赤塚不二夫のDNAはじけるコラボレーション参上!赤塚りえ子&市村幸卯子

2008.10.17 Fri

 

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左:赤塚りえ子氏:現代美術アーティスト、フジオ・プロダクション社長。東京生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校ファインアート科卒業。
右:市村幸卯子氏:映像作家。神奈川県横浜市出身。ロンドン大学ゴールドスミス校現代美術科卒業。在英11年を経て東京に移動し、ピラミッドフィルム入社。
偉大な漫画家、赤塚不二夫氏の娘で現在フジオ・プロの代表取締役を勤める赤塚りえ子氏と、ユニクロ×山田優×東京ガールズコレクションの映像や、ミュージックビデオ(MV)などの映像監督として活躍する市村幸卯子氏(ピラミッド・フィルム)。実はロンドン在住中に意気投合して共にアート活動を行っていた2人。このたび赤塚不二夫プロ協力のもと、オリジナルの赤塚キャラ「ブリバエ」と赤塚マンガの原画を贅沢に使用したMV「manabadman」を作り上げた!その内容は赤塚マンガ100%の映像にUKゲットー・サウンドが響き渡るゲットーな作品!彼女たちに、UKでの出会いから新作MVのビハインド・ザ・シーンなどを聞いた。

■ロンドンで2人のアーティストが邂逅!
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ロンドンの事務所、DENでの創作風景。
2人の出会いはロンドン。現地で映像作家(市村氏)と現代美術アーティスト(赤塚氏)として活躍中に、同じゴールドスミス・カレッジ卒ということもあり、意気投合。VJユニット「Happy Hour」を結成し、アンディ・ウェザオール、マシュー・ハーバートのレーベル「Accidental Records」在籍の名だたるアーティストのライブ映像を務めていたという。そのスタイルは”生VJ”という名のごとく、自由奔放のフリースタイル!ビデオカメラをPCに繋ぎ、その場で即興のパフォーマンスを行っていた。パワーポイントのアニメ機能を使ったり、赤塚不二夫の漫画を動かしてみたり、リズムを刻むメトロノームを映し続けたり…。女の子2人が奔放に行うフリースタイルのVJはすぐに評判となり、UK、フランス、イタリアのアバンギャルドな音楽フェスティバルやアートフェスティバルにも招聘されたほど。

「人と同じことはやりたくなかったんです。もともとファインアート専攻で、映像作品は卒業してから初めたんですが、生VJだと瞬発力が要求されるんですよ。そこは赤塚さんの瞬発力の凄さもあって、即興で雪を降らせたり、思いつくまま色々エクスペリメンタルなことをしていました。海外だとお客さんが”オレもやりたい!”って言って入ってきちゃったりするのも面白かったですね。」(市村)

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ドローイングを撮影中。
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VJ風景。カニの置物を置いて…
2人がロンドンに構えていた事務所は”DEN(阿片窟)”と呼ばれ、ミュージシャンやアーティストが自由にたむろする、クリエイティブな場所だった。2人はVJ活動のほか、UKのエレクトロ系ミュージシャンbrooksのMV 「Do The Math」でも共同ディレクションを行っている。海外の目から見た「日本の底知れない恐ろしい魅力」を表現したこの作品は、当時ロンドンの映像玄人筋に、これはヤバイ!と大人気だったそう。

「brooks本人による”数字をつけたかわいい日本人の男の子が無機質に踊る”というアイディアを膨らませていった感じです。赤塚さんの知り合いの男子アイドルグループに出演していただき、日本で撮影しました。機材は、普通の家庭用ミニDVと、赤塚さんの実家の防犯用CCTVカメラシステムを使用しています。」(市村) 

ちなみに赤塚氏に自身の現代アート作品について聞くと、次のように語ってくれた。

「日用品を入れてガラガラ回す170cmの巨大万華鏡や、河童を作っていました。なぜ河童を作ったかというと(笑)、展覧会のテーマが”最初のミュージアムを作った親子”だったんです。彼らのコレクションは動物の剥製から人魚の手まで様々だったらしく、そのコレクションに日本から何か加えるなら河童だろうと!そこでインターネットで河童の情報を集めて、ひたすらプリントアウトしたものをブロック折り紙で巨大な河童に作り上げたんです」(赤塚)
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UKで行われたbrooksのライブ風景。 


■赤塚不二夫印のオリジナルキャラクター誕生!
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これが赤塚印100%のオリジナルキャラクター、「ブリバエ」だ!
そんな2人が作り上げた新作MVがToddla Tの「manabadman」。Toddla Tは、UKの地方都市シェフィールドで活動を続けるグライム(UKガラージをルーツにしたゲットー・スタイルのラップ・ミュージック)アーティスト。赤塚漫画を忠実に踏襲したオリジナル・キャラクターの「ブリバエ」がゲットー・サウンドに合わせて登場している。2人が赤塚キャラをフィーチャーした理由は、歌の持つナンセンスでシリアスじゃない感じがぴったり合うと思ったからと語る。果たしてブリバエはどのように誕生したのだろうか…?

赤塚不二夫氏は、漫画を描く時には、センスの合う人を集めて「アイデア会議」を開いていた。一人で書くよりも、集まったメンバーが自分の意見を出し合ってギャグの応酬を繰り広げ、もっと面白い漫画を作るためのアイデアを追求していったという。彼女たちも赤塚流に乗っ取り、音楽に詳しい友人らを招いてアイデア会議を開いた。

「歌詞の内容が”どっちがバッドか?”を競うDJバトルなんです。曲にスピード感もあるし、勢い、対決もので考えてて。アイデア会議では最初は真剣な話をしているんだけど、参加者の一人が『この歌詞”ブリブリブリバエ”って聴こえる!』って言い出して!その瞬間に、これだ!とひらめいたんです。」(市村)

■こだわったのは「ダバダ感」
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本MVのため、赤塚漫画から切り抜いたイメージたち。
テーマは「人生は永遠に続く戦い」。赤塚氏が赤塚漫画から気に入ったコマを抜き取り、一つのカットに3枚のイメージを制作したという。赤塚漫画はギャグのイメージが強いが、星と擬音の飛び散るシーンなど、実はとってもグラフィカル!

さらに赤塚キャラらしさを出すために、入念な準備が必要だった。市村氏が書いた動画の構図のペン入れを、赤塚不二夫氏の最後のチーフ・アシスタントだった峯松孝佳氏に担当してもらっている。また、サイズやペン・タッチのテストも行った。静止画をアニメにする時には、縮小や拡大のサイズ感で”マンガっぽい感じ”が出せるかどうかが決まってしまうのだ。そうしてやっと誕生したのが赤塚キャラ風の新しいキャラクター「ブリバエ」。女の子と戦った、と思ったら子供ができていたり、帽子を被った”スーパーフライ”ことカーティス・メイフィールドなハエが登場したり、様々なネタが散りばめられている。
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“スーパーフライ”ことカーティス・メイフィールドなハエ。
「ハエが夜空を見てたそがれるシーンがあるんですが、その時に眺める星座って何かな、って考えたときに、あれしかないと(笑)。ちょうど歌も歌詞が似てたので、”ウンパ座”って名づけました。打ち合わせでハエの話をしていたとき、『ハエは育ちが悪い』って言ってたら、母がやってきて『違うわよあんたたち、ハエは生まれがダメなの』って(笑)。」(赤塚)

2人に一番こだわったところを聞くと、こんな答えが帰って来た。

「ファイナル・ラウンドのシーンに3カットだけ出てくる”下品な”コーヒーカップですね。それは登場するハエ同士が融合することと、コーヒーにクリームが溶けることをかけてるんです。できるだけベタな通販カタログに載ってそうな、某CMソングで流れるダバダ~♪をイメージした「ダバダ感」とでも言うような…通常ディレクションしているCMとは間逆の質感を意識しました。」 (市村)
「ちなみに彼女に”ダバダのカップはサイババの写真くらい色を抜いてくれ”って伝えたら、その通りにしてくれて(笑)。なかなかそれで分かってくれる人いないですよ!私のこだわりといえば、最近赤塚漫画のバトルシーンが気になっていたので、そこを重点的に。バトルに合った星とかハートのシーンを2人で抜いて、市村さんに派手に動かしてもらいました。」(赤塚)
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効果音がカラフルでグラフィカル!


■「真面目にふざけなさい」
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なごやかに会議を進める2人
「すごく感性が合うので、小さなことでずっと笑い転げていたりするんですよ。ただ気が合うだけじゃなく、自分のアイデアを加速させてくれる存在なんです。彼女といると自分の考えてることに、思いっきりカンナをかけてもらう気がする。」(赤塚氏)
「彼女に会うまでは、9時~5時の仕事で生真面目に生きていかなきゃ…なんて思うこともあったんです。でも彼女を見ていると、それを超えたものがあるんだなと。やるんだったら真剣に死ぬ気で遊ぶ、っていうことを教えられました。」(市村)

「父の言葉で、「もっと真面目にふざけなさいよ」というのがあって。よく怒られたんです。市村さんは赤塚家公認の分家みたいな感じですね。面白いことってセンスの合う人がいてどんどんエスカレートしていく感じ。」(赤塚)

感性の合う仲間と行う作品づくりには、自分のアイデアが加速して行く楽しさがあると2人は語ってくれた。「一人でやるとエゴに入ってしまうことがあるけど、みんなでやってると楽しさが入って、逆にピュアでいられるんです」と市村氏が語るように、彼女たちの作品に漲る楽しさのヒミツはここにあるのかもしれない。友情と信頼感、お互いに対する尊敬が2人から感じられ、取材している我々も楽しくなってしまった。今後も2人が発するパワフルな作品に期待!

5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください
赤塚:電子音楽
市村:宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、出会ってきた人々のさまざまなじんせい。
Question 2: この職に就いたきっかけは?
赤塚:(フジオプロ社長)たまたま赤塚不二夫の子に生まれてしまったから。 | (現代アート作家)それしか出来ないから。
市村:なりゆき(これしかできないのです)。
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
赤塚:「2001年宇宙の旅
市村:「ロード・オブ・ザ・リング」のメイキング。かもしれないけど、わかりません。
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
赤塚:母の遺影、父の遺影、セーラー服姿の父の写真
市村:コーヒー、紙とペン、リップクリーム。
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
赤塚:(まだ喪中なので、今の自分の研究テーマとでもしておきます) ナンマイDUBツ
市村:…ここでは言えない☆
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