レゴで「マトリックス」を完全再現した大人気バイラルムービー、「Trinity Help」の舞台裏とは
2009.12.11.Fri
Category : WS Pickup

"Trinity Help" dir: Trevor Boyd、Steve Ilett
1999年に公開され、熱狂的なマニアを生み出した映画「マトリックス」。人物を360度から撮影した「バレットタイム」など、それまで誰も見たことがない斬新な映像とサイバーパンクな世界観で、映画史に残る作品となった。あの衝撃から10年、オーストラリアのアマチュア・アニメーターが、レゴで名場面を完璧に再現した「Trinity Help」をYouTubeに発表!全てレゴで作られている驚きの映像が口コミで評判を呼び、2週間で120万回再生を超える大ヒットとなった。

この作品を作り上げたのは、Trevor Boyd(トレバー・ボイド)とSteve Ilett(スティーブ・アイレット)。もともとレゴとコマ撮りアニメに興味を持っており、レゴでスペースシップを作ったショートフィルム「General Grievous Starfighter」など短い作品を制作していた。このシーンをレゴで再現しようと思いついたのは、結婚式で「マトリックス」の衣装を借りた時に、ついでに実写版映像を撮ろうとしたことがきっかけ。結局撮れないままに衣装の返却期限となり、今回レゴで挑戦したのだ。それでは撮影期間1年間、総製作費500オーストラリアドル(約4万円)をかけた力作のビハインド・ザ・シーンに迫ってみよう。

■総製作費4万円!ハンドメイドと自作ソフト
"Trinity Help"より。これが手作りのOrbital Camera Rig(オービタル・カメラ・リグ)
この作品を創るにあたり、二人はカメラの前だけで作品を完結させる誓いを立てた。CGエフェクトはもちろん、クロマキー合成も、ワイヤーも、Photoshopも禁止。素晴らしい精神だが、後に彼らはこの選択を大後悔することになる…。

アニメーションは全くの素人だった二人は、パソコンショップなどで材料を調達し、独自の撮影機材をD.I.Y.で制作した。なかでも凝っているのは、「バレットタイム」を撮影するためのオリジナル・カメラ・リグ"Orbital Camera Rig(オービタル・カメラ・リグ)"。被写体の周りを衛星のように周り、360度撮影を行うための装置。このリグと4台のコンパクトデジカメで「バレットタイム」を撮り上げた。また、シュミレーション用に擬似レゴアニメ生成ソフト「LegoBoard」や文字をアスキーアートに変換する「ttfbanner」など、トレバーがプログラミングしたオリジナル・ソフトウェアを使用している。さらにカメラ設定、照明などの前準備を丹念に行い、撮影時間を最低限に抑えた。

撮影に使用したカメラは、キヤノンのコンパクトデジカメPIXUS 850IS。デジタル一眼レフも使ってはみたが、被写体に近づけなかったり、フォーカスに問題があったために諦めた。トレバーは「アマチュアのカメラを使えば、映像が失敗しても言い訳になると思った」とジョークを飛ばす。撮影現場では映画「マトリックス」の本編をモニタで再生しながら、撮影と調整を重ねた。

■1年がかり、900フレームの血と汗と涙
「Trinity Help」 シーン12のBカメからの映像。
撮影において苦労したのは、レゴ人形は膝や肘など関節がないので、俳優の動きが再現しづらいところ。もはや最初のコンセプトから大きすぎるハンデを抱えていたのだが、「出来上がりを見る時はなるべく期待するな」を合言葉に、撮影を続けていった。2008年8月に最初のシーンを撮影し、最後のショットを撮り終えたのは丁度一年後の2009年8月だった。44秒(900フレーム)の映像に、延べ440時間が費やされたのだ。

本作品を仕事の合間に1年かけて作り上げた彼らは現在疲弊しているそうで、続編の制作は考えていない。そもそも1秒につき10時間かかる計算になるので、2時間近い映画本編を創るには8時間のフルタイムでも25年間かかってしまう!しかも本作品の制作にあたり、睡眠時間と自由時間を削ったのにも関わらず、「君達よっぽどヒマだったんだね」と言われてしまうそうだ…。本アニメのビハインドザシーンは、公式Webサイト「LegoMatrix.com」にて詳細に解説されている。お時間のある時にその偉業を覗いてみよう。

LegoMatrix.com

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