遂に日本上陸!CGの祭典「シーグラフ・アジア2009」レポート
2009.12.28.Mon
Category : WS Pickup

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「シーグラフ・アジア2009」
世界的なコンピュータグラフィックスの祭典「SIGGRAPH(シーグラフ)」のアジア版「シーグラフ・アジア」が日本に上陸。2009年12月16日から19日の四日間、映像都市横浜のパシフィコ横浜を舞台に開催され、4日間で約6,500人の来場者を記録。500人以上のアーティスト、学者、業界エキスパートが世界50カ国から揃った、国際的なフェスティバルとなった。

■アートシアターにはWOW、真鍋大度、オープンリール・アンサンブル
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「scoreLight」 artist: Alvaro Cassinelli、Daito Manabe
アートシアターでは、ビジュアル・スタジオWOWが「Tengible」と「Lights and Shadows」の2作品を出展。「Lights and Shadows」は2008年のミラノサローネ、2009年9月のTent Londonで発表された映像インスタレーション。9メートルのスクリーンに映し出される東京の光と影の映像が、観客の足を止めた。そのお隣には東京大学助教授のAlvaro Cassinelli(アルヴァロ・カシネリ)氏、メディアアーティストの真鍋大度氏らによるレーザーxサウンドアート「scoreLight」も展示。これは東京大学情報理工学系研究科の石川・小室研究所で開発されたレーザートラッキング技術を利用してリアルタイムで音楽を生成する楽器。色差を利用し輪郭を検知して動き回るレーザーの位置、移動スピード、方向を使って音に変換している。平面だけでなく立体にも反応するので、手をかざして光と遊ぶことができる。

また、近頃注目の集まるパフォーマンス・ユニット、「オープンリール・アンサンブル」も出展。USBを取り付けた改造オープンリール4台をターンテーブルのように自在に操り、テープの再生音や、その場で録音したり、ライブ感溢れるパフォーマンスだ。見た目の面白さだけでなく、音楽的にもクオリティが高い。他には生きた蚊の羽音を使って音楽を生成する「Truce: Strategies for Post-Apocalyptic Computation」(制作はRobin MeierとAli Momeni)やグリッド状に配置した綿の糸で創られた3Dプロジェクター「Lumarca」など、テクノロジーとアートの融合した作品が数多く揃った。

■未来のエマージング・テクノロジーズ
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フランス在住のデザイナー、Frantz Lasorne(フランツ・レゾンヌ)らによる"Augmented Reality Toys"。市販のWebカムを改造したARおもちゃ。
最先端のテクノロジーを使ったアート作品を紹介する「エマージング・テクノロジーズ」。「Adaptation(適応)」をテーマに、世界中から作品が集まった。中には以前ホワイトスクリーンでもお伝えした、AR対戦ゲームの「Augmented Reality Toys」も。ほか、マイノリティ・リポートのように指先でモニタ状のオブジェクトを操作する「SixthSense」、こどものためのケータイSNS「Petimo」など未来への可能性を感じさせる作品が揃った。

■ロボット漫才も登場の企業ブース
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ぜんじろう氏の相方、PaPeRo。しゃべっているうちに、だんだん可愛く思える
また、企業ブースにはロボットコーナーがあり、芸人のぜんじろう氏が、NECのコミュニケーションロボット PaPeRoと漫才を行うパフォーマンスも。ちなみにぜんじろう氏はロボット漫才で「M-1」に挑戦しているが、しまいには「ロボット出場禁止」と公式アナウンスされてしまったそうだ。企業ブースではピクサーの開発したソフトウェア「レンダーマン」のセッションが立ち見も出るほどの人気ぶり。最新映画「カールじいさんの空飛ぶ家」にて使われた、光が物質に当たって跳ね返る色までも計算した「シンプル・カラー・ブリーディング」などの機能を説明した。

■8bitチューンを奏でる電子工作ワークショップ
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チップチューン・マーチング・バンドの完成品!
エデュケーション・プログラムも充実していたシーグラフ。ワークショップ「チップチューン・マーチング・バンド」には年齢、国籍、性別も多様な約10人が参加した。講師はニューキャッスル大学の研究員の城一裕氏とJamie Allen(ジェイミー・アレン)氏。D.I.Y.カルチャーやエネルギー(例えば水力や石油や電気)をテーマに、電気に頼らない電子音楽(エレクトリック・サウンド)を創造的に創作してみようというワークショップだ。つまり、磁石を使ってコイルからの発電を利用しエネルギーを得、電池を使わずして、電子楽器を作って自ら演奏しようという内容。音楽は聴くものから、演奏するものに変わっていってもいいんじゃないかと言う、これからの音楽と人との関わりも探求したプログラム。コンビビオ・テクノロジー(facebookのような人の行為を促すテクノロジー)やフランスの経済学者ジャック・アタリを引用した、「音楽は社会の先を予見している」といった社会的背景も踏まえたレクチャーも印象的だった。和やかなムードで進んだワークショップの中、音の発生するメカニズムの解説も加え、創造力と知的探求が満たされる内容となった。

■アニメーションシアターでは79作品を上映
グランプリ作品の「Anchored」 dir: Lindsey Olivares
そしてシーグラフといえば、世界中から集めた、その年を代表するCG作品を上映するアニメーションシアター。今年は世界16カ国から79作品のCGアニメーションが選ばれ、「ドリーム」、「マジック」などジャンル分けして上映された。日本からは辻川幸一郎監督BOSS「空飛ぶクジラ」篇や国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト制作の「月面全体の地勢図」、カズヤ・ササハラ監督「Cat Shit One」、生守一行監督「ファイナルファンタジーXIV」が選ばれた。

■暦本純一氏らの基調講演から富野由悠季監督まで
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ウォルト・ディズニー・イマジニアリング Joe Rohde (ジョー・ローディ)氏
基調講演では、ソニーコンピュータサイエンス研究所、東京大学大学院情報学環教授を務める暦本純一氏が「エンハンスド・リアリティー」をテーマに、自身の研究を披露した。猫の首にカメラやブルートゥースを付けて健康管理を行い、Twitterに猫のステータスを自動投稿する「Cat@Log」、イヤホン型のデバイス「Brainy Hand」など、どれも常識の枠を超えたユニークな研究ばかり。ほか、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのJoe Rohde (ジョー・ローディ)はディズニーランドのアトラクション「アニマルキングダム」を例に、アトラクションのプロデュースについて紹介。ストーリーを体験させる空間を作りだすことへのこだわりは、建物の壁の汚れ一つにまで及ぶ。「プロデューサーの役割とは、お客様にコーヒーを出す執事のようなもの。お客様に満足していただけるものを提供し、姿を隠す」と語った。

そして、富野由悠季監督によるスペシャルセッション「リング・オブ・ガンダム:マニュアルに創作のヒントはない」も。CG嫌いで有名な富野監督がチャレンジした3DCGアニメーション作品「Ring of Gundam」制作の舞台裏を披露。「3DCG界では役者に演技をさせてリファレンスさせるなど、余計な工程が多い。本当の意味での創り手不足が今後の課題」、「エンターテイメントはロジカルに創らなくてはならない。その上での感性だ」と叱咤激励を飛ばすなど、相変わらず妥協の無いアグレッシブなトークを繰り広げた。

会場は韓国や台湾、中国などのアジアや北米、ヨーロッパのCG関係者で賑わっていた。英語でのセッションが多いため言語の壁を感じることはあるが、アニメーション上映など語学力なしでも楽しめる物は多い。次回は2010年韓国にて開催予定となっている。

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