今もデザインやアートに多大な影響を与え続ける偉大な教育機関といえば、かつてドイツに存在したBAUHAUS(バウハウス)である。そのバウハウスの活動を通して作られた260点のプロダクトと資料が集結する展覧会「
バウハウス・デッサウ展」が東京・上野の東京藝術大学大学美術館にて4月26日から開催される。これほどの規模でバウハウスの活動を紹介する試みは世界初。ところで知ってるようで知らない「バウハウス」とは?
■バウハウスとは?
バウハウス・デッサウ校舎
「バウハウス」とは「BAU=建築の、HAUS=家」という意味。1919年のドイツで生まれた、初めてのデザインの教育機関。アーティストと意欲溢れる学生が集まり、トレーニング・センターとしてだけでなく新しいものを生み出す場所だった。そこから発信したものはカルチャー、近代建築、デザイン、アート、写真、演劇、新しいメディアと幅広い。活動時期は1933年までのたった14年間だが、後世に与えた影響は絶大なもの。
■在籍していたアーティストは?
バウハウス・ヴァイマール金属工房 黄色い塵取りの下図
オットー・リットヴェーガー 1925年頃
|
|
動く背もたれと弾力性のある座面を持つスティールパイプ椅子(単一試作品)
フリードリヒ・カール・エンゲマン 1931年
(c)Bauhaus Dessau Foundation
|
三代目校長を務めたのは、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトとともに「近代建築の三大巨匠」と呼ばれるミース・ファン・デル・ローエ。また、アブストラクト・アートの巨匠ヴァシリー・カンディンスキー、画家のパウル・クレー、スチール椅子で知られるマルセル・ブロイヤー、写真とタイポグラフィを手がけるモホリ=ナジが教師として活躍していた。
■バウハウスが生まれた背景
子供椅子 ti 3a
デザイン:マルセル・ブロイヤー 1923年 (c)Bauhaus Dessau Foundation
|
|
吊り照明(プロトタイプ)
アルフレート・シェフター 1931~32年
(c)Bauhaus Dessau Foundation
|
いまでこそ当たり前になったデザイン・プロダクツ。でも昔は設計をする技術者が形を決めていたので、機能最優先。生活にデザインが入ったのは近代ヨーロッパから。イギリスの「アーツ・アンド・クラフツ運動」やドイツの「ドイツ工作連盟」など、産業革命以降街にあふれるようになった質の悪い工業製品を美しいものに変えようという運動が各地で発生。生活に芸術を取り入れようという動きは、日本でもプロダクツ・デザイナー、柳宗理の父柳宗悦による「民芸運動」がある。
■時代に翻弄されたバウハウスの活動
《集中》ガラス絵のための下図 第2案
1922年
|
|
ポスター「バウハウス展覧会 バーゼル産業博物館」
デザイン:フランツ・エーリヒ 原案素描:ヨースト・シュミット 1929年
|
それらの活動やロシア構成主義やデ・ステイルの流れを受け、1919年、芸術と技術の統一を掲げてドイツのヴァイマールに誕生したのがバウハウス。当初はアーティストが集まって自由な雰囲気で活動していた芸術学校で、1922年頃から合理化と工業化に方向転換。機能美を追求した製品を作ることにフォーカスし、今も知られている卓上ランプなどを生み出した。1925年、デッサウに移転する頃にはバウハウスの製品が一般に広く普及し、より大きい建築へと技術が応用されるように。1930年にミースが校長に就任し、一種の建築工科大学になった後、ベルリンに移転するものの、1934年、ナチスによって閉校に追い込まれ、シカゴにニュー・バウハウスを設立。モホリ=ナジが校長に就任した。
■バウハウス理念って?
1世帯用住宅 BAMBOS1
設計:マルセル・ブロイヤー 1927年
「全てのクリエイティブな活動の、究極の目的は建築だ!」それが初代学長ヴァルター・グロピウスの唱えた「バウハウス理念」。バウハウスの活動からは様々なプロダクツが生まれたが、根底に揺るがない理念があった。それは建築家、画家、彫刻家全ての造形に携わる者は工芸に立ち戻り、芸術を近代の工業によって全ての人のもとに行きわたらせ、よりよい社会を築くというもの。彼らの思想が今もデザイン、アート、建築界に影響を与えているのはこの普遍の思想によってではないだろうか?
本展ではカンディンスキーやクレーといった教授陣たちが使った教材、当時の学生たちがつくった製品、映像のほか実際には建てられることのなかった建築プランを模型やパネルで展示。リアルスケールで再現されるデッサウ校舎の校長室(ヴァルター・グロピウス設計)も見どころ。合わせて上野の「Break Station Gallery」で開催される写真家・石塚元太良氏による写真展「Bauhaus in Israel by Gentaro Ishizuka」もお見逃しなく。
■バウハウス・デッサウ展 BAUHAUS experience, dessau
主催:東京藝術大学、産経新聞社
日程:2008年4月26日(土)~7月21日(祝・月)
休館日:月曜日(ただし、5月5日(月)、7月21日(月)は開館。5月7日(水)は休館)
時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料:一般1,400円(1,200円)、高校・大学生800円(700円)
会場:東京藝術大学大学美術館[東京・上野公園]
〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)