After Effectsと3Dのコラボワーク!噂のCINEMA 4D R11.5

2010.05.27 Thu

 

 

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高野光太郎氏(左)と木村康次氏(右) 木村氏プロフィール:1978年生まれ。モーショングラフィックデザイナー。2004年よりStudio DUのスタッフとして撮影やプロジェクター周辺のテクニカルワークフローを学びながらフリーとしてミュージックビデオやエキシビジョン映像のモーショングラフィックデザインを制作している。
一眼レフHD動画カメラや実写の加工を駆使して評価の高いミュージックビデオ(MV)やテレビ番組を制作している高野光太郎氏。映像作品のディレクションやモーショングラフィックスパートの映像制作を担当するなど、さまざまな映像制作のシーンで活躍するフリーランスの映像クリエイターである。取材にお邪魔した時は、6月22日に発売するミクスチャーロックバンド「Dragon Ash」のシングル「AMBITIOUS」に付属する初回限定盤DVDのモーショングラフィックスパートの制作を終えたばかり。一息つく間もなく、6月19日にさいたまアリーナで行われる「2010 FIFAワールドカップ フェス スーパーパブリックビューイング」で流れるDragon Ashのライブ用立体視の映像制作に取りかかり始めたところだった。そんなお忙しい最中、東京・世田谷の制作事務所で高野氏とともにDragon Ash関連の映像制作を手がけるモーショングラフィックスデザイナーの木村康次郎氏の2人に「AMBITIOUS」と「FIFAワールドカップ フェス スーパーパブリックビューイング」の映像制作について話をお伺いすることができた。

■CINEMA 4Dとの衝撃の出会い
まず、高野氏は常用ツールが増えたことから話を始めてくれた。3DCGソフトのCINEMA 4Dである。そもそも、「高野氏のような映像制作者に3DCGソフトが必要なのか?」ということを聞いてみると、「必要だ」と答える。

高野氏がメインで使用しているのはAfter Effectsで、3Dの機能として3Dレイヤーが搭載されているが、レイヤーに厚みの情報を持つことができない。またPhotoshopを経由して3DCGデータをライブPhotoshop3Dレイヤーとして読み込めるが、ライティングやテクスチャーなどを詰める事が出来ない。そのため、表現がどうしても安っぽくなってしまう。高野氏はこの問題をAfter Effectsの3Dタイトルロゴアニメーションプラグイン「ProAnimator」で解決し、3DCGは意地でもAfter Effects内でしか作らないかもしくは外注するとずっと心に決めていた。

しかし、そんな決心に転機が訪れたという。CINEMA 4Dがパーティクルをスピーディーに処理するYoutubeのデモ映像を見て、衝撃を受けたのだ。高野氏といえばAfter Effectsを連想するが、10年以上前はシリコングラフィックス社のO2上でSoftImage 3Dを使っていたり、LightWave 3Dや3ds Maxなど各種3DCGソフトを使い込んだ経験があり、パーティクルがどんなに重い処理なのかを知っている。その時の思い出とダブらせてこう語る。

「昔の3DCGソフトのパーティクルは負荷が高いので、計算結果として表示される黄色い軌跡の線があまり伸びず、いつまで経っても挙動が予測できませんでした。しかし、CINEMA 4DのデモをYoutubeで観たところ短時間に結果が分かることになっているのです。“どれだけ簡単にできるんだよ?”という感じで、この処理速度の速さには驚きました」(高野氏)

これまでMayaを使い、現在は高野氏とともにDragon Ash関連の制作をCINEMA 4Dで行っている木村氏もこう言う。

「今年の2月に東京・お茶の水の専門学校でプロダクションのCaviarやWOWが手がけた作品の紹介のセミナーが行われました。WOWさんの作品はてっきり、After EffectsのTrapcodeとかいろいろ駆使して作っているものだと思ってたら“これは全部CINEMA 4Dで制作した”とのこと。他の作品もCINEMA 4Dを使っていたことを知り、凄くショックを受けました」(木村氏)

■CINEMA 4Dならばシームレスに連携できる
中でも高野氏をCINEMA 4Dの購入に踏みきらせたのは、CINEMA 4DのカメラデータをAfter Effectsに読み込むことができることを知った瞬間だ。以前から、3ds MaxのカメラデータをAfter Effectsに読み込むと、空間のスケールが1,000%ぐらいの差で読み込まれてしまい、「どこに平面があるのかわからない」という状態になってしまっていた。3ds maxを使っているいろいろなユーザーに「どうしたら3ds maxのカメラをAfter Effectsに問題なく読み込めるか?」と尋ねても、いい回答は得られなかった。

ところが、CINEMA 4Dでは2001年にリリースされたCINEMA 4D R7の時点で影などのレイヤーなどレンダリングをした要素をCINEMA 4DからAfter Effectsへプロジェクトファイルとして書き出すことに対応。さらに2009年にリリースされたCINEMA 4D R11.5では、カメラ情報の読み込みや、ライト情報とオブジェクトの位置の情報までをAfter Effectsへ書き出せるほど親和性が高くなっている。出力のプリセットの名前も空間のスケールもピクセル値も全く一緒。ストレートにやり取りできる感じはストレスフリーで、明らかに他のソフトより連携作業がしやすくなっているというのだ。
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CINEMA 4D(左)とAfter Effectsの出力のプリセットの名前が全く一緒

この利点を利用した高野氏の使い方はこうだ。After Effectsでカメラを制御しようとすると、どうしてもカメラの操作がしづらい。そこで、CINEMA 4Dでカメラワークを作って、それをAfter Effectsへ持って行くという方法だ。

例えば、「FIFAワールドカップ フェス スーパーパブリックビューイング」の映像制作はAfter EffectsとCINEMA 4Dの並列作業的な使い方で制作していることを紹介してくれた。

MVの素材はノーマルで撮影された2D映像、ただしグリーンバックで撮影されているのため背景と分離可能とのこと。編集工程で2Dから3D変換するという。その作業をCINEMA 4DとAfter Effectsの組み合わせで行っているそうだ。現場でスチル撮影した写真データをテクスチャーにしてCINEMA 4Dで3次元化(ProjectionMan機能)を行い、カメラの動きまでをCINEMA 4Dで作成、その後After Effectsでコンポジット作業を行うのだが、ここがポイントで、CINEMA 4Dのカメラデータはもちろん、背景のレンダリングデータ、ガイド用のオブジェクト位置データなど格納したAfter Effectsプロジェクトとして書き出せるのだ。このシームレスな連携に高野氏はすごく感動しているそうだ。

さらにフリーのプラグインを使用すれば、AfterEffectsカメラデータをCINEMA 4Dに持ち込めるそうで、アイデアのシミュレーションをAfterEffectsで繰り返す高野氏には、たまらない機能らしい。また3DCGが必要無い予定で、最初からAfterEffectsで作成したプロジェクトだったとしても、後からCINEMA 4Dへカメラのアニメーションデータを持ち込めば、3DCG作業へ移行する事も可能という訳だ!

また別の例として、安価で高性能なマッチムーブソフト「SynthEyes」もLightWave形式でCINEMA 4Dに読み込めば、空間のスケールからピクセル値まで問題ないところも確認済み。この点も気に入っているところだという。

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CINEMA 4D(上)とAfter Effects(下)

■簡単にモーショングラフィックスを実現できる「MoGraph」
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CINEMA 4Dの機能「MoGraph」 
続けて、After Effectsでできなかった演出も可能になったり、AfterEffectsでの作業より簡単にできることもあると語る。例えば、After Effectsでオブジェクトを破壊した瞬間のシーンの計算を始めるとシーンが静止したような演出はできないが、CINEMA 4Dは自由なところで止めることができ、タイムスライスのような演出も出来るという。

また、CINEMA 4Dにはモーショングラフィックス的な使い方をサポートする「MoGraph」と呼ばれる視覚効果群が多数用意されていることも付け加えた。大量のオブジェクトの制御や量、タイミングを調節できるモーショングラフィックスのインスタントな集合体のようなイメージの機能で、キーフレームを使うことなくいくつかの設定だけで3Dモーショングラフィックスが可能になるというものだ。

MoGraphの機能から一例として高野氏が挙げたのは「トレーサ」だ。軌跡のパスをスプライン化してくれる機能で、単純な板のアニメーションにトレーサを適用すれば、エッジの部分の軌跡がそのままラインの3D形状となる。もちろん、そのままのラインの形状ではかっこよくないので、パスの始点と終点の太さをグラフで調節してとがらせたりして、スタイリッシュなデザインに変更することも可能だ。

さらに、MoGraphは本体に統合されているので、他のさまざまな機能を組み合わせ、さらに編集できることも見逃せないところだ。

■CINEMA 4DはAfter Effectsのプラグインだ
「CINEMA 4DはAfter Effectsのプラグインのようなものです」(高野氏)

高野氏のCINEMA 4Dに対する立ち位置がすべてこの一言に表れている。3ds MaxやMaya、LightWave 3Dなどは「スタンドアローンの3DCGソフトを購入する」という感覚だが、CINEMA 4DはAfter Effectsのプラグインのような感覚のツールだという。3D StrokeをほしいためにTrapcodeを一式買ったのと同じように、3Dのトレーサがほしいと思えばCINEMA 4Dをプラグインの感覚で選べるという意味だ。

「いっそうのこと、CINEMA 4DがAfter Effectsの“エフェクト”メニューの中に入ってくれるといいんですけれどもね。ある程度のところまでCINEMA 4Dで作り、負荷の高いエフェクトはAfter Effectsに任せる。ということを考えると、まさしくプラグインのような感覚のようなソフトです」(高野氏)

高野氏の頭の中では3ds Max、Maya、LightWave 3D、CINEMA 4Dを並べて「どれを買う?」という考えはない。3DCGソフトの中でもCINEMA 4Dだけちょっと違うところにあるという。

「やれることはだいたいどの3DCGソフトも同じ。自分がメインとして使っているAfter Effectsにどれだけ近いかですね」(高野氏)

現在、高野氏と木村氏は「2010 FIFAワールドカップ フェス スーパーパブリックビューイング」で上映される立体視映像をCINEMA 4Dで制作中。引き続き、このイベントの立体視映像がどのような工程で作られているのかを具体的に紹介していく予定だ。

写真・文:和田 学(フリーエディター&ライター)

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