「Ain’t No Grave」 dir: Chris Milk
このMVの監督は、ナールズ・バークレーの心臓が踊るMV「Whos Gonna Save My Soul」でお馴染みの映像作家、Chris Milk(クリス・ミルク)。プロジェクトはクリスがスペインで行われたカンファレンスにおいて、デジタル・アーティストのAaron Koblin(アーロン・コブリン)と出会ったことから始まった。
■映像作家のクリス・ミルク×デジタル・アーティストのアーロン・コブリン
Aaron Koblin「Flight Patterns」
アイデアを胸に、アメリカに帰ったクリス。受け入れてくれそうなアーティストを探していた彼は、U2やGreen Dayの仕事を共に手掛けた大物音楽プロデューサー、Rick Rubin(リック・ルービン)に再会。リックはジョニー・キャッシュが生前残したラストアルバム「American VI: Ain’t No Grave」のリリースを控えていたが、ビジュアル面のソリューションを模索していた。クリスのアイデアを聞いたリックは微笑み、「それならうってつけの曲がある。聞けばどんなに運命的かわかるとおもうよ」と言って「Ain’t No Grave」を聞かせてくれた。
「ジョニーはこの曲でモラルや復活、永遠の命について歌っていた。この詩にこそ、僕らが構想していたコンセプトがあったんだ。ジョニーのファンがジョニーに愛や創造性を捧げることで、彼が歌う”永遠の命”を与えることができる。つまり、ファンの心にジョニーの魂は生き続けるんだ。だからこのビデオは、ジョニーへの愛が一つの形になった、映像のマニフェストになるんだよ。ジョニーの人生と彼が残した仕事の美しい証だね」(クリス)
Webサイトでは、ファンたちはアーカイブの映像のフレームを元にして、オリジナルのドローイングを描いて投稿する。その絵はシークエンスにはめ込まれ、一本のMVとなる。すべての素材は一回毎に再構成されるため、同じ映像は二度と見ることができない。
Webサイトの構築を手掛けたのは、デジタル・エージェンシーの@radical.media。イメージを投稿するためにオリジナルのCMSのプラットフォームを制作した。この複雑きわまりないシステムを実現化するため、テクニカル面の制作は9ヶ月を要した。ドローイングツールはFlashクリエイターのMr.doobが制作している。エディットを手掛けたのはFinal Cut社のAkiko Iwakawa(アキコ・イワカワ)。
リックとクリスが表現したいコンセプトはアートギャラリーで行われるエキシビジョンのようなもの。膨大な映像アーカイブの中から、60~70年代のアーカイブを中心にチョイスし、白黒表現にこだわった。制作において最も苦労した点は素材を再利用することの権利関係で、これに4ヶ月を要したという。
これまでにもユーザーの投稿で創り上げるMVといえば、アムステルダムのRoel Wouters(ロエル・ウォウタース)による、お手本と同じ決めポーズをWebカムで撮影して送信すると後日配信されるというC-Mon & Kypski「More is Less」があったが、イラストで、しかもこの大規模でやってのけたのは今回が初めてだろう。
・THE JOHNNY CASH PROJECT
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