インターナショナルなメディア芸術の祭典「第13回文化庁メディア芸術祭」レポート
2010.02.09 Tue
「
第13回文化庁メディア芸術祭」が、2010年2月3日(水)より東京・六本木の国立新美術館にて開催中。メディアアートだけでなくマンガ、アニメーション、ゲームなども対象としており、日本独自のアプローチが面白い。日頃アートに触れる機会の少ない人にも楽しめるフェスティバルだ。今年は過去最高の世界54カ国2,592作品が寄せられ、その中から選ばれた約180点を展示中。注目ラインナップをご紹介!
■「電信柱エレミの恋」が優秀賞受賞!アニメーション部門
「電信柱エレミの恋」中田秀人(ソバットシアター)監督
アニメーション部門では、細田守監督「サマーウォーズ」が大賞を受賞。優秀賞には中田秀人(ソバットシアター)監督による、制作期間8年間をかけたコマ撮りアニメ「
電信柱エレミの恋」が選ばれた。中田監督は「根気と手間と時間のかかる作品でした。8年間かかって制作して、受賞できて嬉しいです。静かでしんみりした作品ですが、楽しんで見て頂けたら」と語る。「電信柱エレミの恋」は、「第64回毎日映画コンクール」でも国内の最も歴史と権威あるアニメーションの賞「大藤信郎賞」を受賞する快挙を遂げた。ほか、優秀賞にはチェコアニメ界の巨匠、イジィ・バルタ監督の長編コマ撮り映画「屋根裏のポムネンカ」、フジテレビのノイタミナ枠で放送されたTVアニメ「東京マグニチュード8.0」(橘正紀監督)が入賞。推薦作品には七字茂雄監督「フジログ」、ウッドペッカー監督「FOTESTRY」などが選ばれた。
また、2009年に急逝された、アニメーターの金田伊功氏が「特別功労賞」を受賞。本賞は故人では異例の受賞となる。金田氏はロボットアニメにおいて独自の「金田パース」と呼ばれる作画スタイルを確立し、後のアニメ界に多大な影響を与えた人物だ。「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」でも原画を手がけている。会場には金田氏の生前の絵コンテや創作メモなどが展示されており、その偉大な仕事の源に触れることができる。
■エンターテインメント部門は「日々の音色」、「Fake it!」など
会場には「日々の音色」監督の4名が集結!左から中村将良氏、ナカムラマギコ氏、「日々の音色」出演者の方、川村真司氏、ハル・カークランド氏。
エンターテインメント部門大賞はSOURのMV「
日々の音色」が受賞。優秀賞には、田中秀幸監督の電気グルーヴMV「Fake it!」、アルバロ・カシネリ氏と真鍋大度氏の「
scoreLight」、キャンペーンWebサイト「LOVE DISTANCE」、ゲーム作品ではPS3「NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム」が優秀賞を受賞。「NARUTO~」は日本が世界に誇るリミテッド・アニメーションを極限まで研究し、まるでTVで見るアニメーションをゲームで操作しているような感覚が味わえる。開発チーム代表の松山洋氏は「ゲームクリエイターが世界に向けてどういったかたちで勝負をするかというコンセプトを掲げた作品。自分が昔から大好きだったTVアニメーションを研究し、次世代マシンで触れるアニメーションを作れば世界に驚いてもらえると考えた。結果アメリカやヨーロッパでも受け入れてもらえたのが嬉しい。これからも日本人にしかできないゲームづくりをしたい」と語った。
■アート部門にはSHIMURABROS.、和田永氏が受賞!
和田永氏「Braun Tube Jazz Band」 音を映像化してモニタに写し、表面をタッチして演奏する。
アート部門大賞は、David BOWEN(デビッド・ボーウェン)氏の、1日ごとに成長するタマネギの複製を作る「growth modeling device」が受賞。優秀賞はSHIMURABROS.による「SEKILALA」や、和田永氏によるブラウン管で創ったガムラン楽器「Braun Tube Jazz Band」が受賞した。和田氏は多摩美術大学在学中。オープンリール・テープレコーダーをコンピュータ制御したメディアアート「オープン・リール・アンサンブル」で知られるアーティスト。「Braun Tube Jazz Band」が生まれたきっかけは、和田氏がサウンド接続ケーブルをビデオコネクターに間違って挿入したところ、シグナルが映像としてブラウン管に表示されたハプニング。音のシグナルを録画し、自分の体に電気を流してブラウン管を触ることで音を奏でる。会期中は和田氏によるライブ・パフォーマンスも開催されるのでぜひチェックしてみよう。
中央の装置がアート部門優秀賞、Lawrence MALSTAF(ローレンス・マルスタフ)氏による「Nemo Observatorium」
こちらは審査委員会推薦作品である、スロバキアのアーティスト、Nika OBLAK(ニカ・オブラク)とPrimoz NOVAK(プリモ・ノヴァク)による「Box 2」のノヴァク氏。モニタに登場するのは彼ら自身。モニタの外に飛び出そうとすると、空気圧のシリンダーが、ゴムで出来た外枠をアクションにシンクロして突き動かす。箱から出たくても出られない彼らの姿は、メディアに振り回される人々を風刺している。
■シンポジウム、プレゼンテーションが4倍以上!
アルバロ・カシネリ氏(写真右)と真鍋大度氏(写真左)「scoreLight」
また今年は受賞者や審査員らによるシンポジウムやプレゼンテーションが、昨年に比べ4倍以上に増加。シンポジウムではナカムラマギコ氏、中村将良氏、田中秀幸氏らによる「エンターテインメント部門受賞者シンポジウム」(2月13日)などを開催。また各部門の受賞者によるプレゼンテーションでは、土佐信道(明和電機)氏による「
YUREX(TM)」、アルバロ・カシネリ氏と真鍋大度氏の「scoreLight」(いずれも2月13日)などが行われる。また会場ではアヌシー国際アニメーション映画祭やSIGGRAPHなど、海外フェスティバルの映像作品上映も見逃せない。
インタラクティブ部門最優秀賞受賞「Urbanized Typeface:Shibuya08-09」山口崇洋氏
そのほか同会場にて、若きメディアアーティストたちの登竜門「学生CGコンテスト」も開催。GPSを付けた自転車で渋谷を走りまわって創り上げたフォント「Urbanized Typeface:Shibuya08-09」(山口崇洋氏)やアルス・エレクトロニカ2009でも栄誉賞を受賞した「Jamming Gear」(菅野創氏)などを展示する。いずれも開催は2月14日(日)まで。
■「第13回文化庁メディア芸術祭」
日程:2010年2月3日(水) – 2月14日(日)
入場料:無料
休館日:2010年2月9日(火)
時間:10:00 – 18:00(金は20:00まで)
会場:国立新美術館
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
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