早くも2008年ベスト映画確定! アントン・コービン長編映画デビュー作「Control」
2008.01.21.Mon
Category : Movie of Month

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(c)Northsee Limited 2007
早くも2008年ベスト映画確定!ディレクターズレーベルシリーズ第二弾にもフィーチャーされた偉大な写真家&映像作家、アントン・コービンの長編映画監督デビュー作品「Contol」が遂に日本上陸。待ち焦がれたファンの期待を裏切らない、音楽映画の枠を超えた素晴らしい作品だ。映画はイギリスの伝説的ポストパンクバンド、ジョイ・ディヴィジョンのリードシンガー、イアン・カーティスの波乱の生涯についての物語。純粋すぎた一人の青年の人生を描き、彼がたった23年の人生で残していった輝きを鮮やかに蘇らせた。

「Control」はイギリス・アメリカに続いて2008年3月より日本での公開が決定。映画のプロモーションのため15年ぶりにコービン監督が来日し、2008年1月11日、東京・銀座のApple Storeにて記者会見が行われた。
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アントン・コービン / 1955年、オランダに生まれる。76年よりイギリスに移住し、アーティスト、特にミュージシャンのポートレイトを手がける写真家として知られる。彼の写真はU2、デペッシュモードなどのバンドイメージを決定づけた。80年よりミュージックビデオの制作を開始。カラフルな色彩で終末的ビジョンが描かれるニルヴァーナ「Heart Shaped Box」は高い評価を得た。DIRECTORS LABEL アントン・コービン BEST SELECTION が発売中。
■ジョイ・ディヴィジョンを撮った理由
視覚的な分野すべてに興味があるというコービン監督。写真、映像監督、グラフィックデザインに続いて映画を撮るということはいつもTo Doリストに入っていたものの、「ロック写真家」と呼ばれることに辟易していた監督は初監督作品として音楽映画でないものを創りたいと思っていた。
しかし結果的にロックを扱う映画を選んだ理由は、イギリスに移住したきっかけであるジョイ・ディヴィジョンとの精神的な繋がり。彼らのレコードを聴いて「オランダのロック・シンガーは趣味の延長でしかないのに対し、イギリスではロック・シンガーが真剣に人生から逃避していることに打たれ」たという。自身の人生を変えたバンドだったというわけだ。

■イアン・カーティスの印象
コービン監督が初めてイアンに会ったのは1979年、ジョイ・ディヴィジョンの写真を初めて撮った時。移住したばかりでほとんど英語が話せないこともあり、撮影はものの10分で終了。その後一日をイアンと一緒に過ごす機会があったが、ナイスガイでシャイだという印象を持った程度で親交を深めるまでには至らなかった。イアンの人間性を深く知ったのはイアンの妻デボラによって書かれた伝記本「タッチング・フロム・ア・ディスタンス」(「Contol」の原作)を通してだった。日常の彼の姿を知るために当時のメンバーなどイアンを取り巻く人たちの記憶を照合し、イアンのポートレイトを作り上げるように人物像を作り上げたという。

CONTROL - Trailer /posted by TheWeinsteinCompany
■撮影監督マーティン・ルーエとの仕事
撮影はカラーで行われ、モノクロ処理が施された。モノクロで撮った理由は?と聞かれ、「予算が安いからだと思う人もいるでしょうね(笑)。もちろん今回はそうではありません。ジョイ・ディヴィジョンに関する思い出、つまり彼らの当時雑誌に掲載されていた写真、レコードジャケットがモノクロだったことや、70年代後半のイングランドの街が灰色だったことがその理由です。」と語った。
「Control」は、冒頭から70年代イギリスの雰囲気を完璧に再現したハイコントラストのモノクローム映像で見るものをノックアウトさせる。撮影監督を務めたのはコービン監督が「コールドプレイ」等のミュージックビデオ撮影で組んだマーティン・ルーエ。名写真家の初長編映画だなんてさぞかしプレッシャーでは…と(勝手に)心配していたが、ルーエとは元々気心の知れた友人同士。何でも話し合える関係で撮影はスムーズに進んだそうだ。

■人生で最も強烈な経験、”映画監督”
「映画監督は私の人生のなかで最も強烈な経験だった」というコービン監督。80本ものミュージックビデオを監督してきたが、役者に演技指導するのは初めて。映画の場合は緊迫した瞬間が写真の比ではない程長く続く。映画でも映画やミュージックビデオと同じく自然さを重要視するスタイルを模索し、演技のことについて多く学んだ。イアンを演じるサム・ライリーはインディバンド「1000 Things」のボーカリスト。演技の経験は少ないが、音楽がベースにあり、70年代の雰囲気を持つこと、イアンに似た佇まいを持つこと等が評価されてジュード・ロウなどの有名俳優たちを抑えて主役に抜擢された。ちなみに、監督はライリーの役作りについて映画「ケス」(ケン・ローチ監督)主人公の少年の演技にインスパイアされたという。
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(c)Northsee Limited 2007
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(c)Northsee Limited 2007

■U2の映画を撮る予定はありません
イアンが今でも支持される理由は?と聞かれ、「イアンが特別な存在なのは、偉大な詩人だったからだと思います。今でも人々がジョイ・ディヴィジョンを聞き続けているのはそのせいでしょう。」と語るコービン監督。ミュージシャンを扱った作品を撮る予定については「(例えば)U2に映画は必要ありません。映画を作るよりも、今起こっていることを楽しんだほうがいい。」と否定した。気になる次回作に関しては、音楽以外をテーマにしたフィクションを構想しているという。

「Control」はカリスマロックシンガーである前に愛に悩む普通の青年だったイアンの生涯を見事に描いた、青春映画の傑作だ。新世代の名監督達 ~スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、ジョナサン・グレイザーなど~ に続いての長編映画への挑戦で、コービン監督はデビュー作にして音楽映画の枠を超えた最上級のドラマを作り上げた。

従来の映画界とは違う潮流に属しながら、逆に映画界に新しいヴィジョンを生み出すほどのインパクトを与える新世代のクリエイター達。これからも映画界に風穴を空けるような真新しいビジョンを生みだし、世界を驚かせ続けてくれるに違いない。

■映画「Control」あらすじ
1980年5月18日、全米ツアー出発の朝、イアンは23年という短い人生に自ら終止符を打った――。 ロック・スターとして激しくステージで歌う裏で、イアンは原因不明の痙攣、妻デボラと愛人アニークとの関係に悩む。ニュー・オーダーの前身として今や伝説のバンド、ジョイ・ディヴィジョン。そのヴォーカリスト、イアン・カーティスが駆け抜けた天才アーティストの短くも波乱の生涯を描いた衝撃の話題作!第60回カンヌ国際映画祭にて新人監督に与えられるカメラドール/スペシャル・メンション賞、2007年エジンバラ国際映画祭(最優秀英国映画賞)など数々の賞を受賞。
■映画「Control」
公式サイト: http://control-movie.jp/
2008年3月よりシネマライズにて公開
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