Behind The Scene vol.07|AC部
2008.09.26.Fri
Category : Special

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■快進撃を続けるハイテンションなアニメーション制作トリオ
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安達亨氏
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板倉俊介氏
多摩美術大学在学中に安達亨氏、安藤真氏(現在育児休暇中)、板倉俊介氏の三人によって1999年に結成された「AC部」。グラフィックデザイン科を専攻していた三人が、映像コースを選択したのをきっかけにスタートした映像制作トリオだ。

AC部の映像を語るうえで忘れることのできないのが、安達氏が制作したNHKデジタルスタジアム2000年度年間グランプリ受賞の「ユーロボーイズ」であろう。この作品が完成した1999年当時は「CGは映画やゲームなどの予算がある企画に使われる敷居の高い手法」と思われていた時代であったが、劇画タッチのキャラがユニークにダンスをする本格的なミュージックビデオを1人で完成させてしまったのは衝撃的だった。なにより凄いのは、この作品をきっかけに「AC部っぽいね」という会話が成り立つほどキャラの動きやタッチにオリジナリティを確立させていることではないだろうか。

その後も、ヒップホップグループ「ザマギ」のミュージックビデオ「It's So Good Now(い・そ・ぐ・な)」では、あまりにも意味不明な80年代的アニメーションがネット上で話題になったり、ニュースバラエティ番組「SmaSTATION」の1コーナー「スマアニメ」でも強烈すぎる作品が公開されたのを覚えている方も多いのではないか。日本の伝統文化に卓球を組み合わせたAC部の最新作「和卓球」では、実写のプレーヤーに合成されたお面が、変わった世界観を実現している。どの作品も、ムンクの「叫び」を連想させるデフォルメキャラや、「アース渦巻香」や「ボンカレー」などの懐かしいホーロー看板を連想させるレトロなリアルタッチだったり、80年代のジャパニメーション風など濃い個性を持っているものばかりだ。ここまで派手なタッチを発揮するAC部だが、メンバーはいったいどんな作品に影響を受けてきたのだろうか?

「大学のときに劇画タッチの濃い麻雀漫画をよく集めていました。桜井章一というプロ麻雀士が活躍していた頃に「雀鬼○○」というタイトルの漫画がいっぱい発売されていました。最初はそのへんが面白くて購入してきては模写とかを繰り返して研究をしていました。」(安達氏)。
「僕はコロコロコミックなどの少年誌ですね。子供の頃にみていたものが印象に残っていて、今の自分に影響しているんじゃないかなと思います」(板倉氏)。

■After Effectsとの出会いでスタート
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濃くしたい場合は筆ペンを選択
AC部が映像を制作する場合、After Effectsでカットをつくり、Final Cut Proで編集が行われる。安達氏は「イラストが動く。その驚きがモチベーションになって今でも作業が続いている」と語るほど、After Effectsとの出会いは衝撃的だったという。

AC部の細かいワークフローだが、まず最初に鉛筆やシャーペン、筆ペンで紙に絵を描き、それをスキャンする。スキャンした原稿にはPhotoshopで色を塗るのだが、そこから動かしたいパーツごとにパーツ分けをする方法と、パラパラ漫画のようにカット全体で1コマずつ手で描いていく2つの方法で素材を作る。できた素材をAfter Effectsで読み込み、キーフレームを打って動かしていく。つまり、After Effectsはキャラのアニメーションを束ねるツールとして使っているわけだ。

「このスタイルは1998年に映像制作を始めた当時からまったく変わっていません。After Effectsがバージョンアップして新機能を搭載しても特に使いませんし、使うエフェクトも標準でインストールされているものだけです」(安達氏)。
「ある意味、通常の“After Effects使い”とは違い、純粋な機能のみをひたすら使いこなしている感じですね。光のツールを使った場合でも、手描きに置き換えたりしています」(板倉氏)。

制作期間は動きの凝った4~5分のミュージックビデオであれば一ヶ月ぐらいで、その時間の多くは中割のコマ制作にかけるという。であれば、中割の機能をもつFlashなどを使ってはどうなのだろうか?

「Flashを使うときでもあまりAfter Effectsの工程と変わりません。中割の機能を使わずに結局は一枚一枚手で描いたものを読み込んで、Flashでまとめる感じになります。制作期間は欲をいえば2ヶ月ぐらいかけたいところですね」(安達氏)。

AC部の中割へのこだわりはアニメーションの動きを大切にしている証拠でもあろう。
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鉛筆で描いた美術
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自分たちで描いた絵コンテ。赤で塗っているのは終わった印


■拡張デスクトップに効果あり
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メインモニタ、Cintiq 12WX、キーボードを縦一列に配置している
「1998年からワコムのFAVOを使っていました」(板倉氏)というほど、AC部の映像制作に欠かせないのがペンタブレットだ。AC部では切り抜きや写真を原稿にして絵の具のようなタッチにする際にペンタブレットを使用しており、現在、板倉氏はA6ワイドサイズの「Intuos3 PTZ-431W」、安達氏は12.1インチワイドサイズの液晶ディスプレイを搭載した「Cintiq 12WX」を使用している。安達氏はいち早くIntuosからCintiq 12WXに移行したきっかけをこう語る。

「その当時はIntuos3を使っていて不満も特になかったのですが、新宿の販売店でCintiq 12WXを発見したときはチラチラと覗きながら“本当にいいのかな?”と半信半疑で触って悩みました。しかし、絵を描く仕事をしているからには直接液晶面に描くというスタイルは前から憧れていました。液晶面に描けるペンタブレットをいち早く体験したかったのです」(安達氏)。
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ペンの替え芯はフェルト芯を愛用している
安達氏はキーボードのショートカットをよく使うので、キーボードを配置するスペースを考慮して12インチを選んだ。現在、キーボードはCintiq 12WXの下に配置にして作業している。Cintiq 12WXを使ってみた感想を、デュアルモニタによる効果から語ってくれた。

「After Effectsを1つのモニタで使用するとタイムラインのウインドウがどうしても狭く表示されてしまうのです。しかし、Cintiq 12WXのモニタを拡張デスクトップで接続すると、Cintiq 12WXのモニタ側にタイムラインだけを表示させることができるので、After Effectsの作業が快適になりました。また、資料として参考にするWebのブラウザなどは通常のモニタに表示して、それを参考にしながら手元のCintiq 12WXではPhotoshopを起動して作業をするのにも便利です」(安達氏)。

■「そこ!」という感じで選択できる
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タイムラインのウインドウをCintiq 12WXのモニタに大きく表示。素材が多い際にタイムラインを大きく表示できるのは非常に便利だ
液晶ペンタブレットの魅力は、視線とペン先が一緒になるのが特徴だ。実際に使い始めて液晶面に向かって作業をしたときの感想をこのように語る。

「始めて使った第一声ですが直接描ける環境に“いいね”と思いました。たとえば、鼻を動かしたい場合は鼻のマスクを切ります。そのパーツ分けをする際にPhotoshopでパスをコントロールするのですが、パスのハンドルを“そこ!”という感じで選択できます。いままでIntuosだと空振りして選択できないことがたまにありました。長年使っているので視線と手元がバラバラでもとくに不満は感じていなかったのですが、Cintiq 12WXを使ってみるとやはり直接液晶面にペンで選択できるほうがやりやすいと思いました」(安達氏)。

安達氏はアナログの原稿をスキャンして、着色をPCで行っている。Cintiq 12WXの魅力はなんといっても筆圧感知だ。

「Photoshopだと線が震えて綺麗に描けないので、線画は紙に描いてスキャンします。それ以降の塗りからバリバリPC上で描いています。Cintiq 12WXは非常に描き味が気持ちがいいですね。PC上でゴリゴリと着色していく感じなのですが、この作業はペンタブレットなしではありえません」(安達氏)。
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Cintiq 12WXならば液晶面を確認しながらパスのハンドルを直接ペン先で選択することができる。非常に直観的だ


■AC部らしい金字塔的作品を制作中
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「海女ゾネス」
AC部は「自身らしい作品」を前面に打ち出した本格的オリジナル作品を4年に渡り制作中だ。タイトルは「海女ゾネス」。現在、YouTubeで少しだけ公開されている。歌とアニメのスピード感が高く、AC部独特の一日一回は見ないと禁断症状が起こりそうなインパクトを持った作品だ。

「“海女ゾネス”はミュージカル映画のように歌ごとに構成し、いくつかのミュージカルシーンで全体を構成していきます」(安達氏)。
「全部で一時間ぐらいの作品なのですが、ミュージカルの曲が10曲ぐらいあって、その曲をネットで少しずつ公開していきます。うまくいけばパッケージ販売も企画していきたいと考えています」(板倉氏)。

After Effectsとペンタブレットでオリジナル映像を次々と発表するAC部の動向と、「海女ゾネス」の展開から目が離せなくなりそうだ。

Cintiq 12WX
WXGA対応12.1型フルカラーTFT液晶に薄さ17mmのコンパクトサイズを実現した人気モデル「Cintiq 12WX」。もっとも目を引くのは小型、軽量なボディだ。Cintiq 12WXはわずか1.8kgしかない。ボディの厚さもたったの17mm。また、12.1インチワイド液晶モニタに1,280×800ドットの解像度を実現しているのにも注目したい。
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人気モデル「Cintiq 12WX」

(全文はこちら)
AC部に5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください
板倉:ドラゴンボール(漫画)
安達:香港のインチキっぽい忍者映画
Question 2: この職に就いたきっかけは?
板倉:大学からの流れで
安達:フェードイン(成り行き)
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
板倉:ターミネーター2
安達:リベリオン
Question 4: 作業場のまわりに必ず置いているものベスト3は?
板倉:コードレスヘッドフォン/飲み物(水または無糖炭酸)/足を乗せる台
安達:SHUREのイヤホン(高い!)/コーヒー一式(マメヒコというカフェの豆、コーヒーミル等)/シャーペン
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
板倉:卓球
安達:あと一ヶ月で折りたたみ自転車が納車されるのがそれがまもなく最も楽しいことになるだろう
AC部プロフィール:1999年頃、多摩美術大学在学中に結成されたCGアニメーション制作トリオ。企画からシナリオ、サウンド、セリフなどの全ての制作工程を自給自足でまかなうフットワークの軽い制作スタイルが基本。2000年、デジスタアウォード年間グランプリ受賞し、以来、テレビ、CM、PV、Webなどの様々な分野で、独自のメソッドによる濃厚ハイテンションなビジュアルを続々投下中!

代表作:(制作順)
テレビ朝日SmaSTATION「スマアニメ/カッコいい男たち扁」
NHK みんなのうた「哲学するマントヒヒ」
PV「ザマギ/マジカルDEATH」(Music Video Awards '05ノミネート)
NHK 天才ビットくん「BITMEN」
伊武雅刀公式HP
フジテレビ SMAP×SMAPブリッジ映像
NHK 星新一ショートショート「プレゼント」
NHK教育「○○の国の王子様」キャラデザイン・アニメーション担当
映画 東京オンリーピック「和卓球」
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