女の子にしか見えないものを描くデジタル・アーティスト、ヨシヤスの世界
2009.02.19.Thu
Category : +PEOPLE
, Features / Interview
, WS Pickup
ヨシヤス:イギリスのファッションカルチャー誌「THE FACE」の特集、「注目する世界のアーティスト29人」に選ばれた経歴を持つ女性アーティスト。キャラクターデザインから、監督までをもつとめアニメーションDVD「ニャンコス」を発表。フィギュアや携帯も人気を集める。最近は和太鼓に凝っている。
CGイラストの世界に女性らしい感性で新風を巻き起こしたアーティスト、ヨシヤス氏。テレビでお馴染みのキャラクターや、セクシーな猫のキャラクター「ニャンコス」など、生き生きとしたキャラクターたちはどのように生まれてくるのだろうか?書籍「ブクブクアワー」の発売を控える彼女にそのヒミツを訊いた。
■CGを始めたきっかけ
「王様のブランチ」の人気コーナー「女王様のお買い物」のマスコットキャラクター。(C)TBS/yoshiyasu Md
CX系「チノパン」、「ヒメヒメ」(「王様のブランチ」)など、女性CGクリエイターのさきがけとして活躍するヨシヤス氏。彼女がCG作品の制作を始めたのは大学卒業後。就職したCMプロダクションでのアシスタント業に限界を感じてからだという。
当時はパソコンが大学の教室に1台あるのがやっと、という状況。もともとコンピュータが苦手なため、友人にレクチャーを受けながら少しづつ習得したという。やっぱり自分の作品が作りたいと思い、半年で辞めて、失業保険で当時は超高級品だったMacの"クアドラ840AV"を購入した。
最初はフォルダとかインストールとか、コンピューターの概念を理解するところからのスタートです(笑)。何ヶ月かしてやっとイラストレーターのファイルをフォトショップで開けた時に、やっと掴めてきたと思いましたね(笑)」
■カワイイを開放!「ニャンコス」誕生
ポケットミュージック(NTV)
Pokcet music
(C) NTV/yoshiyasu Md
エンクミこと遠藤久美子ちゃんがいろんなゲストを迎えて繰り広げる音楽情報番組。
以後独学でCG作品を作り始め、持ち前の美貌とキャラクターで千葉麗子氏らと電脳アイドル的な活動を行っていたヨシヤス氏。当時はいわゆるアーティスティックな作品作りにこだわり、"カワイイ"テイストには抵抗があったという。そんな彼女のターニングポイントは、音楽番組「ポケットミュージック(NTV)」のCGキャラクター制作だった。
「パーソナリティの遠藤久美子ちゃんのキャラクターを作ってみて、自分のルーツが"かわいいもの"だって気付いたんです。それまでは男性と張り合ってかっこいい表現を作ろうと思ってたんですけど…。私は男性と違ってサンリオなどの可愛らしいものを見て育ってきたんですよね。自分にしか作れないものを表現しようと決めたんです」
そうして自分のルーツに立ち返った結果、生まれたのがファッショナブルな猫のキャラクター「ニャンコス」だった。
■ワールドワイドに活躍した「ニャンコス」
ニャンコスは、セクシーな表情や、ポップな色使い、ファッションやインテリアなど細部にこだわりぬいたキャラクター。その世界観は女性から人気を呼び、大きな成功を収めることになった。
「表現も、3Dとか無理しなくていいや!って2Dに切り替えました(笑)。東京のポップさに刺激を受けた作品ですね。それまでは出身である京都独特のこってりしたテイストが抜けてないところもあったんです」
ニャンコスはドールフィギュアの発売、DVDアニメ化など、キャラクターとして大きな成功を収めることになった。さらにアート界においても評価を受け、東京・原宿のギャラリー「ロケット」と海外ロンドンでも個展を開催し、UKの雑誌「The Face」に村上隆や奈良美智 と並んで掲載されるなど世界に活躍の場を広げることになった。
■キャラクター作りの秘訣は、ブレないこと
会員数40万人を誇るアメーバの人気SNS+ブログパーツサービス「メロメロパーク」。キャラクターデザインとアートディレクションを手がける。
「メロメロパーク」など、シンプルなのに個性溢れるキャラクターを多数生み出したヨシヤス氏。キャラクターデザインにおいて、秘訣はあるのだろうか?
「ブレないことです。コンセプトなど、大事なこと1つをクリアーにすること。たとえばブクブクの大事なところは真っ白な泡であることですね。さらに、そのポイントに基づいたキーカラーの設定も重要になります。ブクブクの場合は、泡がいるのはお風呂だということで水っぽいイメージ、タイルなどを連想してグレーっぽいブルーに設定しました。泡が存在する自然なシチュエーションで生まれるコントラスト、ということを軸にしています」
シンプルな幹を作り、枝葉といった隅々まで神経をいきわたらせる、妥協の無い作品作りがヨシヤス氏のキャラクターの魅力の秘訣のようだ。また、これまでに3DCG作品から女性らしさを全面に出した2D作品、そしてシンプルでミニマルなキャラクターづくりへと作風を変えてきた彼女。その理由を聞くと、「なんでもやりだす頃っていうのは作品を足し算にしてしまいます。でもある程度経験を積むと、余計なものを引き算してくところに興味が移ってくるんです」と答えてくれた。
■グラフィカルな新作「ブクブクアワー」
キャラクターブック「ブクブクアワー」2009年2月20日(金)発売
最新作「ブクブクアワー」は、携帯サイト 「L25モバイル」にて謎のアワまみれ生物"ブクブク"を主人公にした4コマ漫画にチャレンジした作品。この連載に大量の書き下ろしを加え、2009年2月20日(金)にキャラクターブック「ブクブクアワー」としてリリースする。90作品の4コマ漫画に書き下ろしを加え、たまらなくキュートなキャラクターとシュールなジョークが共存するビジュアル・ブックが完成した。
「本を作るお話を頂いた時、コンセプトで悩んだんです。ビジュアルを見せるのか、自分のパーソナリティを全面に押し出すのか。3ヶ月毎日4コマ漫画を連載するのはかなり大変でした(笑)。大量の書下ろしを加えて、装丁もデザインも全て手がけています。」
4コマ漫画の枠に収まらない大胆な構図とグラフィックは、ビジュアルブックとしても成立するほど。それはまさしくヨシヤス氏の魅力そのものにも当てはまる。今後は、Tシャツ制作にチャレンジしたいと語るヨシヤス氏。彼女の生み出す魅力的なキャラクターたちとストリートで会える日が楽しみだ。
その人柄も作品と同じく最高にキュートで個性的なヨシヤス氏。彼女が司会を勤めるAfter Effects® Nightは東京・SHIBUYA-AXにて2月20日(金)、大阪・クリエイティブセンター大阪にて2月27日(金)開催!会場でヨシヤス氏に会おう!
■ヨシヤス「ブクブクアワー
」
発売日:2009年2月20日(金)
価格:893円(税込み)
ページ数: 104ページ
出版社: メディアファクトリー
ISBN-10: 4840126704