真島理一郎×古屋雄作が語る「東京オンリーピックに見るコメディ映像8か条」
2008.11.17.Mon
Category : +PEOPLE , Features / Interview

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左:真島理一郎氏:映像作家、アニメーション監督、映画監督。1972年10月22日生まれ。東京都在住。IDIOTS代表。スキージャンプ・ペア実行委員会会長。
右:古屋雄作氏:企画・演出家。Cruiser所属。1977年生まれ。作品に、「温厚な上司の怒らせ方」、「スカイフィッシュの捕まえ方」シリーズ、「R65」 など。
スキージャンプ・ペア」で日本のお笑い映像をに風穴を空けたパイオニア的存在、真島理一郎氏。「温厚な上司の怒らせ方」など斬新すぎるフェイクバラエティの新しいスタンダードを築き上げた古屋雄作氏。映像で笑わせるというという至難の業を成し遂げる2人に、2人のコラボレーション作品「東京オンリーピック」のエピソードを背景にコメディ映像に欠かせない8つの鉄則をご教授いただく!

2人が初めて出会ったのは2007年の8月。古屋監督の「R65」を見てネタの面白さ、自然さにハマった真島氏が「これだよオレがスキージャンプで撮りたかったのは!」という勢いで食事をセッティング。青山のオシャレなお店で、作家の水野敬也氏を交えてひたすら下ネタ話に花を咲かせていたという…。真島氏の呼びかけのもとに集まった国内外15組の個性派クリエイターが「スポーツ×お笑い」をテーマに制作したオリジナル競技映像を集めた「東京オンリーピック」にてコラボレーションを果たした。

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東京オンリーピック」DVDジャケット
「古屋さんにオファーしたのは、全体のバランスを考えてバラエティに富んだ手法のアプローチにしようと思ったからなんです。CGも正当派のジャパニメーションもありつつ、実写でもっと変なことをやりたい、それなら古屋さんだと」(真島)
■鉄則その1.緊張と緩和
古屋:お笑いの鉄則といえば「緊張と緩和」。これは落語の偉い人が言ってました。実は僕、コメディ映画は観たことがないんです。バイオレンス系とかサスペンス系を観て笑ってます。タランティーノ作品とか、「いつでも殺したんぞ!」っていうバイオレンスの空気の中でバカな事を言うから笑える。映画「プラネット・テラー」(ロバート・ロドリゲス監督)の、主人公がポケバイで走るシーンなんか、ヒロイックで緊張感あるけどバカってとこがたまらなく笑えたなあ。

真島:僕は「プラネット・テラー」のマシンガンで撃つシーンで「かっこいー」って大笑いしました。実は「デス・プルーフ」(クエンティン・タランティーノ監督。「プラネット・テラー」と2本立て映画「グラインドハウス」として制作された)のほうが好きだけど。

■鉄則その2.共感と裏切り
真島:僕の作品の基本は、見慣れたものをちょっとだけ変えるってこと。やりすぎちゃうと笑ってくれないので、さじ加減が難しいんですが。予想をちょっと外すと笑いにつながる気はする。

古屋:リアリティを作りつつ、そこをちょっと壊すってことですかね。普通のコントが8(ボケ):2(リアル)だったら僕の作品では8(リアル):2(ボケ)みたいなブレンドにして、リアリティから滲み出るボケとか狂気が面白い、っていうのが好きです。

真島:見慣れたものをCGでいじって面白くしたいというのがあって。スポーツものが多いのも、基本的に好きっていうのもあるけど、TV中継のみんなが見慣れているフォーマットがあるのでいじりやすいというのもありますね。
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古屋雄作氏
■鉄則その3.やっぱり「間」!
古屋:僕の作品、間が長いって言われます。

真島:事故?!ってくらい長いよね!

古屋:引っ張れば引っ張るほど面白いんですよ!商品化してない作品では5分以上引っ張りまくってる(笑)。わざと放送事故っぽくしたり、テンポを意図的にズラしたりして、視聴者を引きこませる。間が早くて笑いが積み重なる方が今受けるのはわかってるんだけど、じっくりと世界観の中に浸ってもらいたいんです。オンリーピックはオムニバスなのに、「サムライコール」の間も長くなってしまいました。

真島:あれは長けりゃ長い程面白いんだよね!僕も自分の中で気持ちいい間とかタイミングにはこだわっていて。編集の時にシーンをどう繋げるかというところに気をつけます。映像を完全に作ってからナレーションを録ってます。その後に映像をいじることはほとんどないです。

古屋:僕は間っていうのは現場で作ります。役者さんが僕の指示を待たずに止めたりすることもあるのでカット出すまで「まばたきもせずに静止してて下さい!」ってお願いして。それでも足りなかったらカメラのスイッチングで編集時に長くしますね。

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「R65」続編の「R66」DVDジャケット
■鉄則その4.真面目にくだらないことをやるべし
真島:今回の「サムライコール」で思ったけど、古屋さんのスゴイところは、バカバカしい中身を真面目に撮りきるところ。「スカイフィッシュ」でも「R65」でも、同じ脚本で他の人が撮ったら全然面白くないと思うんですよ。それこそ天性。絶妙!やりすぎない感じが凄いです。

古屋:よく周りから「フェイク・ドキュメンタリー」って言われてますけど、自分としては結局コントだと思ってて。もうちょっとデフォルメするとコントになるところを、素人がリアリティをもって演じることによってリアルなものになっているんです。こんな人がいたら面白い、こんな世界があったら面白いっていうコント的な発想が元なんですけど。それを芸人を使わないやり方でやるとこうなるのかなと。

■鉄則その5.受け狙いの空気は出すな!
古屋:見てる人に受け狙いでサムいと思われるのがものすごく嫌なんです。だからナレーションもテロップも間も演出は極力抑えてるんです。通常だと過剰にデフォルメしてわかりやすく際立たせるのが多いですけど、それはしない。TVだと素通りされちゃう位かもしれないけど、DVDを買って見てくれるようなわかる人に気持ちいいっていう所を押さえた演出を目指してます。

真島:ウケ狙いが見えると笑えないよね!僕、本当はDVDの宣伝文句にも「笑える」とか「抱腹絶倒」とか入れたくない。できるだけそこは抑え目に。お笑い作品です、というのも出したくないんだよね~。

古屋:役者もオーディションで台本を読んでもらって、受け狙いの意識のまったくない人を使う。出来なくても出来すぎてもだめなので、深みのある、掘りがいのある人が見つかるまで探します。出演してもらった役者さんからは「こんな幸せなことは今までありませんでした」って感謝のFAXが来たことがあるくらい。真面目ですよね(笑)。

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「カリスマ入門」DVDジャケット
■鉄則その6.毒性を加える
古屋:僕の作品はある意味、毒に満ちてると言えるかもしれません。カッコいいものとか、メジャーなものとか、まじめなものの揚げ足を取るような笑いが好きなんです(笑)。「カリスマ入門」は特にそう。

逆に、僕は真島さんの作品には幼児性ゆえの凶暴性というか、バイオレンス性を感じます。スキージャンプも人がゴロゴロ転がってるし、オンリーピック作品でも「男子親離れ」なんかお母さんを投げて刺さるじゃないですか。デリカシーとして普通ないですよ!(笑)

真島:確かにバイオレンスの映画は笑って見ちゃいますけど、現実だとバイオレンスは嫌ですね。自分の血を見ただけで貧血になるし、グロ画像とかも見れない。「男子親離れ」では僕なりに気をつけて、何箇所かお母さんが元気なところを見せてますよ。

古屋:うーん、意識的にやってると思ってたので、無意識だと聞いてゾッとしました(笑)。やっぱCGっていう割り切りがあるからですかね。意外と残虐性がありますね!

真島:でも僕、サドじゃなくてマゾです。

古屋:真島さん、根深いですね…(笑)。
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真島理一郎氏

■鉄則その7.まず自分を笑わせろ!
真島:やっぱり自分が笑えるものを人が笑ってくれるのが嬉しい。茂木とナレーションを考えるときも、「オレを笑わせて」ってハードルをクリアしたら採用にしていたりします。

古屋:真島さんには天性のメジャー感があるって思いました。

真島:オンリーピックの特典映像で、熱海に行ってひたすらカメラのレンズが落ちるというシュールな作品をやってるんですが、そっちのほうが自分としてはやりたい方向なんです。でも本編においては自分もだけど人も楽しませたい。もともとデザインやってたので、アーティストとは違うんじゃないかと思うんです。みんなが喜んで、求めているものを作るというデザイナー的な観点で作品づくりをやっているのかも。

■鉄則その8.日常のトピックを見過ごすな!
真島:普段の生活の中で当たり前と見過ごしがちなものを見過ごさないように気をつけてます。例えば、車を車として見ない。信号機を赤と黄色と緑のランプとして見るとか、目先をフラットにして見ると浮かび上がるものがある。僕はこれといってネタ帖はないんです。たまにメモ取ってもどっか行っちゃうんで、あんまり書かないです。

古屋:僕は、面白いことはすぐ企画書にしちゃったり。歩いている時には、携帯電話のメモを使います。

真島:これは笑えるって思ってやったものでもウケない、とかよくありますよね。「スキージャンプ・ペア」でも、1でウケてた方法が2ではウケないとか。鉄則は100%当てはまらない…。

古屋:狙ったとおりには絶対いかないですよね。「ここで笑うの?」っていうのって普通にありますしね(笑)。

2人の監督から聞いた8つの鉄則、どうでしたか?そもそも古屋氏の初自主制作作品「スカイフィッシュの捕まえ方」を撮った理由の一つが「スキージャンプ・ペア」。当時、TVのディレクターでお笑い番組を作っていた古屋氏は、「こうやって笑わせて、しかも商業的に成功している作品があるなら自分もやらなきゃ」と感銘を受けたそう。これからも我々の腹をよじらせてくれる2人に期待!

5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください
真島:ハト
古屋:テレビのお笑い番組
Question 2: この職に就いたきっかけは?
真島:朝寝ぼう出来そうだから
古屋:ダウンタウン
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
真島:不思議惑星キン・ザ・ザ
古屋:フロム・ダスク・ティル・ドーン
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
真島:紙 ペン ティッシュ(20世紀最大の発明だと真島は思います)
古屋:ティッシュ 携帯 ジャスミン茶
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
真島:カシオ「エクシリム プロ」
古屋:次の企画について構想練ることです!
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