純度100%の作家道、長添雅嗣

2008.12.05 Fri

 

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長添雅嗣プロフィール:ディレクター。1979年生まれ。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。同年teevee graphicsに参加。デザイナーとして数々のCF・MVを手掛けた後、映像ディレクターとして活動。BOOM BOOM SATELLITESや髭(HiGE)などのMV、またPARCOやKONAMIなどのCFを手掛ける。最近ではCF、MVのみならずライブ映像、映画タイトルバック、プロダクトUI開発、TVブロードキャストデザインなどモニター内に留まらず活動中。2008年夏に独立。現在フリーランスのディレクターとして活動。秋には宇川直宏の新プロジェクト「UKAWANIMATION!」に参加。
teevee graphics(以下: TVG)を卒業し、2008年からフリーランスとして勝負する若きヒーロー、映像監督、長添雅嗣。抜群のデザイン・センスと溺れてしまいそうな質感に魅了される。TVG時代には映画「DMC」をフィーチャリングしたパルコのCM、カメラワークもロックする髭(HiGE)の「黒にそめろ」、Boom Boom Satellitesにおいては4本のMVを手がけている。美大生だったころはグラフィック・デザイナーを目指していた長添。3年生で映像ソフトと出会いアニメーション制作を始めたのがきっかけとなる。昔からアニメ、秋葉原、グラフィティからアートまで長添の興味の対象となるカルチャー領域は広かった。

DJ BAKU 「AKBAH ATTACK」/POPGROUP Recordings | dir: 長添雅嗣
昔からファンだったDJ BakuのMV。江戸糸操り人形師の結城一糸氏に出演してもらい、反体制、反社会というメッセージを、身近で共感を持てるアイコン、人形の個人的な人生を通して表現した。悲しみ、怒り、虚無感がひしひしと伝わってくる。
独立後も平均月2本のMVとその他のプロジェクトを精力的に手がけ多忙な毎日を送る。更には編集や合成も自身で手がけることがほとんどというからその作品の純度も高いといえる。

■テンション・バロメータという設計図
BOOM BOOM SATELLITES 「EASY ACTION」gr8!records/Sony Records | dir: 長添雅嗣
作品中には自身の大好きなアニメからのインスピレーションがちりばめられている。流れるようなグラフィックスが疾走感あふれる場面はマクロスのマシンの戦闘シーンのカメラワーク、弾丸が止まって波紋の広がる場面はエヴァンゲリオンのA.T.フィールドにインスパイアされている。
長添が映像制作にあたり常に自身のテーマとしていることは「意味のない映像はつくらない」ということだ。「見てる人は気づかないと思うし、プレゼンでもすべてを言わないけど僕なりにすべてのカットに意味があるんです。」最初に頭の中でそれを構築して取り掛かる。そうすることで迷いなく思い切って突き進めるという。MVの場合もうひとつ最初にすることが「テンション・バロメーター」だ。楽曲の調子に合わせエモーショナルなテンションを折れ線グラフのように描くのだという。次回作品となる持田かおりの「雨のワルツ」ではテンション・バロメータがフラットなものに挑戦する模様。

髭(HiGE)「黒にそめろ」/スピードスターレコーズ | dir: 長添雅嗣
■UKAWANIMATION!「秘境の奥の虫歯の記憶」
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UKAWANIMATION! feat. MEG x iLL 「秘境の奥の虫歯の記憶/持ち主はユリ・ゲラー Dedicated to スプーン (Spoon)」 avex trax | dir: 長添雅嗣
最新作はメディアレイピストの宇川直宏の新プロジェクトUKAWANIMATION!に収録された「秘境の奥の虫歯の記憶」。宇川氏のコンセプトワークとミュージシャンMEG x iLLからあがってきた楽曲をベースに長添が映像に落とし込んでいく。「秘境の奥の虫歯の記憶」については「歌詞で世界観を作り上げているストーリーのある音楽だったんです。」と語る。

20年ぶりに引き出しの奥から再び活躍の場を与えられた主人公スプーン。前半では旧友との再会や懐かしい場所に再び触れ、スプーンの喜びに満ち溢れた様子がグラフィカルに描かれる。そしてファースト給仕。ご主人様の舌に甘味、塩味、苦味、酸味いろんな味をお届けする…なんという喜び。恍惚のままにスプーン自らご主人様の体内へダイブ。腸のアーチをぬけて脳を目指す。

そしてビデオ後半ではご主人様の姿も明らかに。スプーンに反射する姿そして握る手のこの様子・・・そうご主人様はユリ・ゲラーだったのだ!(衝撃!)。20年ぶりの活躍の場はジーン・ディクソン他、名立たるエスパーらが集う晩餐会だったのだ(スプーンに移る影を要チェック)。想像のとおり最後にはご主人様お得意のスプーン曲げではかない生涯を終えるという切ないストーリーとなっている。

主に体内の描写が光る場面は、長添流の料理がふんだんになされている。 「宇川さんから出てきた企画コンテはアブストラクトなものだったんです。その中からシンボリックな要素のみを抽出してゆきました。例えば腸を宮殿のように配置したり、スプーンや食器をシャンデリアと共にオルゴールのようにダンスさせるなど。もともと宇川さんはアニメーション作品をイメージしていたのですが、そこも実写を使った今作をプレゼンしたんです。」

楽曲内にでてくるリアルでエロティックな質感を漂わせる舌、くちびる、脳、腸はテレビチャンピオンの特殊メイクのチャンピオンのJIROさんに依頼した。垂れる液体はスライムを着色して作った。

■最新作品はMTVブランディッド・ビデオ「meetalk with NEW NISSAN cube」
MTVのブランディングビデオ(ミュージックビデオ/CM):コブクロ x Cube | dir: 長添雅嗣
最新作「meetalk with NEW NISSAN cube」キャンペーンでは今までにないタイプの仕事形態と楽曲のタイプだったという。同じ世界観で創るCMとミュージックビデオ「ベテルギウス」はMVとCMでコンセプトを共有するという新しい試みであった。このキャンンペーンのテーマ「会って話そう」を、言葉が見える美しい世界を描いている。

長添はCMよりもMVをキャリアの軸におく理由を、「映像で人を驚かせたいんです。鳥肌が立つような感動ってありますよね。あれを毎回目指しているんです。それをするには僕的にはやっぱり15秒より5分のほうがやりやすいんです。15秒には15秒の楽しさも難しさも感じています。今回のNISSAN cubeのような企画から参加できるCMにまた挑戦したいですね。」

今後の計画としては自分のオリジナル作品集をブルーレイ・ディクスでリリースしたいという。日々の仕事だとこだわりたい箇所でも締め切り等の関係でどうしても難しい。「それをやるには作品集しかないと思うんですよね。まったく制約のない純度の高いものを作りたいんです。」という長添雅嗣に、これからも注目したい!

■参考リンク:
UKAWANIMATION!



5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください

Question 2: この職に就いたきっかけは?

Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
色々あります。アニメが多いかも。
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
前回と同じ
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
ゲーム
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