CGの祭典「シーグラフ2008」を振り返る[映像編]
2008.09.11.Thu
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ILM のセッションに勢揃いしたStormtrooper 達。Photoshop
の開発者 John Knoll 氏も。
毎年夏にアメリカで開催される世界的なコンピュータグラフィックスの祭典「
SIGGRAPH(シーグラフ)2008」。今年は映画の都ハリウッドのあるロサンゼルスにて2008年8月11日(月)〜15日(金) の5日間開催された。
2008年度のSIGGRAPH のテーマは「Evolve (進化・発展)」。
その名のとおり、従来の SIGGRAPH から構成が大きく進化した年でもあった。その大きな変化の一つは、SIGGRAPH のお祭り的メインイベントでもあったElectronic Theater (CG映画祭)が Computer Animation Festival (コンピューター・アニメーション・フェスティバル、以下CAF) となり、より上映本数を増して、プログラム構成が大きく変わったことにある。CAF自身は SIGGRAPHの中のイベントの一つだが、その上映本数の多さや、メイキングセッションの充実度から、ある意味ひとつの映画祭のようなイベントだった。
CAF会場となった新設
Nokia Theaterは昨年完成したばかりの7,100席を備えた超巨大シアター。上映に用いられたのは SONYのデジタルシネマ向け最新プロジェクター「SRX-R220」。巨大なスクリーンの隅々まで鮮やかに映し出されるCG映像に、観客は大いに盛り上がっていた。
それでは CAF で上映された作品の中から受賞作をいくつか紹介していこう。今年は、フランスを中心にヨーロッパの学校勢の勢いがあった。
■Best of Show Winner(グランプリ)はフランス・Gobelinsの"Oktapodi"
CGで描かれたタコの恋人同士がユーモラスに逃げまどう様を映像化したもので、アヌシーを始め、数々の映像賞を総ナメにしているフランスの作品。同時に CAF Audience Prize (観客賞)も受賞してい
る。独特の雰囲気を持ったキャラクター達のユーモラスな動きが絶妙。フランスのアニメーション学校、Gobelins(ゴブラン映像学校)の学生8人による作品。
■Best Student Piece Winner(学生奨励賞)は同じくフランスの”893”
同じくフランスの学生作品。どう考えても間違えた日本人像を変な方向に美化したとしか思えない「893(ヤクザ)」という作品。日本人にとって微妙なテーマだが、その肉体の脈動感や、水墨画の世界の描き方などは、一見の価値あり。
■Jury Award Winner(審査員賞)はフィルムスクールESRAの"Mauvais Role"
ゲームの中の凶暴な悪役キャラクタをユーモラスに描いた作品。スーパーマリオ、ボンバーマンなどの元ネタを知る人には、パロディ作品としても楽しめる。ゲームの中では我が物顔のボスキャラも、現実世界の中での生活は大変なんだと、苦労が忍ばれる。
■Best Well-Told Fable Prize(良くできたウソ賞)は"Our Wonderful Nature"
ミズトガリネズミの繁殖期における、壮絶な恋人争奪戦を、カンフー映画風に描いた作品。ごく普通の自然科学映像かと思いきや、2分ちょっと前から壮絶に始まる下ネタ混じりのリアルなカンフー映像の、おかしなストーリーのアンバランスさが微笑ましい作品。最後のオチも見忘れなく。
以上が SIGGRAPH 2008 CAF 受賞作品。なかなか劇場などの高解像度フルデジタルの環境で観られないのが残念なところ。CAF の予告編(高解像度版) は
こちらで見ることができる。また YouTube でESRAなど今回受賞した学校名を検索すると、他にも数多くの CG作品を観ることが可能。今回受賞を逃したノミネート作品の中にも興味深い作品が数多く存在する。皆さんのご要望があれば、続編レポートで取り上げるかも?乞うご期待。
取材・文/安藤幸央(あんどうゆきお)プロフィール:北海道生まれ。株式会社エクサ所属。
慶應義塾大学非常勤講師。国立天文台特別研究員。シーグラフ東京委員長。携帯電話から巨大立体視ドームまで、様々なCG環境の開発を手がける。