Blip Boutiqueと(suit)menが語る、新しい時代のクリエイティブ。

2008.12.24 Wed

 

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メアリー・ファゴット/Blip Boutique(左)、アレハンドロ・ロペス/(suit)men(中)、ジェームズ・フロスト/Blip Boutique(右)
2008年11月、YouTubeユーザーの祭典「YouTube Live TOKYO feat. iQ」に行った人は、ユーザーがアップした動画でライブ・ミュージックビデオを制作する「3MIXプロジェクト」を目撃したハズ。このプロジェクトの仕掛け人がLAをベースに活動する映像プロダクションBlip Boutiqueと、世界を股にかけるクリエイティブ・エージェンシー(suit)men(スーツメン)だ。Blip BoutiqueのJames Frost(ジェームズ・フロスト)とMary Fagot(メアリー・ファゴット)、スーツメン代表のAlejandro Lopez (アレハンドロ・ロペス)に新時代のクリエイティブについて聞いた。

■前代未聞の「デジタル・ライブ・リミックス」とは
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3MIX Project Artists × YouTube × You
3MIXプロジェクトは、アーティスト×YouTube×あなた、のコラボレーション作品を制作するプロジェクト。まずYouTubeの特設チャンネルで楽曲(KREVA「成功」)とテーマを発表。ユーザーはテーマに沿った自作のムービーをYouTubeにアップロードし、当日会場でBlip Boutiqueがそれらを素材として作ったミュージック・ビデオを制作。ステージのスクリーンにその場で映すというもの。お題もユニークで、キーワードは「高さ、長さ、視点、情熱、チャレンジ、間違い、喜び、空気、戦い、もっと、リラックス」。三角形のイメージを異なった角度から見た画像や、ダンスをしている身体などなどのテーマに沿った映像をユーザーがアップしていく。

「日本のオーディエンスは欧米と違ってシャイだから、自分のコンテンツを公開するのには「先輩」が必要なんです。だから事前にオーディエンスの作品をアップしてもらって、こちらでリミックスすることにしました」(スーツメン)

「ライブでは違うメディアをミックスすることができるソフトウェアを使って、アップされたビデオ、テキストなんかをその場でライブパフォーマンスとミックスするの。会場の大型スクリーンにプロジェクションされて、一旦それをアメリカに持って帰ってMVを作るのよ」(メアリー)

一体どんな映像になるのだろう?!

「実は、私たちにも当日どんな映像が飛び出すかはわからないの(笑)。それでもアイデアに賛同して、制作の自由を与えてくれたYouTubeにはすごく感謝しているわ」(メアリー)

「これはグローバルなプロジェクトだから、すごく興奮しているんだ。まずこのライブはアメリカで始まって、アメリカが終了したら日本のライブが始まる。YouTubeを通してストリーミング放送されるから、世界中の人が見られる。グローバルなコンサートになるよ。きっとMTVが興味を持つんじゃないかと思ってる(笑)」(スーツメン)

ミュージックビデオは後日YouTube公式チャンネルにて公開される予定だ。

■Blip Boutiqueが語るインターポールMV秘話
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Interpol”Rest My Chemistry” dir: Blip Boutique
米国をベースに活躍するBlip BoutiqueはLAを拠点に活動する二人のクリエイティブ・ディレクター、ジェームズ・フロストとメアリー・ファゴットが率いるクリエイティブ・プロダクション。ファッション、音楽、広告の分野で数多くの映像作品を手掛けているが、中でもユニークなミュージック・ビデオでは定評がある。Interpolの「Rest My Chemistry」など、クリエイティブとテクノロジーが融合した作品にはいつも驚かされる。

「毎回違うビジョンを表現したいと思ってるんだ。”Rest My Chemistry”データMVでは、ディレクションとプロデュースは僕が行っている。プログラムを行うのは、NASAやYAHOOでデータのビジュアリゼーションを手がけるアーティストのAaron Koblin(アーロン・コブリン)。彼はデータをユニークなプロセスでビジュアル化する人物なんだ。」(ジェイムズ)

「コンセプトは内面世界とアウター・スペース。まず体内描写から始まり宇宙に出てまた戻ってくるの。具体的な作り方でいうと、まず写真やイメージ、技術的なものなど膨大なデータを集めて統計していったわ。ビジュアルのスタイルを決定後、アランがデータを形にするためにビジュアル・スタイル別にナンバーを付けるの。そのナンバーを呼び出して反映し、ストーリー性を付けて演出していったわ」(メアリー)

「面白かったことは、全てが新しい試みだったから呼び方やオリジナルの言葉もつくらなくちゃいけなかったこと(笑)。見たこともなければ参考資料もないからね」(ジェイムズ)

「クライアントに対して、事前にどういうものになるか説明するのもすごく難しかったの。肝心なのはクリエイティブに自信を持って進めることだと思うわ」(メアリー)

果たしてどんな作品に仕上がったのか、その目で確かめてみよう!
Interpol”Rest My Chemistry” dir: Blip Boutique
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OK GO”Do What You Want (Wallpaper Version)” dir: Blip Boutique
壁紙人間が華麗にダンス!ムービーはこちら


■クリエイティブ・エージェンシー、スーツメンとは
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アレハンドロ・ロペス(suit(men))
「suit(men)」:デジタル・クリエイティブ・エージェンシー。ディーゼルの中国・アジアエリア、NIKEのUSグローバルなどのキャンペーンを担当。他にもオンラインのコンテント、東京のショップVISVIM(ビスビム)のイベントなど、幅広く手がけている。
GT INC.の内山光司、田中徹。元トキオンのアダム・グリックマン、日本でも活躍するクリエイティブ・ディレクターのヤング・キム。そしビーコン コミュニケーションズのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、プレジデントを務めたアレハンドロ・ロペス。錚々たるメンバーが揃うクリエイティブ・エージェンシー「スーツメン」は、Webやネットワーク関連といった、新しいメディアを活用するデジタル・エージェンシーだ。

主要メンバーは5人。本部をLAに、オフィスを香港と東京に置き、メンバーは毎朝Webカメラでミーティングをしているという。東京オフィスは渋谷の歓楽街で異彩を放つ、宇宙人の卵のような真っ白な建物。手がけている仕事は新しいテクノロジーを使ったプロジェクトが主で、WEBを使ったプロモーション、ディーゼルの北京30周年のイベントなどエンターテインメントのプロデュース、携帯電話(3G)のコンテンツなど。アレハンドロはこれまでのやり方では生き残れないと語る。

「テクノロジーが進化して、まったく新しい世界、新しい世代になっているんだ。エージェンシー間の競合も激しくなるし、クライアントの要望も厳しくなってきている。僕は日本のWebクリエイティブの能力は高いと思う。ユニクロックは美しくて高い技術を使っているし、他にもユーゴ・ナカムラとか、素晴らしい才能もいるよ」(スーツメン)


■テクノロジーが新しい時代を到来させる
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スーツメンの東京オフィス。なぜかキッチンにトイレが・・・
三人は「テクノロジーが世界を全く新しいものに変えてしまった」という。

「例えば2008年の大統領選挙の時、CNNがホログラム生中継をやったんだ!すごいよね。新しいチャンスがたくさんある世界だと思う」(ジェームズ)

「あれはすごく面白かった!まさに新しい世界よ。テクノロジーのおかげで、今回の選挙は全く違うものになったわね。オバマのWebを使った選挙キャンペーンは、これまでのクローズドなものと違って、コミュニケーションの革命だと思うわ。嘘をいっても、ブロガーが真実をチェックしてすぐに暴露してしまうしね」(メアリー)

「オバマの新しいWebサイト”change.gov”では、SNSのように利用する全ての人々のデータを取って、ユーザーが自分の問題を書き込むこともできるんだ。昔は大企業の代理店がやっていることは外から見えなかったけど、今はテクノロジーの進化によって、世界中でコラボレーションが可能になった。すごく早い変革が起こっていると思う」(ジェームズ)

「アメリカのMVは縮小傾向にあるから、Blip Boutiqueの仕事もWeb関係やイベントにシフトしているの。昔は作られたMVをオーディエンスが受動的に見ているだけだったけど、今はユーザーにいかに参加してもらうかが重要になってきているわ」(メアリー)

「大きなメディアが一方的な情報を流す時代は終わったんだ。これからの人々は、好きなものを自分で選んで見る時代になっている。これはすごい変革だと思うよ。前の世代は自分で良い情報を選ぶことができなかったからね」(スーツメン)

テクノロジーとクリエイティブが別々の進化を遂げていた時代は終焉した。「文系」と「理系」はハイブリッドな融合を遂げ、クリエイティブなコンテンツは発信者と受信者が対等になるだろう。オルタナティブな新しい時代が到来したのだ。この時代の申し子である彼らはこれからも我々を驚かせてくれるだろう。

5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください
スーツメン:人生が永遠に続かないということ
アリス:おかしなことをしている、作っている人たち。
ジェームズ:アート、写真、魂
Question 2: この職に就いたきっかけは?
スーツメン:お腹を空かせたアーティストになりたくなかったから
メアリー:おかしなことをやってきたし、世界中のおかしなことに会いたかったから。
ジェームズ:アート、写真、魂
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
スーツメン:コヤニスカッツィ
メアリー:ケネス・アンガー「Rabbit’s Moon」
ジェームズ:狼たちの午後
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
スーツメン:Mac、携帯電話、カメラ
メアリー:たくさんの小さな箱、ドローイング、本
ジェームズ:フィルムのカメラ、えんぴつ、ガラスのエッグ・タイマー
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
スーツメン:デジタルP2P、社会的支援
メアリー:チェンジ
ジェームズ:アニメーション初期作品(ディズニーのBフィルムカタログなど)
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