佐藤カズー氏と田中裕介監督が語る!ガンダム×安室奈美恵の邂逅MV「Defend Love」
2010.02.06.Sat
Category : Features / Interview

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左:佐藤カズー氏、右:田中裕介氏
いまも熱狂的なファンを持つアニメ「機動戦士ガンダム」。なかでも聖域とされてきたいわゆる"ファーストガンダム"と歌手の安室奈美恵がコラボレーションした衝撃のミュージックビデオ(MV)「Defend Love」が2009年12月リリースされた。実在の人物が書下ろしでガンダムの映像とコラボレーションするのは史上初!このチャレンジを行ったクリエイティブ・ディレクター佐藤カズー氏(TBWA\HAKUHODO)と、監督の田中裕介氏(キャビア)にお話を伺った。

■ララァが実現のきっかけを与えてくれた
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安室奈美恵「Defend Love」 dir: 田中裕介
本MVの世界観は、ホワイトスクリーンでもお届けしたMV「Dr.」から繋がっている。「Dr.」の舞台は西暦3,000年。安室奈美恵が「世界平和」や「環境破壊」のメッセージを時空を超えて現代の少女に伝えるストーリーだった。今回は「Dr.」で世界を守った博士の孫が武器商人になり、安室奈美恵が持つ人類の知識を利用する。脳から直接武器の設計図をダウンロードされ、苦しむ安室奈美恵。地球が平和だった現代の知識は、荒廃した未来では価値があるのだ…。
制作期間2ヶ月という短期間で創り上げられた本作品。これまでも安室奈美恵とのコラボレーション・プロジェクトを数多く手がけてきた佐藤氏に、今回のガンダムとのコラボレーション経緯を聞いた。

「安室さんがガンダムファンで、僕も19年間ガンダム愛と共に生きてきたガンダムマニアですから、絶対実現したいと前から願っていました。ガンダムの制作会社、サンライズさんに安室さんのコンサートを見てもらうなど様々な苦労をして(笑)、長い期間をかけて説得したんです。またララァ役の声優、潘恵子さんに"このプロジェクトはやるべきよ!"と応援して頂いたのも大きかったです」(佐藤氏)

世界観の構築からシナリオまでを佐藤氏が手掛け、完成したシナリオを元に安室奈美恵が楽曲を制作するサントラ的なアプローチを行った。田中監督はシナリオに基づいてビデオコンテを制作。アニメーションはサンライズ、神風動画、テレコム・アニメーションの3社が参加した。

「シナリオでは戦争の愚かさというテーマを意識しながら、安室さんとアムロの衝撃の出会いにドラマの軸を持って行きました。オマケ程度の登場ではなく、二人が対峙するぐらいでないと熱狂的なガンダムファンに納得してもらえませんから。特に思い入れの強いファーストガンダムを使うのであればなおさらです。それに、安室奈美恵というデフォルメしても通用するストロングなキャラクターは、芸能界でもそうそういません。シナリオを書いているうちに、喋らせたくてたまらなくなったんです(笑)。アムロが安室さんに、「安室さんですよね?」って聞くのって、贅沢な台詞だと思いませんか?(笑)」(佐藤氏)

サンライズ側も安室さんのファン?!と思うほど、安室奈美恵の世界に歩み寄ってくれた。最大の驚きは、ガンダムで大きな意味を持つ乗り物「エルメス」が女性らしいピンク色にカスタマイズされた「安室奈美恵専用エルメス」となったことだ。

「サンライズさんが"安室さんはピンク好き"ということで色を変えてくれたんです。僕もガンダム・ファンなので驚いたんですが、安室さんにララァを重ねあわせても大丈夫でした。30周年だからか、それとも安室さんの魅力かもしれません」(田中監督)

■手描きセルアニメの威力。
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安室奈美恵「Defend Love」 dir: 田中裕介
安室奈美恵が"利用されている感"を演出するために、体に直接プラグが刺さり、苦しむ姿を描く構想もあったそうだ。
本MVでは前半~中盤を神風動画とテレコム・アニメーションが、そしてサンライズが後半の1分ほどを手掛けている。それぞれまったく違った個性を持つアニメーションなので、それをどうまとめるかに気を使ったと田中監督は語る。

「後半1分、アムロと安室さんが出会うシーンは演出的にも最大の見せ場でした。そこでサンライズさんによる手描きアニメーションの迫力が凄かったです。キャラクターの魅力はもちろんですが、仕上げのスピードの速さや、独特のサンライズの戦闘シーンの臨場感のテクニックなどのエフェクトテクニックにも感銘を受けました。"ここラジアルブラー(放射状に伸びる光線のようなブラー)入れて!"なんて指示が飛んだりして、あまり馴染みのないガンダムチームならではのテクニックも新鮮でした」(田中監督)

他にも、様々な"サンライズ・ルール"があったそうだ。

「二人がぶつかる瞬間、ワイプアウトして対峙シーンを入れたんです。良く見ると、ワイプの先端がセンターからズレているんですよ。どうして?と聞いたら、コックピットの先端にワイプの先端が合っていないとダメなんだそうです。ほかにもフレームまで含めて、コマで見るとサイコミューンが細かく動いているところも感動しました。昔ながらの制作方法で創られているんです」(田中監督)

■目指すは3部作
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佐藤氏が描いた安室奈美恵キャラクターのイメージスケッチ
MVの最後に現れる「To Be Continued」が次回作の予感を感じさせるが、今後の展開は?

「ライブステージに"安室奈美恵専用エルメス"を出演させたいですね!予定は未定なんですが、ガンダムは3部作が多いですし、次もやりたいという気持ちを込めて勝手に宣言しました(笑)。完結編アニメはコンサートで上映するか、MVにするか、さてどうなるか…」(佐藤氏)

そして独創的なMV作品を精力的に生み出す田中監督に、MV制作において、監督が"常に意識している事"を聞いた。

「僕の中には、MV制作に必要な3つの要素があります。1つ目は楽曲を最初に聞いた時に浮かぶ映像もしくはイメージ。2つ目は、そのアーティスト、もしくは楽曲が、世間からどのように見られると良いのか?ということ。そして3つ目は映像作品として面白い、新しい試み。この3つを摺り合わせて企画をまとめます。制作中もこれらの要素を常に考えつつ進めて、何か迷うようなことがあった時でも、この要素に相談すれば答えが見つかることが多いんです」(田中監督)

お二人に今後やりたいことは?と聞くと、「スタイリッシュなアダルトビデオの表現にチャレンジすること」という答えが帰ってきた。実現した暁には、きっとまだ誰も見たことのない映像を見せてくれるだろう!

■田中裕介監督、最近の作品
それでは最後に、田中監督の最近の仕事をまとめてご紹介しよう。
HAN-KUN「HOTTER THAN HOT」(2008年)dir: 田中裕介
レゲエミュージックにニンジャやサムライなどを合わせた、和洋折衷な世界観がスタイリッシュな作品、HAN-KUN「HOTTER THAN HOT」。日本モチーフを選んだのは、アーティストの音楽に対するスタンスと楽曲に、"日本を背負って立つ!!"という意気込みを感じたことが理由。東洋の武装に日本のリアルも取り入れて、監督ならではの現代的なアレンジにこだわった。これらの世界観は、田中監督の大好きな漫画「コブラ」(寺沢武一氏)にインスピレーションを受けている。
平井堅「CANDY」(2009年)dir: 田中裕介
これまで「バイマイメロディ」などでもタッグを組んできたシンガー、平井堅の「CANDY」。アーティストから「おしゃれでエロいもの」をリクエストされたことがきっかけで生まれたアイデアだという。こだわったポイントはライティング。ビューティ系ではなく、あえてちょっと生っぽいドキュメンタリータッチのトーンにしている。ロケは西船橋のラブホテルを1棟貸し切って行われた。出演しているのはAV女優や女王様など本職の方々。撮影現場では素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたそうだ。
SAWA「I CAN FLY」(2009年)dir: 田中裕介
女性シンガーSAWAの乙女なMV「I CAN FLY」。クライアントのリクエストである「ゴルフ」、「ミラーボール」というモチーフをもとにコンセプトを考えていった。抽象的な宇宙はSAWAの心象風景。ゴルフ(スポーツ)ならではの色使いで、芝のグリーンやカラフルなウェアの色をコントロールし、ポップでキュートなビデオになっている。
佐藤カズー:広告代理店ビーコン・コミュニケーションズでクリエイティブ・ディレクターとして活躍。カズー氏はこれまで児玉裕一監督らが安室奈美恵を演出するキャンペーン「FASHION, MUSIC, VIDAL SASSOON」のクリエイティブ・ディレクターも務める。
田中裕介:1978年神奈川県生まれ。多摩美術大学グラフィック科業後、ピラミッド・フィルムのテラモンキーズに所属し、2007年よりキャビア所属。これまでにRIP SLYME、安室奈美恵、平井堅などのMVやSONY、日産、VIDALSASOONなどのCM作品を数多く手がける。2007年Space Shower Music Video Awards Best Director賞受賞。破竹の勢いで活躍を続けている。
5つの質問 一問一答
Question 1: 影響を受けたものを教えてください
佐藤:レコード
田中:育ち
Question 2: この職に就いたきっかけは?
佐藤:成り行き
田中:これしかなかった
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
佐藤:アニー・ホール
田中:マルホランド・ドライブ
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
佐藤:コーラ、えんぴつ、ガム
田中:コーヒー、水、筆記用具
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
佐藤:AV(アダルトの方)
田中:エロ
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