細金卓矢と100 Tokyoが贈る2015年の東京の風景。bo enの「miss you」に包まれたワンダラスな東京を!ショートフィルム「UGUISU」インタビュー!

2015.04.17 Fri

 

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左から)鷲野令奈(プロダクションマネージャー|Creative Hub Swimmy)|本間綾一郎(プロデューサー|Hatch Inc.)|細金卓矢(ディレクター)|稲垣ごう(ディレクター)|滝沢宣靖(プロダクションマネージャー|Creative Hub Swimmy)|杉山峻輔(グラフィックデザイナー/アートディレクター)
“東京のユニークを集めたWeb百科事典”100 Tokyoのサポートのもと、「UGUISU」は細金卓矢氏を監督に迎え制作された、東京を紹介するショートフィルム。約1ヶ月間、毎日行われた撮影では、2015年の東京の景色が懐かしくも瑞々しく切り取られていく。ロンドンのミュージシャンbo enの楽曲をサウンドトラックに採用し、ロサンゼルス在住の細金氏の外側からの視点も取り入れた本作の魅力を、プロデューサーズカンパニー、Hatch Inc.の本間綾一郎氏、そして細金卓矢監督のインタビューを通してご紹介する!

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dir: 細金卓矢, maxilla, 稲垣ごう, 杉山峻輔, 小林純, 古屋蔵人|pro: 本間綾一郎|prod co: Creative Hub Swimmy|plan: 上田広太郎|support: 100 Tokyo
――東京を紹介するWebサイト100 Tokyoのサポートによって制作されたビデオということでどんな東京を描こうとしたのでしょうか?これまでも東京の街を描いた映像はたくさん発表されています。
本間:海外の人に「面白いところない?」って聞かれると、渋谷のスクランブル交差点とか、浅草の浅草寺とか、スカイツリーとか、ガイドブック的なところになりがちですが、実際、僕らが普段楽しいと思う東京ってそういうところじゃないですよね。そういう視点で東京を紹介するのが、100 Tokyoなので、それを純粋に映像の文脈に落とし込みたいと考えました。

2015年の“今の東京”というのを映像で切り取りたいなって思ったんです。僕が90年代に甘酸っぱいノスタルジーを感じるように、この2015年って、5年後10年後に見た時、どういう立ち位置になっているのか、映像で残してみたかったんです。そのコンセプトを、感性を共有しながら一緒に描ける作家と制作したいと考えました。本作のプランナーである上田広太郎さんと相談し、以前からお仕事したいと思っていた細金卓矢さんとやってみたら面白いのでは?と。面識は無かったのですが、ストレートに企画をお伝えしたところ、どこの誰かも分からないのにオッケーしてくれました(笑)。

細金:大体みんなそうじゃないですか(笑)?企画内容が、僕が思うところと近いなって感じたんです。

本間:特に今だと、東京を描くっていうと、2020年のオリンピックを目指してっていうか、逆算したような映像ばかりですよね。もっとリアルな東京を紹介したいというのが意気投合したポイントでしたね。

――細金さんの前作tofubeatsのミュージックビデオ(MV)「No.1」でも東京の日常を切り取った映像を作られていますが、スケールが大きくなって、昔からある風景、今の東京の姿がジーンと心に入ってきます。
細金:ロケーションのセレクションもお任せしてくれて、僕らの撮りたい東京を撮らせてもらえるっていうのも魅力でした。

■1ヶ月毎日採取し続けた東京。ロケーションについて
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デコトラ一番星。ナンバープレートにも“1”が輝く!
細金:ロケーションのセレクションの方向性やテーマは特になかったんですが、1番に撮りたいって思ったのは、銀座にある中銀カプセルタワーと一番星っていう、映画の「トラック野郎」で菅原文太さんが乗ってたデコトラでした。デコトラは実際に撮影に行くと想像以上に良かったんです!中銀カプセルタワーは実際に僕も宿泊しました。

――オープニングの丸い窓はその部屋なんですね。
細金:ここの住人はみんなカプセルタワーのことが大好きで、宿泊中も別の部屋の人から「ちょっと遊びに来ませんか?」とかお誘いがあったりするような場所。撮影に使わせてもらった部屋のオーナーも住んでるわけじゃなくて、趣味で所有しているんです。ドローンを見せたら興奮して「ドローンと記念写真撮らせて下さい!」みたいな。

本間:アニメーション会社も早くから上がっていましたね。

細金:タツノコプロを撮影させてもらいました。あとは、ミニ四駆のコースも撮影出来て嬉しかった。

本間:約1ヶ月1日も休みなく撮り続けましたね(笑)。

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スーパードライホールの屋上のあの有名モニュメントを上空から見る。
――スーパードライホールの空撮が圧巻です。あの角度から初めて見ました。
本間:ドローンで撮影しています。ドローンでこういうアングルで撮影するのは僕も驚きでした。

細金:カメラや機材をレンタルするのと、自前で持っているのとでは、実は全然表現の仕方が違ってくると思っているんです。だから、ドローンを所有している知り合いを巻き込んで、本人だから出来る“無茶”を期待して撮影をしました。

――細金さんは東京生まれ、東京育ちですが、日頃の御用達の東京も出てくるんでしょうか?
細金:そうですね。燕湯は100 Tokyoにも入っているんですが、日本で仕事をしている時、よく通っていた銭湯です。

――猫も何度か登場しますが猫好きなんですか?
細金:飼い猫はちょっと苦手で。生き物同士として、距離感が感じられないとこがちょっと怖い。野良猫は探してもなかなか撮れなかったのですが、一番星を撮りに行ったら薄汚れた感じの猫を10匹ほど偶然見つけました。その時カメラを回してくれていたmaxillaが、自前のREDで、猫が重なっているところを4Kで撮ってくれました。そしたらお婆ちゃんがその猫に対して石投げ始めて。その流れが、めっちゃ良かったです。

――天ぷらを揚げているようなシーンは?
細金:あれは食品サンプルを作っているんです。最初はレタスを考えていたんですけど、ついでに作らせてもらった天ぷらの方が良かったんで、こちらを採用してます。

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本作を繋ぐ“引っ越し”の風景は、丁度この季節の東京ではよく見かける。
――オープニングとエンディングに出てくる引っ越しのシーン、途中随所にインサートされる養生テープの意図するところを教えて下さい。
細金:東京って色んなところから来たり出たりする街ですよね。引越っていうのを区切りとして、映像のスタートに持ってくるのは自然だと思ったんです。そこからの繋がりで養生テープや、段ボール箱を閉じてるカットを一瞬入れたりしています。「仕込みiPhone」の森翔太さんが監督した□□□(クチロロ)のMV「ふたりは恋人」の中で紙コップがくるくる回っているシーンがすごく好きでした。エスカレーターで養生が転がってくるシーンはあのシーンへのオマージュでもあります。

さっきのネコ然り、目的のモノを撮りに行った時に偶然撮れたカットもたくさん使っているんです。タクシーの溜まり場を撮影しに行った日はすごい強風の日でした。向かいのマンションに、強風の中布団を干しているのを発見して、スコンスコンって揺れている布団をハイスピード撮影したりとか。

――ロケーションの許諾取も大変そうですね(笑)。
本間:クラウドで共有しているスプレッドシートに、細金さんチームが候補をどんどん追加していって、Creative Hub Swimmyの制作部がどんどん許可取りをしていく。制作部も初めて扱うこの物量でしたが、自分たちで考えながらガシガシと処理していく。もうみんな一丸となって映像を作っている感じでした。

細金:思いつくまま出したアイデアを全部許可取りしてくれて、心苦しい反面、さすがプロだなって感心しましたね。

■横繋がりで広がっていったスタッフと出演者マル秘情報
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漫画「頭文字D」からの小ネタカット。主人公の息子が「水を入れた紙コップをドリンクフォルダに入れて、それをこぼさずに豆腐を配達してこい!」と言われ、ギリギリのラインを責めるという場面を再現している。
本間:この作品は僕にとって作り方もとてもユニークでした。細金さんに依頼したところ、そこからの協力者の広がり方がすごい。気が付いたらドローンを所有している映像ディレクターの中島唱太さん、REDを持っているmaxillaさん、デザイナーのスケブリさんやディレクターの古屋蔵人さん、稲垣ごうさんと・・・。コンセプトだけを共有して、みんなで撮影をしていく。そして、最後に細金さんが編集しまとめるっていうやり方でした。

細金:僕はいつも一緒にやっている仲間だから違和感無いけど、本間さんにとっては“何かいっぱい人が来たぞ!”って不安になったんじゃないかと・・・。撮影は、僕はずっとカメラを回しつつ、カメラマンが来れる時はその人に任せています。でも稲垣くんもカメラ出来るし、長丁場なので臨機応変に日替わりで撮っていきました。

本間:「ああ、映像ってこんな風に作っていいんだ!」っていうのを思い出したんですよね。仲間が集まって、それぞれが持っている機材を寄せ集めたら、すごいものが出来ているっていうのが楽しかった。

仕事でいつもはレンタルしているようなカメラをmaxillaさんが「持ってるよ!」ってチャチャッと「これ5Kで撮ってみた」とか言ってる訳ですね。仕事だと明確な目的や共通認識なく5Kで撮ったりしたら、データ容量が大きすぎて、ポスプロや編集チームも困る訳で、納期に間に合わないよってなる。でも、この作品は気軽に撮影した高解像度の素材を、細金さんがデスクトップでどんどん編集していく。

そういう、日頃仕事でやってるコミュニケーションと全然違うレイヤーで会話がされているのにすごくワクワクしましたし、居心地が良かったんですよね。学生時代に自主映画制作やっていた頃の気持ちを思い出しました。

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撮影を担当した稲垣ごう氏が通行量調査員バイト役にも扮する。
細金:そういう感じで映像制作だけでなく出演も知り合いに協力してもらってるんです。引っ越しのシーンの女性は漫画家の靴下ぬぎ子さんだったり、銭湯のシーンではバンド、スカートの澤部渡さん、モデルルームの看板を持っている人は徹夜明けで駆けつけてくれたデザイナーの稲本伸司さん、イメージ通りのくたびれた感じが撮れました。

稲垣くんに至っては、通行人をカウントするバイトの人役としても出てもらっています。この、カウンターとパイプ椅子の組み合わせは絶対撮りたくて、制作の方がわざわざ江戸川の方までレンタルに行ってくれたんです。かまぼこの板ような上に5個くっついていて、使いやすくカスタマイズしているのを借りてきてくれたおかげで、安定感ある画が撮れました。

“看板持ち”ではちょっとしたハプニングもありました。モデルルームの看板を持っている人が街角に立っているのって見かけますよね。それを撮りたくて許諾を取ってもらったんですが、“モデルルームの看板の人”じゃなくて、“モデルルームそのもの”の許可が何故か取れてしまっていて。“モデルルームの看板の人”を撮りたかったのは、法律の狭間に存在する曖昧な職業というところに面白さを感じたから。看板を手で持ってないとダメで、置いちゃうと法律的にNGなんですね。アメリカでも看板持ちはいるんですが、モデルルーム関連がやたら多いところに東京らしさを感じていたので。

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トヨタ86のターンテーブルのシーンはワンテイクで成功!ナンバープレートも86というこだわりにも注目!
――そういう視点がユニークですが、音楽もすごくいいですね。
細金:今回はbo enの「miss you」が使えたことが大きいですね。前から大好きな曲で、欧米と日本の間に漂っているバランス感が面白いな~って。bo enは日本が好きで、日本のことを思いながら作った曲なんです。その距離感が醸し出す情景がすごく好きなんです。

本間:日本語で親子の会話が入ってたり、外から見た日本っていう視点も入るのは、この企画のテーマにもピッタリだなって思いましたね。

■散財しても購入した機材たち
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屋上に神社というのも東京ならではの景色だ。
――先ほども少し話に出ましたが、カメラをレンタルではなく所有することにこだわる細金さんですが、今回はどんな機材を購入しましたか(笑)?
細金:撮影で必要だろうと、また例によって自前で買っちゃいました。「No.1」の時はハイスピードが撮れるSony NEX-FS700を購入しましたが、今回は、4KレコーダーOdyssey7Qを買いまして。価格は30~40万円ぐらいでした。

――Odyssey7Qは、本体価格に加えて、使用するカメラに合わせてライセンスも買わなきゃいけないですよね。
細金:そうなんですよ。それに800USドルほど使うことになりました。

――でも、モニターにも使えるし便利ですよね。
細金:そう、いい買い物したと思っています。気持ち的には元とりました。

――REDは内部収録出来るから必要ないと思うのですが・・・(笑)?
細金:使ったメインカメラはNEX-FS700とBlackmagic Pocket Cinema Cameraなんです。FSはファームウェアをアップグレードして4K対応させました。その結果としてFS700もRAWで撮れるようになり、ドローンを除くとほぼ全てのショットがRAWで撮影することが出来ました。撮れるようになったことをいいことに120fpsの4K/2K RAWなどで調子に乗って撮っていたら、撮影のデータサイズがおかしなことになってしまい、10TB以上になってしまって・・・。その結果、ストレージのPegasus2の最上位機種を本間さんが・・・。

本間:僕も、やっちゃいました。でも、それがないと試写にも間に合わない、全てが間に合わない状況でしたし、どのみち購入を検討していたタイミングだったので。でも、その話をしたのが夜中の3時か4時くらいで、その日中に僕は秋葉原に移動してカプセルホテルに泊まって、オープンと同時に秋葉館に行って細金さんに「6段のと8段がありますけどどうしましょう!? 」って。

細金:僕は6段を自宅で使っているので、そのスペックで良いんじゃないかと言ったんですけど、最上位機種の高いものを買われていました(笑)。今後も必ず役に立ちますよ!(笑)

――ドローンは4Kに対応したカメラを搭載されているのですか?
細金:カメラ付きドローンなんです。Inspire 1というカッチョいいドローンで、変形もするし、4Kで撮れるし画質も良いんですよ。

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ドクター中松の発明品「ニンジャー1」。燃料電池で動くローラー内蔵型シューズ。
――細金さんにとっては久々の新作、久々の日本でしたがいかがでしたか?
細金:「No.1」で撮影をしてくれた稲垣くんは、撮影面でその時出来なかったことを回収出来たと満足していました。今回はRAWで結果的に撮れたので、「No.1」の時、階調が怪しかったショットがあった分進歩出来たと思います。ダイナミックレンジを生かしてきっちり撮るのは目標の1つだったんです。稲垣君曰く、REDは夜景でも綺麗に撮れたし、FSは圧倒的にカメラとして使いやすいのが良かったって言っていました。

ただ、初日からほぼ撮影してて、終わった瞬間にアメリカに戻ります。撮影途中に5時間だけの里帰り・・・。スケジュール、完全にミスりました。でも、今働いてるオフィスは色んな国からスタッフが来ていて、そのために有給分超えて1ヶ月くらいは休みを取れるカルチャーがあるので良かったです。

本間:2015年の今しか撮れない景色があるんじゃないかなっていう期待が、実を結んだと思います。思いを込めた作品制作が出来たっていうのが良かった。

細金:本当に来年撮れない映像になったなと思います。ドローンの撮影も今後規制がかかりそうですし。色んな経験が出来て本当に、良い思い出になりました。

――四季それぞれのバージョンも見てみたいですね。
細金:そうなんですよね。日本を撮る上で季節は外せないと思って提案はしたのですが、また機会があれば、日本津々浦々回って撮ってみたいですね。今度は100TBくらい撮りたいですね。

■ 5つの質問 一問一答
1: 一番影響を受けたものを教えて下さい
細金:マジック:ザ・ギャザリング
本間:紡木たくと安達哲と寺山修司
鷲野:兄と弟
滝沢:バック・トゥ・ザ・フューチャー」と親友
稲垣:YouTube
杉山:怪獣映画
2: この職に就いたきっかけは?
細金:YouTubeが出来たため
本間:先輩の一声
鷲野:社長が飲み友達だったから
滝沢:映像が好きだったのと、カースタントになれるかなと思い
稲垣:大学の授業
杉山:消去法
3: 一番好きな映画は何ですか?
細金:トニー滝谷」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー
本間:「ハズバンズ」、「ミニー&モスコウィッツ」(ジョン・カサヴェテス)
鷲野:ネバーエンディング・ストーリー
滝沢:バック・トゥ・ザ・フューチャー
稲垣:海がきこえる
杉山:ゴジラ(54)
4: オススメのレストラン or バーを教えて下さい
細金:Maccheroni Republic(ロサンゼルスのイタリアン)
本間:居酒屋むらさき(上馬)レバ刺しとおしんこうまい。
鷲野:ボンディ
滝沢:26号くるりんカレー
稲垣:海猫屋
杉山:まるやま(代田橋の蕎麦屋)
5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
細金:ぼのぼの
本間:会社経営
鷲野:JUNKサタデー エレ片のコント太郎
滝沢:友人達と会うこと
稲垣:フィンガーボード
杉山:ぼのぼの(細金くんより先にグッズを買いまくってます)
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