映像クリエイティブ・チーム Caviar(キャビア)の新星、ディレクターズデュオ「tamdem」を解剖!
2008.03.10.Mon
Category : Features / Interview
tamdem プロフィール
Caviarのタムカイジュン(tam)とデムラタクヤ(dem)により2007年tamdem結成。イベントのVJなどで活動を始める。主にMotion Graphicsを得意とする映像制作ユニットであり、木村カエラ「jasper」のMVにCGで参加するなど、CAVIAR所属監督のCG制作にも携わる。
監督デビュー作のミュージックビデオ(MV)「T.I.M.E.」と、 Caviarの中村監督と制作した木村カエラのMV「Jasper」が話題のtamdemにお話を伺った。そして今回もご協力いただくのは、
まりもっこりのDVD
が熱い映像作家、二コグラフィックスさんです。
よろしく御願いします。
―― お二人のバックグラウンドを簡単に教えていただきたいのですが、Caviarに所属する前は一体どんな事をされたんでしょう?
デムラタクヤ(以下 デム):僕は京都精華大学の映像学科学科を専攻していたんですけど、
ズビグニュー・リプチンスキーやトニー・ヒルに代表される、実験的な手法、技法を重視した学科で、1、2年はどっぷりそんな事をしてました。
3、4年生の時は卒業制作などもあり、自分の好きな事に打ち込める環境だったので、実験映像で学んだ技法などを、ミュージックビデオでも表現できると面白いんじゃないかなって色々と試行錯誤してました。卒業後、ミュージックビデオのディレクションをしたいと思い、東京にやって来ました(笑)。
タムカイジュン(以下 タム):僕は多摩美術大学のグラフィックデザイン学科で、グラフィックを中心に勉強してました。
広告系とイラストレーション系の選択があって、僕は広告の方に進みました。卒業制作では何を制作しても良かったので、そのときに一番面白いと思っていた映像で一年位かけて作品を作りました。その後一旦は広告系のグラフィクデザインの会社に就職するんですが、「やっぱり映像をやりたい!」と思い、だめもとでCaviarに電話しました。
―― お二人ともCaviarと決めてらっしゃったようですね。
デム:広告批評のミュージックビデオ特集でCaviarのつくっている作品が「かっこいい!」と衝撃を受けて。
スタイリッシュで、グラフィックもかっこよくって、「あ、こういうことだ!」って思いました。
―― Caviarの中村(剛)氏の大学の後輩にあたる田向さんは?
タム:大学時代からいいなと思う作品のクレジットがCaviarで名前は知ってたんですが、情報が少なくて、最初は海外のプロダクションなのかな…?なんて思ってたんです。前職のグラフィックデザインをやってるうちに、YUKIの「JOY」等のクレジットを見て、Caviarは中村や児玉がやってるんだって
わかって、その後すぐ電話しました。
―― お二人とも電話なんですね(笑)。では、その後「tamdem」結成のキッカケ教えてください。
デム:Caviarでは2人ともCGを担当していて、年も同い年だという事で仲良くなったんです。それで一緒に作品を作ろうと盛り上がって、VJの素材なんかを夜な夜な自主的に作ったりして。そのうちに今のスタイルがだんだん出来てきたところで、ユニット名を考えて。
タム:tamdem。名前は田向(タムカイ)と出村(デムラ)を単純に合わせただけなんです。タンデムとよく間違えられて、実際にタンデムっていう会社もあったり、二人組なので、タンデム(二人乗り)?とか言われたり(笑)。
―― tamdemで最初に取り組んだ仕事についてお聞かせください。
タム:最初は
「Zamurai TV 弐」(Hifanaを中心にAFRA、GAGLE、DJ KENTARO、TUCKERなどが参加したSSTVのライブ番組。)ですね。モーショングラフィックスを中心にやってる映像作家十数人らが、ライブ映像に全編グラフィカルな処理をしているコンピレーション的な番組なんですが、プロデューサーに「二人でやってみる?」って言われたのがきっかけです。その後もテイ・トウワさんのVJとかも二人で一緒にやったりして。
デム:その辺りから、二人でやる事が増えてきました。
―― 「tamdem」としての監督デビュー作KAN TAKAGI 「T.I.M.E.」 ft.VERBAL, LUPE FIASCO, ANI・BOSEですがそれもそんな流れだったんですか?
デム:イベントのコーディネートをやっている方からお話をいただいて。
それじゃあ、二人でやってみよう!って感じで。ミュージックビデオが作れるから単純にうれしかったですね。
ニコ:クオリティの高いデビュー作ですよね。共同のディレクションということですが、お互いのテイストはどうやって出していくんですか?
デム:最初の企画を詰めていく段階で、話し合ったり、映像見たりとかしてお互いの好きな物を確認しあいながら決めていきました。
タム:その話合いの中から一緒にサンプル画を作って、そこからイメージを広げていきました。
―― 狙いやテーマをその話で決めていったんですね。具体的に教えてもらっていいですか?
デム:まず、二人で制作するので一貫したトーンで作ろうと。楽曲のテーマ「時間」を積み重ねていくことを意識しました。
タム:それで得意なジャンルのCGで全編作ろうと決めたんですが、ある程度縛りを設けなくては何でもアリになってしまいます。そこで「一つの部屋で起こっている」という設定を設けました。
デム:その他にも、時計がどんどん進化していく。時計以外のもので時間の経過をみせる。歴史上の人物がシルエットで出てくる。といろいろなアイデアがでました。
タム:結果的に、アイデアが一つだけだと足りない感じがあったので、すべてを組み合わせて構成していきました。
―― その次のステップは?
タム:まず部屋をつくってモチーフをどんどん置いていき、3D化しながら進めていきました。いろんなモチーフがごちゃごちゃと出てくるので、部屋は真っ白に。全編に渡り、色のトーンを統一しようと試みました。
ニコ:お二人とも3Dを扱えるんですね。
タム:
CINEMA4D(シネマ フォーディー)っていうソフトでやってます。
ニコ:グラフィックメインのビデオって言葉でのプレゼンって難しいと思うのですが、どのようにやってらっしゃるんですか?
デム:視覚的に、一枚の絵で見てもらったほうが、わかりやすいので。
Adobe Photoshopで制作したイメージをコンテのように並べてプレゼンします。
タム:この楽曲ってフィーチャリングアーティストがVERBAL、LUPE FIASCO、 ANI・BOSEと、沢山出てきて、どんどん変わっていくんです。なので音の世界観に合わせてパートごとに世界観を作っていきました。
ニコ:CINEMA4Dを使っているとの事ですが、音に合わせた動きとかも全部3Dソフトの中で完結しているんですか?
デム:そうなんです。でもそれは、ちょっと無謀だったかと。普通ならコンポジット作業は
Adobe After Effects(以下 AE)が理想で・・・
タム:カメラも動いてるので、3Dソフト上で扱っちゃった方がいいかなって思ったんですが(笑)。
ニコ:音に合わせていく作業とかもCINEMA4Dでは作り込んでいけるんですね。
タム:タイムラインの使い方はほとんど一緒なんですが、動作がAEより遅いんですよね。
デム:CINEMA4Dは「T.I.M.E.」で本格的に覚えました。初心者には使いやすいソフトです。でも(容量の関係で)レンダリングする時は、会社の全マシンを使うハメになりました(笑)。
タム:夜中フル稼働で(笑)。
ニコ:作業的には時間はどれ位あったんですか?
デム:二週間位です。本当はもっと時間あったんですが、企画をつめている間に気づくとあと二週間しかなくなってて。(笑)。
ニコ:二週間!それは凄い早いですよね。
ではその貴重なビデオはこちらから。KAN TAKAGI 「T.I.M.E ft.VERBAL, LUPE FIASCO, ANI・BOSE」 Dir:tamdem
―― 最近、センスとモーショングラフィックスだけで勝負って感じのビデオって見る機会が少なくなってきてたので逆に新鮮でインパクトありました。続いて木村カエラさんの「Jasper」。「T.I.M.E.」も素晴らしいですが、更に進化しててびっくりしました。
デム:今回はCaviarの中村が演出、tamdemがCGのグラフィックワークを担当しました。
タム:撮影したHD素材をタイムライン上で編集しました。実写部分はアーティストとダンサーといった人物を黒バックで撮影しています。
デム:それぞれシーンごとにCGの背景にハマるようにポーズを取ってもらって撮影しています。あと全曲分のリップシンクを横顔や正面から撮影して、素材として使っています。
木村カエラ 「Jasper」 Dir:CAVIARtamdem
ニコ:人物は切り抜いていったんですか?黒バックはどういう意図があったん
でしょうか?
タム:今回はブラックライトを使っての撮影だったので、どうしても合成用のグリーンバックは使えなかったんです。なので、ルミナンスのマットで黒を抜いたりして合成してます。実際は調整が必要になって、マスクを切り抜いてますけど(笑)。
―― ミュージシャンが凄く引き立ってて、何度も見たくなるビデオですよね。
タム:僕たちのグラフィックの部分もそうなんですが、なによりミュージシャンの魅力を引き立てることにこだわって作ったので、そう言って頂けるのが一番うれしいです。
―― 人物のみ撮影とおっしゃってましたが、他は全てCGなんですか?
デム:一部、人体の内臓を洗剤のボトルとか使って表現している所があるんですが、それが人物以外の唯一の実写です。ブラックライトでとると不思議な質感になるんですよね。
―― この作品で心がけた事って何でしょう?
デム:楽曲が石野卓球氏のプロデュースでテクノ的な要素もあったので、音と絵のシンクロを細かく意識しました。
―― 一番のお気に入りのシーンはどこですか?
デム:最初の歌い出しで、赤いジャケットのカエラさんが踊っている所です。実はジャケットはダンサーに着てもらって別に撮影してるんですが、大きさや動きなどに少し不自然さを加え合成しました。更によく見ると、下の方に小さいダンサーが踊っているんですが、小さくする事によりダンスしてる様が模様っぽく見えるようにしました。見てても凄くトリッキーで面白いんです。
タム:実は、一拍ずつずらしたダンスを並べてアルゴリズム体操みたいにしてるんですけど。ちっちゃいんで誰も気づいてないだろうな・・・(笑)。あと、カエラさんの横顔が大きく出てくる海のシーンも気に入ってます。
ニコ:今回はCINEMA4DとAEで制作されたんですよね?(笑)。
タム:前回の失敗を生かして(笑)。
デム: CINEMA4DでシーンごとにZ軸情報も保たせたまま分けて書き出して、AEにもっていきました。
ニコ:CINEMA4DとAEは相性がいいですか?
タム:CINEMA4D上にモチーフが二個あればそれぞれ別レイヤーでAEファイルを書き出せたりするんです。
デム:カメラ情報ももっていける。「T.I.M.E.」の時も使っていれば、楽だったんだけど(笑)。
ニコ:雲の形とか、マットな薄いプラスチックのような質感とか独特なテイストがあると思うんですが、その辺お聞かせください。
タム:CGって作り込めばキリがなくリアル(なタッチ)に出来るんですが、やりすぎないように心がけてます。雲の形もシンプルにしたり、レンダリングのトーンもマットにしたり気をつけてます。
デム:高度なレンダリングを狙いでやってません。(笑)。
タム:あえてCGってわかるようにした方がおもしろいと思って。
―― 自分の好きな表現ってどんなものなんですか?
デム:手作りっぽい質感があって、ひねりがあるアイデアを感じるものが好きですね。
タム:僕は音と映像が合ってる表現が好きですね。スネアの音に何かが反応しているとか、学生の頃からそういうのが好きで、オウテカの「ガンツグラフ」ってMVで、CGのオブジェクトが真ん中にあって音に合わせて変化していくんですが、それが凄く衝撃的でした。ただ音のタイミングにあってるだけでなく、音量や音質にもシンクロしてるんですよ。スネアの音にはこれが反応して、キックの音はこのオブジェクトがでっかくなるといいんじゃないかとか、より気持ちいいタイミングと音の組み合わせを追求したいと思ってます。
デム:音と映像が完璧にはまったものって、単純に絵をリズムに合わせればいいってわけではないと思うんです。VJをやってるとたまに感じるのですが、音に合わせ過ぎてつまらなくなる時もあったりする。そういうときは映像で別の流れを作ってみたりして。映像と音の関係っていろんな法則があると思うので、理解するためにもこれから実験していきたいですね。
Autechre 「Gantz Graf」 Dir:アレックス・ラタフォード(Black Dog Films)
―― 今後挑戦してみたい事は?
タム:CG表現だけではなく、実写を主体にしたミュージックビデオをディレクションしてみたいです。
デム:全く同じです!
―― 息もぴったりのtamdemのお二人ありがとうございます。ちなみにお二人のお気に入りのミュージックビデオは?
デム:ダフトパンクの「アラウンド・ザ・ワールド」です。
タム:ケミカルブラザーズの「スター・ギター」が好きです。
―― では女性のタイプは?
タム:僕は新垣結衣さんです♥
デム:えーーと難しいなー。宮崎あおいさんとか♥
そんなお二人への5つの質問はこちら。
5つの質問 一問一答
Question 1: 一番影響を受けたものを教えてください
デムラ:音楽
タムカイ:オウテカ ガンツグラフのMV
Question 2: この職に就いたきっかけは?
デムラ:映像が大好きなので
タムカイ:ミュージックビデオが大好きなので
Question 3: 一番好きな映画は何ですか?
デムラ:ジム・ジャームッシュ監督のものはだいたい
タムカイ:ジュラシック・パーク
Question 4: 作業場のまわりに必ずおいているものベスト3は?
デムラ:えんぴつ(ペン類) ガム 雑誌類
タムカイ:ポカリ チョコレート ヘッドホン
Question5: 今おもしろいもの/事って何ですか?
デムラ:流れる景色をボーっと見る事
タムカイ:VJ