レディオヘッドとGoogleが贈るデータだけの新MVって?
2008.07.17.Thu
Category : WS Pickup
Radiohead 「House of Cards」dir: James Frost
いったい
レディオヘッドはどこまで進化し続けるのか?!新しいことにチャレンジし続ける彼らがまた世界を驚かすプロジェクトをやってのけた。新作ミュージックビデオ(MV)「
House of Cards」は、カメラも照明も一切使わず、視覚化した3Dデータのみによって作られている、ファンタスティックなビデオだ。
■きっかけはメディア・アート
これが「Flight Patterns」。Aaron Koblin(アーロン・コブリン)の
Webサイトより。
監督はカリフォルニアの映像プロダクション
Blip Boutique、
Zoo所属のJames Frost(ジェイムズ・フロスト)。これまでフレイミング・リップスやノラ・ジョーンズのMVを手がけている。この作品を作ろうと思ったきっかけは、データを視覚化する作品を制作するAaron Koblin(アーロン・コブリン)と出会ったこと。インターネットで飛行機の路線を視覚化したコブリンの作品「
Flight Patterns」を見たフロストがコンタクトし、意気投合した二人はタッグを組むことに。「House of Cards」はジェイムズ・フロストがアイデアを書き、レディオヘッドのマネージャー経由でコンタクトしたところトム・ヨークが気に入ってプロジェクトが始まった。
■撮影中は何が撮られているか全くわからない!
撮影に使われたのは
Geometric Informatics社(近距離用)と
Velodyne社(遠距離用)の高性能な3Dスキャニングシステム。近距離用のGeometric Informatics社のシステムでトム・ヨークの頭部の動きをスキャン。一方屋外の撮影はカリフォルニアの住宅街で行われた。屋外で使われたVelodyne社のLIDAR(ライダー:Laser Imaging Detection and Ranging)レーザーは、光を用いたリモートセンシング技術の一つ。64本のレーザーで360度を1分間に900回スキャンし、対象までの距離を測ってXYZ座標を持ったデータを取り出す。
撮影で難しかったのは、どれくらいの距離までをスキャンできるのかがわからなかったこと。何度も撮影してみてはトライ&エラーを繰り返した。しかも、撮影している間は簡単なプレビューはあるが厳密にはどんな画が撮られているか分からない!結果を見るまでにはデータのレンダリングを待たなければならなかった。
撮影されたRAWデータは、レンダリング(データの可視化作業)後3Dソフトウェアが読み込めるようにCVSファイルに変換する必要がある。ただでさえ時間のかかるレンダリング作業だが、今回の撮影のデータは凄まじい量だったため、なんと2週間もかかってしまった!ようやく始まった編集作業でも、やっぱりレンダリングにかかる時間がネックに。トム・ヨークの頭部やカリフォルニアの家のデータを音楽に合わせて振り付けしていくのに、1ショットに17時間かかったこともあるという…。Youtubeの
ビハインド・ザ・シーンにて、その苦労がほんの少し垣間見れる。
■ミュージックビデオもオープンソースに…
この試みをオンラインでバックアップしているのがGoogle。Googleの開発者向けエリア「code.google.com.」で特別コンテンツ「
RA DIOHEA_D / HOU SE OF_C ARDS」をスタート。撮影で使用した3Dデータを公開している。「プログラムはわからない…」というユーザーでも、「
Explore data visualization」のビューワーを使えばトム・ヨークの頭部のアングルを変えるなど、いろいろと遊ぶことができる。誰でも自由に映像をリミックスしたりプロセッシングに使用することが可能!リミックス映像は既にYoutubeの専用グループ「
House
of Cards」に投稿されているので、ご参考までにどうぞ。さらにiGoogleガジェット、iGoogleテーマも提供されている。今後もGoogleとミュージシャンのプロモーションのコラボレーションはあるのだろうか?
元ネタを誰でも共有可能にすることによって、テクノロジーのより良い進化を目指す"オープンソース"という概念。コンピューターの世界ではお馴染みだが、著作権の厳しい音楽界ではまだまだこれから。世界をもっとクリエイティブに変えていくレディオヘッドから目が離せない!
参考リンク:
・
レディオヘッド公式サイト
・
creativity-online.com
・
pitchfork