全ての映画ファンへ。ゴンドリー新作「僕らのミライへ逆回転」

2008.07.30 Wed

 


bekindrogo.jpg

ミシェル・ゴンドリーの劇場新作映画「Be Kind Rewind」がいよいよ日本公開直前。高い機材やハリウッド俳優陣を使うだけが映画ではない。そこに映画愛の溢れるカタチを見ることができるゴンドリー新作「僕らのミライへ逆回転」。2008年晩夏、シネマライズほかでロードショーされる。待ちに待った劇場公開。すべての人に、ぜひ見てほしい作品である。

■ゴンドリー×ジャック・ブラック、最高傑作誕生!
bekindmain450.jpg
あらすじ:何かとトラブルを引き寄せるジェリー(ジャック・ブラック)と、つぶれそうなレンタルビデオ店の店員マイク(モス・デフ)。マイクが店長不在時に、店中のビデオから映像がすべて消えてしまう事件が起こる。もちろん原因はジェリー。大切な常連の為、2人はゴーストバスターのリメイクを敢行するのだが…。
(C)Newline Productions/Junkyard Productions
映画を観る上でうれしいことは不意を突かれる感動だ。幾度もこのドッキリに巡り合い映画から離れられない。今回は最大級の不意打ちを喰らってしまった。それが、「僕らのミライへ逆回転」だ。ゴンドリーの映像世界と「スクール・オブ・ロック」でおなじみ怪優ジャック・ブラック。モス・デフとの掛け合い。ゴンドリー最高傑作として疑わない事は我々編集部満場一致…。

舞台はVHSのみのビデオショップ。その商品が使い物にならないために必要に迫られてリメイクを敢行する。手元にあるのはVHSカメラだけ。もちろん予算もゼロ。完成したのは、アルミホイルで作った特殊スーツを身につけ、クリスマスの飾りでできたビーム光線を町の図書館の中で撃ちまくるなど完全なる手作り「ゴーストバスターズ」。なぜかこの作品が、大評判になり、リメイク版を求める人で店は長蛇の列に…。そして街中を巻きこんでリメイク映画製作が始まる。リメイク映画には、ゴンドリー流のローファイでハンドメイドな遊び心が溢れている。車の部品をかき集めて作った「ロボコップ」、ジャングル・ジムでアクションする「ラッシュアワー2」、廃棄された冷蔵庫にマジックで描かれたエッフェル塔が出てくる「シェルブールの雨傘」など、数多くの作品がリメイクされる。

リメイク映画は作品中で「スウェード版(スウェーデンからの舶来品)」と呼ばれている。映画公開後、触発されたファンによって、数多くのスウェード版映画が制作されている。Webで続々公開され、ちょっとしたブームになっている。スウェード版については後日詳しくお伝えするのでお楽しみに!しかしハリウッドの映画会社の弁護士(シガニー・ウィーバー)たちが著作権問題を理由に彼らが作り上げたスウェード版は、すべて差し押さえられてしまう。ここから物語が急展開を迎える。

■またしても邦題に殺られるのか?
bekindsub_1450.jpg
(C)Newline Productions/Junkyard Productions
イケていない邦題ほど作品を食わず嫌いにすることが多い。「バス男」(原題:ナポレオン・ダイナマイト)などは、作品は、クオリティー高いのに邦題で台無しにしてしまった顕著な例だ。「僕らのミライへ逆回転」というタイトルも然り。聞いた時に「これでは食指が伸びないだろう!と耳を疑ったのだが、映画評論家の町山智浩氏ブログ記事によると、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」もリメイク候補だったが、許可されなかったという。原題に対してつけられたこの邦題は、配給サイドでの粋な計らいなのかも知れない…(現在調査中)。このように作品には本編を楽しむ以上に、無数に伏線が張られていて、何回も噛み砕いて見る楽しみが作品の中には備わっているのだ。

■ハッピーエンドはゴンドリー自身の成長?
bekindghost450.jpg
(C)Newline Productions/Junkyard Productions
これまでの作品「エターナルサンシャイン」、「恋愛睡眠のすすめ」では個人そして恋愛をテーマにしていたゴンドリーだが、今作ではその眼が社会に向けられる。人種差別、再開発のために住み慣れた地を追われる人など、都会で失われる人と人とのつながり。ゴンドリーは前作「ブロック・パーティー」でコミュニティ(地元)というテーマに出会ったという。終盤、物語はドラマチックな展開を見せる。ゴンドリーは、人と人とのふれあいの温かさや世の中で弱者と呼ばれる人々に温かいまなざしを注ぐ。

映画産業は、すでに肥大化し、体制に取り込まれた大きなビジネスである。それは、今更非難をするべきでもないが、ハリウッドに限らず、映画業界に溢れる安易なリメイクや興行成績至上主義の作品が連発される現状もある。しかしモノを作るということは、予算や機材がなくても、スターがいなくても、誰も見たことのないビジョンとクリエイティブとDIY(Do It Yourself)精神で新しい表現が生まれるものだ。子供の頃、”映画ごっこ”をしたことがあるはず。この作品には、そんなピュアな思いが描かれている。映画とものづくりへの愛が溢れている。

■「僕らのミライへ逆回転」
公式サイト
監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジャック・ブラック、モス・デフ、ダニー・グローヴァー、ミア・ファロー、シガーニー・ウィーヴァー
10月11日(土)より、 シネマライズ、シャンテ シネ、新宿バルト9他全国順次ロードショー
配給:東北新社
Tags:
トラックバックURL:http://white-screen.jp/white/wp-trackback.php?p=2060