し、ギンシャリボーイがゴール時に欽ちゃん走りをするシーンやサンコン騎手の細かい動きなど、自らデモンストレーションし、それをムービーで撮影して指示を出したという。

「僕がいつも意識しているのは、リアルな映像ではなく違和感のない映像です。今回の制作において、それなりに研究してサラブレッドの走りを創っていったんですが、なぜか違和感が残るんです。足を出すタイミングを必死に直したのですが、それでもダメ。そこでJRAさんに見ていただいたら、”これは頭の動きが違うんだよ”、とすぐに指摘され、修正したら”あ、馬だ”と実感できる映像になったんですよ。ほんとうに少しの違いでしたが、僕らは足しか見ていなかったんですね。さすが馬のプロ!と唸りました」

“違和感のない映像”の例えとして、真島監督はピクサー社の作品を挙げる。「僕はCGが嫌いだと半分冗談、半分本気で公言しているんですが(笑)、もちろん良く出来たCGを見るのは好きです。技術の凄さで唸らせる作品もたくさんありますが、ただどうしてもその技術が鼻につく時が多いのです。そんな中、唯一と言っていいくらい好きなのがピクサーのCG。ピクサー作品って鑑賞する時はCGということを忘れて、ドラマとして感情移入していますよね。それは細かい動きや仕草に違和感が全く無いからです。彼らの作品を見てリアルだと思うことはありませんが、違和感を感じることはありません。もちろんピクサーのCGは最強の技術力で違和感をなくしているわけですが、技術力をあまり求めない自分のラフなCG作品でも、手は抜きつつ、出来るだけ違和感はなくしたいと心がけています」

■妥協なきディテールの創り込み
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Webサイトの制作は、ハイクオリティのWebサイト制作で定評のあるAID-DCC
一環して面白いコンテンツをつくり続けている真島監督。その秘訣は、妥協なきディテールの創り込みにある。シネマ競馬で配布されたパンフレットも、馬のプロフィールから馬主、そして架空の騎手へのインタビューまで網羅した内容だ。

「SFにおいて、大嘘をつくためには細部に嘘をつかず忠実に造らなければならない、と言われますが、とにかくディテールを考えるのが好きなんです。例えば胴体が長い馬を思いついたら、長くなった原因をひたすら膨らませて想像します」

今回も、真島監督のシュールな映像世界と大学の同級生である茂木淳一氏の実況が絶妙のコンビネーションとなり、さらなる笑いを生み出している。自由な内容の実況はまるでアドリブのようだが、実は綿密に考えられたもの。このコンビの作品制作においては、まず真島監督がプロットを書き、それを茂木氏が絶妙の言い回しにアレンジしながら二人で作り込んでいく方法をとる。1つのレースを創るのに半日以上、1分のナレーションを考えるのに8時間以上かかることもあった。

「茂木は学生時代から圧倒的におかしかった。唯一この人には敵わないと思いました。それ以来、ずっと彼のファンなんです(笑)。僕はどちらかというと正統派で、学生時代から出されたお題をどう面白く見せるかアイデア勝負するタイプ。でも茂木はお題自体をぶっ壊してものすごい作品を作ってしまう人。僕のアイデアに彼が入ることで世界が何倍にも広がると思っています。「スキージャンプペア」の時に驚いたのは、”カウリスマキ兄弟”のオレンジ色のユニフォームでくり出す技が、パンに見えたらしく”こいつらパン屋だ”と言い張ったこと。それでそこのパン屋で出されるのは堅いパンだろう、とかパンの中身はトナカイクリームだろう、とかおかしなアイデアが広がって、作品に反映されていくんですよね」

このシネマ競馬はニコニコ動画でも話題を集めた。ニコニコ動画といえば弾幕のような視聴者コメントで知られているが、真面目な顔でとぼける真島作品とニコニコ視聴者の容赦無いツッコミは一種の新しいコラボレーションとも言える内容。そしてこのツッコミが、真島監督に新しい刺激を与えたという。

「皆いいツッコミするなと思って、ゲラゲラ笑って見ました(笑)。自分の作品をこんなに客観的に見られたことは今までなかったです。作家からすると、完成すると自分の作品を笑って見られないんですよ。絵コンテの段階では”これはくだらない!”と笑いながら作っているんですが、紆余曲折を経ていろんな目で見ちゃいますから、だんだん麻痺してきて何が面白いか判らなくなってきます。映画館で流れる時も、周りの人が笑わなかったらどうしよう、なんてドキドキしちゃって見ていられないもので。でも、ニコニコ動画では、みんながくだらないコメントで作品をさらに面白くしてくれていて、まるで他人の作品見ているみたいに笑って見れましたね」

シネマ競馬も出来る事ならもう少し続けてみたいという真島監督。 現在、年末に向け別のプロモ作品やiPhoneアプリのリリースも予定しているという。ぜひWebサイトからシネマ競馬を楽しんでみよう。

5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください
佐賀の田舎(小学校時代の全て)
Question 2: この職に就いたきっかけは?
怒られなさそうだから
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
不思議惑星キン・ザ・ザ デヴィッド・リンチ 全作品
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
紙、ペン、ティッシュ
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
江頭2:50さんは今も昔も最強です。人間国宝です。
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