金融業界は、企業の中でも安定している企業と言われています。就職できれば成功したと言われた時代もあるでしょう。
しかし、近年では金融業界から転職したい人が増えています。「仕事がつらい」「人間関係が厳しい」と感じます。
本記事では、金融業界に就職したにも関わらず、体質が合わず辞めたいと感じる理由をまとめ、転職する際に考えるべきポイントを紹介します。
よくある金融業界から転職したい理由
金融機関の待遇は良く、給与も一般企業と比較すると高い傾向があります。しかし、主に人間関係のストレスから転職を志す人が増加しています。
以下には、金融業界で働く人が「やめたい」と感じる理由を紹介します。
1 上下関係が厳しい
デスクワークが中心の金融業界ですが、上下関係は厳密に守られ、「上司の言うことは絶対」の風潮があります。大金を扱う企業ですので、新入社員が自己判断できないのです。
プライベートまで上司が口出しする場合もあるようで、若者を中心に不満を抱える人が増加しています。
2 企業方針が納得できない
金融業界の利益は、基本的に融資で賄われています。そのため、企業方針により「売りたい商品」が存在します。
近年では、個人向け国債や積立式投資信託のような商品です。時代とともに金融業界が売りたい商品は変化し、一般の顧客に嬉しい商品を提供しています。
しかし、内部で働く人の中には納得できないまま会社方針に従い、ストレスを抱える場合もあります。
3 自分の時間がない
飲み会などは業務外の時間で行われますので、自分の時間を犠牲にして上司や取引先の機嫌取りをしなければいけないことがあります。睡眠時間を削り、体力的につらい人もいるでしょう。
4 休日出勤が多い
例えば「五十日」と呼ばれる日の前は、振り込み作業などに追われます。ITの発達とともに、幾分業務が楽になったとはいえ、無数の企業が振込依頼をかけるため多忙です。
また、年末年始などの前も多忙です。多くの金融機関が停止するからです。事実上、業務が終わらず休日出勤しなければいけない日が多くなります。
5 接待が頻繁にある
「接待」をするのは、上司や取引先だけではありません。金融業界にも「営業先」が存在します。また、政治的な繋がりも考えなければならず、顧客のためにも太い人脈で繋がっています。
当然、金融業界を囲む人々に不満を残せず、ご機嫌取りをする場合もあります。
金融業界から転職する上でのポイント
退職理由はポジティブに
プライベートの時間を求め、生活にゆとりを作り出すための転職は、転職先に良しとは見られていません。自身の「軸」を明確にし、前向きな転職であることをアピールしましょう。
本心をそのまま述べても、転職者の中では「できない人」にみえてしまします。
転職活動はばれないように注意
金融業界からの転職は、内部の人に邪魔される可能性があります。長年金融業界で努めている人は、満足しているからです。上司からの言いつけを守る常識があり、強い引き止めに合う可能性もあります。
内定がもらえるまで、転職活動がばれないようにしましょう。内定が決まってしまえば、法的に退職できないことはありません。
給与は下がる可能性が高い
給与は下がる可能性のほうが高いです。金融業界は、業務の厳しさから給与や待遇が安定しています。給与面だけを考えれば、転職しないほうが良い可能性はあります。
家族の理解を得る
中には「安定」を考えて金融業界に入社した人がいるでしょう。あなたと同様に、身内や家族にはあなたの転職を理解できない人がいます。内部事情を知らないからです。あなたの意志を明確にし、時間をかけて説得していきましょう。
自身の経験・ノウハウを具体的にする
金融業界で得られる経験やノウハウは、他の企業へ行っても通用する能力です。
- 簿記検定
- FP技能士
など、会社内で取得した資格もあるでしょう。お金に関わる資格を保有している場合、具体的にアピールしましょう。
20代での転職はしやすい
金融業界からの転職は、20代で行うのが良いでしょう。20代のうちは、将来への希望から転職をイメージしやすいからです。
給与面より自由を求めるように、他者からも納得されやすいでしょう。しかし、年齢を重ねるとともに金融業界をやめる理由は不透明です。
転職するなら早めの行動を心がけましょう。
金融業界の強み、身につくスキル
金融業界で身につけられるスキルを、簡単に紹介します。自身の転職の際、アピールできるの能力です。以下を参考にし、自己分析のきっかけにしてください。
営業能力
融資を始めとする金融活動は、営業から始まります。個人客や企業へ営業します。そのため、普段から営業能力が鍛えられています。売上に直結する能力ですので、アピールしましょう。
社内外での調整能力
社内外での調整能力があります。何か不都合な事態がおこったとき、穏便に事を済ます能力です。例えば社内でミスがあったとします。ミスを補い、何もなかったことにできる能力です。
数字を読み解く力
お金は、数字です。特に銀行で扱われるお金は、データ上の数字であることがほとんどです。企業の情報を手に入れるため、財務諸表等を確認します。数字を読み解く力が養われているため、多くの企業で求められます。
業務上資格を持っている
金融業界では、社員研修の中に資格取得があるので、簿記検定やFP技能士などの資格を保有しています。転職にも役立つ資格です。アピールしましょう。
ストレス耐性
人間関係が入り乱れているのが金融業界です。様々な人々の価値観を受け、ストレスを抱えながら生活をしています。自然とストレスに強い体質に成長しています。
金融業界から転職がおすすめの職種
営業職
金融業界でも同様に、営業スキルが身についています。金融商品でなくとも、一般的な商品を販売する力も身についています。営業職は、自身の能力が数値として現れるため、チャレンジしたい人におすすめです。
管理部門
財務諸表を始め、数字から今後の経営状態を把握できます。人材や財務など、企業の重要なポイントを考えられる能力があります。そのスキルを活かし、管理部門へ転職するのも良いでしょう。
事務職
金融業界では、常にパソコンと向き合っています。データ入力だけでも膨大な量を入力しています。当然、事務処理能力が高くなっているため、事務職に転職できます。
エンジニア
金融業界で働いていると、多くの企業情報を手に入れられます。情報漏洩はいけませんが、一般人が知り得ない情報を聞いたこともあるのではないでしょうか。今後を考え、エンジニアとして新しい世界を作り出せる想像力があります。
金融業界から転職可能な業界
金融業界から転職可能な業界を紹介します。先ほどと同様に、金融業界で身につけたスキルを活かせば、以下に挙げる業界だけでなく複数の業界があなたを求めます。
IT業界
IT業界では、膨大な情報を処理する能力が求められます。ドッグイヤーと呼ばれるほど、情報の移り変わりが激しいからです。情報処理能力に長けた金融業界出身者は、活躍できる業界でしょう。
広告業界
銀行勤めをしていた人は、企業から広告費の融資を依頼されたことがあるのではないでしょうか。広告業界は、あなたが融資しがお金を受け取っています。企業規模が大きく、チャレンジするのに良い業界です。
不動産業界
多くの物件オーナーと会話する機会がある不動産業界では、金融業界で身につけた接客能力やプレゼン力、価格交渉能力が活かされます。
コンサル業界
中小企業診断士などの資格を活用し、様々な企業の手助けをします。金融業界経験者は帳簿を見る能力に優れています。相手企業の帳簿を見て、改善策を提案できます。
前職で得た自身の能力を最大限に活かしつつ、やりがいあふれる業界です。
スタートアップ・ベンチャー
スタートアップは今までにない新しいビジネスモデルを構築し利益を求め、ベンチャーは既存のビジネスモデルを元に収益性を伸ばす企業になります。
金融業界で培ってきたノウハウを活かすことで、金銭管理を任される可能性も大いにあります。今後を見通したチャレンジ精神で、企業を大きくするために責任ある真面目さが求められています。
まとめ
金融業界からの転職は、給与が下がる可能性があります。
人間関係のストレスなどから逃れたい場合、給与面を考えて家族に相談する必要があるでしょう。転職を成功させるには「お金以上の意志」を明確にしなければいけません。
「自分のやりたいことは何か」を具体的に述べられるよう自己分析しましょう。
金融業界で身につけたスキルを求めている企業はたくさんあります。あなたの努力次第で、理想の職場が見つかる可能性は高いでしょう。