これがリアル・ドキュメンタリー?!SO-ME監督が語るジャスティス「ア・クロス・ザ・ユニヴァース」
2008.11.21.Fri
Category : +LISTEN
, +PEOPLE
, Features / Interview
今最もエキサイティングなバンドの1つ、ジャスティスが2008年12月、初映像作品「A CROSS THE UNIVERSE / ア・クロス・ザ・ユニヴァース
」をリリースする。本作品にて、監督を務めるのはミュージックビデオ「stress」でコラボレーションしたロマン・ガブラスとエドバンガーの全てのアートディレクションを務めるSO-ME。「DANCE」、「DVNO」など常に話題の作品を作ってきたジャスティスと彼ら。これまでの音楽ドキュメンタリーの系譜からは異色の、楽しい作品に仕上がっている。監督の一人、SO-MEにインタビューを行った。
■1ヶ月のツアー、全てを記録!
――まず、このビデオを作ったきっかけについて教えてください。
SO-ME:実はジャスティスとは学生の時からの友人なんだ。ギャスパールと同じ学校で、グザヴィエはそれより2年位後に出会った。ペドロ・ウィンターとEd Banger Records(エド・バンガー)の仕事をすることになった時に、音楽をやっている2人を彼に紹介したんだ。それがジャスティスだったというわけ。
――古い友人同士のリラックスした関係が、作品にも出てますね。
SO-ME:ツアーのドキュメンタリーを撮影するとしたら、全然知らない人相手だと緊張しちゃって自然に振舞えないだろう?僕らは古い友人だから、彼らのありのままを撮れると思ったんだ。カメラもSONYのハンディHDカムを使ってる。持ち運びも便利だし、おおげさな機材があると周りの人を緊張させちゃうからね。
撮影の時、共同監督のガブラスとは特にコレといった取り決めはなかった。ただ全てを記録しようって事だけ。そのおかげで膨大な量の撮影素材を編集することになったけど(笑)。ライブで熱狂する人とか、クラブの外にいるファンにインタビューしたり。撮影の仕方はすごくラフで、普通の人が休みの日にビデオを撮るのと同じような感じだよ。照明のセッティングとか色調整もやってないくらい。だから控え室の色が赤すぎたりするんだけど…。それに、友達のツアーについていくのにはいい口実でしょ(笑)。友達みんなが集まって、ジャスティスと一緒に過ごしてる。その関係性を収めたかったんだ。
■これまで見たことのないものを作ろうと思った
「A CROSS THE UNIVERSE / ア・クロス・ザ・ユニヴァース」より
ダフトパンクのマネージャー、ペドロが始めた音楽レーベル、エドバンガーから現れた奇妙な十字架のモチーフを使うフランス人の若者2人組「ジャスティス」。次々に生み出すヘビーでポップなエレクトロ・ミュージックに、世界中が熱狂した。アルバムは売れに売れ、ライブは常にソールドアウト。「ア・クロス・ザ・ユニヴァース」は、彼らの2008年春のアメリカツアーに密着し、世界で最もエキサイティングなバンドの1ヶ月間をドキュメントする。
――実際の映画制作はどのように行われたのでしょうか?
SO-ME:とにかく沢山の映像を撮ったから、この作品に合わないと思ったシーンはどんどん取り除いていったんだ。僕は強烈さが欲しかったんだけど、ツアーの最初はあまり何も起こらなくて。途中からどんどんアルコール、オーディエンスすべてがめちゃくちゃ増えて、クレイジーな事が起こるようになったんだ。映画も同じようにしようと思った。同じ経験をしてもらいたかった。作り終わって間もないからまだ好評かどうかわからないけど(笑)。
――ロックバンドのドキュメンタリー映画「DIG」のような作品を目指したとか?
SO-ME:その映画、僕は見たことがないから分からない(笑)。とにかく、これまで見たことのないものを作ろうと思った。メタリカのドキュメンタリーにインスパイアされた、なんて作品じゃなくって、ジャスティスとツアーをした僕らの経験をファンにもさせてあげたかったんだよ。これまでにミュージックビデオのディレクションはしたけど、ドキュメンタリーはまったく初めてなんだ。
「
A CROSS THE UNIVERSE / ア・クロス・ザ・ユニヴァース
」より
ア・クロス・ザ・ユニヴァースはこれまでの音楽ドキュメンタリーとは全く違う。ジャスティスと旅をするのは、まるでコーエン兄弟の作品に登場するような強烈なキャラクター達。低音で歌うギネス記録に挑戦するというバスの運転手。銃の魅力に取り付かれてしまった、ガンマニアのツアー・マネージャー。楽屋ではしゃぐ、アメリカン・アパレルの服を着た追っかけの女の子たち。はっきり言って、ものすごく笑える。こんなドキュメンタリーは観たことがない!
――なるほど。SO-ME的な見所は?
SO-ME:バスのドライバー!すごく変なヤツだった。彼はアメリカ南部のクリシェそのものだったよ。いわゆるアメリカン・ストーリーテラーだよね。このドキュメンタリーのナレーションもやってもらってるんだけど、コーエン兄弟の映画「ビッグ・リボウスキ」ぽいでしょ。謎の男が最初と最後にナレーションしてるあれ!あのドライバー、ノイズ大会に出てギネスに挑戦するとか言ってたけど、その後どうしたかなあ。
――そういえばガスパールが奇妙な結婚式を行っていましたね。
SO-ME:結婚のシーンは、まあ本当にしてはいるんだけどフランスに帰るとあの結婚は無効だからあれっきりだよ。人が死ぬわけじゃないし、結婚ぐらいいいと思うけど(笑)。クレイジーなことがたくさん起こっているように見えるけど、実際はあまり起こらなかった。60年代のドアーズなんかとは違っておとなしいもんだった(笑)。編集でマックスな所を紡いでいるんだ。
■SO-MEのコラボレーションの秘訣とは?
SO-MEデザインのジャスティス「+ 」 ジャケット写真
|
|
SO-MEデザインの「Ed Rec, Vol. 3 」 ジャケット写真
|
――エド・バンガーではアート・ディレクターとして様々なアーティストとコラボしていますね。
SO-ME:たくさんの人とコラボするってことは、色々と違うことが許されるってことだよ。例えば僕は3DCGが出来ないから、3DCGアーティストとコラボレーションする。自分のできないことができるのは素晴らしいよ。コラボする相手や状況によっても全く違うから、特にコツというのはない。いろんなアーティストがいるからね。全て任せてくれる人、自分でコントロールしたがる人…。
――たくさんのアーティストと上手くコラボレーションする秘訣は?
SO-ME:アーティストの個性に合わせるのも大切だけど、「奉仕」しちゃう危険性もある。最初は自分のスタイルが出せないかもしれないけど。僕はどのアーティストにもそれぞれ違った、彼らが一番良く見えるイメージを与えたいと思ってるんだ。この前使ったイメージをこの人にも、なんて事はしたくない。自分のスタイルは変えちゃダメだ。自然にやるのがいいよ。ジャスティスの場合は特別で、ジャケットでも何でも3人で頭を突き合わせて決めてる。ファンが持ってるジャスティスのイメージがあるから、それに沿ってね。凄くエキサイティングだよ!
――これからのコラボレーションの予定を教えてください。
SO-ME:これまでエド・バンガーのビデオは僕とかガブラス、ジョナスとか友達同士で作ってたけど、次は違う監督とやろうとは思ってるよ。日本の監督だと、辻川幸一郎さんがスゴいと思う!彼は本当に最高!コーネリアスのライブ映像を観たけど、本当に素晴らしいコラボレーションだったよ。あとは宇川直宏さん。彼はものすごくクリエイティブで、素晴らしいよね。いつも映像作家は探しているんだ。
ちなみに「SO-ME」は、自分でつけたニックネームだそう。絵を描いた時なんかに「SO-ME(自分流、自分っぽい)」ってサインがあったら、というアイデアから生まれたオリジナル。「ソメさん」みたいに、ちょっと日本の名前っぽいよね、と笑って答えてくれた。ジャスティスを知らない人にも十分に楽しんでもらえる「ア・クロス・ザ・ユニヴァース」。作品が終わる頃には、この旅が終わるのが寂しくなってしまうはず。2008年最重要ドキュメンタリー作品間違いなし!ぜひチェックしてみて!
5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください
旅
Question 2: この職に就いたきっかけは?
ずーっとやってるから
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
シャイニング
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
女の子たち、食べ物、自分の本
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
神保町で古本を買うこと!