ユニクロ=レペゼンニューJAPAN 勝部健太郎が語る新プロジェクト「UNIQLO SPORTWEET」

2010.07.02 Fri

 

kentarokatsube1.JPG
勝部健太郎氏
2010年6月に発表されたカンヌ国際広告祭のサイバー部門にて「UNIQLO CALENDAR」がゴールドを受賞したばかりのユニクロ。One Showのインタラクティブ部門で「クライアント・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど今や国際的な場面で日本の顔となった。的確に時代のトレンドを見極め、世界中の人々が面白がることができる仕掛けを作り続ける秘訣を、ユニクロのクリエイティブを担う勝部健太郎氏に伺った。ワールドカップ開催と時を同じくして公開された最新キャンペーン「UNIQLO SPORTWEET」では映像作家の長添雅嗣氏とコラボレーションし、Twitterを映像で表現。勝部氏が語るユニクロのクリエイティブの根幹とは?

■ユニクロとTwitter
――「UNIQLO SPORTWEET」は「UNIQLO 88 COLORS」や「UNIQLO LUCKY LINE」に続くTwitterを使ったキャンペーンシリーズですね。
ユニクロがTwitterを使ったプロモーションを最初に手掛けたのは、2010年4月1日に公開したUT × Twitter「UTweet!」(制作:tha)です。「UTweet!」では一日に13万人がサイトを訪問し、UKなど海外からの反応も多く、Twitterはグローバルに瞬間的に伝わるメディアだと実感しました。Twitterは今年から加速した印象があります。僕自身がTwitterを始めたのも今年に入ってからです。

――キャンペーンにおいてTwitterを使う利点は?
情報が瞬間的・瞬発的にグローバルにぬけていく。瞬発力が必要なキャンペーンにはすごく使えると思います。ユニクロには「世界に対して情報発信する」というコミュニケーションの方針があります。それでTwitterを使ったキャンペーンを徹底的にやろうと思ったんです。そこで制作したのが「UTweet!」、「COLOR TWEET!」、「SPORTWEET!」。スターウォーズ3部作のように(笑)。そこに、誕生感謝祭で思いついた「UNIQLO LUCKY LINE」を急遽入れたので、結果的に四部作になりました。「UNIQLO LUCKY LINE」は受けた実感がありましたね。

――Twitterにどのような印象を持っていますか?
消費されるメディアという印象があります。どんなに制作期間をかけても、Twitterを使ったプロモーションの寿命は1週間程度。そのかわり、ユーザーの声というか、プロモーションの手触りがタイムリーにわかる。極端な話、今日リリースしたコンテンツのユーザーの反応を見てすぐにアジャストすることができる。ユーザーに対しての企業のレスポンスの過程と時間を極限までミニマムにした方がいい。TwitterはブログやWebサイトとはスピードが違って時間軸が早いし、距離も近い。でも瞬間的に消えてしまう。その反応に企業や制作が対応できるのか、そういう体制創りをしたほうがいいですね。

――ということは、ユニクロではTwitterの担当者がいるのでしょうか?
基本的に自分で見ています。都度、上長に確認といった手間が必要なやり方ではダメなのです。

UTWEET_2.jpg
UTweet!
「UTweet!」ではプレス・リリースを出さず、バナーも貼らず、情報を自然拡散的に拡散させました。”これは本当にユニクロがやってるの?”という感じを狙って、表面化させない方が良かったんです。インターネットのコンテンツというのは、ラフな感じがバズる。やらされてる感じじゃなくて、ユーザー自身が主体的、意図的になり、自分が見つけた感じのほうがいいんです。ユーザーが操られている印象を持つと良くない。「UTweet!」はユーザー自身が発見して面白がってもらえるようにしたかったんです。これで「ユニクロがTwitterやってる」というのは広まったので、「COLOR TWEET!」以降は積極的に発信している感じですね。

■「UNIQLO SPORTWEET」発想の起点
ranking.jpg
「UNIQLO SPORTWEET」
――このたび公開された「UNIQLO SPORTWEET」についてお聞かせください。
これはユニクロが2010年夏に行うスポーツウェアのキャンペーン「スポーツキャンペーン」の一環です。既にCMや新聞を使ったキャンペーンが行われていて、Webでは何ができるか?と考えた時に、Twitterとスポーツが近いという発想の起点がありました。スポーツ観戦はリアルタイムのレスポンスですし、そういうリアルタイムの気持ちを今伝えるメディアとしてTwitterがある。だからスポーツとTwitterは近くにいると。それを直感的に感じたので、後はスポーツとTwitterをかけあわせて、ユニクロの広告にすることを考えました。そして浮かんだ美術表現は、文字を映像に変えるというもの。そこに、Twitterユーザーの世界ランキングが表示されるゲーム的仕掛けを組み込みました。

なぜなら公開時期はワールドカップの開催中なので、スポーツしたい気分が世間的に高まっているはず。Twitterユーザーはつぶやきで観戦している人や、スポーツしない人が多い。そこでTwitterはスポーツだと言い切ってしまうことで、ユーザーの参加感を出しました。そこの時点でTwitterを取り込むキャンペーンとしては成功だと思っていて、あとは世の中の気分、リアルタイムのメディアということに落とし込みました。Twitterみたいなコミュニケーションは時間性があるので、間を外すとまるでバズらないんです。そういう気分や世の中のニュースに上手いことはまってきたのではないかと。

――企画/アイデアの採用基準は?
直感と、腹落ちするかどうかですね。僕の思考のプロセスの始点は常にお客様です。お客様にとってどういう体験か、伝えたいものか、楽しいか、便利かをユーザー目線でシュミレーションする。逆算の結果、お客様がハッピーになれると確信できるか。実際にやってみて、お客様の反応を見るときに、期待に答えているか?そこが一番のポイントだと思います。

――制作スタッフについて教えてください。
映像の表現は、映像作家の長添雅嗣さんと行っています。flashのプログラムは左居穣さん。フラッシャーとしてすごい方です。アートディレクションは.spfdesignの鎌田貴史さん、Webの裏側の仕組みはIMG SRC、制作プロダクションは「モンスター☆ウルトラ」にお願いしています。

――一緒に仕事をするスタッフはどのように選出されているんですか?
まずは、ユニークなことをやっているかどうか。あとは会話ができること、期待に答えようと思ってくれること。「大当てするぞ!」という気合というか、スゴいことがやりたい!と思っている人ですね。もちろん面白そうだからやってみたい、というだけでバックグラウンドがないと滑りますから、それはお互いに要求すること。それができる人かどうか、というところですね。

■ユニクロのブランディングから、日本のブランディングに
UNIQLO-CALENDAR-aki_2.jpg
「UNIQLO CALENDAR」
――ユニクロのブランディングが、ひいては日本のブランディングのように感じます。
ユニクロの広告でやっているのは、社会のコミュニケーションやトレンドをギュっと捕まえて形にすること。それが実際に評価されるようになったのが嬉しいです。プロモーションの枠組みを超えて社会的な活動になってきた。

NY在住の川村真司さんに会った時に、NYでユニクロがかつてのクール・ジャパンの代表的企業のように捉えられていると聞いて、すごく嬉しかったです。3年前に「UNIQLOCK」を始めた時、NYではユニクロを知る人はいませんでした。それが今ではブランドになっている。ユニクロのクリエイティブというものが、社会性を捉えた、ブランディングの一環として機能していることがうれしかった。SONYやNIKEに見られるような”クリエイティブなカルチャーがかっこいい”という雰囲気をユニクロも持ちたいと思っていましたから。しかし一回はできても、毎年毎年やりつづけることは大変。良いものをやり続けないと、信用を失ってしまう。このテンションを維持していかなきゃと思います。

――ユニクロのコミュニケーションからはカルチャーの匂いも感じますね。
ユニクロの基本は”とらわれないこと”です。他の大企業では共通化やデザインなど、会社ごとのお作法がありますが、ユニクロにはそれがない。それでも共通化のないコンテンツにもユニクロらしさがにじみ出るのが面白い。捕らわれていないクリエイティブの中で全力投球して、グローバルにぬけていく感じ。これはユニクロの製品にも通じることです。UTもスタイルアップインナーもブラトップも+Jもある。お客さんにとっての最大瞬間風速というのを巻き起こすということに力を置いているんです。

――それを可能にするのは社内の組織でしょうか?勝部さんがいらっしゃるグローバルコミュニケーション部というのは?
普通の企業のマーケティング部はディレクターがいて、マネージメントがいて、広告代理店の営業がいる、という構造になっていますが、グローバルコミュニケーション部にはビジネスマネジメントとクリエイティブマネジメントのディレクターがいて、僕はクリエイティブに専念しています。社外のクリエイターとコミュニケーションも行っています。この体制は一昨年の11月から始めました。ビジネスとクリエイティブが乖離してくると最大のパフォーマンスが発揮出来ないですから、マーケティングの中で2つは融合しているべきなんです。クリエイティブがビジネスに繋がるまで一気通貫しているべきです。理想はクリエイティブの人もビジネスにも携わる、というように、コミュニケーションとクリエイティブがお互いの領域に対して対等であること。”わたしの領域はこれ”というやり方ではついていけない。

――チームのモチベーションを上げるコツは?
成長意欲は”仕事が楽しい”に繋がりますから、もっとチャレンジしようぜ、ということを要求していきます。同じことをやるのは後退ですから、成長していかなくてはいけない。「頑張ったら世界で一位になれるかもしれない」と信じる力はダイナミックなことだと思いますし。

■twitterを使い倒せる仕掛け
luckyline.jpg
「UNIQLO LUCKY LINE」
――勝部さんはクリエイティブ・ディレクターとしてプレッシャーを感じることはありますか?
僕は反省する人間なんです。反省する人間というのは、どんなことをやっても必ず、あれはだめだった、これはだめだったという反省点を蓄積していく。新しいことをする時は、そのプレッシャーというか、反省材料を潰していくんです。良かった点はそれを越えて行く。成功しているように見えるかもしれませんが、僕の中では毎回反省しています。「失敗したな」は毎回ありますね。

――今後の課題は?
課題は山積してます(笑)。Twitterを使ったプロモーションは後日見せるための入り口が無いので、そこをはっきりさせたいと思います。バーンと抜けてしまった後にもう一度活性化させる仕組みも必要になる。「UTweet!」も、もう一回表面に上げて行きたい。一瞬だけでなく、二度三度と使い倒せるようなやり方を模索中です。

そして、「元を創る」ということです。元とは、本質的にお客さんにメリットがあること。例えばサービスや商品や売場、楽しいコミュニケーションなど。そこをもっとブラッシュアップしていきたい。距離とか役割とか、近づいているさまざまなものを繋げていくような、そういうコミュニケーションがしたいと思います。

ユニクロのミッションは「世界中のあらゆる人にほんとうに良い服を提供する」こと。そのためにも、本当に良いコミュニケーションやクリエイティブを作って繋がって行きたい。 理想的には世界中のあらゆる人々がユニクロとつながって、コミュニケートしながら、幸せな体験をしていくこと。なんだか宗教的ですけど(笑)。直感的に具体論で実感として現実に繋がっていくという、現実に近いところをグローバルでズバっとやりたいと思っています。

5つの質問 一問一答
Question 1: 影響を受けたものを教えてください
柳井正
Question 2: この職に就いたきっかけは?
インターネットコミュニケーションをやりたかったから
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
ショーシャンクの空に
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
ペン、メモ、Apple製品
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
考えること
Tags:
トラックバックURL:http://white-screen.jp/white/wp-trackback.php?p=3516